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第2章 解けない謎解き
第17話 窓から槍
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けたたましい足音が部屋の前で止まったと同時に、扉が開けられて転ぶような体勢で入ってきた。
ひとりの女官が、儀式の厳粛さが説かれている王宮でも特別な「和解の間」で大声をあげた。
それは、普通では考えられない行為だ。
「侍従長ー、た、た。
大変でございます!
休憩中お茶を飲んでいたメイドたちが、突然具合が悪くなりました。
その場で、吐いたり倒れております」
女官の言葉を冷静な態度で聞くと、指示命令する彼は迅速かつ的確だった。
「なんだと!
直ちに急ぎ、医者を呼ぶように手配しろー。
それと、この事を広言しないよう命じる。
漏らした者は、厳罰に処す」
「「はい!!」」
普段聞いたことがない物言いに、彼女らはビクッと反応した。
女官たちの表情が、みるみる強張り即座に返事した。
「明後日は、大事な晩餐会だ。
女官長を急ぎ探して、具合の悪い者の穴埋めをするように指示しなさい」
「すでに、別の者が医師を呼んでおります。
他の人が女官長も現場に向かわせているかと思います」
「……、そうか。
こちらが終わったら、私もそちらへ向かう。
現場は、そのままにしておいてくれ」
表情を緩めた侍従長は、女官たちに目を合わせお願いした。
「私など気にせずに、早く参った方がいいですわ。
さぁ、そこの貴方は女官長に知らせに行きなさい。
知らせに来た貴女は、私たちを現場に案内してください」
プリムローズの口を挟めない言い方に、従うように案内する。
事件という嵐が来たようだと、プリムローズたちは現場に向かう。
その部屋の中は、長い机の上にお茶をしていた形跡が見て取れる。
床には吐いた跡や、あちらこちらにハンカチが投げ捨てられていた。
体調の悪い人はここには残っておらず、別室にて診察しているようである。
「侍従長ー!」
「侍従長様!」
部屋に留まっていた人たちの中には、泣いた後の顔で私たちに近寄ってくる人もいた。
「ここにいる者は大事ないか?
さぞや、驚いたことだろう。
原因となったものは何か。
お茶や菓子は、どんな物だ。
見せてくれないか」
「この青い缶に入った茶葉でお茶を飲み、お菓子は昨日の残りのクッキーを食べたそうです」
「残り物を食べたのか。
原因は、これかもしれないな。
この腐った菓子だろう」
メイドたちが飲んだとされる茶葉の入った缶を、女官は侍従長の前に差し出し、手渡す。
「これは…。
全て棄てよと命じたお茶の缶ではないか。
なぜ、まだここに残っておったのだ?!」
ブロマンは、驚きと怒りの感情を率直に彼女に向けてきた。
「わたし…、私は存じません」
彼の顔がどんなのかは後ろからでは見えないが、周りにいる彼女たちはまごついて震えている。
「彼女たちは知るわけないわ。
この茶葉は、かなり古いんじゃない?
どうして、残っていたのか?
なぜ、飲もうとしたかを聞き取りでもしたら?」
プリムローズがその茶葉の正体を知っている言い方に、侍従長ブロマンは怒りが込み上げていく。
「まぁ、驚くよな。
【窓から槍】の気分だろう」
「窓から槍?
それってどんな意味?」
ギルの機転を利かせた皮肉な言葉に、ブロマンが彼女に答えを教えてくれた。
「争い事も起きてない中、突然槍が飛んできたら驚くことからの例えです」
「そうそう、予期しない出来事に驚いちゃうって訳よ」
ふーんって顔で彼女はブロマンを下から覗いて小さい声で伝えてくる。
「つい最近、マーシャル伯爵夫人の姉上レニア様にお会いしたのです。
これで、意味を察してください」
顔色を変化させたブロマンに、彼女は底意地悪く笑って見せていた。
もう一人の男が、少女の顔を見てはため息を漏らしている。
泣き出しそうになりかかっていた彼女たちは、侍従長と公爵令嬢の間の微妙な空気にあてられていた。
戸惑いで涙が止まりかけた時に、部屋に初老の医師が入室してくる。
この時に時間が動く感覚に、その場人々は襲われるのだった。
「先生、診てくださり有り難うございます。
具合が悪くなった者たちは、その後どうなりましたか?」
「ああ、患者たちの容態は落ち着きました。
あのお茶は、かなり古かったようですね。
見た目では分からないようで、飲んでしまったようだ。
様子見で明日は、仕事は休ませた方がよいでしょう」
近くで医師とブロマン様の話を聞く限り、腹痛と嘔吐で収まったようだ。
大事に至らなくて良かったと、周辺にいた人は安堵の表情を顔に表す。
「わざわざお越し頂いて、このような醜態をお見せして申し訳ございません」
「いいえ、お茶は誰に始末しろと命じたのですか?
わざと残されたのかしら?」
プリムローズの質問を、彼は無言で貫こうとしていた。
「王宮では、毎年管理は厳格にされているはず。
それが、手つかずで残っていた。
不思議ですわね」
プリムローズは立て続けに話し出すと、押し黙る彼の表情を鋭く観察していた。
「でもさぁ。
棚の奥底にあったら、暗くて見逃してしまったんでは?
人の目ってもんは、案外確実でないもんだぜ」
「そうかもしれないだけど。
紅茶の缶があったからって、勝手に飲んではいけないわ」
ブロマンの側にぴったり近寄ると、彼女は小声で囁いてみた。
「それも王様が、特別にお飲みになっていたお茶をね。
そうでございましょう?」
「どうして、知っておられるのか。
この茶葉を、陛下がお飲みになっていたのを。
どこまでご存知か?」
「茶葉を見てみたいのですけど、よろしいですか?」
プリムローズの関心は、ヘイズ王が不眠症改善のために飲んでいた茶葉だった。
子どもが出来にくくなるという、隠された効能がある。
「飲まなくても、危険ですので見せられません」
「侍従長、私が確認して異常はありませんでした。
飲んだりしなければ、危険はありません。
ですが、お嬢さん。
いいですか、素手で茶葉を触らないでください」
隣に控えていたギルが、プリムローズと医師の間を取り持つ。
「俺が手袋をして見せる。
お嬢、見たら俺から離れるんだ。
見るだけだ、余計なコトするなよ」
「ギル、しないから早く見せてちょうだい」
彼が手袋をしてから、缶の蓋を慎重にゆっくりと開ける。
「普段、使用しているお茶とは違って見えるわ。
黒っぽいし、小さな丸い塊になっている」
「どれどれ、匂いは臭くない。
どちらかといえば、花みたいに甘ったるいな」
「ギル、嗅いだりして大丈夫なの?!」
大胆にも鼻に近づけて、犬のようにクンクンとしている。
「平気みたいだ。
この感じだと、茶葉が古いなんて分からないんじゃないか」
手のひらに出した茶葉を、缶の中へ戻しながらギルはそう言った。
「特別なお茶でしたので、製法は他とは違っていたはずです。
だから、古くても見かけは腐って見えなかったのでしょう。
クラレンス公爵令嬢。
貴女は、レニア嬢とお知り合いですか!?」
「マーシャル伯爵夫人に、付き添いを頼まれてお会いしました。
私って話やすいのか、相談事の相手にされますの。
他国の者ですし、害がないと思われていますのかしらね」
レニア嬢が余計な話を彼女にしたのではと、そんな勘繰りをプリムローズに向けてしまう。
冷静に無表情という仮面をつけていた彼も、人間らしい焦りが滲み出ているようだった。
パンパンと手を叩く音がして、ブロマンとプリムローズが我に返る。
「毒じゃなくて良かった。
吐き出したのは、飲んだ茶が不味かったんだな」
「そうですね。
体に負担がない解毒薬を、患者たちに飲ませました。
この茶葉も腐ってなければ、体に害にならない物だったかもしれません」
黙って医師とギルの会話を聞いていた2人は、秘密をどこまで知っているかを互いに探り合っているようにしていた。
ひとりの女官が、儀式の厳粛さが説かれている王宮でも特別な「和解の間」で大声をあげた。
それは、普通では考えられない行為だ。
「侍従長ー、た、た。
大変でございます!
休憩中お茶を飲んでいたメイドたちが、突然具合が悪くなりました。
その場で、吐いたり倒れております」
女官の言葉を冷静な態度で聞くと、指示命令する彼は迅速かつ的確だった。
「なんだと!
直ちに急ぎ、医者を呼ぶように手配しろー。
それと、この事を広言しないよう命じる。
漏らした者は、厳罰に処す」
「「はい!!」」
普段聞いたことがない物言いに、彼女らはビクッと反応した。
女官たちの表情が、みるみる強張り即座に返事した。
「明後日は、大事な晩餐会だ。
女官長を急ぎ探して、具合の悪い者の穴埋めをするように指示しなさい」
「すでに、別の者が医師を呼んでおります。
他の人が女官長も現場に向かわせているかと思います」
「……、そうか。
こちらが終わったら、私もそちらへ向かう。
現場は、そのままにしておいてくれ」
表情を緩めた侍従長は、女官たちに目を合わせお願いした。
「私など気にせずに、早く参った方がいいですわ。
さぁ、そこの貴方は女官長に知らせに行きなさい。
知らせに来た貴女は、私たちを現場に案内してください」
プリムローズの口を挟めない言い方に、従うように案内する。
事件という嵐が来たようだと、プリムローズたちは現場に向かう。
その部屋の中は、長い机の上にお茶をしていた形跡が見て取れる。
床には吐いた跡や、あちらこちらにハンカチが投げ捨てられていた。
体調の悪い人はここには残っておらず、別室にて診察しているようである。
「侍従長ー!」
「侍従長様!」
部屋に留まっていた人たちの中には、泣いた後の顔で私たちに近寄ってくる人もいた。
「ここにいる者は大事ないか?
さぞや、驚いたことだろう。
原因となったものは何か。
お茶や菓子は、どんな物だ。
見せてくれないか」
「この青い缶に入った茶葉でお茶を飲み、お菓子は昨日の残りのクッキーを食べたそうです」
「残り物を食べたのか。
原因は、これかもしれないな。
この腐った菓子だろう」
メイドたちが飲んだとされる茶葉の入った缶を、女官は侍従長の前に差し出し、手渡す。
「これは…。
全て棄てよと命じたお茶の缶ではないか。
なぜ、まだここに残っておったのだ?!」
ブロマンは、驚きと怒りの感情を率直に彼女に向けてきた。
「わたし…、私は存じません」
彼の顔がどんなのかは後ろからでは見えないが、周りにいる彼女たちはまごついて震えている。
「彼女たちは知るわけないわ。
この茶葉は、かなり古いんじゃない?
どうして、残っていたのか?
なぜ、飲もうとしたかを聞き取りでもしたら?」
プリムローズがその茶葉の正体を知っている言い方に、侍従長ブロマンは怒りが込み上げていく。
「まぁ、驚くよな。
【窓から槍】の気分だろう」
「窓から槍?
それってどんな意味?」
ギルの機転を利かせた皮肉な言葉に、ブロマンが彼女に答えを教えてくれた。
「争い事も起きてない中、突然槍が飛んできたら驚くことからの例えです」
「そうそう、予期しない出来事に驚いちゃうって訳よ」
ふーんって顔で彼女はブロマンを下から覗いて小さい声で伝えてくる。
「つい最近、マーシャル伯爵夫人の姉上レニア様にお会いしたのです。
これで、意味を察してください」
顔色を変化させたブロマンに、彼女は底意地悪く笑って見せていた。
もう一人の男が、少女の顔を見てはため息を漏らしている。
泣き出しそうになりかかっていた彼女たちは、侍従長と公爵令嬢の間の微妙な空気にあてられていた。
戸惑いで涙が止まりかけた時に、部屋に初老の医師が入室してくる。
この時に時間が動く感覚に、その場人々は襲われるのだった。
「先生、診てくださり有り難うございます。
具合が悪くなった者たちは、その後どうなりましたか?」
「ああ、患者たちの容態は落ち着きました。
あのお茶は、かなり古かったようですね。
見た目では分からないようで、飲んでしまったようだ。
様子見で明日は、仕事は休ませた方がよいでしょう」
近くで医師とブロマン様の話を聞く限り、腹痛と嘔吐で収まったようだ。
大事に至らなくて良かったと、周辺にいた人は安堵の表情を顔に表す。
「わざわざお越し頂いて、このような醜態をお見せして申し訳ございません」
「いいえ、お茶は誰に始末しろと命じたのですか?
わざと残されたのかしら?」
プリムローズの質問を、彼は無言で貫こうとしていた。
「王宮では、毎年管理は厳格にされているはず。
それが、手つかずで残っていた。
不思議ですわね」
プリムローズは立て続けに話し出すと、押し黙る彼の表情を鋭く観察していた。
「でもさぁ。
棚の奥底にあったら、暗くて見逃してしまったんでは?
人の目ってもんは、案外確実でないもんだぜ」
「そうかもしれないだけど。
紅茶の缶があったからって、勝手に飲んではいけないわ」
ブロマンの側にぴったり近寄ると、彼女は小声で囁いてみた。
「それも王様が、特別にお飲みになっていたお茶をね。
そうでございましょう?」
「どうして、知っておられるのか。
この茶葉を、陛下がお飲みになっていたのを。
どこまでご存知か?」
「茶葉を見てみたいのですけど、よろしいですか?」
プリムローズの関心は、ヘイズ王が不眠症改善のために飲んでいた茶葉だった。
子どもが出来にくくなるという、隠された効能がある。
「飲まなくても、危険ですので見せられません」
「侍従長、私が確認して異常はありませんでした。
飲んだりしなければ、危険はありません。
ですが、お嬢さん。
いいですか、素手で茶葉を触らないでください」
隣に控えていたギルが、プリムローズと医師の間を取り持つ。
「俺が手袋をして見せる。
お嬢、見たら俺から離れるんだ。
見るだけだ、余計なコトするなよ」
「ギル、しないから早く見せてちょうだい」
彼が手袋をしてから、缶の蓋を慎重にゆっくりと開ける。
「普段、使用しているお茶とは違って見えるわ。
黒っぽいし、小さな丸い塊になっている」
「どれどれ、匂いは臭くない。
どちらかといえば、花みたいに甘ったるいな」
「ギル、嗅いだりして大丈夫なの?!」
大胆にも鼻に近づけて、犬のようにクンクンとしている。
「平気みたいだ。
この感じだと、茶葉が古いなんて分からないんじゃないか」
手のひらに出した茶葉を、缶の中へ戻しながらギルはそう言った。
「特別なお茶でしたので、製法は他とは違っていたはずです。
だから、古くても見かけは腐って見えなかったのでしょう。
クラレンス公爵令嬢。
貴女は、レニア嬢とお知り合いですか!?」
「マーシャル伯爵夫人に、付き添いを頼まれてお会いしました。
私って話やすいのか、相談事の相手にされますの。
他国の者ですし、害がないと思われていますのかしらね」
レニア嬢が余計な話を彼女にしたのではと、そんな勘繰りをプリムローズに向けてしまう。
冷静に無表情という仮面をつけていた彼も、人間らしい焦りが滲み出ているようだった。
パンパンと手を叩く音がして、ブロマンとプリムローズが我に返る。
「毒じゃなくて良かった。
吐き出したのは、飲んだ茶が不味かったんだな」
「そうですね。
体に負担がない解毒薬を、患者たちに飲ませました。
この茶葉も腐ってなければ、体に害にならない物だったかもしれません」
黙って医師とギルの会話を聞いていた2人は、秘密をどこまで知っているかを互いに探り合っているようにしていた。
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