ビニールプールで遊ぼう

壬玄風

文字の大きさ
2 / 2

ナナは少し本気出す

しおりを挟む
 二人は立ち上がるが、ナナはなぜか俯いたまま動かない。
「ん、大丈夫か?」
 澄男が尋ねるとナナは顔を上げて答えた。その頬はほんのりと赤くなっている。
 また、彼女の視線は澄男の顔ではなく、彼の下半身に注がれている。
 澄男は目をそらしながら言う。
「そんなに見たいのか?」
 ナナは顔を赤くしながら小さくうなずく。
「いいけど……今度こそお前も脱げよな」
「あー、でもやっぱりここじゃちょっと。ねえ、こっち来て」
 ナナは母屋のほうをのぞき込んで手招きするので澄男もついていく。

 (ここって確か……)
 澄男の記憶によるとナナの向かう先は風呂場だったはずだ。
 脱衣所に入ると、ナナは何の躊躇もなく水着を脱ぎ、澄男もそれに続く。
 澄男は幼少期以来見たことのなかった女の子の裸を見て少しドキドキしていた。
 一方ナナも表情に出さないものの視線は一点に集中していた。
 ナナはバスタオルで体を拭くと、そのまま浴室に入っていく。
 澄男も慌てて後を追うが、そこには大きな浴槽があった。

「あれ、こんなのあったっけ?」
「ああ、それ? 去年リフォームしたときに作ったんだよ」
「へぇ~」
「ま、入ってみてよ」
 言われるままに澄男は湯船に浸かると、癒されそうな香りに包まれる。
「もしかしてこれ檜風呂か?」
「おお、正解。気持ちいいでしょ」
「うん」
「じゃあ私も入るから待ってて」
「わ」
 ナナが澄男にぴったりと密着する。
「楽しいね」
「うん……」
「ふふっ、さっきすっごい見てたよね。さすがにちょっと恥ずかしかったよ」
 ナナは自分の股間を指さすと、澄男の頬が紅く染まる。
「お、お前だって見てただろ」
「お互い様だね。恥ずかしいついでにもう少し見せてあげる」

 そういうと、ナナは向かい合って浴槽に腰を掛けると少し足を開き、さらに手でそこを広げる。
「見える?」
「あ、ああ」
 澄男は思わず目を見開く。
「あ、見るのはいいけど、触っちゃだめだよ」
「わかってるって」
「まだ……澄男のお嫁さんになるまでは……」
「え?」
「ううん、なんでもないよ」

 しばらく沈黙が続いたが、やがていつものように宿題やゲームの話で盛り上がった。
 風呂を上がると、ナナの母親と鉢合わせした。
 澄男は気まずそうに視線を泳がせるが、ナナはそれがまるで普通のことであるかのように、澄男と一緒にお風呂に入ったと言った。

「ああ、なるほどね。スイカ切ってくるから、縁側にでも行って待ってな」
「やったね」
「ありがとうおばさん」

 澄男とナナは縁側に並んで座り、夕焼けに染まってゆく大空を見ながら、少し温くなってしまったスイカを食べた。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

離婚した妻の旅先

tartan321
恋愛
タイトル通りです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

大丈夫のその先は…

水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。 新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。 バレないように、バレないように。 「大丈夫だよ」 すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m

秘事

詩織
恋愛
妻が何か隠し事をしている感じがし、調べるようになった。 そしてその結果は...

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

幼馴染みのアイツとようやく○○○をした、僕と私の夏の話

こうしき
恋愛
クールなツンツン女子のあかねと真面目な眼鏡男子の亮汰は幼馴染み。 両思いにも関わらず、お互い片想いだと思い込んでいた二人が初めて互いの気持ちを知った、ある夏の日。 戸惑いながらも初めてその身を重ねた二人は夢中で何度も愛し合う。何度も、何度も、何度も── ※ムーンライトにも掲載しています

離婚すると夫に告げる

tartan321
恋愛
タイトル通りです

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

処理中です...