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第1話「水没した街」
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スイムトラベラー
第1話「水没した街」
東浦はいつものように目を覚ました。カーテンの隙間から差し込む光が、妙に青く揺れている。ぼんやりと窓の外を見ると、息を飲んだ。街が、水没していた。いや、正確には水没ではない。建物は無事で、屋根や窓は変わらずそこにある。ただ、道路はすべて深い水路に変わり、水面が二階の窓辺まで迫っていた。人々は皆、水着姿で小さな舟を漕ぎ、笑いながら行き交っている。女子高生たちはビキニや競泳水着を着て、友達と舟を並べておしゃべりしながら通り過ぎていく。「夢……だよな?」東浦は慌ててベッドから飛び起き、クローゼットを開けた。制服を探すが、そこにあるのは水着ばかり。スクール水着、ビーチショーツ、ビキニまで。仕方なく、黒の学校指定の水着に袖を通す。鏡に映る自分の姿に、思わず頬が熱くなった。(でも……みんな水着なのか……)心のどこかで、小さく喜びが湧き上がるのを抑えきれなかった。東浦は水着が好きだった。特に、女子の水着姿を見るのが大好きだった。普段はそんな趣味を隠して生きているが、今はそれが世界の常識になっているらしい。外に出ると、近所の人が舟で通りかかり、普通に挨拶してきた。「おはよう、東浦くん。今日も学校か?」「あ、おはようございます……」相手は中年のおじさんで、なぜかスピードタイプの競泳パンツ一枚。東浦は目を逸らしながら、自分の舟に乗り込んだ。学校までは普段なら歩いて十分の距離だが、今は水路を漕いでいくしかない。街並みは変わらず、そこにあるのに、すべてが水に浮かんでいるようだった。コンビニの看板が水面に映り、信号機は水上高6メートルに設置されている。バス停の代わりに舟着き場があり、女子中学生たちが水着姿で並んで順番を待っていた。(これは……現実なのか?)水しぶきを上げて舟を進めながら、東浦は混乱していた。昨日まで世界は普通だった。なのに今朝起きたら、こんなことに。学校に着くと、正門は水門になっていた。舟を係留し、校舎へ入る。廊下は防水加工され、靴箱の代わりにビーチサンダルが並ぶロッカー。教室に入ると、クラスメイトたちは当然のように水着姿で席に着いていた。「おー、東浦! 遅いぞ!」声をかけられたのは、幼馴染の石浜だった。スタイル抜群の彼女は、紺色のビキニタイプの水着を着ていて、健康的な肌が眩しい。普段なら制服姿しか見られないのに、今はこんな姿で普通に話しかけてくる。「石浜……お前、それで学校来てるのか?」「は? 何言ってるの。いつも通りじゃん」石浜は首を傾げて笑った。彼女にとっては、これが当たり前の世界らしい。ホームルームが始まる。担任の先生も、水着の上にライフジャケットを羽織って登場。「みなさん、おはようございます。今日も安全に授業を受けましょうね」黒板は防水のホワイトボードに変わり、教科書も防水加工されている。授業は普通に進むが、休み時間にはみんなでプールサイドのような中庭で水しぶきを上げて遊んでいる。東浦は戸惑いながらも、少しずつこの世界に馴染んでいった。授業中、石浜が隣でノートを取る姿を横目で見る。普段なら絶対に見られない水着姿が、目の前にある。クラス中の女子たちが皆、水着。ビキニ、ワンピース、競泳タイプ……それぞれの個性がそのまま表れていた。(これは……悪い世界じゃないかも)内心で喜びながらも、東浦は首を振った。いや、こんなの普通じゃない。なぜこうなったのか、誰か知らないのか。放課後、石浜と一緒に舟で帰ることにした。「ねえ、東浦。なんか今日、変じゃない?」石浜が舟を漕ぎながら言った。「変なのはお前じゃなくて、この世界だよ……」「えー? いつも通りだよ?」石浜は笑ったが、東浦は胸に小さな疑問を抱えたまま、水面を滑る舟を見つめていた。この水浸しの世界は、いつまで続くのだろう。そして、なぜこうなったのか。東浦はまだ知らなかった。この世界が、自分の何気ない一言から始まったことを。そして、これから始まる大きな物語を。
