【完結】無意識 悪役公爵令嬢は成長途中でございます!幼女篇

愚者 (フール)

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第4章  王家の陰り

第11話 王妃の一言

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 帰る様子の祖父母に続き、プリムローズも立ち上がろうとしていた。
それを見て、突然に王妃が叫んだ。
この一言が、王妃の運命。
そして、王室の運命を変えた。

「お待ちなさい、プリムローズ嬢!
アルに怪我けがをさせて、貴女は無視するの!」

言いがかりに唖然としてから、王妃向かって言い返した。

「王妃様、今回の怪我は私ではありませんよ。
勘違いなさらないで下さいまし」

「王妃よ!
王が自ら不問にしたのじゃ。
皆がいる前でじゃぞ。
それに負けたのは、そっちの息子ではないか。
本気になったら、五体満足に動けんぞ。
儂が育てた、最高の才能の持ち主。
そのプリムローズを、あまり甘く見るでないぞ」

祖父の眼力で、王妃はえきれずにソファーにもたれ掛かる。

「なんと、不様ぶざまな格好よのう。
王妃がこれでは、王も前王妃も大変じゃな。
いっそ、側室そくしつでもれば良い。
王も、まだお若いしのう。
オホホホー!」

祖母が、王妃を馬鹿にして高笑いをした。

「おばあ様、お二人は大恋愛で結ばれたと有名です。
少しらない方が、殿方は可愛いんではなくて?
無能は近くに置きたくないけど、人それぞれの考えがありますものね。
王様、前王妃様。フフフ」

「もういいか!
儂の忠告だ。暫く放置しとけ。
腹が空けば食うし、反省したら何か言ってくるでなぁ。
さぁ、家に戻って皆で昼食にでもしょうでないか。
では、今度こそ失礼する」

3人が礼をして退室して行くのを、他の者たちはタダ見守る。


   ぼう然と居なくなった空席を、黙って見つめる6人であった。

「宰相の家族は、苛烈かれつだ。
何一つ、言い返せなかった」

呟く王に、前王妃が続けて話す。

「私たち、王族が虫けら扱いでしたわ。
王妃の無能を、9歳の子に言われるとはなげかわしい」

義母にあたる前王妃は、王妃をにらみ付けて言った。

「お義母様、私を無能と仰るのですか?!」

王妃は、目を吊り上げて抗議する。

「王妃の職をまともに出来ず、私を頼るものが何を言うか!
そちは子に、甘すぎるのじゃあ。陛下も同じですよ!」

前王妃は、王と王妃を揃って怒鳴った。

「お言葉を、お許し下さいませ」

侍従長じじゅうちょうが、王にお願いをする。

「よいぞ、侍従長」

「あの最後の言葉通りに、殿下をしばらく放置しては如何いかがと思います」

侍従長は、言いづらげに進言する。

「やってみようではないか」

王は決心して侍従長に話すと、そっと深くため息をつく。

 
    帰りの馬車の中で、王宮での話で盛り上がっていた。

「お祖父様、ピッタリ5分でしたわ。
王妃様が私に食って掛かるとは、あの方が王妃のままで本当に宜しのですか?」

あごに人差し指をのせて、首を傾げる。

「私も同じ意見ですわ。
たぶん、前王妃も同じみたいです。
もし、前王妃様がお隠れになりましたらと思うと不安ですわ」

祖母は、不快な表情を祖父に見せる。

「なら、側室でも選ぶか。
儂とブロイ前公爵の推薦なら、無下むげには出来んのう」

ニヤリと、祖父は暗い笑みを浮かべた。

「ロジュアン侯爵未亡人では、どうでしょう?
彼女、夫を病で失くしてまだ24歳ですわ。
子供もいなくてお気の毒だし、賢く美しいのよ。
何度かお会してますが、王妃よりずっと良いですわ」

祖母は、その未亡人を思い出すように語りだした。

「よし!
早速さっそく動こうぞ!
先ずは、我が家に招待して人となりを見ようとするか」

面白いことになったわね。
あの王妃、はじめから気に入らないのよ。
国のために、無能は排除しなくてはね。
王様が悪いのよ、父もそうだけど妻に対して甘いわ。
少しだけ、反省させなくてはね。
真実の愛を求めて、あれを思い出すわ。
昔、独りで寂しく読んだ本をね。
プリムローズに、そっと寂しげに笑う。

 「ただいま、トーマス!」

トーマスは、3人を見て驚く。

「本当にお早いお戻りで、お話し合いはいかがでしたか?
あっ、失礼致しました。
私とした事が、少々でしゃばりました」

頭を下げるトーマスを、プリムローズは機嫌良く笑いながら話した。

「いいのよ。
私たちの一方的な勝ち戦よ!」
 
祖父は部屋に入り、早々はやばや手紙をブロイ前公爵に書くのである。

戦友に本日のことを細やかに書き、王妃は少し不安定で器量きりょうを疑っている。
側室にしっかりした方を、そしてロジュアン侯爵未亡人はどうかと。

祖母はロジュアン侯爵未亡人に、是非ぜひ私たちとお茶でもしませんか?
カリスのケーキを食べて、お話をしましょう。
お待ちしてますと、招待状を送った。

昼を食べながら、話は王宮での話題になる。

「皆様、王族にそのように仰ったのですか?
不敬にならないのですか?」

ジェイクは、血の気が引く思いで聞いていた。

「平気よ。間違ったことは、言ってなくてよ。 
もし、罰を与えたら王のうつわを疑われるの。
ましてや、我が家に王族とて簡単に手は出せないわ。
……、そうですよね。
お祖父様、おばあ様」

メインのお肉を刺して、プリムローズは2人に尋ねた。

「そうじゃのう。
それにのう、ジェイク。
王妃とて我が家に逆らうと、どうなるかその内にわかるはずじゃ。
プリムローズに、何度も謝罪を求めるとは。
つぐないをしなくてはのう」

この後に誰が影の王室で王族かを、わからせる事件が起きるのはまだ2ヶ月先であった。
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