【完結】無意識 悪役公爵令嬢は成長途中でございます! ーヘイズ留学 暗躍編ー

愚者 (フール)

文字の大きさ
117 / 142
第6章  黒い森の戦い

第9話 御輿を上げる

しおりを挟む
   ボロボロのメイド服の格好かっこうをして、王宮の門番にハーブモーネ侯爵夫人に手紙を渡して欲しいと頼みメリーは門前にっ立っていた。 
黒い布地のドレスで助かった。
汚れが、あまり目立たなくてすんだわ。

「ヴィクトリア様にお話ができたら、お風呂に入りたいな。
お嬢様も、戦場で私と同じ事を考えていますのかしら?
あぁ、早く無事に何もかも終わればよいのにー」

下を向いて独り言を地面に向って話していると、日数がっていないがなつかしいと思える声がした。

「メリー!無事でなりよりです。 
疲れているとは思いますが、落ち着いたら詳しく話を聞かせてね」

「ヴィクトリア様!大奥様~~!」

彼女は今まで、張り詰めた気持をイッキに開放させるのであった。
ヴィクトリアは側に近づき抱き締めると、泣いていて震えている背中をさするのであった。

 彼女は自分にとって大切なメイドメリーが、祖母と無事に対面できたのを知らないでいた。
まだ、痛さが引かないのか座り込む彼に妥協だきょうしない言葉を放つ。

「あんたのせいで、ギルとメリーは大変な目にあったのよ!
気にしているか分からないけど、二人は生存してます!」

ルシアンは驚いてから、嬉しげな笑みを彼女に浮かべる。

『ふん、顔がいいからツイこちらもられて笑顔を返しそうになったわ。
顔面がいいとやはり得ね。
私にはきかないわよ!』

ちょっとだけ赤らみそうになる顔を、彼女は口を固く結び引き締めた。

「早く立て!
これから、生と死が隣り合わせの場所へ行くのだ。
気合い入れて戦えよ!」

ルシアンにげきを飛ばすと、マーシャルのいるであろう森の奥へ歩き出す。

 
 それより前の話しなるが、王とスクード公爵の元へ逆賊ぎゃくぞくになったヴェント父娘がそろってしまった。

「厄介な人物たちを押し付けられ、そしてまた無理難題を言ってきましたな」

公爵であり東の将軍でもある男は、横に座って手紙を読む国の最高権力者に話しかける。

「ヴェントと娘サンドラを、王宮の地下牢ちかろうにいれる。
スクード、そちに送り届ける人選をまかせた。
我々も、急ぎ陣を離れる」

「陛下、チューダー将軍たちの案をもちいるのですか?
危険です。
もし、領民が陛下に危害を与えるやもしれません」

首を振りながら、臣下をさとす。

「もしそうだとしたら、余はヘイズ国の王に相応ふさわしくない。
子をさずかるのを拒絶し拒否したが、何を今さら言うのかと思うだろうが…」

「陛下…。何処までもお供を致します。
今の陛下なら、きっと願いはかないましょう」

何を王は希望し求めてるのかは、わしには分からない。
陛下の真意は王に居続ける事なのか、それとも…。

   
 王軍が動く、空に狼煙のろしが上がった。

「やっと、重たい【御輿みこしを上げた】か!」

「御輿?どういう意味ですか?」

祖父が空をみて、声を張りあげた。
彼女も空を見上げると、緑色の狼煙が上がっている。

「それまで座り込んでいた人が立ち上がる事ですな。
動かなかった人。
つまり王が動き、何かに取りかかる意味ですよ」

トンボが、彼女に意味を教えてくれた。

「そう、私たちからの手紙を読み。
南の後方の位置から、マーシャルをちにするのを決断されたのね」

プリムローズたちの会話の意味を知らないルシアンは、これから始まる初めての戦いに体が緊張してきて歩くのが精一杯せいいっぱいになっていた。

「お兄様、今からそれでは命がありませんわよ!
皆、初めての戦です。
稽古けいこではない。
本気の斬り合いが行われのです」

話を聞いていた祖父が、孫娘の頭を軽くでながら話してきた。

「お前もそういきどおるでない。
儂が初陣ういじんの時は、仕方なく戦った。
戦に無理矢理に出兵させられ、あわよくば死んでくれたらと思う奴らばかりだ。
なにくそと、生き残るしか考えてなかったぞ!」

ルシアンはその話を聞き、自分の覚悟の甘さを痛感つうかんする。

「すまない…、私はここへ来る人間ではなかった。
今からでも、引き返した方がよいな」

彼が弱気な発言を口にしたら、弓矢が飛んできた。

「もう遅いですわ!
敵はもう目の前にいます。
覚悟かくごをなさって下さい」

これは、ルシアン王子をエリアスだと思っているかもしれない。
最初の私の作戦で、彼をエリアスに見立みたてたけれど敵も思い込んでいるの?

「トンボ、お兄様を守りなさい。
敵は彼を、エリアスと勘違いする可能性があります」

『あぁ、全ての作戦が裏目に出てしまった。
もし、正夢通まさゆめどおりなら木の上から弓矢ゆみやねらわれる!
何処から狙っているの?
この暗い森の中からー』

前方では剣でり合って、鎧にぶつかる金属音がしてきた。

木の上から、何か反射する光が見えた。

「あそこだわ!
あれが南の将軍、マーシャル?!」

一度見たあの男が、お祖父様かチューダー将軍の背中を狙っている。

卑怯ひきょうな!
背中を狙うとは!
さ、させるかー!」

プリムローズは、背中から弓と矢を出して構えるのであった。


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

『婚約破棄された悪役令嬢ですが、嫁ぎ先で“連れ子三人”の母になりました ~三人の「ママ」が聞けるまで、私は絶対に逃げません~』

放浪人
恋愛
「母はいりません」と拒絶された悪役令嬢が、最強の“ママ”になるまでの物語。 「君のような可愛げのない女は、王妃にふさわしくない」 身に覚えのない罪で婚約破棄され、“悪役令嬢”の汚名を着せられたクラリス。 彼女が新たに嫁いだのは、北方の辺境を守る「氷の公爵」ことレオンハルト・フォン・グレイフだった。 冷え切った屋敷で彼女を待っていたのは、無表情な夫と、心に傷を負った三人の連れ子たち。 「僕たちに、母はいりません」 初対面で突きつけられた三つの拒絶。しかし、クラリスは諦めなかった。 「称号はいりません。私が欲しいのは――あなたたち三人の『ママ』になれる日だけです」 得意の生活魔法『灯(ともしび)』で凍えた部屋を温め、『鎮(しずめ)』の歌で夜泣きを癒やし、家政手腕で荒れた食卓を立て直す。 クラリスの献身的な愛情は、頑なだった子供たちの心を解きほぐし、やがて不器用な夫の氷の心さえも熱く溶かしていく。 これは、不遇な悪役令嬢が「最強の母」となり、家族を脅かす元婚約者や魔獣たちを華麗に撃退し、最愛の家族から「ママ」と呼ばれるその日までを綴った物語。

婚約破棄されたので、愛のない契約結婚を選んだはずでした

鍛高譚
恋愛
王太子の婚約者だった伯爵令嬢・カーテンリンゼ。 しかし、王太子エドワルドは突然の婚約破棄を言い渡し、彼女を冷たく突き放す。 ――だが、それは彼女にとってむしろ好都合だった。 「婚約破棄? 結構なことですわ。むしろ自由を満喫できますわね!」 ところが、婚約破棄された途端、カーテンリンゼは別の求婚者たちに目をつけられてしまう。 身分を利用されるだけの結婚などごめんだと思っていた彼女の前に現れたのは、冷徹と噂される若き公爵・レオポルド。 「契約結婚だ。君の自由は保証しよう」 「まあ、それは理想的ですわね」 互いに“愛のない”結婚を選んだ二人だったが、次第に相手の本当の姿を知り、想いが変わっていく――。 一方、王太子エドワルドは、自分が捨てたはずのカーテンリンゼを取り戻そうと動き出し……!?

【完結】【35万pt感謝】転生したらお飾りにもならない王妃のようなので自由にやらせていただきます

宇水涼麻
恋愛
王妃レイジーナは出産を期に入れ替わった。現世の知識と前世の記憶を持ったレイジーナは王子を産む道具である現状の脱却に奮闘する。 さらには息子に殺される運命から逃れられるのか。 中世ヨーロッパ風異世界転生。

断罪される前に市井で暮らそうとした悪役令嬢は幸せに酔いしれる

葉柚
恋愛
侯爵令嬢であるアマリアは、男爵家の養女であるアンナライラに婚約者のユースフェリア王子を盗られそうになる。 アンナライラに呪いをかけたのはアマリアだと言いアマリアを追い詰める。 アマリアは断罪される前に市井に溶け込み侯爵令嬢ではなく一市民として生きようとする。 市井ではどこかの王子が呪いにより猫になってしまったという噂がまことしやかに流れており……。

【完結】悪役令嬢は婚約者を差し上げたい

三谷朱花
恋愛
アリス・デッセ侯爵令嬢と婚約者であるハース・マーヴィン侯爵令息の出会いは最悪だった。 そして、学園の食堂で、アリスは、「ハース様を解放して欲しい」というメルル・アーディン侯爵令嬢の言葉に、頷こうとした。

【完結】名前もない悪役令嬢の従姉妹は、愛されエキストラでした

犬野きらり
恋愛
アーシャ・ドミルトンは、引越してきた屋敷の中で、初めて紹介された従姉妹の言動に思わず呟く『悪役令嬢みたい』と。 思い出したこの世界は、最終回まで私自身がアシスタントの1人として仕事をしていた漫画だった。自分自身の名前には全く覚えが無い。でも悪役令嬢の周りの人間は消えていく…はず。日に日に忘れる記憶を暗記して、物語のストーリー通りに進むのかと思いきや何故かちょこちょこと私、運良く!?偶然!?現場に居合わす。 何故、私いるのかしら?従姉妹ってだけなんだけど!悪役令嬢の取り巻きには絶対になりません。出来れば関わりたくはないけど、未来を知っているとついつい手を出して、余計なお喋りもしてしまう。気づけば私の周りは、主要キャラばかりになっているかも。何か変?は、私が変えてしまったストーリーだけど…

婚約破棄の代償

nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」 ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。 エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。

転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎

水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。 もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。 振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!! え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!? でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!? と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう! 前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい! だからこっちに熱い眼差しを送らないで! 答えられないんです! これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。 または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。 小説家になろうでも投稿してます。 こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。

処理中です...