65 / 142
第4章 光と闇が混ざる時
第5話 青天の霹靂
しおりを挟む
沈黙が長く続いた頃、エリアスはプリムローズの方を向くと本心を語りだしてくる。
「お嬢様の気持ちはわかります。
私を心から案じてるのも、ですが身代わりになっている方が気になって…。
それが、その方のお仕事なのは理解してます。
私は自分の存在が、ないのが嫌でたまりません」
エリアスの本心にプリムローズは、自分の考えをエリアスに押し付けていたのを知った。
彼は危険にさらされても、影に隠れたくないのだ。
「ごめんなさい。
エリアスの気持ちを考えなしで、強要してしまったようね。
これから、公爵様が話するけど王宮は安全ではないの。
それを聞いても貴方が王宮へ行きたいなら、私はなにも言わないわ」
プリムローズの意味深な発言に、王や王妃は怪訝な顔つきになる。
その後にパーレン伯爵令嬢とプリムローズのいざこざから、伯爵が公爵家に謝罪に出向いてからの話を全てした。
「侍従長が敵の陣営だった…。
ヴェント侯爵夫人が、ベルナドッテの娘。
すっかり、前侍従長の伯爵の娘御と思っていたのだ」
「裏で、そんな繋がりがあると誰が思うでしょう。
生まれたての赤子なら、それなりの物を出せば教会でうまく処理するのは可能です」
王妃は、自分に薬を盛られていた。
侍従長なら簡単に薬を渡すのも可能で、証拠も消すのもお手のもの。
「こんなにも長い間、余たちは騙されておったのか…」
信じ切っていた忠臣に、裏切られた衝撃は大きかった。
「エリアス、君をまだ王宮にあげるわけにはいかなくなった。
この国の闇が深い。
侍従長に、これからどんな顔を向ければよいのか。
今まで通りに、もう出来そうもない!」
「陛下、敵を欺かなくてはなりませんぞ。
あちらは、儂らがこのような話をしているのは存じません」
「ですが、パーレン伯爵は本当に私たちの味方になる気持ちがおありなのでしょうか?!」
プリムローズは、この先は一人でも味方が多い方が当たり前だが有利と思っていた。
「クラレンス公爵令嬢、兄上なら信用できる。
何故、罪を犯したのかは伺っておった。
エリアスの父と母が亡くなり、息子であるそなたが行方不明になった時も密かに会っていたのだ。
余はこの闇が明けた暁には、兄を許そうと思っている」
ヘイズ王は日差しを眩しそうに見つめ、苦悩と希望の入り交じるような眼差しをしておられた。
エリアスは、あれから黙りこくってしまっていた。
無理もない、いきなり王族だと次期ヘイズ王になるかもと言われれば頭の中が常人なら混乱する。
私は自分を失わない姿は立派だと感じ、彼には王になる素質を持っていると確信した。
公爵の屋敷に戻るなり、メリーが玄関先で大声を出した。
「おー、おー!
お嬢様、大変でございます!!
大旦那さまと大奥様とル、ブライアン様がヘイズに着きました。
2日後に、此方のヴァロの公爵邸に到着してしまいます」
「ヘッ、今はまだ12月末ではないわよ!?
冬休みまで半月以上あるわ!
現在は、ギリギリ12月前よ?!」
プリムローズは、メリーの報告に驚きながら近づく。
「これは、お嬢様宛のお手紙でございます」
急ぎメリーが渡すと、プリムローズは礼儀に無視して封をその場で切った。
目を左右横に下に、忙しそうに動かす。
読み終えると、大きなため息が後ろで置いていかれた4人にも聞こえていた。
「メリー、エテルネル国の未来は大丈夫かしら?
いくら嬉しいからといって、休みを2ヶ月間にする?!
通常は3週間よ。
こんなの、あり得ないわ」
メリーとプリムローズの話しに割って入ってきたギルが、ゲラゲラ笑って言うのだ。
「いいんじゃね。
それだけ、エテルネルは平和なんだ。
親父さまに困り事を相談すれば、きっと助言して頂けるぜ!」
呑気すぎるギルに、プリムローズは困り顔で諭す。
「何を言ってんのよ!
祖父母が知ったら、アルゴラから軍隊を借りて動かすわよ!
あの国は、戦いをしたくてウズウズしている。
好戦的な国民性なのよ」
プリムローズは額に手をあてて、天に向かい話すのである。
「【青天の霹靂】ですな。
来るとはわかっていたが、これは早い!
やはり、戦の神は凡人とはひと味違いますな!」
「青天の霹靂って…。
なんですか、教えて下さい」
スクード公爵の言葉に飛び付いた。
エリアスは、言葉の意味を知らず首を傾げる。
「晴天は青く晴れ渡った空で、霹靂は雷鳴のことよ。
よく晴れていた空に、突然雷鳴が生じる。
突然の事で驚く出来事の喩え言葉なの」
公爵夫人ニーナは、エリアスに目線を一緒に合わせて詳しく説明する。
「教えて下さり、有り難うございました。
いろんな言葉があるんですね。
船に乗っていた時も、経験がありました。
晴れていたと思ったら、突然雷が鳴り響いて嵐になりましたよ。
思い出すと、なんか懐かしいなぁ」
そう話すエリアスには、あの船の暮らしがずっと昔に思えた。
彼って側にいるだけで、癒される雰囲気の持ち主よね。
プリムローズの心は、先程の霹靂から晴天に彼によって変わるのであった。
「お嬢様の気持ちはわかります。
私を心から案じてるのも、ですが身代わりになっている方が気になって…。
それが、その方のお仕事なのは理解してます。
私は自分の存在が、ないのが嫌でたまりません」
エリアスの本心にプリムローズは、自分の考えをエリアスに押し付けていたのを知った。
彼は危険にさらされても、影に隠れたくないのだ。
「ごめんなさい。
エリアスの気持ちを考えなしで、強要してしまったようね。
これから、公爵様が話するけど王宮は安全ではないの。
それを聞いても貴方が王宮へ行きたいなら、私はなにも言わないわ」
プリムローズの意味深な発言に、王や王妃は怪訝な顔つきになる。
その後にパーレン伯爵令嬢とプリムローズのいざこざから、伯爵が公爵家に謝罪に出向いてからの話を全てした。
「侍従長が敵の陣営だった…。
ヴェント侯爵夫人が、ベルナドッテの娘。
すっかり、前侍従長の伯爵の娘御と思っていたのだ」
「裏で、そんな繋がりがあると誰が思うでしょう。
生まれたての赤子なら、それなりの物を出せば教会でうまく処理するのは可能です」
王妃は、自分に薬を盛られていた。
侍従長なら簡単に薬を渡すのも可能で、証拠も消すのもお手のもの。
「こんなにも長い間、余たちは騙されておったのか…」
信じ切っていた忠臣に、裏切られた衝撃は大きかった。
「エリアス、君をまだ王宮にあげるわけにはいかなくなった。
この国の闇が深い。
侍従長に、これからどんな顔を向ければよいのか。
今まで通りに、もう出来そうもない!」
「陛下、敵を欺かなくてはなりませんぞ。
あちらは、儂らがこのような話をしているのは存じません」
「ですが、パーレン伯爵は本当に私たちの味方になる気持ちがおありなのでしょうか?!」
プリムローズは、この先は一人でも味方が多い方が当たり前だが有利と思っていた。
「クラレンス公爵令嬢、兄上なら信用できる。
何故、罪を犯したのかは伺っておった。
エリアスの父と母が亡くなり、息子であるそなたが行方不明になった時も密かに会っていたのだ。
余はこの闇が明けた暁には、兄を許そうと思っている」
ヘイズ王は日差しを眩しそうに見つめ、苦悩と希望の入り交じるような眼差しをしておられた。
エリアスは、あれから黙りこくってしまっていた。
無理もない、いきなり王族だと次期ヘイズ王になるかもと言われれば頭の中が常人なら混乱する。
私は自分を失わない姿は立派だと感じ、彼には王になる素質を持っていると確信した。
公爵の屋敷に戻るなり、メリーが玄関先で大声を出した。
「おー、おー!
