6 / 11
第一章 脱出
ラブラブ☆初デートです
しおりを挟む
アヤから簡単に家事を教わった。
電気も魔法もあるこの国では、生活家電がやたらと便利。
掃除ロボットは高性能すぎて人が手をかける余地はほとんどない。
洗濯は洗濯物のQRコードを読み取って自動的に適切な洗い方を採用し、乾燥にアイロンがけまでやってくれるから、ほとんどの場合は洗濯槽に放り込むだけ。
手がかかるのは料理ぐらいかな。
それも全自動でできるといえばできるけど、やはり手をかけたほうが美味しいのはこちらの世界も同じ。
家事が一段落すると、アヤの提案で街に出かけることになった。
「もっと服がいるよね。買いに行くよ。アクセサリも必要だよね。さあ行こう」
アヤは私の手を取って歩き出す。
「え、この恰好で出かけるの?」
私達はまだ天使と悪魔だった。
「この国なら普通だよ!たぶん!」
たぶんってなんだ。
アヤが手をかざすと、ここに来た時のように空間に裂け目ができた。
裂け目を越えて闇の中を少し進んだ先は、木の板で囲まれた小部屋で、小さな出口があるだけだった。
出口から外に向かうと、大通りらしい場所に出てきた。
舗装されていない道路の両側には、さまざまな店が無造作に立ち並ぶ。
街行く人を見れば、魔女の国というだけあって男性の姿は全く見当たらない。
アヤの言う通り天使と悪魔の私達は特に浮いていない。魔女だからなのか黒のローブを着た人が割と多い一方で、普通のワンピースだったりパンツルックもあり、ビキニアーマーの戦士風の人もいればフリフリドレスの魔法少女風の衣装の子もいて、そうやってみると確かに私達なんて普通だね。
いや、でもやっぱりちょっと目立ってるみたいで明らかにこっちを見てる人もいるみたいだけど。
「ねえアヤ……」
「あはは、なんかちょっと目立っちゃってるみたいだね。でも私達が可愛すぎるから仕方ないよねー」
後でわかったことだけど、私達がとても仲良さそうに見えて微笑まれていたらしい。その通りだから仕方ない……えへへ……
本屋みたいな店に入って、二人がけのテーブルに座る。
ここでデートスポットを検索するらしい。
三人ぐらいのグループがアヤに声をかけてきて、何かを話しはじめた。
どんな話してるんだろう。
アヤが知らない人と知らない言葉で話をしているのを見ていると、チクリと胸が痛む。
アヤはこの世界の人で、友達や家族がいる。
でも、私は言葉も通じない異国人。
一瞬アヤが遠く見えた気がして、心がそわそわして落ち着かない。
「行こうか、待たせてごめんね」
「うん」
密かに気を取り直して、二人で近くのログハウス風喫茶店に入った。
「やった、個室取れた!」
アヤいわく、個室は予約優先、人気のお店だから予約で一か月待ちなんてこともあるらしいけど、たまたまキャンセルが出て空きができたんだって。
お店の人に半透明のカプセルのような部屋に案内された。
カプセルの中は透明の床が敷かれ、四人掛けのテーブルとシンクが置かれている。
テーブルに座ると、カプセルの外側のツタが延びて全面を覆い、色とりどりの花を咲かせた。
「きれい……」
「気にいって貰えてよかった!私のお気に入りなの」
運ばれてきた料理は、日本でもよく見かけるものによく似ていた。
柚子風味のクリームパスタ、フルーツサラダ、食後のコーヒー。
素材は違うけど、私にも違和感なく美味しく食べることができた。良かった。
地球大好きな魔女達によって、こちらにない原材料でも似たものができないか常に研究が続けられていて、今でもこの世界の食文化は大きく変化しつつあるらしい。
「あのね理恵」
ぬるめのカフェラテ(この国でコーヒーといえばこれが標準らしい)を飲みながら、アヤが話を切り出した。
「うん」
「さっき私とお話をしてたのって私の友達なんだけど、理恵の助けになってもらえないか聞いてみたんだ」
「え?」
「この国って魔女仕様だから魔力がない人にはどうしても暮らしにくいんだよね。何かあったとき私だけじゃなくて友達を頼れるほうがいいと思って。だけど、勝手に話を進めるのよくなかったよね」
「ううん、もちろんお願いするわ。いつも私のこと考えてくれてありがとう」
助けが必要というのもそうだけど、これから未知の社会の中で暮らしていって、いずれはアヤと支えあっていきたいもの。
