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第1章 隣国への逃亡
第4話 生きる糧
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入ったときは騒がしかった食堂が、二人にはやはり静かになっていると感じた。
何しにグレースは自問自答したが、答えは頭からいくら考えても出てこない。
「わからないのです。
ただ、私はもう一度家族と会いたい。
ある方々に誓ったのです。
その方々に、私の入れたお茶をもう一度飲ませて差し上げたい。
その思いだけです」
聞いていた彼は、彼女の言ってることがサッパリ理解できなかった。
ザイールに、家族がいるのか?
だから、馬車で俺が送り届けるのか?
しかし、これから向かう屋敷は…。
「俺は、学がない人間だからよ。すまんが、グレースさんの話がよく分からんな。
家族が、ザイールにいるのか?
里帰りで、エテルネルからザィールに戻るのかい?!」
彼には、そうしか思えないだろう。
全てを話せば、この人にも理解は可能だがー。
このことは、誰にも話すわけにはいかない。
もし話したら、今は危害が及ぶかも知れないわ。
「もう一度、会いたい方はとても身分が高いお方。
そう、まるで神様のようなお方でした」
「ああ、神だって?!」
突拍子のない言葉に驚き、思わず吐き出した彼である。
「あの~、人だから存在はしていてます。
私の身分では近くでお会いできない方。
どうしたら、会うことが出来るのかしら?」
グレースは、自分が心底馬鹿だと思う。
今日知り合ったばかりの人に言って、こんな質問してどうなると言うのか。
愚かだが誰でもいいから、その答えが欲しかった。
タイラーは逆に質問されて困り、難しい顔をして黙りこくってしまう。
二人は静かにお互いに考えていたが、考えても埒が明かない。
二人の間には、気まずい沈黙という壁が出来てしまったようだ。
そうしていたら、近くで突然明るい男の笑い声がしてくる。
「アーハハハ、お嬢さん。
考えても仕方ないだろうよ。
お連れさんだって、そりゃあ困ってしまうさ」
1人の若い男性客が、グレースたちに気さくに話しかけてきた。
やっぱり話を聞かれていたのだと、気づくと驚きと恥ずかしさで一瞬で顔の頬を赤く染める。
「俺が答えてやるよ。
会えるだけの身分になるんだな。
若いようだから、まだ時間があるさ。
だが、諦めるくらいなら忘れることだ。
そうすりゃ、きっと楽になる」
その男の顔をじっと見て彼の話を聞き、怒りと絶望を同時に感じた。
あぁ、なんてこと…。
こんなに、簡単に見も知らずの人に答えを導かれてしまうなんてー。
王妃様に啖呵を切って誓うなんて言い、王宮を今日去ったばかりなのに。
王妃様は、今の私を想像していたのかしら?
だから諦めるなと、あの指輪を渡してきたのはー。
これを見て、私を思い出しなさいという意味だったの。
自然と涙が目から溢れ出て、私は泣きながら初めて会う男に話しかけた。
「あきっ…。諦めないし、忘れないわ!!
死ぬ前に、必ずもう一度絶対にお会いする!
無理で、無駄な願いかも知れないけどね」
席を立ち上がり、男の側に無意識に近づき体を震えながらキッパリと返事を返す。
その男は、まさか女が泣くとは全然思わなかったのだろう。
そのポロポロと流れていく涙を見て、目をゆっくりと見開いていく。
目の前で突然に泣く若い女性を、ボー然として眺めてから苦笑し言う。
「そうか、悪かったな。
頑張れよって、俺にはそれしか言えない。
人には1つくらいは、願いがあるってもんだ。
それは生きる糧にもなる。
そんなに泣くな、男は女の涙には弱いもんなんだよ」
彼は照れ笑いして自分を見て泣き続ける彼女に、困り果てても明るく励ましの言葉をかける。
(生きる糧!!これが、私の今の夢で目標!)
「こちらこそ、悪かったわね。
貴方が泣かしたのではないのよ。私が勝手に泣いたの。
迷いと不安は晴れないけど、希望は持てた気がするわ。
助言をして頂き、有り難うございます」
一度深くお辞儀をして席に戻ると、タイラーは優しげな笑顔で迎えたのであった。
他の客たちも静かに見守っていたのか、グレースたちのやり取りが終わると不思議な緊迫感から開放されて安心をしたのか。
賑やかな普段と変わらない、いつもの食堂の光景に戻っていく。
新たな地へ向かう逃亡1日目は、グレースは色んな思いを感じながら終わりを迎えようとしていた。
何しにグレースは自問自答したが、答えは頭からいくら考えても出てこない。
「わからないのです。
ただ、私はもう一度家族と会いたい。
ある方々に誓ったのです。
その方々に、私の入れたお茶をもう一度飲ませて差し上げたい。
その思いだけです」
聞いていた彼は、彼女の言ってることがサッパリ理解できなかった。
ザイールに、家族がいるのか?
