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第1章 隣国への逃亡
第16話 すがる気持ち
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この部屋にいる人全員に自分のことを全て知られ、彼女は顔が火照っていた。
早くここを出て、俗世界とかけ離れた。
閉塞感を感じる鳥籠の中に、あの王宮へ帰りたくなってしまう。
「その原稿を返して下さい!
少しでも読んでくれて、私の話を聞いてくれて感謝します。
有難うございました」
濡れたハンカチを鞄に入れると、二人に向かい深く礼をする。
編集長の男性はキチンと揃え原稿の束に手を置くと、泣き腫らしたグレースを真っ直ぐに見てハッキリ言う。
「どうして…?
そんなに、お金が必要になったんだい?」
この人はー、何なのよーー!!
まだ、私に恥をかかせたいの!
戸惑いと苛立ちが、頭と心に一気こみ上げてくる。
「答えないわ!
もう、返してくれなくてもいいわよー!!」
ここから早く出ていきたい。
彼女は帰ろうと、鞄を乱暴に掴むと音をたて立ち上がった。
「私は、原稿を買おうとしている。
でも、これは未完だ。
後、どれくらい書いている?
それに金額は?
君の言い値がわからないと、こちらも困るんだよ?!」
グレースは、編集長の返事に驚いていた。
本当に私の物語を!
この原稿をー?
これに価値があるって言うの?
もし、そうだとしたら…。
母は、病から救い出せるかも。
立ち上がった体をまたソファーに座り直して、彼女は誰にも話せずにいた悩みを初めて会ったばかりの人に相談してみるのだった。
普段は大人しく冷静な彼女なら、そんな行動や話は絶対に出来ないししないだろう。
今は状況が違っていて、理性より感情が勝っている。
「故郷の母が病気になったの。
医者が薬を飲めば治るって言うわ。
でも、とても高価で値段がわからなくて…」
王宮で働く娘を気遣っていたのか。
父マロー子爵からの手紙の内容では分からず、娘は殆ど詳しい事は知らされてない。
「もしかしたら、その医者はボッてるかもよ。
本当はもう少し安いかもしれんぞ。
この世には良い人も、悪い人もいるではないかね?!」
そんな動揺する年若い娘に言い聞かすように、優しく諭すように伝えた。
「そんな!お医者様が嘘を言ったりするの?!」
あまり人を疑ったことをしてこなかった。
だから、彼を婚約者を信じていたのだろう。
最後には、また昔に戻れるとー。
「そりゃ、わからんよ。
ちゃんと金額を調べた方がいいし、何の病名とかね」
「言われれば、そうよね。
薬が高いことしか知らない。
何もかも中途半端ね。
こうして話をしていて、情けなくて恥ずかしくなるわ」
編集長に、ありのままの素直な気持ちを吐露した。
「では、全てが判明したら此処へまた来なさい。
待っているから、それまでこれは預かるよ。
君の名は知っているが、住所を教えてくれないか?」
どうやら原稿は私を再び呼び出す、人質になってしまったらしい。
言葉に詰まり、彼女は答える。
「住所は…。ないわ」
グレースは、王宮に住んでいる。
住所はないに等しいし、そんな事を言えるわけがない。
変わった返事を聞いた彼は、少し首を傾げる素振りで再度また質問する。
「では、いったい何処に寝てるの?宿屋か?!」
編集長も、周りで聞き耳をたててる社員たちも不思議に思っていた。
再び質問されて、どうでもいいわと自棄になった。
ここまで話してしまったんだから。
「王宮よ!王宮でメイドをしているわ!」
叫ぶに近い感じで、彼女は返事をしてしまう。
この単語に驚いて、王宮とあちらこちらで小声で話し始める。
突如、前から笑い声がした。
「ハハハ、こりゃ驚いた!
だからか、お茶会や舞踏会やマナーの描写も詳しいはずだ。
まるで文章から、その場面が見えるようだったよ。
人物や言葉遣いもね。ハハハ」
彼は笑った後に、顔が真顔になりグレースに話しかけた。
「もしもだよ。君が書いたのがバレたら、仕事を辞めさせられるんじゃないかなぁ?!」
指摘されて、思わず腰を浮かしてテーブルに両手をつく。
反動で、彼の顔に自分の顔を近づけた。
「まったく考えてなかった!
王宮を追放されてしまうわ。
そうなったら、王妃様とお会い出来なくなる。
それは、絶対に嫌だわ!!」
つい、素直な心情を口に出した。
「バレなきゃいいよ。
作家名を変えて、悪いが文章は書き直さなきゃならない。
ハッキリ言って文は未熟、推敲や添削をすれば骨組みしか残らない」
分かっていたが、これはあまりの言われよう。
がく然とした後に、ムッとした顔をして言い返した。
「酷いわ!そんなにダメダメなの?
あんなに、頑張って書いたのに!!」
2人の男性たちはバカにした表情をし、編集長が彼女に聞いてきた。
「これ初めて書いたんだろ?
素人丸出しだ。
でもね、これはいい話だよ!
今度はいつ休みなんだ。
そう度々は外出できんだろう?」
頭の中で、日程表を浮かべて答える。
「次は8日後の予定です」
「それまでに金額と病名を調べて、残りの全ての原稿を持って来なさい。
グレース・マロー嬢!」
グレースが初めて書いた小説。
「真実の愛を求めて」が、自分以外の誰かに確かに認められた日であった。
早くここを出て、俗世界とかけ離れた。
閉塞感を感じる鳥籠の中に、あの王宮へ帰りたくなってしまう。
「その原稿を返して下さい!
少しでも読んでくれて、私の話を聞いてくれて感謝します。
有難うございました」
濡れたハンカチを鞄に入れると、二人に向かい深く礼をする。
編集長の男性はキチンと揃え原稿の束に手を置くと、泣き腫らしたグレースを真っ直ぐに見てハッキリ言う。
「どうして…?
そんなに、お金が必要になったんだい?」
この人はー、何なのよーー!!
まだ、私に恥をかかせたいの!
戸惑いと苛立ちが、頭と心に一気こみ上げてくる。
「答えないわ!
もう、返してくれなくてもいいわよー!!」
ここから早く出ていきたい。
彼女は帰ろうと、鞄を乱暴に掴むと音をたて立ち上がった。
「私は、原稿を買おうとしている。
でも、これは未完だ。
後、どれくらい書いている?
それに金額は?
君の言い値がわからないと、こちらも困るんだよ?!」
グレースは、編集長の返事に驚いていた。
本当に私の物語を!
この原稿をー?
これに価値があるって言うの?
もし、そうだとしたら…。
母は、病から救い出せるかも。
立ち上がった体をまたソファーに座り直して、彼女は誰にも話せずにいた悩みを初めて会ったばかりの人に相談してみるのだった。
普段は大人しく冷静な彼女なら、そんな行動や話は絶対に出来ないししないだろう。
今は状況が違っていて、理性より感情が勝っている。
「故郷の母が病気になったの。
医者が薬を飲めば治るって言うわ。
でも、とても高価で値段がわからなくて…」
王宮で働く娘を気遣っていたのか。
父マロー子爵からの手紙の内容では分からず、娘は殆ど詳しい事は知らされてない。
「もしかしたら、その医者はボッてるかもよ。
本当はもう少し安いかもしれんぞ。
この世には良い人も、悪い人もいるではないかね?!」
そんな動揺する年若い娘に言い聞かすように、優しく諭すように伝えた。
「そんな!お医者様が嘘を言ったりするの?!」
あまり人を疑ったことをしてこなかった。
だから、彼を婚約者を信じていたのだろう。
最後には、また昔に戻れるとー。
「そりゃ、わからんよ。
ちゃんと金額を調べた方がいいし、何の病名とかね」
「言われれば、そうよね。
薬が高いことしか知らない。
何もかも中途半端ね。
こうして話をしていて、情けなくて恥ずかしくなるわ」
編集長に、ありのままの素直な気持ちを吐露した。
「では、全てが判明したら此処へまた来なさい。
待っているから、それまでこれは預かるよ。
君の名は知っているが、住所を教えてくれないか?」
どうやら原稿は私を再び呼び出す、人質になってしまったらしい。
言葉に詰まり、彼女は答える。
「住所は…。ないわ」
グレースは、王宮に住んでいる。
住所はないに等しいし、そんな事を言えるわけがない。
変わった返事を聞いた彼は、少し首を傾げる素振りで再度また質問する。
「では、いったい何処に寝てるの?宿屋か?!」
編集長も、周りで聞き耳をたててる社員たちも不思議に思っていた。
再び質問されて、どうでもいいわと自棄になった。
ここまで話してしまったんだから。
「王宮よ!王宮でメイドをしているわ!」
叫ぶに近い感じで、彼女は返事をしてしまう。
この単語に驚いて、王宮とあちらこちらで小声で話し始める。
突如、前から笑い声がした。
「ハハハ、こりゃ驚いた!
だからか、お茶会や舞踏会やマナーの描写も詳しいはずだ。
まるで文章から、その場面が見えるようだったよ。
人物や言葉遣いもね。ハハハ」
彼は笑った後に、顔が真顔になりグレースに話しかけた。
「もしもだよ。君が書いたのがバレたら、仕事を辞めさせられるんじゃないかなぁ?!」
指摘されて、思わず腰を浮かしてテーブルに両手をつく。
反動で、彼の顔に自分の顔を近づけた。
「まったく考えてなかった!
王宮を追放されてしまうわ。
そうなったら、王妃様とお会い出来なくなる。
それは、絶対に嫌だわ!!」
つい、素直な心情を口に出した。
「バレなきゃいいよ。
作家名を変えて、悪いが文章は書き直さなきゃならない。
ハッキリ言って文は未熟、推敲や添削をすれば骨組みしか残らない」
分かっていたが、これはあまりの言われよう。
がく然とした後に、ムッとした顔をして言い返した。
「酷いわ!そんなにダメダメなの?
あんなに、頑張って書いたのに!!」
2人の男性たちはバカにした表情をし、編集長が彼女に聞いてきた。
「これ初めて書いたんだろ?
素人丸出しだ。
でもね、これはいい話だよ!
今度はいつ休みなんだ。
そう度々は外出できんだろう?」
頭の中で、日程表を浮かべて答える。
「次は8日後の予定です」
「それまでに金額と病名を調べて、残りの全ての原稿を持って来なさい。
グレース・マロー嬢!」
グレースが初めて書いた小説。
「真実の愛を求めて」が、自分以外の誰かに確かに認められた日であった。
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