お嬢様、大変でございます!!
大旦那さまと大奥様とル、ブライアン様がヘイズに着きました。
2日後に、此方のヴァロの公爵邸に到着してしまいます」
「ヘッ、今はまだ12月末ではないわよ!?
冬休みまで半月以上あるわ!
現在は、ギリギリ12月前よ?!」
プリムローズは、メリーの報告に驚きながら近づく。
「これは、お嬢様宛のお手紙でございます」
急ぎメリーが渡すと、プリムローズは礼儀に無視して封をその場で切った。
目を左右横に下に、忙しそうに動かす。
読み終えると、大きなため息が後ろで置いていかれた4人にも聞こえていた。
「メリー、エテルネル国の未来は大丈夫かしら?
いくら嬉しいからといって、休みを2ヶ月間にする?!
通常は3週間よ。
こんなの、あり得ないわ」
メリーとプリムローズの話しに割って入ってきたギルが、ゲラゲラ笑って言うのだ。
「いいんじゃね。
それだけ、エテルネルは平和なんだ。
親父さまに困り事を相談すれば、きっと助言して頂けるぜ!」
呑気すぎるギルに、プリムローズは困り顔で諭す。
「何を言ってんのよ!
祖父母が知ったら、アルゴラから軍隊を借りて動かすわよ!
あの国は、戦いをしたくてウズウズしている。
好戦的な国民性なのよ」
プリムローズは額に手をあてて、天に向かい話すのである。
「【青天の霹靂】ですな。
来るとはわかっていたが、これは早い!
やはり、戦の神は凡人とはひと味違いますな!」
「青天の霹靂って…。
なんですか、教えて下さい」
スクード公爵の言葉に飛び付いた。
エリアスは、言葉の意味を知らず首を傾げる。
「晴天は青く晴れ渡った空で、霹靂は雷鳴のことよ。
よく晴れていた空に、突然雷鳴が生じる。
突然の事で驚く出来事の喩え言葉なの」
公爵夫人ニーナは、エリアスに目線を一緒に合わせて詳しく説明する。
「教えて下さり、有り難うございました。
いろんな言葉があるんですね。
船に乗っていた時も、経験がありました。
晴れていたと思ったら、突然雷が鳴り響いて嵐になりましたよ。
思い出すと、なんか懐かしいなぁ」
そう話すエリアスには、あの船の暮らしがずっと昔に思えた。
彼って側にいるだけで、癒される雰囲気の持ち主よね。
プリムローズの心は、先程の霹靂から晴天に彼によって変わるのであった。
20
あなたにおすすめの小説
『婚約破棄された悪役令嬢ですが、嫁ぎ先で“連れ子三人”の母になりました ~三人の「ママ」が聞けるまで、私は絶対に逃げません~』
放浪人
恋愛
「母はいりません」と拒絶された悪役令嬢が、最強の“ママ”になるまでの物語。
「君のような可愛げのない女は、王妃にふさわしくない」
身に覚えのない罪で婚約破棄され、“悪役令嬢”の汚名を着せられたクラリス。 彼女が新たに嫁いだのは、北方の辺境を守る「氷の公爵」ことレオンハルト・フォン・グレイフだった。
冷え切った屋敷で彼女を待っていたのは、無表情な夫と、心に傷を負った三人の連れ子たち。 「僕たちに、母はいりません」 初対面で突きつけられた三つの拒絶。しかし、クラリスは諦めなかった。
「称号はいりません。私が欲しいのは――あなたたち三人の『ママ』になれる日だけです」
得意の生活魔法『灯(ともしび)』で凍えた部屋を温め、『鎮(しずめ)』の歌で夜泣きを癒やし、家政手腕で荒れた食卓を立て直す。 クラリスの献身的な愛情は、頑なだった子供たちの心を解きほぐし、やがて不器用な夫の氷の心さえも熱く溶かしていく。
これは、不遇な悪役令嬢が「最強の母」となり、家族を脅かす元婚約者や魔獣たちを華麗に撃退し、最愛の家族から「ママ」と呼ばれるその日までを綴った物語。
婚約破棄されたので、愛のない契約結婚を選んだはずでした
鍛高譚
恋愛
王太子の婚約者だった伯爵令嬢・カーテンリンゼ。
しかし、王太子エドワルドは突然の婚約破棄を言い渡し、彼女を冷たく突き放す。
――だが、それは彼女にとってむしろ好都合だった。
「婚約破棄? 結構なことですわ。むしろ自由を満喫できますわね!」
ところが、婚約破棄された途端、カーテンリンゼは別の求婚者たちに目をつけられてしまう。
身分を利用されるだけの結婚などごめんだと思っていた彼女の前に現れたのは、冷徹と噂される若き公爵・レオポルド。
「契約結婚だ。君の自由は保証しよう」
「まあ、それは理想的ですわね」
互いに“愛のない”結婚を選んだ二人だったが、次第に相手の本当の姿を知り、想いが変わっていく――。
一方、王太子エドワルドは、自分が捨てたはずのカーテンリンゼを取り戻そうと動き出し……!?
【完結】【35万pt感謝】転生したらお飾りにもならない王妃のようなので自由にやらせていただきます
宇水涼麻
恋愛
王妃レイジーナは出産を期に入れ替わった。現世の知識と前世の記憶を持ったレイジーナは王子を産む道具である現状の脱却に奮闘する。
さらには息子に殺される運命から逃れられるのか。
中世ヨーロッパ風異世界転生。
断罪される前に市井で暮らそうとした悪役令嬢は幸せに酔いしれる
葉柚
恋愛
侯爵令嬢であるアマリアは、男爵家の養女であるアンナライラに婚約者のユースフェリア王子を盗られそうになる。
アンナライラに呪いをかけたのはアマリアだと言いアマリアを追い詰める。
アマリアは断罪される前に市井に溶け込み侯爵令嬢ではなく一市民として生きようとする。
市井ではどこかの王子が呪いにより猫になってしまったという噂がまことしやかに流れており……。
【完結】悪役令嬢は婚約者を差し上げたい
三谷朱花
恋愛
アリス・デッセ侯爵令嬢と婚約者であるハース・マーヴィン侯爵令息の出会いは最悪だった。
そして、学園の食堂で、アリスは、「ハース様を解放して欲しい」というメルル・アーディン侯爵令嬢の言葉に、頷こうとした。
【完結】名前もない悪役令嬢の従姉妹は、愛されエキストラでした
犬野きらり
恋愛
アーシャ・ドミルトンは、引越してきた屋敷の中で、初めて紹介された従姉妹の言動に思わず呟く『悪役令嬢みたい』と。
思い出したこの世界は、最終回まで私自身がアシスタントの1人として仕事をしていた漫画だった。自分自身の名前には全く覚えが無い。でも悪役令嬢の周りの人間は消えていく…はず。日に日に忘れる記憶を暗記して、物語のストーリー通りに進むのかと思いきや何故かちょこちょこと私、運良く!?偶然!?現場に居合わす。
何故、私いるのかしら?従姉妹ってだけなんだけど!悪役令嬢の取り巻きには絶対になりません。出来れば関わりたくはないけど、未来を知っているとついつい手を出して、余計なお喋りもしてしまう。気づけば私の周りは、主要キャラばかりになっているかも。何か変?は、私が変えてしまったストーリーだけど…
婚約破棄の代償
nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」
ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。
エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。
転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎
水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。
もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。
振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!!
え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!?
でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!?
と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう!
前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい!
だからこっちに熱い眼差しを送らないで!
答えられないんです!
これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。
または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。
小説家になろうでも投稿してます。
こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる