【完結】無意識 悪役公爵令嬢は成長途中でございます!幼女篇

愚者 (フール)

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第2章  王都の生活

第17話 どうも気が合わぬ!!

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 クラレンス一家そろっての食事は、使用人たちが緊張し静かに見つめる中で始まった。

「父上、母上!
突然のご訪問で驚きました」

父の第一声に、祖父の爆弾発言で幕が開く。

「夢を見たのじゃ。
プリムが泣いて、おじいさまーと叫ぶのじゃあ。
突然ですまぬが、心配での。
そちらは昔、あんな事があったんでな」

祖父は、暗い表情して父に言う。

「お義父様!
私や旦那様を信じられませんか?
この子のせいで、私たちは振り回されてるのに。
私の方が泣いておりますわ!」

その嫁の発言を聞き、しゅうとめがキツく睨みつけた。

「9歳の娘に泣かされるとは、ずいぶんと情けない母親ね!
それに、この食事はなに?
今日は、なんの日か知っているでしょうね!」

両親は祖母の言葉に、顔色が悪くなってしまった。

空気の読めない姉リリアンヌが、突然余計なことを口に出した。

「おばあ様!今日は普通の日ですわ。
もう少し早くお二人のご訪問を知っていたら、食事をもっと豪華にしますわよね。
ねぇ、お母様」

まずいことになったと、使用人たちは覚悟を決めた時であった。

「ふーん、そうのね!
お前たちは、娘の誕生日すら覚えてないのね。
ねぇ、ソフィア?
貴女が、本当にこの子を生んだの?!
大旦那様、今のお聞きになりまして?!」

大きく息を吐くと、息子に問いただした。

「5年間もお前たちは!
いったい、何していたのだ?
聞けばリリアンヌは、婚約破棄されたそうだな。
どんな教育してるいのじゃ?プリムローズをほったらかしにして、このざまかー!!」

リリアンヌはまさか自分の話が出るとは思わず、すぐに赤い顔して下を向いた。

「ソフィア、リリアンヌは何ヵ国語を取得しているの?
乗馬も落馬らくばしてから乗れないとか! まぁ、乗れない方もいますけどね?」

嫌味な笑い方して、母子を見下す。
祖母ヴィクトリア。

「リリアンヌ、おばあ様に答えなさい!」

青より白くなる顔色で、母は姉に話す。

「はい、あの~。片言の挨拶なら2か国語で…、ですわ!」

しどろもどろで答える姉を、気の毒に見る使用人たち。

「まぁ、何ですって?!
筆頭公爵の長女が、たった2か国語ですって?
それも片言とはなんです!
クリストファーは、考えが甘いわよ。
ソフィア、貴女は3か国語でしたわよね。
今も社交の時は、隣国の方々とは会話をちゃんとしてますか?」

母は震えて、祖母に返事する。

「いいえ。あまり使わないので、先生を呼び勉強したいと思います、お義母様」

父が母を見て、助けようとした。

「父上、母上!
女性ですし、そこまで求めるのはどうかと思いますよ?」

静かに聞いていた、戦の神が降臨した。

「なに言っとんじゃ、クリストファー!!
お前がお情けでやっと合格を出してやった、あの修行をプリムローズは最後までキチンとやりきったのだぞ!!」

聞いた父は、真っ青な顔になり強ばらせた。

「ち…、父上!あれを、プリムローズにさせたのですか? 
何かあったら、どうするんですか?!」

テーブルを、祖父はドンとこぶしで叩いた。

「お前は20歳の男で、プリムローズは7歳の女の子だぞ!
情けなさすぎるとは、お前は思わんのかぁー!!」

冷静に話し出す、本日が誕生日の主役プリムローズ。

「お父様、大丈夫よ。
最低限の水と武器や火を起こす物をくれたもの。
朝からの始まりで、昼間は果物や芋とか取れたわ。
ウサギ10匹と狼5頭を仕留しとめて、結構楽しかったわよ。フフフッ」

物音ひとつしない部屋で、兄ブライアンはガタガタと震えだす。

「プリムローズ?!
し、仕留めてっての殺したの?まさか剣で刺したのか!」

兄は驚愕きょうがくして、れた声でうかがってくる。

「3人ほど見つからないように、護衛させたが腕前は凄いぞ。
さすがに儂の孫だ!
剣筋は豪快だったそうじゃ。
儂もその姿を見たかったのう」

父は祖父に、気になる質問をした。

「父上!
ブライアンも、森の中を3日過ごすのですか?」

何を言っとんじゃ、呆れ顔の祖父グレゴリー。

「ハァ~?!
当たり前じゃあ!!
クラレンス家は、武人でこの地位になったんだぞぉ。
それぐらい出来なくて、クラレンスの家督は譲れるか。
お前も、もう1度やってみるか?
今の方が、マシかどうかぁ~」

祖父の言葉に、今度は父が震えだした。

「あらっ!今日のメインのお肉は、ウサギなのね。
あのときは、塩もなくて味気なかったわ。
今日は、どんな味付けかしらね?楽しみだわ。クスクス」

平然と話し笑うプリムローズ、3人以外は肉が食べられない。

野蛮やばんね!
まさかと思うけど、自分でさばいて料理して食べたの?」

姉は妹を気味悪く思い、ゾッとする。

「お姉様、誰もいないのよ。
自分でやるのは、当たり前よ。
最初は気持ちが悪い中で、捌いていたけどね。
あれって慣れよ!慣れ!」

3人は楽しく食事するが、残りの者たちは残す結果となった。

メインの肉を見て、吐き気を感じるのか皿を見ないようにしている。

兄ブライアンも、肉以外は黙々と食べていた。

「旦那様! 息子たちとプリムローズでは、生活をするのにズレを生じますわ」

祖母は、プリムローズの生活環境の悪さを肌で感じた。

こんな愚息ぐそくやこのバカ嫁とでは、一緒に暮らすのは酷だわと祖母ヴィクトリアは思う。

「おぉ、そうだ!
プリムローズに悪影響だ!王都で家でも買って、儂らで暮らすかのう?!
どうも、お前らとは気が合わぬ。
別れて暮らすぞー」

祖父グレゴリーの一声で、家族はまた別々になるのであった。
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