荒れた世界で桃色の<魔王>になります

溟yuu

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徹底的に押し流せ

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クマは再び光線を放とうとしている。激しい閃光と空気を砲に集めて、間も無く発射されるだろう。

おそらく自分が“金色の太陽”を渡すまでは2、3秒のスパンで途切れることなく撃ってくるはず。

キューテストが一名倒れるか、太陽アレを手に入れるか。厚意に対しての返礼を約束してしまった以上、私だけでは詰み。

再び光線は放たれた。これ自体の精度は悪いのでサラが避けるには容易く、後方の壁を抉りとった。

ーーならば、発想を換えるしかない。

アンがクマのふわふわボディに寄りかかってヒマそうにしているのを見つめながら、サラはスマホを取り出す。

左手でなにやら素早く操作をして、耳元に構えた。その途端に空気を集め始めていたクマは電源が落ちたように、停止する。

「電話して持ってきてもらうんだね?ムツキちゃん、いい判断だよぉ。」

“どうした?サラ。”

電話をかけた相手はカイ。下校ルートが若干重なるので、すぐに駆けつけてくれると思ったからだ。

このアンの能力、条件さえ踏まなければ問題がないはず。

「カイ、──────。」

“なに、大丈夫か?“

「大丈夫─────間違えt ────。」

”間違いか、切るよ。”

“ツーツー”

まるで、自分の発言に規制が入っているようであった。テレビのコンプライアンス違反のように、都合の悪い発言をした時にサラの口は黒色のモザイクで覆われてしまうのだ。

さらに上手いこと発言を切り取るのだからタチが悪い。下手な発言をすればするほど都合が悪くなる、能力による干渉だろう。

いたずらな表情を浮かべたアンは、口元に人差し指を縦に当てながらいう。

「秘蜜義務。」

それを聞いたサラは立ち止まって、ため息を一つつく。そしてやや荒っぽい口調で言う。

「めんどくさいな。こいよ、クマ。」

アンはドクロの刻まれた目をサラに向けて、無表情のまま口元にあった人差し指をサラに向ける。

「最高出力でやるよ、もう。」

---

それから10分以上の砲撃が鳴り止まず、依然人が現れる様子もなく。サラは疲弊していった。

前までとは違って、4音符ほどのスパンで砲撃してくるためサラは絶え間なく避ける必要があった。

「いい加減にしてムツキちゃん。いつまで続けるの。」

アンは状況に飽きたらしくて、クマを背もたれのようにしてくつろいでいる。

「...余裕。」

ふらふらとした足取りで砲撃を交わす、最低限の動きで左右に避けたりしていた。

「じゃあこれは?」

一瞬の静寂のあと、急に1テンポ遅れて砲撃をするのであった。

さすがに先ほどまでのリズムが掴めなくて、つまづいてしまうのであった。光線には間一髪当たらなかったが、地に膝をついたサラに気力は残っていなかった。

「んんんー?余裕じゃないじゃん!」

アンはその弱々しい様子を目の当たりにすると、ゆるりと立ち上がって嘲笑した。

「じゃあ最後のチャンスね、今渡せば...。」

「くたばれ。」

力が残っていないのにも関わらずわざわざ自分の発言を遮るのだから、これにアンは表情を歪める。

「ださ。」

クマは空気をふんだんに集めて、目を野球場のライトほどに輝かせる。

先ほどの4倍は太い光線が迫ってきた。守りたいものを守れたのだから、特には文句がない。

最後に自身を包み込むだろう光に目を向けていた...。

すると、抉られた地面を踏む音がひとつ。自分の横に立つその人は、眩しさによって誰だかわからない。

「苦労してるね。」

その人が手を前に出すと、ウルトラマリンの壁が現れるのだ。透き通った色に、ラメのようなキラキラとした何かが散りばめられたような壁。

押し寄せる波のような光線はその壁を押し流すことができず、やがて止んだ。

アンは若干の焦燥に疑問を吐露する。

「助けを呼べる状況じゃなかったはず、誰?」

サラはこの10分間、絶えず異様な気配を出し続けていたのだ。

それに吸い寄せられてやってくるのは必ず“強者”だ。

サラは見上げると、黒色の制服にソーダ色の髪が風に靡いていた。

「ユメア...。」
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