【完結】無意識 悪役公爵令嬢は成長途中でございます!ー新たなる王室編ー

愚者 (フール)

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第4章  未来への道

第8話 夫人の過去

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 二人の笑いがやっと静かになった時、プリムローズはのんびりケーキを味わっていた。

「こんなに涙が出るほどに、笑ったのはいつ以来か忘れていたわ」

ハンカチを出して目元を拭いて、ポレット夫人は楽しげに言い出す。

「ほんにのう~。
年齢を重ねるにつれて、作り笑いをすることが増える。
心底からの笑いは、少なくなるものじゃな。
プリムが、近くにおると全然退屈しないわね」

名を出されて話している中身を聞いてれば、ほめめられているのかけなされているのか微妙に感じ取った。

「それはお褒めの言葉と受け取って宜しいの?
おばあ様もポレット夫人も酷いですわ。
笑っていてばかりで、歩く噂好き伯爵夫人の話をしてくれないんですもの!」

早くその先を知りたい彼女は、頬を膨らませてから口を尖らせるカワイイ表情をみせた。
 
「あらあら、ご興味ございますのね。
あくまでも、私の私感しかんがはいったお話ですよ。
彼女はプリムローズ様のご想像とは、おそらく全然違うと思いますわ」

ポレット夫人は、噂好き夫人の若い頃の話をやっと始めてきた。

「アマリリス様は名の通りに、内気で大人しい性格でした。
上には兄と姉、彼女は末っ子でした。
そうそう、プリムローズ様にも末っ子でしたわね」

「私は、姉と兄の順ですが末っ子は同じです。
それで、その先はどうなるのですか!?」

孫娘の興味津々きょうみしんしんな態度を、目を細めて笑って見ている祖母ヴィクトリア。

「姉君はアマリリス様とは真逆な性格で、明朗活発めいろうかっぱつで言いたいことを言う。
それゆえに、相手に不快ふかいな思いをさせてました。
彼女はそんな相手に、姉に内緒で謝罪していたのです」

ポレット夫人の話では、そんな姉が嫁ぎ兄に婚約者が出来た頃にそろそろ自分もと考えていたら出遅れてしまったそうだ。

「内気のせいか社交的でない彼女は、殿方とどう会話して良いか分からなくなっておりました。
周りには婚約者がいる方ばかりで、手頃な良い年回りの方がおりません」

そんな状況を知り父の伯爵は、年下の子爵家嫡男ちゃくなん婚姻話こんいんばなしを知り合いから紹介された。

「それがね。
伯爵家からの持参金じさんきん援助えんじょを条件に、アマリリス様を嫁がせる。
親同士で決めた婚姻だったのよ」

祖母ヴィクトリアは、仲間外れがさびしくなったのか。
私たちの会話に、割って話をしてくる。

「このような話は珍しくはありませんが、無理に嫁がせるのは如何いかがでしょうか。
その方は子爵でしょう?
今は、伯爵夫人ですよね!?」

彼女はポレット夫人に、身分の違いの疑問を投げかける。

「ヴィクトリア様に似て、頭が切れて鋭いですわ。
流石さすがに最年少で、文官試験をトップ合格しただけございますわね」

お相手の子爵令息は、まだ学園に通っていた学生。
3つ年上の彼女は、20歳になっていた。
令息が卒業と同時に婚姻して子爵家に嫁ぐ予定が決まっていた。

「ですが、卒業を間近にしね事件が起きました。
それは、王都全体に広がったのです」 

ポレット夫人の次の言葉は、彼女も覚えがあるタイトル。

「シャロンという名の女性作家が書いた小説。
「真実の愛を求めて」が、子爵令息の心の迷いに火をつけてしまわれたのです」

「その小説は存じてますわ。
私も幼いときに、偶然に読みましたもの。
素晴らしい愛の物語でした。
当時は、そんなにこの本は話題になりましたのね!」

彼女は小説の話しを聞き、紫水晶のような瞳を輝かしてポレット夫人の話に飛びついていた。

「子爵令息は、ある男爵令嬢から告白を受けました。
彼女にも同じ男爵令息の婚約者がおられましたが、子爵令息をお好きだったのです。
もう、お分かりになりますわね?!」

夫人は彼女にそう仰ると、1つだけ息をいた。

「はい、なんとなく。
令息はその告白した令嬢に興味をもって、好きになってしまうのでしょうか?!」

プリムローズはたくさんの小説を読んでいて、男女の間が揺れ動く気持ちが理解できた。

「えぇ、二人は手と手を取り合って両家から持ち出せる金品と一緒にちをしてしまったのですわ!」

突如とつじょバッキーンと派手な音がすると、祖母が持っていたおうぎが破壊していた。

「婚約している者同士が、別々の相手と駆け落ちとはあり得ぬ!
なんと、破廉恥はれんちな!
わらわは許せない!!」

祖母ヴィクトリアはこの話を知っているのに、つい興奮してしまったようだ。
清廉せいれんな夫一筋のお方。
これはおばあ様には、とても刺激が強い話みたい。

普通は子供であるはずの、プリムローズの方が刺激的な話だと考えると思う。
この場面を知らぬ人が見聞きしていたら、大部分はそうみるであろう。

どうやら、その先に歩く噂好き夫人のルーツがありそうね。
彼女はどきどきわくわくを胸に感じて、ポレット夫人の話の続きを楽しみに待っていた。
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