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狩るもの・カマキリ
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埃臭い廃墟。壊れかけたブラインダーから光が差し込む。
「ボス、ルフトを行かせちゃったね。いくつの街が地図から消えるやら...。」
ヘッドホンをした学生服の女性は上司の所業に呆れる。彼女のピアスはギラギラと輝いている。
「どうせキューテストのクズ共がしつこく応戦してくるに決まってる!」
白髪で小太りの男が何年も使われていないオフィスチェアの上であぐらをかいて座っていた。大きな声で喋るたびに床がギシギシと音を立てる。
彼らは作戦の最中にあった。
「まあいいんじゃない?情報は得られそうだし。私たちも行くか。」
「そうだな!その前に難民で遊んでいく。」
「勝手にしてね、くれぐれも“ラウルス”の名前はバレないように。」
「ああ分かってるよお!全員殺すから問題なしなんだぜ。それよりぃ...ルナ・リンちゃんも一緒にどうよ。奴らの悲鳴は俺たちの愛にぴったりなんだぜ!」
人間の悪意を体現したような男は、歪な愛を誓う。女性も女性で、他人の倫理観や行動はどうでもよく思っていた。
「ふざけるな。難民を痛ぶる趣味はないって。」
この荒れた世は、強きものが正しい。また弱きものはそれらにへばり付く厄介な寄生虫でしかないと彼らは思っている。
それは彼らにとって当たり前だし、弱いままの難民はいつだって自分たちの所有物。ゆえに情などない。
そして何より、彼らは自分たちがそれをされても仕方がないと思っている。ある意味強者と弱者の信頼関係だとも言えるだろう。
窓ガラスを男は拳で砕く。そして縁に飛び込む。続けて女性も跳ぶ。
自由落下。脚が風を切る。地上までの10数メートルは彼らにとって造作でもない。
男は地に辿り着き、大地を揺らす。一方女性は階段の段差を一歩降りるかのよう、軽やかに着地する。
その音の存在感にビビるは浮浪者たち。3つ目の厄災によって居場所を失った難民だろう。
「じゃ、私先行ってるから。」
男に背を向けながら歩くルナ・リンは、軽く片手を上げてジェスチャーする。また片手でスマートフォンを操作していた。
「おう!またな。」
快活に挨拶すると、今度は鋭い目線で浮浪者の親子を見つめる。母と幼い娘は恐怖に満ちた。一歩、一歩と近づく男に対して、母親は娘を強く抱きしめるのだった。
重い足音を鳴らして目前まで迫ったところで...。
男は満面の笑みを見せた、敵意はないと示すように。そして口を開く。
「なあ、募金だ。これでお子さんにもうまいもの食べさせてくれ...。」
男はポケットから札束取り出して、母親に差し出す。笑顔に曇りはない。
「え...?いいんですか、これで...。」
歩く気力も残されてないのだろう。母親は這いよって、その札束に手を伸ばす。
「これで......乞食の醜態を晒したまま死ねるな!!」
男は拳を母親の右頬に叩き込む。鈍い音が響き渡り、そして力無く殴り飛ばされる。
「おかあちゃあん!!!!!」
泣き叫ぶ娘にジロッと冷たい目線を向ける。
「面白えなぁ難民は。弱いからいけねえんだ。男だから女だからと関係ねえ、弱いのがいけねえ。」
男は面白そうに語ると、歌うように続ける。
「ガマァンティース!」
どこからか紫色のカマキリが現れる。中型犬くらいはある巨大さ。
恐怖に歪んだ顔をカマキリは見つめて、瞬時に頭に齧り付く。
「ウナぁぁあ....。」
うめくように嘆く母親。圧倒的強者による理不尽を呪ったであろう。娘は血をふんだんに吸い取られて、萎れてゆく。
男にはその様子がとても可笑しく、
