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第3章 それぞれの巣立ち
第2話 日進月歩
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ヘイズ王から大々的に紹介されて、緊張しているのは誰の目から見ても明らかであった。
それでも大勢に見せた表情は、柔和な笑顔でも威厳を漂わせている。
笑みと態度から、ただの人とは一線を画しているように見える。
生まれながらの器の大きさを、貴族たちに見せつけるのに十分な振る舞い。
「叔父であるヘイズ王より、紹介を受けたエリアスと申します。
私は、本当の両親を知らずに育ちました」
聞いている者たちは、赤子に近い頃の彼が何者かに連れ出されたのを知っている。
行方不明期間の生活を本人からハッキリ話されて、貴族たちはその苦労に聞き入っていた。
「少し前、ある船の中で働いていました。
そこでは、毎日食べることもままならず。
いつか、船で死を迎えるのだろう。
そう思いながら、私は日々暮らしていました」
壇上では気負う様子を見せないで、淡々と過去を語るエリアス。
よくよく見てみると、病気で痩せている様子にはない。
彼を本物かと疑った貴族たちも、幼い子供が労働していた真実を知ると胸が潰される思いを抱いたようだった。
「ここから救ってくれたのが、エテルネルからヘイズへ留学に向かっていた。
こちらにいる、クラレンス公爵令嬢です」
指し示した方向に立っているプリムローズに、貴族たちの視線が集まった。
『こういう時は、私はどんな顔すればいいのよ。
泣くふりするには、いくらなんでも白々しいよね』
可愛らしい表情をして誤魔化しているが、胸中はかなりドキドキしている。
「偶然にも彼女と共にいた中に、かつてヘイズで我が父上に仕えていた元ゲラン伯爵と子息がおりました。
彼らのお陰で今の私がいることを、どうか皆に知ってほしい」
エリアスの話に驚く貴族たちは、ゲランという家名を思いだしザワついていた。
「ゲラン伯爵は、王弟エリック様を害したと言われておったのでは?」
「王弟夫妻を事故で死に追いやったと噂されて、自害をされたと聞いていたがー。
真相は違うようだな」
皆は好き勝手に想像しては、人々の話し声で収拾がつかぬほどに荒れ始めてしまう。
「静まれ、皆のものよ!
それに関しては、余が悪いのだ。
彼は、犯人ではない!
真犯人を捜すために、わざと彼らに罪を被せたのだ」
静かに聞いていた貴族たちは、ため息に近い驚きの声を無意識に出してしまう。
すぐに静寂に戻り、王の次の言葉に待つ。
「そして、行方知れずのこのエリアスを捜す使命を与えられていた。
ゲラン親子を、この世に亡き者としたのである」
王の告白にもっと驚きをみせる者たちは、貴族が立ち並ぶ一番前方にいる見知らぬ男たちに注目する。
「ああ、余が愚かであった。
すまなかった、ウィリアム・ゲランよ!
どうか、余を許してくれ」
ウィリアムは玉座に向かい、片膝をつくと頭を垂れた。
「そのような格好をするでない。
ウィリアム、頭をあげよ!
見事にエリアスを救ってくれた。
無事に我もとへ送り届けたゲランを、ここで侯爵の地位を与えるとする!」
「国王陛下、有難き幸せでございます」
『ウィル親方が先に、教えられた御礼の言葉を使われてしまった』
プリムローズは、受勲の返礼の言葉をどうするのか困ってしまう。
「私を助けてくれた。
プリムローズ・クラレンスには、このムーンガーター勲章を授けます!」
和解の間では、貴族たちの賛辞の声が飛び交っていた。
「ムーンガーターは、水面に反射した月の明かりが一本の道に見える現象を言うそうだ。
私を救い、未来の希望の道を授けてくれた。
その貴女に相応しい!」
側にいたブロマンが恭しく差し出すと、エリアスが私の胸に勲章を付けてくれた。
その勲章は見れば、青い海のようなサファイアに大粒の真珠が周りを囲んでいる。
台座は黄金が使われていて、その重さがずっしりと上半身に感じられた。
「授かった勲章に相応しく。
貴国とエテルネル、2国の友好関係を橋渡していきたいと存じます。
このような素晴らしい品を頂き、誠に誉れでございます」
凛とした丁寧な所作で挨拶すると、後から盛大な拍手が鳴り響いてきた。
スクード公爵がヘイズ王に成り代わり、西の将軍ヴェント侯爵の話を説明する。
エリアス発見時の話や、ヴェント侯爵の領地内で行われた税の不正による罪。
将軍職を裏で画策して、金で買った暴露話まで話す。
加えて軍事訓練と偽りスクード公爵の嫡男を誘拐し、エリアスまでも攫おうとした罪を伝える。
聞いていた貴族たちは、たくさんの罪状や事実に驚きの声をあげ続けた。
その様子をプリムローズは、何処かに違和感を感じる人が居ないかと探る。
見定めてみるが、疑うような気配は残念だが感じられなかった。
ヘイズ国の王族が集まる場で、上位貴族からの順に挨拶が終わり、
やっと、本格的な晩餐会が始まる。
真ん中の広い空間で踊り、その離れた場に食事が用意されている。
疲れた者やお年を召した方は、用意された椅子に座り会話を楽しむ。
そんな中で、エリアスが彼女に一歩一歩ゆっくりと寄ってきた。
「プリムローズ嬢、どうか私と一曲踊って下さいませんか?」
「あら、エリアス様はダンスを踊れましたの?
