呪われ侍女の逆後宮

はるみさ

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7.談話室で

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 何故アレス様が笑っているかやっぱり分からない私は、ポカンとしてその顔を見つめる。

 私の視線に気付いたアレス様は、笑いすぎて涙が出たのか、目に浮かんだ雫を拭った。

 「あー、ごめんごめん。つい、おかしくなっちゃって。
 ねぇ、意外じゃなかった? 虫が嫌いとか、泳げないとか」

 「あー……言われてみれば?
 でも、意外と思うほど、アレス様のことを知らないので……」

 「そっか……そうだよね。
 ……でも、クレアみたいな人は初めてだ」

 「私みたいな人?」

 「あぁ……さっきみたいなことを言うとね、大抵の女性は私に失望するんだ。目にみえる部分だけで勝手に完璧な私のイメージを作り上げて、その期待に応えられなければ、『そんなんだとは思わなかった』ってさ。
 私だって人間だ。嫌いなものや、苦手なものだってあるのに、彼女たちは私に完璧を求める。それがずっと息苦しかった」

 アレス様は、どこか寂しそうに笑った。

 「数年前まで婚約者がいたんだ……家に決められた婚約者だったけど、ちゃんと想いを交わして……上手く行ってると思ってた。
 だけど、彼女が私に求めてるのは、一番強くて、苦手なものや嫌いなものなんてない誰よりもカッコいい完璧な男だった。まるで物語に出てくる王子のような……。彼女は私がイメージと違う行動をすると、それを非難した」

 なによそれ。その婚約者とやらは、女神か何かなのか……。
 思わず眉間に皺が寄る。聞いているだけで不快だ。

 「……完璧な人なんていなくないですか?」

 「そうだね。でも、彼女はそれを許さなかった。
 私のことを情けない……恥ずかしい、と」

 「酷い……」

 「そうかもね。でも……その時はそんな風に思えなかった。
 それに私も彼女を傷付けてしまったんだ」

 「アレス様が?」

 「あぁ。……勃たなかったんだ、彼女から誘われた時に」

 言われてもいまいち信じられなかった。なんたって、私とアレス様はもう何回も身体重ねているのだ。

 「え……だって……」

 私の唖然とする顔を見ると、アレス様は笑った。

 「ふふっ。クレアの時は問題なく勃ったのにね。

 結局プライドを傷つけられた彼女は、私の側にいられなくなって去っていった。婚約も解消した。でも、不思議とホッとしたんだ。これ以上、彼女の期待に応えなきゃと必死にならなくていいんだ、と。それからは仕事一筋さ」

 そんな事情があったとは。アレス様もその人を好きだったようだから、口には出せないが、別れて正解だと思う。そんな人のそばにいたら、息が詰まりそうだ。婚約を解消したと聞いて、私はホッと胸を撫で下ろした。

 「そうだったんですね……
 何というか……治って良かったですね」

 「ははっ!! ……本当だね。

 女性というものにうんざりして、私も諦めていた。だから、男色家という噂も肯定はしないが否定もしなかったし、両親にも誰とも結婚するつもりはないと伝えていた。私は気ままな次男だからね。それで良いと思っていた」

 「きっとその婚約者さんに反応しなかっただけなんですね」

 「違うよ」

 即答で否定の言葉が返ってくる。実はまだ治ってないとか?