電気も魔法もあるこの国では、生活家電がやたらと便利。
掃除ロボットは高性能すぎて人が手をかける余地はほとんどない。
洗濯は洗濯物のQRコードを読み取って自動的に適切な洗い方を採用し、乾燥にアイロンがけまでやってくれるから、ほとんどの場合は洗濯槽に放り込むだけ。
手がかかるのは料理ぐらいかな。
それも全自動でできるといえばできるけど、やはり手をかけたほうが美味しいのはこちらの世界も同じ。
家事が一段落すると、アヤの提案で街に出かけることになった。
「もっと服がいるよね。買いに行くよ。アクセサリも必要だよね。さあ行こう」
アヤは私の手を取って歩き出す。
「え、この恰好で出かけるの?」
私達はまだ天使と悪魔だった。
「この国なら普通だよ!たぶん!」
たぶんってなんだ。
アヤが手をかざすと、ここに来た時のように空間に裂け目ができた。
裂け目を越えて闇の中を少し進んだ先は、木の板で囲まれた小部屋で、小さな出口があるだけだった。
出口から外に向かうと、大通りらしい場所に出てきた。
舗装されていない道路の両側には、さまざまな店が無造作に立ち並ぶ。
街行く人を見れば、魔女の国というだけあって男性の姿は全く見当たらない。
アヤの言う通り天使と悪魔の私達は特に浮いていない。魔女だからなのか黒のローブを着た人が割と多い一方で、普通のワンピースだったりパンツルックもあり、ビキニアーマーの戦士風の人もいればフリフリドレスの魔法少女風の衣装の子もいて、そうやってみると確かに私達なんて普通だね。
いや、でもやっぱりちょっと目立ってるみたいで明らかにこっちを見てる人もいるみたいだけど。
「ねえアヤ……」
「あはは、なんかちょっと目立っちゃってるみたいだね。でも私達が可愛すぎるから仕方ないよねー」
後でわかったことだけど、私達がとても仲良さそうに見えて微笑まれていたらしい。その通りだから仕方ない……えへへ……
本屋みたいな店に入って、二人がけのテーブルに座る。
ここでデートスポットを検索するらしい。
三人ぐらいのグループがアヤに声をかけてきて、何かを話しはじめた。
どんな話してるんだろう。
アヤが知らない人と知らない言葉で話をしているのを見ていると、チクリと胸が痛む。
アヤはこの世界の人で、友達や家族がいる。
でも、私は言葉も通じない異国人。
一瞬アヤが遠く見えた気がして、心がそわそわして落ち着かない。
「行こうか、待たせてごめんね」
「うん」
密かに気を取り直して、二人で近くのログハウス風喫茶店に入った。
「やった、個室取れた!」
アヤいわく、個室は予約優先、人気のお店だから予約で一か月待ちなんてこともあるらしいけど、たまたまキャンセルが出て空きができたんだって。
お店の人に半透明のカプセルのような部屋に案内された。
カプセルの中は透明の床が敷かれ、四人掛けのテーブルとシンクが置かれている。
テーブルに座ると、カプセルの外側のツタが延びて全面を覆い、色とりどりの花を咲かせた。
「きれい……」
「気にいって貰えてよかった!私のお気に入りなの」
運ばれてきた料理は、日本でもよく見かけるものによく似ていた。
柚子風味のクリームパスタ、フルーツサラダ、食後のコーヒー。
素材は違うけど、私にも違和感なく美味しく食べることができた。良かった。
地球大好きな魔女達によって、こちらにない原材料でも似たものができないか常に研究が続けられていて、今でもこの世界の食文化は大きく変化しつつあるらしい。
「あのね理恵」
ぬるめのカフェラテ(この国でコーヒーといえばこれが標準らしい)を飲みながら、アヤが話を切り出した。
「うん」
「さっき私とお話をしてたのって私の友達なんだけど、理恵の助けになってもらえないか聞いてみたんだ」
「え?」
「この国って魔女仕様だから魔力がない人にはどうしても暮らしにくいんだよね。何かあったとき私だけじゃなくて友達を頼れるほうがいいと思って。だけど、勝手に話を進めるのよくなかったよね」
「ううん、もちろんお願いするわ。いつも私のこと考えてくれてありがとう」
助けが必要というのもそうだけど、これから未知の社会の中で暮らしていって、いずれはアヤと支えあっていきたいもの。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
十六歳の妹の誕生日、私はこの世を去る。
あいみ
恋愛
碌に手入れもされていない赤毛の伯爵令嬢、スカーレット。
宝石のように澄んだ青い髪をした伯爵令嬢、ルビア。
対極のような二人は姉妹。母親の違う。
お世辞にも美しいと言えない前妻の子供であるスカーレットは誰からも愛されない。
そばかすだらけで、笑顔が苦手な醜い姉。
天使のように愛らしく、誰からも好かれる可愛い妹。
生まれつき体の弱いルビアは長くは生きられないと宣告されていた。
両親の必死に看病や、“婚約者の献身的なサポート”のおかげで、日常生活が送れるようになるまで回復した。
だが……。運命とは残酷である。
ルビアの元に死神から知らせが届く。
十六歳の誕生日、ルビアの魂は天に還る、と。
美しい愛しているルビア。
失いたくない。殺されてなるものか。
それぞれのルビアを大切に思う想いが、一つの選択をさせた。
生まれてくる価値のない、醜いスカーレットを代わりに殺そう、と。
これは彼女が死ぬ前と死んだ後の、少しの物語。
あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます
おぜいくと
恋愛
「あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます。さようなら」
そう書き残してエアリーはいなくなった……
緑豊かな高原地帯にあるデニスミール王国の王子ロイスは、来月にエアリーと結婚式を挙げる予定だった。エアリーは隣国アーランドの王女で、元々は政略結婚が目的で引き合わされたのだが、誰にでも平等に接するエアリーの姿勢や穢れを知らない澄んだ目に俺は惹かれた。俺はエアリーに素直な気持ちを伝え、王家に代々伝わる指輪を渡した。エアリーはとても喜んでくれた。俺は早めにエアリーを呼び寄せた。デニスミールでの暮らしに慣れてほしかったからだ。初めは人見知りを発揮していたエアリーだったが、次第に打ち解けていった。
そう思っていたのに。
エアリーは突然姿を消した。俺が渡した指輪を置いて……
※ストーリーは、ロイスとエアリーそれぞれの視点で交互に進みます。
三回目の人生も「君を愛することはない」と言われたので、今度は私も拒否します
冬野月子
恋愛
「君を愛することは、決してない」
結婚式を挙げたその夜、夫は私にそう告げた。
私には過去二回、別の人生を生きた記憶がある。
そうして毎回同じように言われてきた。
逃げた一回目、我慢した二回目。いずれも上手くいかなかった。
だから今回は。
可愛らしい人
はるきりょう
恋愛
「でも、ライアン様には、エレナ様がいらっしゃるのでは?」
「ああ、エレナね。よく勘違いされるんだけど、エレナとは婚約者でも何でもないんだ。ただの幼馴染み」
「それにあいつはひとりで生きていけるから」
女性ながらに剣術を学ぶエレナは可愛げがないという理由で、ほとんど婚約者同然の幼馴染から捨てられる。
けれど、
「エレナ嬢」
「なんでしょうか?」
「今日の夜会のパートナーはお決まりですか?」
その言葉でパートナー同伴の夜会に招待されていたことを思い出した。いつものとおりライアンと一緒に行くと思っていたので参加の返事を出していたのだ。
「……いいえ」
当日の欠席は著しく評価を下げる。今後、家庭教師として仕事をしていきたいと考えるのであれば、父親か兄に頼んででも行った方がいいだろう。
「よければ僕と一緒に行きませんか?」
~春の国~片足の不自由な王妃様
クラゲ散歩
恋愛
春の暖かい陽気の中。色鮮やかな花が咲き乱れ。蝶が二人を祝福してるように。
春の国の王太子ジーク=スノーフレーク=スプリング(22)と侯爵令嬢ローズマリー=ローバー(18)が、丘の上にある小さな教会で愛を誓い。女神の祝福を受け夫婦になった。
街中を馬車で移動中。二人はずっと笑顔だった。
それを見た者は、相思相愛だと思っただろう。
しかし〜ここまでくるまでに、王太子が裏で動いていたのを知っているのはごくわずか。
花嫁は〜その笑顔の下でなにを思っているのだろうか??
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる