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第1章 思い出は夢の中へ
第22話 領地への出発
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最後の朝食を家族全員で済ました後、祖父母と共に領地へ向かう。
初めて馬車に乗っての長旅で、不安と期待で胸がワクワクだ。
普通は家族と別れでワンワン泣いたり駄々をこねるのだが、逆に笑顔で祖父母と楽しく食事していた。
他の家族は、沈みがちに無口に料理を口に運んでいた。
使用人たちは、気にせず淡々と業務をこなすのである。
プリムローズが、頃合いをみて家族に話しかけた。
「お父様、お母様、お姉様、お兄様。
私は暫く離れますが、お体に気をつけて下さいね。
お手紙を書きますので、お返事を頂けますか?」
3人はもちろんよ。
直ぐに返事するが、1人だけ違う言葉を返した姉。
「私も努力しますが、学業がありますので書けないと思うわぁ!」
姉の素っ気ない返しに、微妙な雰囲気なる部屋。
あんたが勝手に、出て行くんでしょう的な態度である。
立派な公爵家専用の馬車の前に、屋敷の者が全員集合している中で前公爵が皆に向かい話す。
「では領地へ戻るが、暫くしたら儂は王都に来る。
その間、おのおの末娘にした過ちをよく反省するのじゃ。よいな!!」
眼光を鋭くして4人を睨む姿は、鬼神さながら殺意に満ちていた。
「は、はい!
お父上、お待ちしております!
無事に領地へ戻れるようにと思っております!!」
額に汗をかき、答える父クリストファー。
プリムローズの別れの挨拶は、幼い子供とは信じられなかった。
「皆様、元気になり戻って参りますわ。
その時は、仲良くして下さいませね?」
何事もなく、3人は馬車に乗り込む。
見送る4人は手を振るべきか悩みつつ、遠ざかる馬車を見つめるのである。
あとに並ぶ大勢の使用人たちは、涙なしのあっけない別れを茫然と見送った。
馬車の中で外を見ながら、あくびを我慢する3歳児。
昨日はお茶会だし朝早く出発でバタバタだし、座ったらなんだか眠くなったわ。
目から涙が出てきたわと顔を背ける姿に、祖母は勘違いをする。
「やはり、幼い子を家族と離すのは酷だったかしら?!」
あ~あ、もう寝ようかなぁ。
やっと領地へ出発して、気が抜けたわよ。
「お祖父様、おばあ様。少し寝てもいいですか?」
王都から領地までは、2日半の長距離の日数である。
「ええ、そうね。長旅ですもの。寝た方がいいわね!」
祖父母も、まだ小さな孫の負担を考えていた。
実際に馬車酔いをしつつの旅は、小さな子にはかなり堪えた。
領地に入ったのを教えると、プリムローズは少し元気になっていった。
なにもない田園風景から家が増えてくると、祖父が小麦畑だぞぉ!
あちらに馬や牛がおるぞと、説明して退屈しないようにと配慮をする。
プリムローズは屋敷から一歩も出ていないので、なにもかもが目新しく興味深かった。
町が近くになると、2階建ての家が増えてる。
1階が店舗で2階を住居にしている。
グレゴリーは、家を指差しながら教えている。
広場には噴水があり、縁に座って話す人たちがいた。
「プリムローズ、あの水は飲めるのよ!
とても冷たくて美味しいわ。
私も飲んで驚いたのよ。
近いうちに行きましょうね?!」
祖母の話す通りに、脇にある場所にコップがあり人々が飲んでいる。
「山からの湧水で旨いんじゃあ!!」
祖父も、2人を見つつ頷く。
公爵の家紋が入った馬車を見つけると、領民たちは大声を出した。
「前公爵様がお戻りだぁー!!」
人々が馬車に手を振っている。
「まぁ、見て!!
皆さまが手を振っていらっしゃいます。
もしかして、歓迎してくれてるのかしら?」
小さな顔を、窓からちょっとだけ出して外を見る。
「そうよ!
貴女も手を振ってご覧なさいな?!」
祖母の言った通りに、私が手を少し振ると大歓声が上がった。
「この領民の姿を、忘れてはならない。
民の笑顔を泣き顔にするかしないかは、公爵にかかっておる。
儂らが服や美味しい料理を食べられるのも、民のお陰だ!
自分で判断して、導かなくてはならない。
まだ、お前には難しいがなぁ?!」
祖父の言葉を聞き、人々に大きく手を振りながら 民の顔を目に焼き付けた。
それから馬車は、屋敷の近くになってきた。
「お祖父様、おばあ様!
山を背にしている大きなお城みたいなのが、本宅ですの?」
遠くに見える建物を指差す、プリムローズ。
「おお、そうだ!
もう少しで到着だ。
着いたら休むがよい」
祖父は安堵の表情を浮かべた。
「おばあ様!
まだずっと前ですが、女の方が大きな籠を持って歩いてます」
プリムローズの言葉に、祖母ヴィクトリアは窓の外を見る。
「まぁ、メリーよ!
あの子ったら、また畑まで取りに行ったのね。
大変なのに…」
祖母は苦笑して話している。
「あの子は、儂らに新鮮な食材を食べさせるためにしているんじゃ。
良い子だ!!」
祖父母は顔を見
合わせて笑いだした。
「では、転んでダメにならないよう。
馬車に乗せて下さいな。
宜しいでしょうか、お祖父様!」
プリムローズは笑顔でお願いすると、祖父母は大きく頷いた。
そして馭者に合図をするため、杖で天井を叩いた。
馬車は、メリーのいる少し後ろに停まった。
「私が知らせます!
御挨拶もしたいわ!!」
プリムローズは馭者に降ろしてもらい、メリーのところまで元気よく走っていった。
「メリー!初めまして!プリムローズ・ド・クラレンスよ。
宜しくね!一緒に馬車に乗って、屋敷に帰りましょう!」
メリーは可愛い声に気付き、籠を地面に置いた。
薄い茶色の髪を三つ編みにした頭を、声がする後ろに振り返ってみた。
プリムローズをお人形さんだと思った。
お店に飾ってあった、綺麗な可愛いお人形さんを思い出した。
「うわぁ!可愛いー!
お人形さんが走っているわ!」
メリーの水色の目が、大きく開きキラキラと光輝いた。
プリムローズとメリーが、初めてこのとき出会った瞬間であった。
初めて馬車に乗っての長旅で、不安と期待で胸がワクワクだ。
普通は家族と別れでワンワン泣いたり駄々をこねるのだが、逆に笑顔で祖父母と楽しく食事していた。
他の家族は、沈みがちに無口に料理を口に運んでいた。
使用人たちは、気にせず淡々と業務をこなすのである。
プリムローズが、頃合いをみて家族に話しかけた。
「お父様、お母様、お姉様、お兄様。
私は暫く離れますが、お体に気をつけて下さいね。
お手紙を書きますので、お返事を頂けますか?」
3人はもちろんよ。
直ぐに返事するが、1人だけ違う言葉を返した姉。
「私も努力しますが、学業がありますので書けないと思うわぁ!」
姉の素っ気ない返しに、微妙な雰囲気なる部屋。
あんたが勝手に、出て行くんでしょう的な態度である。
立派な公爵家専用の馬車の前に、屋敷の者が全員集合している中で前公爵が皆に向かい話す。
「では領地へ戻るが、暫くしたら儂は王都に来る。
その間、おのおの末娘にした過ちをよく反省するのじゃ。よいな!!」
眼光を鋭くして4人を睨む姿は、鬼神さながら殺意に満ちていた。
「は、はい!
お父上、お待ちしております!
無事に領地へ戻れるようにと思っております!!」
額に汗をかき、答える父クリストファー。
プリムローズの別れの挨拶は、幼い子供とは信じられなかった。
「皆様、元気になり戻って参りますわ。
その時は、仲良くして下さいませね?」
何事もなく、3人は馬車に乗り込む。
見送る4人は手を振るべきか悩みつつ、遠ざかる馬車を見つめるのである。
あとに並ぶ大勢の使用人たちは、涙なしのあっけない別れを茫然と見送った。
馬車の中で外を見ながら、あくびを我慢する3歳児。
昨日はお茶会だし朝早く出発でバタバタだし、座ったらなんだか眠くなったわ。
目から涙が出てきたわと顔を背ける姿に、祖母は勘違いをする。
「やはり、幼い子を家族と離すのは酷だったかしら?!」
あ~あ、もう寝ようかなぁ。
やっと領地へ出発して、気が抜けたわよ。
「お祖父様、おばあ様。少し寝てもいいですか?」
王都から領地までは、2日半の長距離の日数である。
「ええ、そうね。長旅ですもの。寝た方がいいわね!」
祖父母も、まだ小さな孫の負担を考えていた。
実際に馬車酔いをしつつの旅は、小さな子にはかなり堪えた。
領地に入ったのを教えると、プリムローズは少し元気になっていった。
なにもない田園風景から家が増えてくると、祖父が小麦畑だぞぉ!
あちらに馬や牛がおるぞと、説明して退屈しないようにと配慮をする。
プリムローズは屋敷から一歩も出ていないので、なにもかもが目新しく興味深かった。
町が近くになると、2階建ての家が増えてる。
1階が店舗で2階を住居にしている。
グレゴリーは、家を指差しながら教えている。
広場には噴水があり、縁に座って話す人たちがいた。
「プリムローズ、あの水は飲めるのよ!
とても冷たくて美味しいわ。
私も飲んで驚いたのよ。
近いうちに行きましょうね?!」
祖母の話す通りに、脇にある場所にコップがあり人々が飲んでいる。
「山からの湧水で旨いんじゃあ!!」
祖父も、2人を見つつ頷く。
公爵の家紋が入った馬車を見つけると、領民たちは大声を出した。
「前公爵様がお戻りだぁー!!」
人々が馬車に手を振っている。
「まぁ、見て!!
皆さまが手を振っていらっしゃいます。
もしかして、歓迎してくれてるのかしら?」
小さな顔を、窓からちょっとだけ出して外を見る。
「そうよ!
貴女も手を振ってご覧なさいな?!」
祖母の言った通りに、私が手を少し振ると大歓声が上がった。
「この領民の姿を、忘れてはならない。
民の笑顔を泣き顔にするかしないかは、公爵にかかっておる。
儂らが服や美味しい料理を食べられるのも、民のお陰だ!
自分で判断して、導かなくてはならない。
まだ、お前には難しいがなぁ?!」
祖父の言葉を聞き、人々に大きく手を振りながら 民の顔を目に焼き付けた。
それから馬車は、屋敷の近くになってきた。
「お祖父様、おばあ様!
山を背にしている大きなお城みたいなのが、本宅ですの?」
遠くに見える建物を指差す、プリムローズ。
「おお、そうだ!
もう少しで到着だ。
着いたら休むがよい」
祖父は安堵の表情を浮かべた。
「おばあ様!
まだずっと前ですが、女の方が大きな籠を持って歩いてます」
プリムローズの言葉に、祖母ヴィクトリアは窓の外を見る。
「まぁ、メリーよ!
あの子ったら、また畑まで取りに行ったのね。
大変なのに…」
祖母は苦笑して話している。
「あの子は、儂らに新鮮な食材を食べさせるためにしているんじゃ。
良い子だ!!」
祖父母は顔を見
合わせて笑いだした。
「では、転んでダメにならないよう。
馬車に乗せて下さいな。
宜しいでしょうか、お祖父様!」
プリムローズは笑顔でお願いすると、祖父母は大きく頷いた。
そして馭者に合図をするため、杖で天井を叩いた。
馬車は、メリーのいる少し後ろに停まった。
「私が知らせます!
御挨拶もしたいわ!!」
プリムローズは馭者に降ろしてもらい、メリーのところまで元気よく走っていった。
「メリー!初めまして!プリムローズ・ド・クラレンスよ。
宜しくね!一緒に馬車に乗って、屋敷に帰りましょう!」
メリーは可愛い声に気付き、籠を地面に置いた。
薄い茶色の髪を三つ編みにした頭を、声がする後ろに振り返ってみた。
プリムローズをお人形さんだと思った。
お店に飾ってあった、綺麗な可愛いお人形さんを思い出した。
「うわぁ!可愛いー!
お人形さんが走っているわ!」
メリーの水色の目が、大きく開きキラキラと光輝いた。
プリムローズとメリーが、初めてこのとき出会った瞬間であった。
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