 「え? どういうーー」

 「きっと、クレアだから反応したんだ」

 アレス様はキラキラした笑顔をこちらに向けて微笑んでいる。カッコいい……じゃなくて、何を言い出すんだ、この人は。

 私は半ば呆れながら、言った。

 「いや……流石にそんなことないと思いますけど」

 「そんなことあるよ。
 実は前からクレアのことを良いな、と思ってたんだから」

 「そんなの嘘ーー」

 「嘘じゃない。殆ど話したことはなかったけれど、私はいつも真面目に仕事に取り組むクレアに好感を抱いていたよ。

 王妃殿下の為なら他の侍女が避けるような人相の悪い騎士にも堂々と意見を突きつけるその強さにも惹かれていた。それにクレアは厩番のバズと仲が良いだろう? それを知って、きっとこの女性は人を見た目で判断したりしないんだ……と思った」

 バズさんは厩番のお爺さんで、片足を事故で失っている。ただ目が悪いだけなのだが、常に眉間に皺を寄せているので、他の侍女達は、怖いと言って近付かない(大体、厩に用事はないだろうし)。私は馬が好きなので、休日などに遊びに行かせてもらうことがあり、仲良くなったのだ。

 私はアレス様が以前から私のことをそんなに認識してくれていたという事実に驚いていた。まさか、私が視界に入っていたとは。

 「それにーー」

 「それに?」

 「私の相棒もクレアのことが好きでね」

 「相棒?」

 「4本足の真っ白な髪の美人さ」

 さらさらとした立髪の、まんまるお目目のあの子が浮かぶ。

 「……ま、まさか」

 「あぁ。ブランは私の馬だ」

 バズさんの馬鹿ー!!
 ブランちゃんがアレス様の愛馬だったなんて!!

 私はそうとは知らず、ブランちゃんのブラッシングをしたり、おやつをあげたりと、よくお世話をさせてもらっていた。バズさんはこいつの主人のことは気にしなくていいと言っていたけど……断りもなくブランちゃんに触れたのはやっぱり良くなかったと思う……。

 私はすっかり冷えたカップを置いて、深く頭を下げた。

 「知らなかったとは言え、ブランちゃんに勝手に触ったりして、すみませんでした……!」

 アレス様はクスッと笑うと、自分のカップも置いて、私の手を取った。

 「謝らないでよ。ブランも喜んでいたんだ。私は書類仕事も多くて、他の騎士に比べると、乗れてあげてないから。そんな中、クレアがブランの相手をしてくれて、助かったくらいだよ。

 ブランもクレアが好きって、言っただろう?」

 そう言ってもらえて安心する。

 「良かった……。私もブランちゃん、大好きです!」

 私が笑うと、アレス様は私の手を自らの口元まで持っていく。
 ……私を快楽に誘うキスを思い出して、密かに身体が反応する。

 私の変化を感じ取ったのか、アレス様はどこか妖しく笑う。

 「ねぇ、聞いてた? ブランも、クレアが好きって言ったんだ。
 ……意味、わかる?」

 「あ……えと……」

 ブランちゃんだけじゃなく……ってこと?

 あり得ないことだと思うのに、アレス様の瞳には確かに愛おしさが垣間見えるような気がして、私は囚われたように動けなかった。

 「もちろん今の状況で気持ちを返して欲しいなんて言うつもりはないよ。大体、気持ちを伝えることは王妃殿下に禁止されてる。
 でも……どうか私の気持ちを覚えておいて。
 そして……身体で感じて……」

 ゆっくりと手にキスが落とされた。

 と思ったら、グッと手を引かれて、私はアレス様を押し倒すような形になってしまった。アレス様の手が私の腰とお尻をサワサワと触り始める。

 アレス様の腕から逃げようとするものの、腰のあたりにしっかり腕を回され、抜けられない。

 「ア、アレス様……っ!駄目です!
 今日は約束の夜じゃーー」

 「なんで駄目なの? 別に一日あけなきゃいけないなんて決まりはないよ。命を繋げるために二日に一度は必須だけど、数が多い分には何の問題もない」

 アレス様は話している間も私のお尻を撫で回し、私の官能を引き出していく。気付けば私は身体を丸めて、アレス様の指を求めていた。

 「ん……♡
 で、でも……呪いの効果が出てないし……、は、恥ずかしい」

 アレス様の指が秘芽を掠めるたびに身体の力が抜けていく。
 私がくたっと身を任せた時、頭上から少し圧のある声でアレス様が言った。

 「……ゼノアはいいのに?」

 「……え?」

 指摘されてドクンと胸が鳴る。

 「知ってるよ、ゼノアがいつも約束の時間より早く行ってること。それって呪いの効果が出てない、普段のクレアを抱いてるってことでしょ? ゼノアは良くて、私は駄目なの?」

 「そっ……そういうわけじゃ……っ」

 「じゃあ、いいよね?
 それに、クレアも私に身体を押し付けて……
 その気になってきたんでしょ?」

 次の瞬間、アレス様の指が下着の隙間から入ってきて、蜜口に触れた。

 ツプッ……

 「あ……っ♡」

 「ほらね、濡れてる」

 ……そう、私の身体はこの先を期待して濡れていた。今も下着の中でアレス様の指が動いてるのに、私はグッと声を堪えるだけで、止めて……と言えなかった。

 約束の日でもないし、こんなところで駄目だ……と思うのに、身体はすっかりこの先の刺激を欲していた。迷う私にアレス様が耳元で囁いた。

 「……呪いのせいにしたら良い。

 呪いのせいで、身体が熱くなってるんだ。
 仕方のないことなんだよ、クレア。安心して、乱れて」

 優しい優しい声なのに……その囁きは命令のようで……
 でも……私はその誘いを断ることが出来なかった。

 私は自らアレス様に唇を重ねると、舌を差し出した。

 「ん……っ♡」

 もうこの快感に酔っていいのだと思ったら、気持ちよくて堪らなかった。舌をアレス様と絡ませ、擦る。

 アレス様の指は蜜口から出てくる愛液を掬い取ると、秘芽に塗り付ける。

 「あ♡はぁ……いい……♡」

 「ふふっ。今日は蕩けるのが一段と早いね。
 ……この場所が良かったかな? いつもみんなで話す場所で交わるなんて、興奮しない?」

 「やっ……変なこと言わないでぇ」

 そう言いつつも、向かい側のソファには前回ゼノアが……今交わろうとしているソファにはルゥ君が座っていたな……と思う。そこにはいないのに、なんだかその姿を想像して、ドキドキした。