だから、馬車で俺が送り届けるのか?
しかし、これから向かう屋敷は…。
「俺は、学がない人間だからよ。すまんが、グレースさんの話がよく分からんな。
家族が、ザイールにいるのか?
里帰りで、エテルネルからザィールに戻るのかい?!」
彼には、そうしか思えないだろう。
全てを話せば、この人にも理解は可能だがー。
このことは、誰にも話すわけにはいかない。
もし話したら、今は危害が及ぶかも知れないわ。
「もう一度、会いたい方はとても身分が高いお方。
そう、まるで神様のようなお方でした」
「ああ、神だって?!」
突拍子のない言葉に驚き、思わず吐き出した彼である。
「あの~、人だから存在はしていてます。
私の身分では近くでお会いできない方。
どうしたら、会うことが出来るのかしら?」
グレースは、自分が心底馬鹿だと思う。
今日知り合ったばかりの人に言って、こんな質問してどうなると言うのか。
愚かだが誰でもいいから、その答えが欲しかった。
タイラーは逆に質問されて困り、難しい顔をして黙りこくってしまう。
二人は静かにお互いに考えていたが、考えても埒が明かない。
二人の間には、気まずい沈黙という壁が出来てしまったようだ。
そうしていたら、近くで突然明るい男の笑い声がしてくる。
「アーハハハ、お嬢さん。
考えても仕方ないだろうよ。
お連れさんだって、そりゃあ困ってしまうさ」
1人の若い男性客が、グレースたちに気さくに話しかけてきた。
やっぱり話を聞かれていたのだと、気づくと驚きと恥ずかしさで一瞬で顔の頬を赤く染める。
「俺が答えてやるよ。
会えるだけの身分になるんだな。
若いようだから、まだ時間があるさ。
だが、諦めるくらいなら忘れることだ。
そうすりゃ、きっと楽になる」
その男の顔をじっと見て彼の話を聞き、怒りと絶望を同時に感じた。
あぁ、なんてこと…。
こんなに、簡単に見も知らずの人に答えを導かれてしまうなんてー。
王妃様に啖呵を切って誓うなんて言い、王宮を今日去ったばかりなのに。
王妃様は、今の私を想像していたのかしら?
だから諦めるなと、あの指輪を渡してきたのはー。
これを見て、私を思い出しなさいという意味だったの。
自然と涙が目から溢れ出て、私は泣きながら初めて会う男に話しかけた。
「あきっ…。諦めないし、忘れないわ!!
死ぬ前に、必ずもう一度絶対にお会いする!
無理で、無駄な願いかも知れないけどね」
席を立ち上がり、男の側に無意識に近づき体を震えながらキッパリと返事を返す。
その男は、まさか女が泣くとは全然思わなかったのだろう。
そのポロポロと流れていく涙を見て、目をゆっくりと見開いていく。
目の前で突然に泣く若い女性を、ボー然として眺めてから苦笑し言う。
「そうか、悪かったな。
頑張れよって、俺にはそれしか言えない。
人には1つくらいは、願いがあるってもんだ。
それは生きる糧にもなる。
そんなに泣くな、男は女の涙には弱いもんなんだよ」
彼は照れ笑いして自分を見て泣き続ける彼女に、困り果てても明るく励ましの言葉をかける。
(生きる糧!!これが、私の今の夢で目標!)
「こちらこそ、悪かったわね。
貴方が泣かしたのではないのよ。私が勝手に泣いたの。
迷いと不安は晴れないけど、希望は持てた気がするわ。
助言をして頂き、有り難うございます」
一度深くお辞儀をして席に戻ると、タイラーは優しげな笑顔で迎えたのであった。
他の客たちも静かに見守っていたのか、グレースたちのやり取りが終わると不思議な緊迫感から開放されて安心をしたのか。
賑やかな普段と変わらない、いつもの食堂の光景に戻っていく。
新たな地へ向かう逃亡1日目は、グレースは色んな思いを感じながら終わりを迎えようとしていた。
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