96 / 142
第5章 常勝王の道
第10話 危ない事は怪我のうち
しおりを挟む
一方こちらは、帰りたいのに帰れない状況になってしまった3人。
「ギル師匠~、道には出ましたが方向はあっていますか?」
「私もさっきから、気になっていた。
道は、逆の方向ではないか?」
メリーとルシアン共に彼を信じてはいるが、何やら怪しい気配になってきていた。
「いや、確かにこっちで大丈夫だ。
それよりも、日が落ちたから野宿だな。
2人の飯は、何があるんだ。
俺は、干し肉にチーズに、出掛けにパンを貰っていたぜ!ワインもな!」
道の方向よりも晩飯大事なギルは、彼女が引いてくれた敷物の上に自分の持っている食料を並べている。
「食べ物よりも火をおこさないと、木の枝を探しましょう」
ルシアンは男より女の方が、イザとなると冷静で頼もしいと知った。
「周りは木ばかりですから、ほらすぐに拾えますよ」
3人は小枝を拾い、真っ暗になる前に焚き火ができた。
「さぁ~、メシを食おうぜ!
メリーや殿下も、なかなかヤルな。
旨そうな食料を持ってきてるじゃん!」
食い時の張ったこの男を、二人は横目で見て食事を始める。
「私は、何かこの先に不安を感じます。
日持ちできそうな食料を、少しは残しておいたほうがいいです」
バカ食いをしている人に忠告する、メリー。
「彼女とは珍しく、同じ意見だ。
戻ってきたと確信するまで、食料は大切にしたほうが良い」
彼も慎重派なので、彼女とは同じであった。
この考えは、後日功を奏した。
プリムローズの作戦で動物狩りをしてはいけないとし、ラベンダーの匂い袋を持っていない者は危険人物扱い。
つまり、黒い森に入ったら獣たちから襲われる確率が高かったのだ。
食事している彼らは、このことを知らずにいる。
「しかし、パンととろけたチーズは美味いが肉は塩ぽくって不味いな」
「贅沢言うな!
王族は、そりゃ口が肥えているだろうけどよ」
「殿下、下々の平民は黒く硬いパンですよ。
野菜ばかりで肉は、やっと月に何回かお祝い事で食べられるぐらいです」
この意見は、ギルとメリーの意見が一致。
「そうか。
ワガママで済まなかった。
私は王宮の中ばかりで、外の世界は知らないからな」
焚き火を眺める瞳には、農民の暮らしを想像しているのか。
殿下の表情が、曇っているように二人は感じた。
「これも、いい経験じゃん。
殿下も冒険しましょうや。
かなり、危険な冒険になってしまいましたけどよ」
ギルは、殿下を元気づける様に肩を軽く叩いてみせた。
殿下は初めての肩を叩かれて驚いたが、不愉快ではなく不思議に嬉しさが込み上げる。
ここではエテルネルの王子ではなく、ただの人になっている。
「おぉ、そうだな。
冒険か!子供の頃、本を読んで憧れていたよ。
その願いが、いまこうしてかなっているのかもしれないな」
ルシアンは夜空の星を見て、彼女プリムローズもこの星をみているのかもと思っていた。
そんなセンチメンタルな王子の気持ちを知らない彼女は、全兵士が食事中の場所をまわっている。
「お前たち~~!!
もし、暗い森で敵かもと思ったら合言葉を言って確認するのよ!
合言葉はー、ヒンメル!!」
「「「 ピーちゃん! 」」」
兵士たちのドスの効いた声で、可愛い名前は夜空に轟き渡るのだ。
後ろに控える両将軍に、もう一人は威圧感ある只者でない人物は満足げ。
「参謀に推しただけあるわい。
合言葉か、なるほどよく考えた。
さすがは、我が孫だけある」
まだ11歳にしかなっていない少女は、腕を組んで全軍に指令を出していた。
「いいこと!
南と西の将軍をお縄にしたら、お前たちには褒美が出そう。
この私が、約束しますわよ!」
その場で簡単に許可なく決める彼女を、黙って存在感なしで後ろで聞いていた。
王から指名された、今現在の総大将は周りの圧に屈する。
「おー、参謀殿~!!
