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本編 浮島編
いつものパターン
しおりを挟む「じゃあ貴方から回復しようか」
俺はみんなを助けてくれと、必死に懇願してきた男性に完全回復魔法を放つ。
男性の怪我は一瞬で治癒し、欠損していた左手があっという間に再生していく。
男性はそれを、ただ黙って見ていたんだが、自分の体が完全回復した事を理解すると、泣いて喜んでくれた。
「ああっ……ありがとうございます! まさかっ無くなっていた左手までが、回復するなんて! ううっ……あっありがとうございます! 図々しいお願いだとは分かっていますが、どうか……どうか仲間たちも助けてください」
男性は再び地面に頭を擦り付け平伏そうとするから、俺は慌てて止める。
「大丈夫だから! さっき言ったようにちゃんとみんなを助けるから! 安心してくれ」
男性の肩をポンッと軽く叩くと、リィモに目配せし
「リィモ、弱っている人達を回復してあげよう」
「任せてください!」
俺とリィモは、手分けしてこの倉庫にいる人達を回復する事にした。リザレクトは使えるんだが、パールや銀太みたいに広範囲で使う事がまだ出来ないからな。
「ああっ……ありがとうございます」
「無くなっていた足がぁ! あぅぅっ……ふぐっ」
「あなた方は……神の御使いなのですか……ふぅぅっ」
「父ちゃんが元気になったぁぁ!」
「痛くないっ……もう……苦しまなくて良いんだっ……ううっ……」
人々から感嘆の声が次々にあがる。初めはいきなり全回復し、理解出来ずに戸惑っていたが、これが現実なんだと理解すると、泣きながら抱き合って喜んでいた。
俺の方はこれで全員回復したかな? リィモはどうだろうかな? リィモの所に歩いて行くと……急に大歓声が巻き起こる。
「えっ!? リィモ何をしたんだ!?」
慌ててリィモの所に駆け寄ると、一人の男性の所に人が集まっていた。どうやらこの男性を回復したようなんだが。
「ええとですね、僕達が来る少し前にこの男性が亡くなったと聞いて、皆さんあと少し早ければこの人も助かったのに! と嘆かれていたので、それなら大丈夫ですよ? まだ間に合いますよ? っと言ってリザレクションを唱えたんです」
リィモはケロリとした顔で、「こんなにも喜んでくれるとは驚きですけどね」と言って笑って説明していたけど、凄い事だからな? あのなリィモ? 普通の人はリザレクションなんて魔法使えないからな? その辺はお前もパールと一緒だな。
俺がなんと言うか……やれやれといった感じでリィモを見ていると、一番初めに完全回復をかけた男性が、俺たちの前に立ち深くお辞儀をした後、驚きの発言をした。
「私はこんな身なりですが、ブルネイ帝国の皇子、エンリケ・ブルネイと申します」
「えっ!? 皇子!?」
まさか奴隷の中に、皇子様がいるなんて思いもよらなかった! 確かに言われて見れば所作に品がある。初め会った時は体が弱っていたから、気付かなかったのか。
「今、生き返らせて頂いた男性は、ブルネイ帝国の国王であり私の父になります。ほっ……本当にありがとうございます」
「ふえっ?! 国王様!? この男性が?」
驚き言葉を詰まらせながら返事を返すと、俺に向かって静かに頷いた後、深くお辞儀をするエンリケ皇子。
ふと周りを見ると、その場にいた全員が俺とリィモに向かって平伏していた。
これって何だかヤバそうな予感がするんだが……気の所為だよな? うん……気の所為だという事にしよう。
さてと……この後はみんな腹が空いてるだろうから、肉祭りでもするか?
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