「カァカカカカァア!!面白い面白い!」
この世界には、2種類の人間がいた。狩られる者と狩る者。
「ボス、ルフトを行かせちゃったね。いくつの街が地図から消えるやら...。」
ヘッドホンをした学生服の女性は上司の所業に呆れる。彼女のピアスはギラギラと輝いている。
「どうせキューテストのクズ共がしつこく応戦してくるに決まってる!」
白髪で小太りの男が何年も使われていないオフィスチェアの上であぐらをかいて座っていた。大きな声で喋るたびに床がギシギシと音を立てる。
彼らは作戦の最中にあった。
「まあいいんじゃない?情報は得られそうだし。私たちも行くか。」
「そうだな!その前に難民で遊んでいく。」
「勝手にしてね、くれぐれも“ラウルス”の名前はバレないように。」
「ああ分かってるよお!全員殺すから問題なしなんだぜ。それよりぃ...ルナ・リンちゃんも一緒にどうよ。奴らの悲鳴は俺たちの愛にぴったりなんだぜ!」
人間の悪意を体現したような男は、歪な愛を誓う。女性も女性で、他人の倫理観や行動はどうでもよく思っていた。
「ふざけるな。難民を痛ぶる趣味はないって。」
この荒れた世は、強きものが正しい。また弱きものはそれらにへばり付く厄介な寄生虫でしかないと彼らは思っている。
それは彼らにとって当たり前だし、弱いままの難民はいつだって自分たちの所有物。ゆえに情などない。
そして何より、彼らは自分たちがそれをされても仕方がないと思っている。ある意味強者と弱者の信頼関係だとも言えるだろう。
窓ガラスを男は拳で砕く。そして縁に飛び込む。続けて女性も跳ぶ。
自由落下。脚が風を切る。地上までの10数メートルは彼らにとって造作でもない。
男は地に辿り着き、大地を揺らす。一方女性は階段の段差を一歩降りるかのよう、軽やかに着地する。
その音の存在感にビビるは浮浪者たち。3つ目の厄災によって居場所を失った難民だろう。
「じゃ、私先行ってるから。」
男に背を向けながら歩くルナ・リンは、軽く片手を上げてジェスチャーする。また片手でスマートフォンを操作していた。
「おう!またな。」
快活に挨拶すると、今度は鋭い目線で浮浪者の親子を見つめる。母と幼い娘は恐怖に満ちた。一歩、一歩と近づく男に対して、母親は娘を強く抱きしめるのだった。
重い足音を鳴らして目前まで迫ったところで...。
男は満面の笑みを見せた、敵意はないと示すように。そして口を開く。
「なあ、募金だ。これでお子さんにもうまいもの食べさせてくれ...。」
男はポケットから札束取り出して、母親に差し出す。笑顔に曇りはない。
「え...?いいんですか、これで...。」
歩く気力も残されてないのだろう。母親は這いよって、その札束に手を伸ばす。
「これで......乞食の醜態を晒したまま死ねるな!!」
男は拳を母親の右頬に叩き込む。鈍い音が響き渡り、そして力無く殴り飛ばされる。
「おかあちゃあん!!!!!」
泣き叫ぶ娘にジロッと冷たい目線を向ける。
「面白えなぁ難民は。弱いからいけねえんだ。男だから女だからと関係ねえ、弱いのがいけねえ。」
男は面白そうに語ると、歌うように続ける。
「ガマァンティース!」
どこからか紫色のカマキリが現れる。中型犬くらいはある巨大さ。
恐怖に歪んだ顔をカマキリは見つめて、瞬時に頭に齧り付く。
「ウナぁぁあ....。」
うめくように嘆く母親。圧倒的強者による理不尽を呪ったであろう。娘は血をふんだんに吸い取られて、萎れてゆく。
男にはその様子がとても可笑しく、
「カァカカカカァア!!面白い面白い!」
この世界には、2種類の人間がいた。狩られる者と狩る者。
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