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第2章 王都の生活
第7話 丘の上の誓い
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朝食を食べずに2人とお供者たちは、多めの昼食のお弁当を持って出掛けた。
「ヴァンブランも、プリムローズを乗せて嬉しそうにみえる」
2人並んで仲良く走る姿。
後からついていくお供の2人も、前にいる兄妹を目を細めて追っていく。
公爵家の使用人たちは、5年前の事を知っている者が全員だ。
3歳の末娘が屋敷を去り、大旦那様と大奥様が交代で来て若夫婦に苦言し調教していった。
「お前たちは、上2人の子育てで燃え尽きてプリムローズをないがしろにした!
お前たちもわかっている筈だ」
大奥様も、繰り返し大旦那様と同じことを話す。
「あなたたちは、プリムローズが戻ったら反省しなさい。
今度こそ、愛情を与えるのよ!?良いですね」
若夫婦は理解したのか。
判断しにくいが、末娘は帰ってきた。
あれから5年、プリムローズ様が戻り兄妹は仲良くなっている様子にホッとしたお供の者たちであった。
木々の間の前に広がる空間、そして絶景が目に入った。
馬を降り木に手綱を結ぶと、兄は妹の手を握りしめた。
「父はお爺様から、僕から君へこれをー」
王都の街が、城が眼下に見えた。
「凄い~!
街や城があんなに全部見える。
まるで、オモチャみたいよ」
私が、その景色に感動していると兄が語りかけた。
「公爵家を継ぐものに、見せてるって父上は話していた。
僕はもしかしたら家を継ぐのは、君になるんではないかと思っている。
そう思ったから、ここに君を立たせたんだ」
遥か彼方を見つめる兄は、力強くその言葉を妹に話す。
「お兄様は私が憎くないの?
邪魔ではないの?
公爵家を継ぎたくないって事はありませんよね?!」
「継ぎたいし、努力もする。
男とか女とか関係なく、実力があり相応しい人がなるべきだと僕は思うよ。
競い合いつつ、仲のよい兄妹になりたい」
兄は振り返り、強い眼差しで見た。
この人は心が広い。
この風景と同じくらいにー。
継ぐのは貴方、勝てない負けたと思った。
けれども、今は言わない。
まだその時ではないからと胸の中で自分にいう。
私は、この先何を求めるのだろうか。
「私、負けるのが嫌い。
戦の神の孫ですもの!
互いに競いましょう、お兄様」
「僕も戦の神の孫だよ!」
笑い合う声が、丘の上に響き渡る。
「母や姉を、許して欲しい。
今、姉は精神的にまいっている。
3歳の君には分からなかったと思うが、姉は侯爵家の嫡男と婚約を結んだ。
性格上、どうも馬が合わなくて」
言葉を濁しながら、説明する。
「私も1度は、その現場を見てますの。
幼心に心配しましたわ」
そうかと、兄は眉を潜めた。
「昨年、家同士の話し合いで婚約解消になった。
男はいいが、女性はそうはいかない。
今は新しい婚約者探しで、お茶会やパーティーに出掛け歩いているんだ」
余裕がなさそうだと、兄は苦笑した。
「経緯は知りませんが、お姉様はお気の毒ですわ。
もっと早く解消出来れば、その分まだ出会いがありましたのに」
姉と婚約者の姿を思い出し、やはりと思いながら兄に語る。
「いやっ!
ズルズルと延ばしたのだ。
相手は、2年目で解消を言ってきた。
相手としたら格上からの解消として、穏便に済ませたかったはずだ。
彼以上の高位で、年の合う者はいない。
プライドにしがみついた結果が、この始末だ。
決断が遅すぎた。情けない」
ため息をつくと、丘の下を眺め始めた。
「まだ幼いから、あまり婚姻にはピンとしませんわ。
自由に生きたい。
そのために力が欲しい!
ひとりで立って歩ける力が、お笑いになりますか。
こんな私をー」
プリムローズは、思い続けた気持ちを吐露した。
「女性の力で生きるのは、厳しい世の中だよ。
君のように、望むものが他にもいるはずだ。
君の代か未来か、僕も言えないが力を貸すよ。
まだ、その力は無いけど」
「最近は、女性の社会進出も少しですが増えてきてます。
王族や貴族のない平等の世がくると思いますわ。
私が亡くなり、その世は見られないが礎をつくりたいのです」
思い付いたことを話してみた。
「プリムローズ、父は君を王妃にと思っている。
君はその地位を望むか?!
王妃になれば、礎をつくるのに役に立つと思うのだが…」
首を振り、力強く言う。
「いいえ、私は下から、平民から力をつけてあげたい。
その手伝いをしたいのですわ。
決して、王妃にはならない!
もし私が家を去っても、兄と呼んでもいいですか?!」
「あぁ、プリムローズー!
僕の可愛い、妹よ!!」
2人の間に、夏の終わりの風が吹き抜けていった。
「ヴァンブランも、プリムローズを乗せて嬉しそうにみえる」
2人並んで仲良く走る姿。
後からついていくお供の2人も、前にいる兄妹を目を細めて追っていく。
公爵家の使用人たちは、5年前の事を知っている者が全員だ。
3歳の末娘が屋敷を去り、大旦那様と大奥様が交代で来て若夫婦に苦言し調教していった。
「お前たちは、上2人の子育てで燃え尽きてプリムローズをないがしろにした!
お前たちもわかっている筈だ」
大奥様も、繰り返し大旦那様と同じことを話す。
「あなたたちは、プリムローズが戻ったら反省しなさい。
今度こそ、愛情を与えるのよ!?良いですね」
若夫婦は理解したのか。
判断しにくいが、末娘は帰ってきた。
あれから5年、プリムローズ様が戻り兄妹は仲良くなっている様子にホッとしたお供の者たちであった。
木々の間の前に広がる空間、そして絶景が目に入った。
馬を降り木に手綱を結ぶと、兄は妹の手を握りしめた。
「父はお爺様から、僕から君へこれをー」
王都の街が、城が眼下に見えた。
「凄い~!
街や城があんなに全部見える。
まるで、オモチャみたいよ」
私が、その景色に感動していると兄が語りかけた。
「公爵家を継ぐものに、見せてるって父上は話していた。
僕はもしかしたら家を継ぐのは、君になるんではないかと思っている。
そう思ったから、ここに君を立たせたんだ」
遥か彼方を見つめる兄は、力強くその言葉を妹に話す。
「お兄様は私が憎くないの?
邪魔ではないの?
公爵家を継ぎたくないって事はありませんよね?!」
「継ぎたいし、努力もする。
男とか女とか関係なく、実力があり相応しい人がなるべきだと僕は思うよ。
競い合いつつ、仲のよい兄妹になりたい」
兄は振り返り、強い眼差しで見た。
この人は心が広い。
この風景と同じくらいにー。
継ぐのは貴方、勝てない負けたと思った。
けれども、今は言わない。
まだその時ではないからと胸の中で自分にいう。
私は、この先何を求めるのだろうか。
「私、負けるのが嫌い。
戦の神の孫ですもの!
互いに競いましょう、お兄様」
「僕も戦の神の孫だよ!」
笑い合う声が、丘の上に響き渡る。
「母や姉を、許して欲しい。
今、姉は精神的にまいっている。
3歳の君には分からなかったと思うが、姉は侯爵家の嫡男と婚約を結んだ。
性格上、どうも馬が合わなくて」
言葉を濁しながら、説明する。
「私も1度は、その現場を見てますの。
幼心に心配しましたわ」
そうかと、兄は眉を潜めた。
「昨年、家同士の話し合いで婚約解消になった。
男はいいが、女性はそうはいかない。
今は新しい婚約者探しで、お茶会やパーティーに出掛け歩いているんだ」
余裕がなさそうだと、兄は苦笑した。
「経緯は知りませんが、お姉様はお気の毒ですわ。
もっと早く解消出来れば、その分まだ出会いがありましたのに」
姉と婚約者の姿を思い出し、やはりと思いながら兄に語る。
「いやっ!
ズルズルと延ばしたのだ。
相手は、2年目で解消を言ってきた。
相手としたら格上からの解消として、穏便に済ませたかったはずだ。
彼以上の高位で、年の合う者はいない。
プライドにしがみついた結果が、この始末だ。
決断が遅すぎた。情けない」
ため息をつくと、丘の下を眺め始めた。
「まだ幼いから、あまり婚姻にはピンとしませんわ。
自由に生きたい。
そのために力が欲しい!
ひとりで立って歩ける力が、お笑いになりますか。
こんな私をー」
プリムローズは、思い続けた気持ちを吐露した。
「女性の力で生きるのは、厳しい世の中だよ。
君のように、望むものが他にもいるはずだ。
君の代か未来か、僕も言えないが力を貸すよ。
まだ、その力は無いけど」
「最近は、女性の社会進出も少しですが増えてきてます。
王族や貴族のない平等の世がくると思いますわ。
私が亡くなり、その世は見られないが礎をつくりたいのです」
思い付いたことを話してみた。
「プリムローズ、父は君を王妃にと思っている。
君はその地位を望むか?!
王妃になれば、礎をつくるのに役に立つと思うのだが…」
首を振り、力強く言う。
「いいえ、私は下から、平民から力をつけてあげたい。
その手伝いをしたいのですわ。
決して、王妃にはならない!
もし私が家を去っても、兄と呼んでもいいですか?!」
「あぁ、プリムローズー!
僕の可愛い、妹よ!!」
2人の間に、夏の終わりの風が吹き抜けていった。
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