【完結】無意識 悪役公爵令嬢は成長途中でございます!幼女篇

愚者 (フール)

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第3章  学園生活

第8話 物件の正体

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 彼女は知らない事が、我慢出来ない性格である。
幼い頃に我慢し過ぎで、家族関係がこじれたからだ。
それからは、遠慮という文字が頭から消えた。

「あのね?
赤毛のお家の近くに、白い大きな屋敷があるかしら?」

プリムローズは頭の中に疑問がいっぱいになりながら、突然赤毛に質問するのである。

「ありますが、なにか?
最近大勢の人が引っ越しされてきました。
メイドが言うには、家具が年代物で素晴らしかったと話してましたよ」

やはり、そうだったのか…。

「そう、それ私の家だわ。
家族と離れて祖父母と私が、引っ越しした家です。
では、赤毛の家も祖父が買ったそうよ」

またまた、問題発言をサラリと話すプリムローズ。

「えっ、どうして?!家が2軒もいるんだよ!
あの家は、思い出がつまってんだー!
俺の家を、なんでお前が買うんだ~!!」

赤い顔をして怒りに震えて、赤毛は怒鳴り散らした。
首から上は、全て真っ赤っか状態である。

気持ちが痛いほどわかる、クラスメートたち。

よりによって追い出された直接の原因の人に、買われるのはさぞ辛いだろうにー。

教室にいる全員が、話を聞いて深く頷いていた。

「だって白い方は、1階と2階はお店で使われているの。
3階だけでは、狭いのよ。
実家からほとんどの使用人たちがついて来たんだもん。
狭いんだもの、近くにいい家ないかなぁと探していたら赤毛のお家だったのよ。
偶然よ、たった今気づいたんですわ」

少し愛らしく、モジモジして説明する。

赤毛は目から、涙のしずくを流しながら話し始める。

「庭、庭はー。母が少しずつ苗から育てて、あそこまでにしたんだ!
家の中も、父様がー!!」

最後は声にならなかった。

女の子たちはもらい泣きをし、ハンカチで目頭を拭く。

プリムローズは赤毛に語る。

「原因はお前の無知のせいで、家がこんなになったのよ。
ご家族とは、貴方は仲がいいのでしょう。
私とは大違いだわ!
いくら身分が高く、お金があっても愛は必ずとは言えないのよ。
赤毛!あの家はいつか、貴方がご両親に返しなさい!
それまではなるべく、そのままで住みます。
貴方以外は売らないわ!
いつまでも待っています」

プリムローズ以外、他の者たちは泣いた。
やだわ、またやってしまったとプリムローズは思う。

 教室の中がしんみりとした雰囲気ふんいきになっていると、いきなり扉が開けられた。

担任のベッカー先生が、大声で教室にいる生徒たちに話してきた。

「突然ですが、1時間目は自習です。
先生が風邪になったんだが…。どうして、みんな泣いてるのですか?!」

教室の生徒たちを見ながら、戸惑う先生。

「先生ー!
彼が明日から領地に戻るので、別れの挨拶していたんです。
この時間を別れの授業として頂けませんでしょうか?」

プリムローズが言うと、ベッカー先生はウンと頷いて扉をソッと閉めた。

彼女の言葉に、凄いと感じるクラスメートたち。
小さいのに、何故か引き付けられる。
誰も文句を言えない、不思議な魅力を感じた。

そんな思いをクラスメートたちがしていたら、プリムローズの声がする。

「赤毛!
最後に名を、私に名乗りなさい」

まだ、名乗っていないのかよ。
クラスメートたちは、胸のなかで突っ込むのである。

「えっ!俺、名乗ってなかったっけ?」

ボケる赤毛は、大物である。

プリムローズの前に片ひざをつき、右手を胸にあてた。

「私はジェイク・スローンで、スローン伯爵の長男です!
えーと、以後宜しくお願いします?!」

何とたどたどしく、不安になる挨拶であった。

「ふーん!伯爵だったんだぁ。領地は何を作ってんの?」

「はい、山があります!
馬や牛を飼ったりしてます。
花がたくさん咲いてますので、ハチミツは種類があり美味しいです!!」

その話に目の色が変わり、プリムローズはジェイクに力強く言う。

「ジェイクー!!
ハチミツを我が家と取引しなさい!
父上に話して契約すること。
どうせ、家の件もあるので丁度よい!ハイは!」

クラスメートたちは、プリムローズの強引な態度に引きに引きまくった。

ハイ!と直ぐに返事し、初めて名前で呼ばれたせいか赤くなるジェイク。

そんな彼を、変わった趣味があるのではと疑う。
怪しむ男子生徒たちであった。

別れが最初の挨拶になった、プリムローズとジェイク。

その後、二人の関係がどうなるか。
神以外は、誰も本人さえも知らないのである。


扉の外から、女の子たちの声が何やら聞こえる。
クラスメートたちは、なんだと不振ふしんに思って扉を見つめていた。

いきなり扉が、勢いよく開かれた。
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