【完結】無意識 悪役公爵令嬢は成長途中でございます!ー新たなる王室編ー

愚者 (フール)

文字の大きさ
54 / 75
第4章  未来への道

第9話 花の名を捨てて

しおりを挟む
 婚約者の子爵令息は、男爵令嬢と宿に泊まり二人きりの甘い生活をって過ごしていた。

子爵家はアマリリスの実家には、息子が家出してちをしたことをひた隠している。
知られる前に捜索そうさくして、穏便おんびんますつもりでいたのだ。
そのまま伯爵令嬢と婚姻こんいんして、持参金じさんきんと援助をいたかったのが本音である。

「しかし、人の噂は何処どこから流れるのか。
アマリリス様の実家の伯爵家は、その事実を知ってしまったのです。
伯爵は相手に問いただそうと、子爵家へ急ぎ参りました」

「その間に子爵令息は、見つかりませんでしたの?
アマリリス様は、婚約者とはその間お会い出来ずにいたのですよね?
ご心配ではなかっのかしら?」

「プリム、彼女たちは親が決めた相手。
結婚式に初めて会うという方々もいるのです」 

元王女殿下の祖母は、このような女性たちを見てきているのか平然と言ってのける。

「結局は、資金が底つき駆け落ちは見事に失敗しました。
子爵令息と男爵令嬢は、実家にそれぞれ戻るのですわ」

そんなに世の中は甘くないのだ。
夫人の話に、プリムローズは納得しうなづく。
裏切った令息が結ばれたいなら、アマリリス様との婚約を破棄させるしか道はない。

「お考えの通りで、二人というか互いの家同士のきずなと信頼にヒビが入りました」

このまま婚姻し伯爵家との関係を継続したい子爵と、これを逃したら娘は一生嫁ぎ先はないのではと悩む伯爵家。

「アマリリス様はそんなご両親に、婚約破棄を願ったのです。
裏切った婚約者は謝罪にも来ず、自分をバカにしているのを彼女は許せなかったのですわ」

私が彼女だとしても、同じ行動をしたわよ。
こんな婚姻しないで、自立して働いて暮らしたほうが幸せに感じるに決まっている。

「この出来事で彼女は、ガラリと人格が変わったのよ!」

ヴィクトリアは、孫にそれは愉快そうに語ってくる。

「おばあ様!
ここで、歩く噂好き伯爵夫人が誕生したのですね!!」

「まだよ、プリム。きっかけの兆候ちゅうこうにすぎない。
そう、ある人との運命の出会いが大事なのよ」

彼女はちょっと疑問に思った。
どうして祖母やポレット夫人は、話をされているアマリリス様についてこんなに詳しいのかしら?!

プリムローズは眉間みけんにシワ寄せ黙りこくっていると、ポレット夫人がそれを見てお笑いになった。

「アマリリス様が、ご自分で話してくれましたのよ。
彼女は友人でもあり、私の顧客ですからね」

「なんだ、ポレット夫人のお客様だったのですか!
では、嘘でなく真実のアマリリス様の思いを伺っておりますのね!」

その彼女の言葉に、祖母はつかさず水を差してくる。

「私たちは彼女の話をしているが、人それぞれ感じ方は違うであろう。
わらわが思うに変わる前の彼女はいつわりまでとは言わんが、自分を押し殺して演じていた様に感じたわ」

「ヴィクトリア様のお考えに、私も同じ意見です。
私も、話を伺ってそう思いましたわ。
人の心は見えぬもの。
完璧に相手を理解するのは、不可能に近いのでしょう。
それでも、人は共感できる生き物ですわ」

  彼女は家を出て、自活じかつする道を選んだ。
それには、生活するに先立つ物が必要になる。
父伯爵に婚約の約束を破った子息と、浮気相手の令嬢の家に慰謝料を求めるように説得を試みるのだった。

「アマリリス、公になれば噂されてお前の未来に傷がつく。
このまま、解消かいしょうにしたらどうだ。
まだ、若いのではないか。
考えを改めてくれ!」

「いいえ、父上!
私はアマリリスの名を誇りに、大人しく内気と言われて生きてきました。
今日からは、自分に正直に生きます。
手続きは、私が致しますわ。
もう成人してますし、宜しいですね」

伯爵は娘の初めての反抗に驚き、ただ黙ってその顔を見ていた。

「彼女は慰謝料いしゃりょうを請求出来るかを、婚姻届けを受理する役所に伺いに出向きました。
そこで、まだ伯爵になる前のご主人に出会ったのです」

当時はあの小説の影響で、婚姻より破棄で役所も大忙し。
文官になってまだ若手であった彼は、その窓口に応援に出向いていたのだった。
そして、未来の妻に偶然にも出会う。
偶然か必然だったのかは、神のみぞ知る。

「素敵ですわとは、言えない状況ですわね。
出会った場所と内容だと、そこからどうしたら結ばれていくのかは謎ですわ。
ちっとも、ロマンチックではありませんもの」

まだ幼く恋愛観も物語でしか知らない彼女は、現実の恋愛はさっぱり予想もつかないのだ。

「それは仕方ありません。
プリムローズ様は、これから経験されるのですもの。
ですが、話を聞くのは悪くありません。
いささか、お早くは御座ございますけどね」

ポレット夫人は、成長途中のまだ幼い彼女に優しく笑って仰るのである。 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

『婚約破棄された悪役令嬢ですが、嫁ぎ先で“連れ子三人”の母になりました ~三人の「ママ」が聞けるまで、私は絶対に逃げません~』

放浪人
恋愛
「母はいりません」と拒絶された悪役令嬢が、最強の“ママ”になるまでの物語。 「君のような可愛げのない女は、王妃にふさわしくない」 身に覚えのない罪で婚約破棄され、“悪役令嬢”の汚名を着せられたクラリス。 彼女が新たに嫁いだのは、北方の辺境を守る「氷の公爵」ことレオンハルト・フォン・グレイフだった。 冷え切った屋敷で彼女を待っていたのは、無表情な夫と、心に傷を負った三人の連れ子たち。 「僕たちに、母はいりません」 初対面で突きつけられた三つの拒絶。しかし、クラリスは諦めなかった。 「称号はいりません。私が欲しいのは――あなたたち三人の『ママ』になれる日だけです」 得意の生活魔法『灯(ともしび)』で凍えた部屋を温め、『鎮(しずめ)』の歌で夜泣きを癒やし、家政手腕で荒れた食卓を立て直す。 クラリスの献身的な愛情は、頑なだった子供たちの心を解きほぐし、やがて不器用な夫の氷の心さえも熱く溶かしていく。 これは、不遇な悪役令嬢が「最強の母」となり、家族を脅かす元婚約者や魔獣たちを華麗に撃退し、最愛の家族から「ママ」と呼ばれるその日までを綴った物語。

転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。

琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。 ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!! スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。 ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!? 氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。 このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。

乙女ゲームっぽい世界に転生したけど何もかもうろ覚え!~たぶん悪役令嬢だと思うけど自信が無い~

天木奏音
恋愛
雨の日に滑って転んで頭を打った私は、気付いたら公爵令嬢ヴィオレッタに転生していた。 どうやらここは前世親しんだ乙女ゲームかラノベの世界っぽいけど、疲れ切ったアラフォーのうろんな記憶力では何の作品の世界か特定できない。 鑑で見た感じ、どう見ても悪役令嬢顔なヴィオレッタ。このままだと破滅一直線!?ヒロインっぽい子を探して仲良くなって、この世界では平穏無事に長生きしてみせます! ※他サイトにも掲載しています

婚約破棄されたので、愛のない契約結婚を選んだはずでした

鍛高譚
恋愛
王太子の婚約者だった伯爵令嬢・カーテンリンゼ。 しかし、王太子エドワルドは突然の婚約破棄を言い渡し、彼女を冷たく突き放す。 ――だが、それは彼女にとってむしろ好都合だった。 「婚約破棄? 結構なことですわ。むしろ自由を満喫できますわね!」 ところが、婚約破棄された途端、カーテンリンゼは別の求婚者たちに目をつけられてしまう。 身分を利用されるだけの結婚などごめんだと思っていた彼女の前に現れたのは、冷徹と噂される若き公爵・レオポルド。 「契約結婚だ。君の自由は保証しよう」 「まあ、それは理想的ですわね」 互いに“愛のない”結婚を選んだ二人だったが、次第に相手の本当の姿を知り、想いが変わっていく――。 一方、王太子エドワルドは、自分が捨てたはずのカーテンリンゼを取り戻そうと動き出し……!?

婚約破棄されたら、多方面から溺愛されていたことを知りました

灯倉日鈴(合歓鈴)
恋愛
卒業パーティーの当日、王太子に婚約破棄された公爵令嬢フルール。 それをあっさり受け入れた瞬間から、彼女のモテ期が始まった。 才色兼備で資産家の娘である彼女は、超優良物件にも拘らず、生まれた時から王太子の婚約者ということで今まで男性から敬遠されていたのだ。 思ってもみなかった人達にアプローチされて戸惑うフルールだが……。 ※タイトル変更しました。 ※カクヨムにも投稿しています。

悪役令嬢に転生したので地味令嬢に変装したら、婚約者が離れてくれないのですが。

槙村まき
恋愛
 スマホ向け乙女ゲーム『時戻りの少女~ささやかな日々をあなたと共に~』の悪役令嬢、リシェリア・オゼリエに転生した主人公は、処刑される未来を変えるために地味に地味で地味な令嬢に変装して生きていくことを決意した。  それなのに学園に入学しても婚約者である王太子ルーカスは付きまとってくるし、ゲームのヒロインからはなぜか「私の代わりにヒロインになって!」とお願いされるし……。  挙句の果てには、ある日隠れていた図書室で、ルーカスに唇を奪われてしまう。  そんな感じで悪役令嬢がヤンデレ気味な王子から逃げようとしながらも、ヒロインと共に攻略対象者たちを助ける? 話になるはず……! 第二章以降は、11時と23時に更新予定です。 他サイトにも掲載しています。 よろしくお願いします。 25.4.25 HOTランキング(女性向け)四位、ありがとうございます!

掟に縛られたブキミ令嬢ですが3大国宝イケメンを翻弄してます

ハートリオ
恋愛
ルミエ・ラマンジェは16才。 母の愛の掟に縛られて窮屈な毎日を過ごしている。 掟により長厚前髪にしているせいで『ブキミ令嬢』なんて呼ばれているし。 大好きな兄リーとも思うように接する事が出来ずかなり辛い。 家は借金苦。更に日中体が重いという謎の現象にも悩まされ公爵令嬢にも急に攻撃されるようになり… 何だか八方塞がりなある日、兄リーの知り合いのザート達が声を掛けて来る。 ルミエが母の掟により絶対に男と関わってはいけないと知ったザートはルミエを救う会を発足すると宣言。 ルミエも少しずつ問題を解決しようと動き出し盲目的に守り続けて来た掟との付き合い方も変わっていく。 そしてとうとう… 異世界でのお話です。

【完結】破滅フラグを回避したいのに婚約者の座は譲れません⁈─王太子殿下の婚約者に転生したみたいだけど転生先の物語がわかりません─

江崎美彩
恋愛
侯爵家の令嬢エレナ・トワインは王太子殿下の婚約者……のはずなのに、正式に発表されないまま月日が過ぎている。 王太子殿下も通う王立学園に入学して数日たったある日、階段から転げ落ちたエレナは、オタク女子高生だった恵玲奈の記憶を思い出す。 『えっ? もしかしてわたし転生してる?』 でも肝心の転生先の作品もヒロインなのか悪役なのかモブなのかもわからない。エレナの記憶も恵玲奈の記憶も曖昧で、エレナの王太子殿下に対する一方的な恋心だけしか手がかりがない。 王太子殿下の発表されていない婚約者って、やっぱり悪役令嬢だから殿下の婚約者として正式に発表されてないの? このまま婚約者の座に固執して、断罪されたりしたらどうしよう! 『婚約者から妹としか思われてないと思い込んで悪役令嬢になる前に身をひこうとしている侯爵令嬢(転生者)』と『婚約者から兄としか思われていないと思い込んで自制している王太子様』の勘違いからすれ違いしたり、謀略に巻き込まれてすれ違いしたりする物語です。 長編ですが、一話一話はさっくり読めるように短めです。 『小説家になろう』『カクヨム』にも投稿しています。

処理中です...