 「ほら、今、二人のこと考えたでしょ? 全く……妬いちゃうな」

 アレス様は蜜口にその長く綺麗な指を挿れ、私の弱いところを擦った。

 「あっ♡やっ♡そこ……弱いの♡」

 「知ってる。お仕置きだよ」

 いつも優しいアレス様なのに今日は私がイヤイヤと首を振っても止めてくれない。

 「やっ♡はっ♡ほんとにっ……だめっ、なのぉ♡♡」

 「あぁ……本当に可愛いな……。こっちも可愛がってあげる」

 アレス様は身体を少し下にずらして、私の胸の下に入ってくると片手でブラウスのボタンを器用に外す。ブラウスの前が開き、ひんやりとした空気が肌に触れる。

 アレス様が胸当てのフロントホックをプチっと外すと、私の胸がたゆんっと解放された。

 「……いつ見ても見事だな」

 アレス様はぽそっと呟くと、私の乳首にしゃぶりついた。

 「ひゃあんっ♡♡」

 ペロペロ。チュパチュパ。
 ジュポジュポ。

 私はまるで犬のように四つん這いになって、下からアレス様から与えられる快感に酔いしれ、喘いだ。アレス様は私の中をリズミカルに擦り、乳首を舌で蹂躙する。

 「あ♡はぁんっ♡アレス、さまぁっ♡♡
 あっ♡らめっ♡イく♡イくっ♡あ、あぁんっっ♡♡」

 私は、ビクビクっと身体を震わせ、アレス様の上に倒れ込んだ。
 アレス様は服を着込んでいるけれど、その服越しからでも身体が熱いのが伝わる。

 イったばっかりの身体を、優しくアレス様が抱きしめるようにして撫でてくれるが、それは私の官能をまた盛り立てるだけだった。

 私はおもむろにアレス様のシャツのボタンを外した。

 「クレア、何を……っ?!」

 アレス様の乳首を私はペロペロと必死に舐めた。

 ペロペロ……チューっと吸ってあげれば、アレス様の身体はピクッと反応した。私は、アレス様がやってくれたように必死に舐め、吸って……優しく噛んだ。

 「んぁ…っ」

 案の定、歯を立てると分かりやすくアレス様は身体を震わせた。

 手をそっと下に伸ばせば、アレス様の陰茎がズボンの中で苦しそうにしているのが分かる。私は服の上からそれを撫でた。

 「ぁ……クレア……っ。」

 アレス様は目の淵を赤くして、瞳を潤ませている。
 なんて、エッチな顔をしてるんだろう……

 その顔を見ていたら、もっともっと快感で歪ませたくなる。

 私は身体を下にずらし、アレス様の足元まで移動すると、もう硬くなっている陰茎を取り出した。軽く手で扱いてあげるだけで、アレス様は悦びの声を上げた。

 陰茎の先っぽを既に先走り汁が濡らしており、私はそれを亀頭に塗りつけた。たっぷりの唾液を口に溜め、舐めて、陰茎の隅々まで濡らしてあげる。

 カプっとアレス様の陰茎にかぶりつき、顔を上下に振れば、アレス様からまるで女の子のような喘ぎ声が漏れる。

 「……んっ……ク、レア。はぁ……。あぁ……」

 ジュポジュポ……

 私が咥える音とアレス様の嬌声に興奮して、私は自らの指で秘芽を擦っていた。アレス様の陰茎により強く吸い付けば、一層アレス様の陰茎は硬度を増した。

 「あっ、クレア! 駄目だっ……イってしまう……!」

 懇願するような声を聞いて、私は口を離した。
 イけなかったアレス様は涙目だ……

 可愛い。

 「アレス様……口じゃもったいないです。
 私のココに出して……?」

 私はスカートを上げて、下着の横のリボンを引いた。はらりと下着が落ちて、愛液が流れ出る蜜口を露わにした。

 アレス様の視線を感じて、また奥から愛液が溢れる気がした。

 私はアレス様の陰茎にピタッと蜜口を合わせる。

 「……んっ♡」

 それだけでも気持ちいい。
 それでもより強い快感を求めて、私はゆっくり腰を下ろした。

 「……っく! ……一つ一つのヒダが私のに吸い付いてくるよ……!」

 「はぁ……ん♡アレス様の……おっきくてカチカチ……♡
 気持ちいぃよぉ……♡♡」

 「私もだ……っ、クレア……!」

 「アレスさまぁ……!」

 私はここが談話室ということも忘れて、アレス様の上で乱れた。
 もうアレス様と気持ちよくなることしか考えられない。

 タンタンタン……
 ぬちゅぬちゅぬちゅ……

 私は夢中になって、アレス様の陰茎を出し入れする。
 腰を下ろすたびに愛液が水音を立てた。

 「あぁ、クレア……クレア……!」

 「アレスっ、さまっ♡♡あぁん♡
 腰が止まんない……っ♡♡」

 「駄目だ……クレアっ、イきそうだ……っ」

 アレス様はそう言った後に私の秘芽を刺激し始めた。

 「ひっ♡はぁあんっ♡♡」

 中からも外からも抗えない刺激が襲って来て、私ももう限界だった。アレス様の陰茎がグッと大きくなった気がした、次の瞬間ーー

 「イく……っ!」

 ビュルルーっ!!

 「はぁああんっ♡♡♡」

 アレス様の精液が私の中でほとばしり、私も同時に達した。

 私はパタンとそのままアレス様の上に倒れた。

 頭を撫でてくれるアレス様の手が優しくて、何故か胸が苦しくなったが、やっぱり私はそれに気付かないフリをした。
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