(第1話 終わり)
第1話「水没した街」
東浦はいつものように目を覚ました。カーテンの隙間から差し込む光が、妙に青く揺れている。ぼんやりと窓の外を見ると、息を飲んだ。街が、水没していた。いや、正確には水没ではない。建物は無事で、屋根や窓は変わらずそこにある。ただ、道路はすべて深い水路に変わり、水面が二階の窓辺まで迫っていた。人々は皆、水着姿で小さな舟を漕ぎ、笑いながら行き交っている。女子高生たちはビキニや競泳水着を着て、友達と舟を並べておしゃべりしながら通り過ぎていく。「夢……だよな?」東浦は慌ててベッドから飛び起き、クローゼットを開けた。制服を探すが、そこにあるのは水着ばかり。スクール水着、ビーチショーツ、ビキニまで。仕方なく、黒の学校指定の水着に袖を通す。鏡に映る自分の姿に、思わず頬が熱くなった。(でも……みんな水着なのか……)心のどこかで、小さく喜びが湧き上がるのを抑えきれなかった。東浦は水着が好きだった。特に、女子の水着姿を見るのが大好きだった。普段はそんな趣味を隠して生きているが、今はそれが世界の常識になっているらしい。外に出ると、近所の人が舟で通りかかり、普通に挨拶してきた。「おはよう、東浦くん。今日も学校か?」「あ、おはようございます……」相手は中年のおじさんで、なぜかスピードタイプの競泳パンツ一枚。東浦は目を逸らしながら、自分の舟に乗り込んだ。学校までは普段なら歩いて十分の距離だが、今は水路を漕いでいくしかない。街並みは変わらず、そこにあるのに、すべてが水に浮かんでいるようだった。コンビニの看板が水面に映り、信号機は水上高6メートルに設置されている。バス停の代わりに舟着き場があり、女子中学生たちが水着姿で並んで順番を待っていた。(これは……現実なのか?)水しぶきを上げて舟を進めながら、東浦は混乱していた。昨日まで世界は普通だった。なのに今朝起きたら、こんなことに。学校に着くと、正門は水門になっていた。舟を係留し、校舎へ入る。廊下は防水加工され、靴箱の代わりにビーチサンダルが並ぶロッカー。教室に入ると、クラスメイトたちは当然のように水着姿で席に着いていた。「おー、東浦! 遅いぞ!」声をかけられたのは、幼馴染の石浜だった。スタイル抜群の彼女は、紺色のビキニタイプの水着を着ていて、健康的な肌が眩しい。普段なら制服姿しか見られないのに、今はこんな姿で普通に話しかけてくる。「石浜……お前、それで学校来てるのか?」「は? 何言ってるの。いつも通りじゃん」石浜は首を傾げて笑った。彼女にとっては、これが当たり前の世界らしい。ホームルームが始まる。担任の先生も、水着の上にライフジャケットを羽織って登場。「みなさん、おはようございます。今日も安全に授業を受けましょうね」黒板は防水のホワイトボードに変わり、教科書も防水加工されている。授業は普通に進むが、休み時間にはみんなでプールサイドのような中庭で水しぶきを上げて遊んでいる。東浦は戸惑いながらも、少しずつこの世界に馴染んでいった。授業中、石浜が隣でノートを取る姿を横目で見る。普段なら絶対に見られない水着姿が、目の前にある。クラス中の女子たちが皆、水着。ビキニ、ワンピース、競泳タイプ……それぞれの個性がそのまま表れていた。(これは……悪い世界じゃないかも)内心で喜びながらも、東浦は首を振った。いや、こんなの普通じゃない。なぜこうなったのか、誰か知らないのか。放課後、石浜と一緒に舟で帰ることにした。「ねえ、東浦。なんか今日、変じゃない?」石浜が舟を漕ぎながら言った。「変なのはお前じゃなくて、この世界だよ……」「えー? いつも通りだよ?」石浜は笑ったが、東浦は胸に小さな疑問を抱えたまま、水面を滑る舟を見つめていた。この水浸しの世界は、いつまで続くのだろう。そして、なぜこうなったのか。東浦はまだ知らなかった。この世界が、自分の何気ない一言から始まったことを。そして、これから始まる大きな物語を。
(第1話 終わり)
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