殺さずに、生け捕るぜ~!!」
気合い満点な、野郎どもの雄叫びであった。
早朝から夕暮れまで黒い森の中では、ニルス率いるグレゴリーの子分らが暴れている。
正確に説明すると、敵自らが作った罠の落とし穴に落ちた敵を引き揚げてお縄にする作業していた。
日が落ちる時間帯になり、仲間たちが彼に慌てて声をかける。
「おい、ニルス!
どうやら相手は、動物に毒の付いた矢を放っているようだぞ!」
一人の男が彼に矢を持ってきて、見せながら説明してきた。
彼は矢を見て、苦虫をかみつぶしたような顔をした。
「朝日が昇ると同時に捕虜たちと動物たちと、一緒に連れてグレゴリー様の元へ戻るぞ。
ヒンメルは、ケガした動物を探してくれ!
もし、動けなかったら兵の仲間に運ばせるんだ」
近くにいた雪ヒョウは、理解したのか彼の足を顔で撫でてくれた。
「みんな悪いが、動物たちを避難させる。
彼らは協力してくれている仲間なんだ。
傷ついたら、お嬢が悲しむからな」
「お嬢を泣かせるなー!
みんな、お嬢に笑顔をー」
「おー!俺たちの天使のために」
「いやっ、妖精だよな~」
「うるさいー!
【危ない事は怪我のうち】って言葉がある。
お嬢から、俺は全権を任されている。
ここは、一旦は後退だ!
わかったか!」
「「「「 へ~えぇー! 」」」」
本当に理解しているのか、ニルスは不安になるのである。
本格的に戦う前に、ケガしてはいけない。
用心に越したことはない、自分に戒めた。
ましてや、関係ない動物もいる。
ニルスは、今日は寝られない一晩になりそうだと月を見上げるのだった。
「ギル師匠~、道には出ましたが方向はあっていますか?」
「私もさっきから、気になっていた。
道は、逆の方向ではないか?」
メリーとルシアン共に彼を信じてはいるが、何やら怪しい気配になってきていた。
「いや、確かにこっちで大丈夫だ。
それよりも、日が落ちたから野宿だな。
2人の飯は、何があるんだ。
俺は、干し肉にチーズに、出掛けにパンを貰っていたぜ!ワインもな!」
道の方向よりも晩飯大事なギルは、彼女が引いてくれた敷物の上に自分の持っている食料を並べている。
「食べ物よりも火をおこさないと、木の枝を探しましょう」
ルシアンは男より女の方が、イザとなると冷静で頼もしいと知った。
「周りは木ばかりですから、ほらすぐに拾えますよ」
3人は小枝を拾い、真っ暗になる前に焚き火ができた。
「さぁ~、メシを食おうぜ!
メリーや殿下も、なかなかヤルな。
旨そうな食料を持ってきてるじゃん!」
食い時の張ったこの男を、二人は横目で見て食事を始める。
「私は、何かこの先に不安を感じます。
日持ちできそうな食料を、少しは残しておいたほうがいいです」
バカ食いをしている人に忠告する、メリー。
「彼女とは珍しく、同じ意見だ。
戻ってきたと確信するまで、食料は大切にしたほうが良い」
彼も慎重派なので、彼女とは同じであった。
この考えは、後日功を奏した。
プリムローズの作戦で動物狩りをしてはいけないとし、ラベンダーの匂い袋を持っていない者は危険人物扱い。
つまり、黒い森に入ったら獣たちから襲われる確率が高かったのだ。
食事している彼らは、このことを知らずにいる。
「しかし、パンととろけたチーズは美味いが肉は塩ぽくって不味いな」
「贅沢言うな!
