僕はいつか

スプリューム

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あの時の事件

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「榊智和さんはお亡くなりになりました」
「え?」
医師からその言葉を聞いた瞬間、僕の頭のなかは真っ白になった。榊が死んだ?小さな時から共に生活をし続けた、共に笑った、共に助け合った、その榊が死んだ?理解ができなかった。交通事故にあったそうだ。トラックに跳ねられ、頭から血を流して倒れていたそうだ。救急車に運ばれたが、病院で診察し、手術をしたが間に合わなかったらしい。この話を知ったのは現場に通りかかった友達から聞いた。そして運ばれた病院に行き、医師から事情を話され、今に至る。
僕は何も考えられなかった。帰路をたどりながら僕は泣いていた。絶望するしかなかった。一番信頼していた人をなくすとこんなにも胸が傷つき、苦しいのか。その瞬間だった。
「助けたい?」
「え?」
現れたのは黒いフードのついたコートを着て、大鎌を持った青年だった。
「助けたい?」
先程と同じ問い。
「君は?」
「僕は死神さ」
「死神...。助けたいって何を?」
「君の友達のことさ」
「何で君がその事を知っている!」
僕は怒鳴りぎみの声で言った。
「言っただろ?僕は死神さ。すべての魂の管理をしているのさ」
「...そりゃ助けたい。でも時間は戻らない」
「できるよ?僕なら。タイムスリップさせるなんて朝飯前さ」
「だったら僕を榊が死ぬ一週間前に飛ばしてくれ!守りたいんだ、榊を。死なせたくないんだ」
「わかった。覚悟を決めたら僕の手をつかんで」
覚悟ならとっくにできてる。榊を救いたい。僕の中にある願望はそれだけだ。僕は死神の手をつかんだ。
「ふっ男らしいじゃん」
死神はクスリと笑って、
「じゃあいくよぉ」
そのとたん視界が揺らいだ。次の瞬間、眩しい光りが視界を包む。
ーーーーーーーーーーーー。
目を覚ますと僕は自分の部屋のベッドの上に寝転んでいた。
「ここは...僕の部屋だな」
本当にタイムスリップしたのか?正直疑いがあった。自分の部屋なのでカレンダーがあるはず、僕はカレンダーを見つけて今日の日付を確認する。
「12月9日、ちょうど榊が事故にあう一週間前だ」
榊が事故にあったのは12月16日だった。どうやら本当にタイムスリップしているらしい。まず榊を守るためには榊の家にいって一週間泊まるしかないよな。というわけで手ぶらのまま榊の家に行く。
ーーーーーーーーーーーーー。
10分歩いたら榊の家が見えてきた。とりあえずいるかどうかだな。榊の家のピンポンをならす。『は~い』と、返事をして玄関のドアを開けた。
「詠斗じゃん!久しぶり!どうしたの?」
「いろいろあって一週間お前の家に泊まることになった」
「そうなんだぁ。まぁ立ち話もなんだし、上がってよ」
ここまではいつもの榊だ。僕はちょっと心が軽くなったような気がした。


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