いつの間に、練習をなさっていたのですか」
彼をバカにしているわけではなく、まだダンスを踊れるようになるのが先の話だと思っていたからだ。
「お嬢様は、お人が悪い。
一曲しか踊れないし、リードとかは無理ですよ。
もしかしたら、足を踏みつけてしまうかもしれない。
それでも、私と踊ってくれますか?」
真っ赤な顔で真面目に誘われて、誰が嫌と断れようか。
彼は、未来のこの国の王になるお方かもしれないのにー。
「【日進月歩】、今のエリアス様を表す言葉だわ!」
「にっしん?げっぽ?
それって、どういう意味なんですか?!」
「絶えることなく、日々進歩しているって意味よ。
日進は日々進んでいく、月歩は進歩を強調するため月ごとに歩むという意味にしたんではないかという説です」
良いことを聞いたという顔をして、彼は、その言葉で何かを思い出した素振りをする。
「【良い花は後から咲く】と、同じくらい素敵な言葉ですね。
日進月歩か…。
言葉を忘れないで、頑張っていきます」
『あまりに純粋過ぎて、これから心配だわ』
ギスギスドロドロの貴族たちの間を、これから渡り合っていくのね。
プリムローズは、大丈夫なのかしらと不安になってしまう。
「エリアス殿下、もしもですよ。
ヘイズにいるのが嫌になったら、エテルネルのクラレンス領へいらっしゃってね。
大歓迎を致しますわ!」
「えっ、それって!
私とプ、プリムローズ嬢が…」
そんな互いの気持ちが噛み合わない時、曲が流れてきた。
「エリアス殿下、この曲でしょう。
さぁ、私たちの素晴らしいダンスを皆さまに見せつけましょうよ」
彼女は彼の腕を取り、広間の真ん中の位置で踊りだす。
周りはその勢いに追いやられたとは、二人だけは分かっていなかった。
その様子をケラケラ笑って、壁に寄りかかりながらワイングラスを傾ける。
獲物を狙う令嬢たちの視線を、自分が浴びているのを知らずにガブガブ飲み続けていた。
それでも大勢に見せた表情は、柔和な笑顔でも威厳を漂わせている。
笑みと態度から、ただの人とは一線を画しているように見える。
生まれながらの器の大きさを、貴族たちに見せつけるのに十分な振る舞い。
「叔父であるヘイズ王より、紹介を受けたエリアスと申します。
私は、本当の両親を知らずに育ちました」
聞いている者たちは、赤子に近い頃の彼が何者かに連れ出されたのを知っている。
行方不明期間の生活を本人からハッキリ話されて、貴族たちはその苦労に聞き入っていた。
「少し前、ある船の中で働いていました。
そこでは、毎日食べることもままならず。
いつか、船で死を迎えるのだろう。
そう思いながら、私は日々暮らしていました」
壇上では気負う様子を見せないで、淡々と過去を語るエリアス。
よくよく見てみると、病気で痩せている様子にはない。
彼を本物かと疑った貴族たちも、幼い子供が労働していた真実を知ると胸が潰される思いを抱いたようだった。
「ここから救ってくれたのが、エテルネルからヘイズへ留学に向かっていた。
こちらにいる、クラレンス公爵令嬢です」
指し示した方向に立っているプリムローズに、貴族たちの視線が集まった。
『こういう時は、私はどんな顔すればいいのよ。
泣くふりするには、いくらなんでも白々しいよね』
可愛らしい表情をして誤魔化しているが、胸中はかなりドキドキしている。
「偶然にも彼女と共にいた中に、かつてヘイズで我が父上に仕えていた元ゲラン伯爵と子息がおりました。
彼らのお陰で今の私がいることを、どうか皆に知ってほしい」
エリアスの話に驚く貴族たちは、ゲランという家名を思いだしザワついていた。
「ゲラン伯爵は、王弟エリック様を害したと言われておったのでは?」
「王弟夫妻を事故で死に追いやったと噂されて、自害をされたと聞いていたがー。
真相は違うようだな」
皆は好き勝手に想像しては、人々の話し声で収拾がつかぬほどに荒れ始めてしまう。
「静まれ、皆のものよ!
それに関しては、余が悪いのだ。
彼は、犯人ではない!
真犯人を捜すために、わざと彼らに罪を被せたのだ」
静かに聞いていた貴族たちは、ため息に近い驚きの声を無意識に出してしまう。
すぐに静寂に戻り、王の次の言葉に待つ。
「そして、行方知れずのこのエリアスを捜す使命を与えられていた。
ゲラン親子を、この世に亡き者としたのである」
王の告白にもっと驚きをみせる者たちは、貴族が立ち並ぶ一番前方にいる見知らぬ男たちに注目する。
「ああ、余が愚かであった。
すまなかった、ウィリアム・ゲランよ!
どうか、余を許してくれ」
ウィリアムは玉座に向かい、片膝をつくと頭を垂れた。
「そのような格好をするでない。
ウィリアム、頭をあげよ!
見事にエリアスを救ってくれた。
無事に我もとへ送り届けたゲランを、ここで侯爵の地位を与えるとする!」
「国王陛下、有難き幸せでございます」
『ウィル親方が先に、教えられた御礼の言葉を使われてしまった』
プリムローズは、受勲の返礼の言葉をどうするのか困ってしまう。
「私を助けてくれた。
プリムローズ・クラレンスには、このムーンガーター勲章を授けます!」
和解の間では、貴族たちの賛辞の声が飛び交っていた。
「ムーンガーターは、水面に反射した月の明かりが一本の道に見える現象を言うそうだ。
私を救い、未来の希望の道を授けてくれた。
その貴女に相応しい!」
側にいたブロマンが恭しく差し出すと、エリアスが私の胸に勲章を付けてくれた。
その勲章は見れば、青い海のようなサファイアに大粒の真珠が周りを囲んでいる。
台座は黄金が使われていて、その重さがずっしりと上半身に感じられた。
「授かった勲章に相応しく。
貴国とエテルネル、2国の友好関係を橋渡していきたいと存じます。
このような素晴らしい品を頂き、誠に誉れでございます」
凛とした丁寧な所作で挨拶すると、後から盛大な拍手が鳴り響いてきた。
スクード公爵がヘイズ王に成り代わり、西の将軍ヴェント侯爵の話を説明する。
エリアス発見時の話や、ヴェント侯爵の領地内で行われた税の不正による罪。
将軍職を裏で画策して、金で買った暴露話まで話す。
加えて軍事訓練と偽りスクード公爵の嫡男を誘拐し、エリアスまでも攫おうとした罪を伝える。
聞いていた貴族たちは、たくさんの罪状や事実に驚きの声をあげ続けた。
その様子をプリムローズは、何処かに違和感を感じる人が居ないかと探る。
見定めてみるが、疑うような気配は残念だが感じられなかった。
ヘイズ国の王族が集まる場で、上位貴族からの順に挨拶が終わり、
やっと、本格的な晩餐会が始まる。
真ん中の広い空間で踊り、その離れた場に食事が用意されている。
疲れた者やお年を召した方は、用意された椅子に座り会話を楽しむ。
そんな中で、エリアスが彼女に一歩一歩ゆっくりと寄ってきた。
「プリムローズ嬢、どうか私と一曲踊って下さいませんか?」
「あら、エリアス様はダンスを踊れましたの?
いつの間に、練習をなさっていたのですか」
彼をバカにしているわけではなく、まだダンスを踊れるようになるのが先の話だと思っていたからだ。
「お嬢様は、お人が悪い。
一曲しか踊れないし、リードとかは無理ですよ。
もしかしたら、足を踏みつけてしまうかもしれない。
それでも、私と踊ってくれますか?」
真っ赤な顔で真面目に誘われて、誰が嫌と断れようか。
彼は、未来のこの国の王になるお方かもしれないのにー。
「【日進月歩】、今のエリアス様を表す言葉だわ!」
「にっしん?げっぽ?
それって、どういう意味なんですか?!」
「絶えることなく、日々進歩しているって意味よ。
日進は日々進んでいく、月歩は進歩を強調するため月ごとに歩むという意味にしたんではないかという説です」
良いことを聞いたという顔をして、彼は、その言葉で何かを思い出した素振りをする。
「【良い花は後から咲く】と、同じくらい素敵な言葉ですね。
日進月歩か…。
言葉を忘れないで、頑張っていきます」
『あまりに純粋過ぎて、これから心配だわ』
ギスギスドロドロの貴族たちの間を、これから渡り合っていくのね。
プリムローズは、大丈夫なのかしらと不安になってしまう。
「エリアス殿下、もしもですよ。
ヘイズにいるのが嫌になったら、エテルネルのクラレンス領へいらっしゃってね。
大歓迎を致しますわ!」
「えっ、それって!
私とプ、プリムローズ嬢が…」
そんな互いの気持ちが噛み合わない時、曲が流れてきた。
「エリアス殿下、この曲でしょう。
さぁ、私たちの素晴らしいダンスを皆さまに見せつけましょうよ」
彼女は彼の腕を取り、広間の真ん中の位置で踊りだす。
周りはその勢いに追いやられたとは、二人だけは分かっていなかった。
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