王族は、そりゃ口が肥えているだろうけどよ」
「殿下、下々の平民は黒く硬いパンですよ。
野菜ばかりで肉は、やっと月に何回かお祝い事で食べられるぐらいです」
この意見は、ギルとメリーの意見が一致。
「そうか。
ワガママで済まなかった。
私は王宮の中ばかりで、外の世界は知らないからな」
焚き火を眺める瞳には、農民の暮らしを想像しているのか。
殿下の表情が、曇っているように二人は感じた。
「これも、いい経験じゃん。
殿下も冒険しましょうや。
かなり、危険な冒険になってしまいましたけどよ」
ギルは、殿下を元気づける様に肩を軽く叩いてみせた。
殿下は初めての肩を叩かれて驚いたが、不愉快ではなく不思議に嬉しさが込み上げる。
ここではエテルネルの王子ではなく、ただの人になっている。
「おぉ、そうだな。
冒険か!子供の頃、本を読んで憧れていたよ。
その願いが、いまこうしてかなっているのかもしれないな」
ルシアンは夜空の星を見て、彼女プリムローズもこの星をみているのかもと思っていた。
そんなセンチメンタルな王子の気持ちを知らない彼女は、全兵士が食事中の場所をまわっている。
「お前たち~~!!
もし、暗い森で敵かもと思ったら合言葉を言って確認するのよ!
合言葉はー、ヒンメル!!」
「「「 ピーちゃん! 」」」
兵士たちのドスの効いた声で、可愛い名前は夜空に轟き渡るのだ。
後ろに控える両将軍に、もう一人は威圧感ある只者でない人物は満足げ。
「参謀に推しただけあるわい。
合言葉か、なるほどよく考えた。
さすがは、我が孫だけある」
まだ11歳にしかなっていない少女は、腕を組んで全軍に指令を出していた。
「いいこと!
南と西の将軍をお縄にしたら、お前たちには褒美が出そう。
この私が、約束しますわよ!」
その場で簡単に許可なく決める彼女を、黙って存在感なしで後ろで聞いていた。
王から指名された、今現在の総大将は周りの圧に屈する。
「おー、参謀殿~!!
殺さずに、生け捕るぜ~!!」
気合い満点な、野郎どもの雄叫びであった。
早朝から夕暮れまで黒い森の中では、ニルス率いるグレゴリーの子分らが暴れている。
正確に説明すると、敵自らが作った罠の落とし穴に落ちた敵を引き揚げてお縄にする作業していた。
日が落ちる時間帯になり、仲間たちが彼に慌てて声をかける。
「おい、ニルス!
どうやら相手は、動物に毒の付いた矢を放っているようだぞ!」
一人の男が彼に矢を持ってきて、見せながら説明してきた。
彼は矢を見て、苦虫をかみつぶしたような顔をした。
「朝日が昇ると同時に捕虜たちと動物たちと、一緒に連れてグレゴリー様の元へ戻るぞ。
ヒンメルは、ケガした動物を探してくれ!
もし、動けなかったら兵の仲間に運ばせるんだ」
近くにいた雪ヒョウは、理解したのか彼の足を顔で撫でてくれた。
「みんな悪いが、動物たちを避難させる。
彼らは協力してくれている仲間なんだ。
傷ついたら、お嬢が悲しむからな」
「お嬢を泣かせるなー!
みんな、お嬢に笑顔をー」
「おー!俺たちの天使のために」
「いやっ、妖精だよな~」
「うるさいー!
【危ない事は怪我のうち】って言葉がある。
お嬢から、俺は全権を任されている。
ここは、一旦は後退だ!
わかったか!」
「「「「 へ~えぇー! 」」」」
本当に理解しているのか、ニルスは不安になるのである。
本格的に戦う前に、ケガしてはいけない。
用心に越したことはない、自分に戒めた。
ましてや、関係ない動物もいる。
ニルスは、今日は寝られない一晩になりそうだと月を見上げるのだった。
22
あなたにおすすめの小説
『婚約破棄された悪役令嬢ですが、嫁ぎ先で“連れ子三人”の母になりました ~三人の「ママ」が聞けるまで、私は絶対に逃げません~』
放浪人
恋愛
「母はいりません」と拒絶された悪役令嬢が、最強の“ママ”になるまでの物語。
「君のような可愛げのない女は、王妃にふさわしくない」
身に覚えのない罪で婚約破棄され、“悪役令嬢”の汚名を着せられたクラリス。 彼女が新たに嫁いだのは、北方の辺境を守る「氷の公爵」ことレオンハルト・フォン・グレイフだった。
冷え切った屋敷で彼女を待っていたのは、無表情な夫と、心に傷を負った三人の連れ子たち。 「僕たちに、母はいりません」 初対面で突きつけられた三つの拒絶。しかし、クラリスは諦めなかった。
「称号はいりません。私が欲しいのは――あなたたち三人の『ママ』になれる日だけです」
得意の生活魔法『灯(ともしび)』で凍えた部屋を温め、『鎮(しずめ)』の歌で夜泣きを癒やし、家政手腕で荒れた食卓を立て直す。 クラリスの献身的な愛情は、頑なだった子供たちの心を解きほぐし、やがて不器用な夫の氷の心さえも熱く溶かしていく。
これは、不遇な悪役令嬢が「最強の母」となり、家族を脅かす元婚約者や魔獣たちを華麗に撃退し、最愛の家族から「ママ」と呼ばれるその日までを綴った物語。
婚約破棄されたので、愛のない契約結婚を選んだはずでした
鍛高譚
恋愛
王太子の婚約者だった伯爵令嬢・カーテンリンゼ。
しかし、王太子エドワルドは突然の婚約破棄を言い渡し、彼女を冷たく突き放す。
――だが、それは彼女にとってむしろ好都合だった。
「婚約破棄? 結構なことですわ。むしろ自由を満喫できますわね!」
ところが、婚約破棄された途端、カーテンリンゼは別の求婚者たちに目をつけられてしまう。
身分を利用されるだけの結婚などごめんだと思っていた彼女の前に現れたのは、冷徹と噂される若き公爵・レオポルド。
「契約結婚だ。君の自由は保証しよう」
「まあ、それは理想的ですわね」
互いに“愛のない”結婚を選んだ二人だったが、次第に相手の本当の姿を知り、想いが変わっていく――。
一方、王太子エドワルドは、自分が捨てたはずのカーテンリンゼを取り戻そうと動き出し……!?
【完結】【35万pt感謝】転生したらお飾りにもならない王妃のようなので自由にやらせていただきます
宇水涼麻
恋愛
王妃レイジーナは出産を期に入れ替わった。現世の知識と前世の記憶を持ったレイジーナは王子を産む道具である現状の脱却に奮闘する。
さらには息子に殺される運命から逃れられるのか。
中世ヨーロッパ風異世界転生。
断罪される前に市井で暮らそうとした悪役令嬢は幸せに酔いしれる
葉柚
恋愛
侯爵令嬢であるアマリアは、男爵家の養女であるアンナライラに婚約者のユースフェリア王子を盗られそうになる。
アンナライラに呪いをかけたのはアマリアだと言いアマリアを追い詰める。
アマリアは断罪される前に市井に溶け込み侯爵令嬢ではなく一市民として生きようとする。
市井ではどこかの王子が呪いにより猫になってしまったという噂がまことしやかに流れており……。
【完結】悪役令嬢は婚約者を差し上げたい
三谷朱花
恋愛
アリス・デッセ侯爵令嬢と婚約者であるハース・マーヴィン侯爵令息の出会いは最悪だった。
そして、学園の食堂で、アリスは、「ハース様を解放して欲しい」というメルル・アーディン侯爵令嬢の言葉に、頷こうとした。
【完結】名前もない悪役令嬢の従姉妹は、愛されエキストラでした
犬野きらり
恋愛
アーシャ・ドミルトンは、引越してきた屋敷の中で、初めて紹介された従姉妹の言動に思わず呟く『悪役令嬢みたい』と。
思い出したこの世界は、最終回まで私自身がアシスタントの1人として仕事をしていた漫画だった。自分自身の名前には全く覚えが無い。でも悪役令嬢の周りの人間は消えていく…はず。日に日に忘れる記憶を暗記して、物語のストーリー通りに進むのかと思いきや何故かちょこちょこと私、運良く!?偶然!?現場に居合わす。
何故、私いるのかしら?従姉妹ってだけなんだけど!悪役令嬢の取り巻きには絶対になりません。出来れば関わりたくはないけど、未来を知っているとついつい手を出して、余計なお喋りもしてしまう。気づけば私の周りは、主要キャラばかりになっているかも。何か変?は、私が変えてしまったストーリーだけど…
婚約破棄の代償
nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」
ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。
エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。
転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎
水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。
もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。
振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!!
え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!?
でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!?
と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう!
前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい!
だからこっちに熱い眼差しを送らないで!
答えられないんです!
これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。
または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。
小説家になろうでも投稿してます。
こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる