冀救の翠2

神木 海莉

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冀救の翠2

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「咲耶、帰ろう」
「うん、ちょっと待って!」

  バタバタと帰り支度をするべく、リュックに荷物を入れていた僕は、千景の声に置いてかれたら大変と片付けスピードを早める。

「慌てなくても置いてかないよ」

  千景の笑いを含んだ声にうんと頷きつつ急いで支度をする。
  こんなに用意が遅くなったのは、ホームルームの最後にぼんやりしていたのが敗因だ。

「なぁ、お前ら何かあった?」

  その様子を見ていた浅井が聞いてくる。

「え?別に?」
「そうか?」

  夏休みが終わりの頃、僕と千景の距離は一気に縮まった。
  でもその理由は、誰にも言えないし、言ったところで理解されない。

「お待たせ、千景。じゃあ、浅井またね」
「おー。また」

  ヒラヒラと手を振る浅井のニヤけ顔にちょっと含みを感じるが、無視をして千景と連れ立って帰路につく。

「なぁなぁ、千景、今日家行っていい?」
「いいよ」

  優しく笑われて嬉しくなる。
  えへへとご機嫌で電車に乗り込み、千景の家へと向かった。

「今日何か課題とかあったっけ?」
「ないけど、千景ともうちょっと一緒にいたい」
「…そう」

  笑ってるけど、こういう時の一瞬の間はなんなのだろう。
  千景と目が合えば、笑ってくれる。
  それが嬉しくて一緒に居れるのが楽しくて幸せだけども、それはもしかして僕だけなのだろうか。
  本当は過去のトラウマを克服出来たのだから、今までとは違う交友関係を拡げたいとか、僕とはもう関わりたくないとか……もしかしたら思ってるのだろうか。

「千景、何か用事あった?忙しいならまたにする」
「いや、ないよ」

  嫌なら断りやすいように引いてみるけど、千景は断らない。
  何度も訪れて慣れてしまった道のり。
  たわいもない話をしながら、歩くのも楽しい。
  だってこんな日が来るとは思ってなかったんだ。

  僕と千景はこの世界ではない違う世界で、前世大事な仲間だった。
  そしてパートナーとして仕事をしていた中、僕のミスで千景の前世であるギルは死んでしまった。
  それをずっと後悔したまま転生して、そしてまた巡り会えた。
  こんな話は誰に言っても信じてもらえるはずもなく、これは僕と千景だけの秘密だ。
  秘密…いい響きだ。

  今は日本人なのだから当たり前の黒髪黒目だが、前世ではその色は珍しく僕は金髪に翠の色の瞳だった。
   千景は今も昔も黒髪黒目でずっとかっこいい。
  その世界で僕はサーチ職という、所謂分析とかが出来る希少な能力者だった。
  僕はそこで千景をパートナーに選んで、一緒に戦って…僕のミスで死なせてしまった。
  だから、今度は損なうことはないように大事にしようと守ろうと努力している。

「咲耶、いつまでもそうしてたら日が暮れるぞ。それとももう帰るのか?」
「えっ!ごめん、いこ」

  帰り道でうっかり猫を構い倒していたら千景に呆れられた。
  目の届く所で千景に何か起こらないよう、なるべく一緒にいようとしてるのに。
  猫が可愛いのが悪い。

「咲耶猫すきだな」
「うん、母親がアレルギーだから飼えないんだけどさ」
「それは仕方ないな」
「千景のとこは?」
「うーん、特に誰も興味がないかな」

  それはそれで残念と言いながら部屋へお邪魔する。
  千景の部屋は物が少ないせいか少し寂しい。
  こんな中で独りになったら俺なら絶対寂しい。

「ねぇ。千景って、欲しいものとかないの?」
「え?」
「ほら、なんか物欲とかなさそうだし。部屋も片付いてるなーって」
「咲耶の部屋って散らかってるの?」
「えっ。ふ…普通?」

片付けは苦手だけど、そんなに見られれこまるほどではない…はず。

「じゃあ、今度行こうかな」
「え。あ、うん」
 
どうしてそうなった。

「そうだな…欲しいもの、あるよ」
「え。何!?」
「ないしょ」
「!!!」

  距離が縮まったと思ったのに、内緒だなんて。
  多分かなりショックな顔をしていたのだろう。何なら涙ぐんでいたかもしれない。

「そのうちね」

  千景は困った顔で頭を撫でてくれるけど、教えてくれない。
  せっかく千景といるのに気分は浮上しないまま過ごして、すごすご家に帰った。

「欲しいものかぁ」

   考えるけど、分かるはずもない。
   僕にかなえられるものならいいのに。
   出来ることなんてかぎられてるけど。

 ベッドの横に掛けている鏡に不安げな顔が浮かぶ。
 まだ外せない鏡。
 遠ざかったと思っていた闇は未だ夢に現れる。
 僕はいい。千景のもとに行かないのなら。
 
 「眠らないと」

 たとえ現れるのが悪夢だとしても。
 明日千景に会うために、そっと瞼をとじた。












side千景

 最近咲耶の顔色が良くない。
 逆に自分の調子はすこぶるいい。
 
 幼い頃からの不安が消えたのは、咲耶のおかげだ。
 咲耶の存在そのものに、今も昔も救われている。
 
   物心ついた頃から、俺は何かの不安を抱えていた。
   それが何か分からず、いつも何かに怯えていた。
   特に夕方などそれが強くなるのを、寂しさではないかと両親は気にしていたらしい。
   そして物心ついた頃、初めて発作が起こった。
   友人と部屋で遊んでいた時に、暗くなる部屋で焦りと不安がピークになった。
   帰るという友人に部屋から出たら死んでしまうと、叫んでいたらしい。
   錯乱して気を失った俺は、当然友人に気味悪がれた。
   それからも度々区切られた空間で友人と居ると同じようになってしまい、自分がおかしいのだと理解し、周りから距離を取るようになっていった。
 いろいろな病名を付けられ、引きこもっていく息子に両親は優しかった。
 忙しい仕事の合間に良さそうな病院があれば連れていき、環境で変わるかもといろんなところへ連れて行ってくれた。
   親の仕事で転校が多いのは、むしろ都合が良かったのかもしれない。
   他人との接触が減り、発作は起こらなくなったが付きまとう不安は常に神経をさいなやんでいた。
 いつまでも治まらない不安に一生このままかと諦めていたのに、咲耶に出会って全てが変わった。

 最初に話しかけられたとき、空気が軽くなった気がした。
 初めての感覚に戸惑っている間に、酷くなつかれてしまっていた。
 変に期待したくはなかったから、なるべく冷たくあしらっていたはずなのに。
 いつの間にか入り込まれていた。
  会えない時間もずっと咲耶の事を考えいるなんて、咲耶は思いもしないのだろう。
  一緒にいれるのが嬉しいと無邪気に笑う咲耶に、自分の方が嬉しいのだとこっそり心の中で返していた。
  素直に優しく出来なくて、もどかしくて、何時だって繋がっていたくて。
  連絡を待ち続けていたし、夏休みなんて無くなればいいと思っていたのは同じだ。

  どうしてここまで惹かれるのだろうか。
 咲耶が笑うだけで空気が澄んでいく。
 その感覚をずっと前から知っている気がした。
 
 「魚って、綺麗だね」
 
 夏休みに二人で行った水族館で、そう言ったきりいつもの騒がしさを潜めて、水槽を眺める横顔に既視感を覚えた。
 この角度からの、横顔。前にも見たことがある。 
  何かを思い出しそうだったのに。
 それに気付いたように、咲耶は立ち位置を変えた。
  そこで初めて、咲耶が何かを隠していると感じた。
  一瞬、空気が変わった。

「ペンギン見に行こ!」
「え?あぁ……そうだな」
   
  変わった空気を引き戻すように咲耶の声が響く。
  ……何だ?
  夢から覚めたように、ぱちぱちと瞬きをするとぐいぐい咲耶に引っ張られてその場所から引き剥がされた。
 そのあとはずっと咲耶はいつになくはしゃいでいた。
  何故か無理してはしゃぐような咲耶。
  違和感が拭えないまま帰った。
 
 「昔……会ったことあったのか?」

 帰って卒業アルバムや、写真を引っ張り出すが何処かであった形跡はなかった。
 そもそも咲耶と会っているなら、忘れるはずがない。
 なのに何かが引っかかる。
 咲耶と居ると感じる安堵感。
  これの元が分かれば。そうすればあの発作は起こらなくなるのだろうか。

  今日も1日図書館で一緒に居れた。
  くるくると変わる表情を見ながら過ごす時間がひどく愛しい。
  これは何なのだろう。
     
 「もっと一緒にいたい」

  もし、発作が治ったなら。
 この部屋でも、咲耶といれる。
 二人きりでも大丈夫なら……。
 ドクンと心臓が波打つ。
 
 咲耶は可愛いと言われがちだけど、童顔で顔が整っているからそう見えるだけで、本当は綺麗と言う方が合っている。
 騒がしくしているけども時々酷く大人びた顔をして、どこか遠くを見ているような時の横顔は見とれるほどだ。
 懐かれて距離が近いから感じれるのか、どうも子供っぽく振舞おうとしているような気がしていた。

 自分の手を見る。
 昼間さり気なく触れた柔らかい髪の感触が残っている。
 もっと触れたい。
 男にそんなことを思うなんて考えたこともなかったのに。
 咲耶に触れたい。
 華奢な身体を確かめたい。
  千景と呼ぶ声や、笑った顔がちらついて落ち着かない。
  二人になっても大丈夫なら触れられるのだろうか。

「試してみようか……」

 思いついたら抑えきれず、スマホを手に手繰り寄せる。
 また周りに迷惑をかけるかもしれないという不安が一瞬よぎるが、どうしても試してみたかった。
 それに、咲耶は何かを知っている気もする。
  ならば、尚更。    


 

 「だめだ!思い出さな方がいい!」
 
 呼び出した部屋の前で押し問答の末、隙をついて薄闇に引っ張り込んだ瞬間に咲耶が泣きそうに叫んだ。
 やっぱり何かを知っているんだ。

 そう思った瞬間、空気が変わった。
 押しつぶされそうな、息ができない感覚。
 発作とも違う。
  苦しい。何だこれは。
 頭の中に何かが入り込んでくる。
 これは……記憶だ。
 
 どれくらいそうしていたのか。
 ぐったりとした咲耶を抱きしめたまま、我に返った。
 咄嗟に息を確かめる。気を失っているだけの様だった。

 「なんで……忘れていたんだ」

 こんな大事な記憶を。

 「クリス」

 腕の中の大事な宝物を、壊れないように抱きしめる。
  間違える訳がない。咲耶はクリスだ。

 忘れていたのは前世での記憶だった。

 こことは違う、厳しい世界だった。
  そこでの親の顔は知らない。
 捨て子なんて珍しくもなく、一部の恵まれた身分以外の人間は、明日とも知れぬ命の場所だった。
 親のない子供は、唯一生きてく術である王国軍に侍従する。
 幼い頃から厳しい訓練や割り当てられる仕事。
 ついていけなければ野垂れ死ぬだけだったから、必死で毎日を生きていた。
 そしてやっと一般の兵士としての試験に受かったばかりのころ。
 相変わらずの先輩たちのいじめにも等しい訓練の途中で、初めてクリスを見た。
 貴族に囲まれて、めんどくさそうに歩いているその人を見て、初めて人を綺麗だと思った。
 そのあと何の気まぐれか、パートナーに指名され傍にいるようになって。
 冷たそうな見た目に反して、クリスは優しかった。
 未熟な自分をいろんなところへ連れていき、実地訓練を行った。
 そんな面倒なことをしなくても、ベテランを選べばいいのにとは思った。
  でもみすみす自分の立ち位置を譲るようことは言わない。
 ただ見合うように、ふさわしい存在になるように急いでひたすら強くなるよう努力した。

 何があっても守ると誓った。
 強くなるにつれて俺に対して、周りからの扱いが変わっていくのを感じた。
  でも、俺はただこの綺麗で大事な人を守れればそれでよかったのだ。
 だからあの最後の瞬間、庇って死ぬ事にためらいはなかった。
 ただ一つ不安だったのは、クリスの安全を確認出来ずに一瞬で全てが暗闇に包まれたことだった。
 どうか無事でと、ただそれだけを祈った。
 
 「そうか、だからか」

 あの不安はこれだったのだ。
 大事なものを守れたのか、確かめられなかったからその不安だけを引きずってしまっていたのだ。
 
 そっと抱き上げてベットに眠らせる。
 悪い夢でも見ているのか、うなされるように苦し気な咲耶の頬をなぞる。
 もしかして、同じ世界の夢を見ているのだろうか。
 咲耶も思い出して苦しんでいたのだろうか。

「まいったな……」

 前世を思い出して、また共に有れると喜びの反面、うかつに触れれなくなってしまった。
 大事な、大事な宝物。
 好きとか何とかをすっ飛ばして、ただただ愛おしい存在に迂闊に手なんて出せない。
  そして気付いた。
  咲耶が俺に向けている感情は罪悪感なのだと。
  再会を喜んでいるのも確かなのだろうけど、どこか一歩引いて接して来ていたもどかしさは多分そこだ。
  咲耶しか欲しくないし、咲耶にも俺を欲してほしい。
  これは前世からずっと思っていたのと同じ感情だ。
  記憶が無くても、同じだったんだ。
  拒否されるのが怖くて、前世では確かめれなかった。
  ずっと、諦めていた感情。

「咲耶……」

  胸が痛む感覚も覚えている。
    
  そっと髪をなでながら今はただ咲耶が目覚めるのを見守っているしかなかった。







咲耶side

  午前中、頭は上手く動かずぼーっとする。
  昨日は夢は見なかった。
  毎日のように魘されて起きていたから、単に寝不足がたたって深く眠っただけかもしれないけども。
    
「咲耶、眠れてる?」
「え?うん。昨日は眠れたよ?」
「昨日は?」 

  しまった。
  余計な一言を言ったせいで、千景の顔が険しい。
  何て言い訳しようかと、だらだらと冷や汗をかきながら目を逸らす。

「咲耶。まだ夢、見てるのか」
「……うん」

  心配かけたくはないから黙っていたけども、千景に会ってから……さらに千景が記憶を戻してから何故か夢の頻度は増していた。
  それに比例するように、記憶を思い出してからの千景は少し過保護気味だ。
  思い出したばかりだから、いろいろ心配なのだろうか。
  僕としては嫌がられず、千景から来てくれるのは非常に嬉しいが、こういう時には誤魔化せないから困る。
  思案顔に考えるのは、僕の安眠方法なのだろう。 
   
  前世でも、パートナーだから立場は同じだというのに、何かと世話を焼きたがっていたっけ。
  その度に言い争いになったから、結局最後は諦めて好きにさせていたけども。

「千景、そんなに考えこまなくても」
「そういうのは顔色良くなってから言うんだな」
「……」

  そうか。顔色が原因か。
  明日から妹に化粧品借りようかな……。

「それよりお昼食べようよ!」

  ざわざわと騒がしい教室で何時もの様にお弁当を広げる。
  千景も大人しく思考は一旦中止してお弁当を取り出した。

  優しくされるのは嬉しい。
  甘やかされるのも悪くない。
  この距離を幸せに感じる反面、時々フッと意識が昔へ飛ぶ。
  夢を見る理由も何となく見当はついていた。

  罪悪感。
  不安感。

  僕のせいで死なせてしまった。
  また同じ様な不幸が起こるかもしれない。
  それに、結局僕が記憶を掘り起こしてしまった。
  あんな記憶無いほうが良かったのに。
  千景に幸せをと思うならば、これ以上距離を縮めたらダメだ。
  ……でも、千景の傍にいたい。

  相反する感情の降り幅は大きく、確実に神経を蝕んでいるのは確かだった。
  離れたらまた元の生活に戻るだけなのに、考えただけで辛くなる。
  ギルが死んだあとの、あの虚無の時間を再びと考えたら、もう一度耐えれる気がしなかった。
  前世ではどこを探しても、もうギルは居なかった。
  今は生きてそこに居るのに、触れるのさえ躊躇われる。
  僕に、そんな権利なんて本当はないんじゃないのだろうかと思ってしまう。

 「どうしたら」

  無意識に呟く。

  昔に戻ったようなやり取りがあると嬉しくなる。
  ふざけて組んだ腕や触れた感覚にそこに居るという現実に泣きそうになる。
  もっと触れたい。
  もっと近くに行きたい。
  昔も今も千景の存在が全て。
  千景はこんなこと思ってるなんて、思いもしないのだろうな。

「ごめん、咲耶ちょっと待ってて」

  放課後そう言って千景が呼び出されたのに待たされること15分。

  誰も居なくなった教室に、不意に浅井が戻ってきた。

「咲耶くん、大丈夫かね?」
「何が?」
「旦那さん連れてかれて」
「何だよそれ」

 浅井のからかいの言葉に呆れながら、放課後の教室で待つ身としては話し相手が来てほっとする。
 最近人当たりが良くなったとかで、千景にこういった呼び出しが増えた。
  ……多分告白なんだろうな。
 無視できないからとりあえず話しだけ聞いてくるという千景を、気にするなと毎回送り出しているが、一人で待っているとろくなことを考えない。
    
 自分じゃない誰かと一緒にいると思うともやもやするけども、千景がそれをのぞむならそれも仕方ないと無理やり感情を押し込めていた。

「いいんだよ。いずれは離れるんだから」

「何それ?」

 気が付くと、千景が戻って来ていた。
 顔が険しい。
   
「浅井、悪いけど咲耶連れて帰るから」
「おー。またな」

  そんな顔の千景を見たことがなくて、固まっていると腕を引かれて連れ出された。
  チラリと浅井を振り返ると、ゴメンという素振りを見せられた。
  情けない顔しか返せなかったけども。

  無言のまま歩いて電車に乗る。

「なぁ、千景、怒ってる?」

  意を決して話しかけても応えてくれなくて、酷く悲しくなる。
  さっきの僕の台詞は、千景から聞いたら冷たく聞こえて気分を害したのかもしれない。
   
  着いたのは、通いなれた千景の部屋だった。

「咲耶、さっきの何?」

  やっぱりあれが不味かったのか。

「さっきのは……いずれは、その……、千景も誰かと付き合ったりとか、するだろうしそうしたらずっと一緒って訳にはいかないよね」
「咲耶それ、本気で言ってるの?」
「そりゃ……」

  冗談で言えるはずもない。
  僕じゃない誰かを選ぶ千景なんて見たくないけど、僕はずっと傍に居れないから仕方ないじゃないか。

「咲耶が考えてることなんて、大体分かるけど」

  はーっとため息をついて、まだ少し険しい顔で千景が腕をつかんでくる。
  ビクリとして思わず離れようとするけど、力が強くて振りほどけない。

「また、離れて平気なの?」

  その言葉にすっと血が下がっていく。

「咲耶が思い出させたのに?それなのに中途半端で放りだすの?」
「それは……そんなつもりはなかったから、本当にゴメン」
「咲耶から近寄ってきたのに、何で今は逃げようとするの?」

 近付く顔に、心臓がうるさい。
 そんな顔をされてそんな事を言われたら、期待したくなるじゃないか。

「逃げてなんかない。でも僕といたんじゃだめだ。千景が昔みたいに気にしてくれるのは嬉しいけど、今の世界じゃ無理に一緒に居なくてもいいんだ。あの世界に囚われてたらダメなんだよ」
「囚われてるのは咲耶だろう?」

  そうかもしれないとは思うけども。
記憶さえ戻らなかったら、こんな距離はありえなかった。
  千景の傍に居るのがあんなに嬉しかったはずなのに、嬉しいのと同時に辛くなる。

「ちが、う」

  息苦しい。
  闇が迫ってくる。
  千景の傍にいるのに。
  
「咲耶?」

  どうしたらいいか分からず、僕はぼろぼろ泣き出していた。
  何だこれ、嫌だ。

「咲耶!」

  気が付くと渾身の力でもって千景の手を振り払い、自宅まで逃げるように帰っていた。
  部屋に閉じこもって、布団にもぐりこむ。

「嫌だ……」

  携帯の着信の音が何度も鳴っていたけども、確かめることはできなかった。

「また独りは、嫌だ」

 ベッドの横の鏡。酷い顔をした自分が写っていた。これはどちらの自分だ?

 昔と同じだ。手放なさなきゃダメだと思うのに出来ない。
  僕といたんじゃ、普通の幸せから遠のいてしまう。
 でも千景の傍に居たい。
 死でも生でも再び失った時を思うと怖くて前と同じ距離に行けない。
 それでも。千景でないと、千景がいないと生きていけない。
 
 「千景……」

 気が付くと再び知らないうちに泣いていた。
 無言の涙が心の叫びのような気がした。
 涙を拭って濡れた手をぼんやりと見る。
    
「どうしたら」

  何度目かわからない呟き。
  答えは何時までも見つからなかった。

 
 次の日はオーバーヒートした頭と、寝不足がたたって熱が出てしまい休むこととなった。
 うとうととしたまどろみの中、何度も夢を見た。

 珍しくあの最後の時の夢は見なかった。
 ギルを喪って、一人で旅をしていた時の夢だった。
 助けてもらった命を投げ出すことも出来ず、能力のせいで自然と危険を避けてしまっていたから、ずいぶん長いこと旅をしたと思う。

 山の頂上や初めての街や湖の夜をずっと一人で見ながら旅をしていた。
  何時もなら横にいたギルがいないまま。
 目的も充てもなく、ただただ彷徨う中で何処かにギルの痕跡を探した。
  もしかしたら、何処かで生変わっているかもしれない。
  もしかしたら、と……。
 背格好の似た人を見ると、ずきずき心が痛んだ。
 
 何年かして、護衛として商人と同行していた時にサーチに引っかからなかった魔物に襲われた。
 後を引き受けて、同行者を逃がした。
 上位の魔物に勝てる見込みは半々。
 弱点の見極めもせず応戦したくらいは許してほしい。
 やっと、終われるとどこかで察してほっとしていたんだ。
 相打ちの様になって倒れこんだ時、確かに自分は喜んでいた。

 痛みとか、薄れていく意識に安堵か何か分からない涙が流れた。
  ただ叶うなら、もう一度会いたいと願った。
 ここでない世界でもいい。
 どんな姿になっていても必ず見つけるからと。
 見つけたなら、今度こそ守るから。
 俺の事を要らないと言われても、傍に居る。
  そして何よりも大事なんだと、この気持ちを伝えたい。

 「そうだった」

 それすらも、忘れていた。

 生まれ変わって、記憶はあるのに新しい世界でもギルの気配は見つからなくて。
 やっぱり自分が悪いんだと、後悔が大きくなってあの夢ばかりを見るようになってたんだ。

「今度は間違えないと思ってたのに」

 ちゃんと願いは叶ったのに。
  辛い時間が長すぎて、向き合うことを避けていた。
  千景の言うとおり、囚われてたのは自分だ。
  確かに失うのは怖いけど、それより前に手に入れてさえいないじゃないか。
  また、伝えられないままなんて、嫌だ。

「会いたいな」

 泣いて重たい瞼を押し上げて、スマホをカバンから取り出す。
 静かだと思ったら電源が切れていた。
 充電を待って画面を開くと2桁の着信とラインが入っていた。

『もう一度ちゃんと話そう』

 何度も何度も。

『俺は、咲耶がいないとダメなんだ』

  告白にも見える言葉に胸が締め付けられる。

  じっと画面を見ていると、不意に着信になった。

「びっ…くりした」

  ドキドキとする心臓を宥めながら、電話にでる。

「……はい」
「咲耶……。やっと出た。よかった……」
「うん、ごめん。電源切れてた」
「そうか。うん……」
「千景?」

  何だか様子がおかしい。千景の震える声に頭が覚めてくる。

「千景?大丈夫?」
「咲耶が居ないから、大丈夫じゃない」

  その言葉に息が詰まりそうになる。
  ドキドキする心臓を宥めながら、どうにか言葉を絞り出した。

「すぐ……行くから」
「うん」

  何だか分からなかったけど、酷く弱った千景の側に早く行かないとダメだと、携帯と財布だけを握りしめて家を飛び出した。

 学校を休んでるからマスクで顔を隠して千景の家に急いだ。

 息を切らせて、チャイムを鳴らす。
 インターホンはすぐに切られて、ちょっと不安になったけどすぐに千景が迎えに来てくれた。

「咲耶」

  何か思い詰めた様な様子に心配が込み上げる。

「千景?」
「咲耶がいなかった」

  ストレートな物言いに心臓を掴まれる。

「ごめん……」

  そのままエントランスに居るわけにもいかず、千景の部屋へ行きもう一度謝るけども千景は何も言わない。

「千景?まだ怒ってる?」

「怒ってない」

 優しく触れて、そっと抱き込まれるけど、それきりまた黙ってしまうから、どうしていいかわからない。
  でも温もりは暖かくて、不思議と不安は感じなくて千景の背中に腕を回して目を閉じる。

「咲耶は今も昔も綺麗で、どうして俺を選んでくれているのか分からないけど」
「?」
「離れてると、また不安ばかりになる」
「傍にいてもらってるのは僕の方だよ?」

  抱き込まれたまま顔を上げると、じっと見つめる千景と目が合った。

「今も昔も、いつか捨てられそうで」
「捨てられるって……」
「咲耶にふさわしくって、コミュニケーションとれるように頑張ってたらあんな事言われるし」

  呼び出しはコミュニケーションの練習の場ではないと思うけど。
    
「それと……こないだは咲耶のせいみたいに言ったけど、記憶に関しては俺も下心から発作を克服したかったから本当は咲耶が気にするとこじゃない。ごめん」

  下心?

「発作がなくなれば、咲耶と二人きりになれると考えてたんだ」
「え?」
「だから、わざと呼び出した」
「わざと……?」
「好きなんだ。だから触れたくて」

  驚く僕に苦笑したまま千景の顔が近付く。
   後ろ頭をそっとささえられたまま、キスをされた。

「……」

  触れるだけのキスだったけど、心臓はバクバク鳴っていた。

「ずっと、こういうことしたいって思ってた。でも、人前じゃ無理だから暴走しないようにしてたんだ」
「ずっと……?」
「そう。昔も。咲耶がクリスのときからずっと」
「だって……そんな素振り。それに、引退したら穏やかに暮らしたいって」
「クリスとね」

  知らなかった事実に驚くけども、嬉しくてまた涙が出てきた。

「咲耶?」
「ごめん、今涙腺壊れてて」

  慌てて下を向いたけど、千景が目元にキスをして、再び上を向かされる。

「咲耶、嫌なわけじゃないよね?」
「嫌なわけない」

  ホッとした顔で再びキスをされる。

「好きなんだ、ずっとこうしたかった」
「うん。僕も千景が好き」

  泣きながら、その二言をやっと言えた。
  この感情の名前を。

  再びキスをされる。

「前からずっと。咲耶だけだった」
「僕も、ずっと千景が好き」

「好きだ」

  囁くように言われて、何度もキスをされる。

「んっ」
 
  ぬるりと千景の舌が差し込まれる。
  ぞくぞくと何かが背筋を駆け上がる。
  ヤバい、気持ちいい。

「ん…っ。ち…かげ」

  どちらの息遣いか分からないくらいに、息も唾液も混ざりあう。
  いくらしても足りないというように、何度も角度を変えて貪られた。

  あまりの気持ち良さに、頭が上手く働かない。

「咲耶。……我慢出来ない」

 何を言われてるのかは分かってる。

「うん。……でも僕どうしたらいいのか分からない」

  ぼんやりとしたまま千景を見上げると、顔を赤くした千景がいた。

「咲耶……それ、ダメ」

  ダメ?

  首を傾げるのと同時に押し倒される。
  再び噛みつくようにキスをされて、息が上がる。
    
「んっ」

  気持ちいい。
  舌を吸われて、口の中をまさぐられる。
  千景の湿った舌で顎の裏をなぞられる度にピリピリと何かが身体を抜ける。

「はっ、あっ」

  唇を離れて首筋を吸われると、びくびくと反応してしまう。
  
  そのまま千景は首筋を辿り、胸のところまで舌をはわせながら、形をたしかめるように手をくまなく身体に這わせていた。

  体温が上がる。
  熱い。気持ちいい。

「咲耶…」
「んっ」

  いつの間にか服を剥がれ、千景もバサリと服を脱ぎ捨てる。
  薄闇で僕を視線で縫いとめながら、ゆっくり覆い被さる千景にぞくりとなりながら、腕を伸ばしていた。

  千晶が唇で手で触れるたびに細胞から喜んでいるのが分かる。
  もっと、もっとと浅ましくもねだってしまっていた。

  不意にトロトロと先走りを滴らせながら起ち上がっている僕の中心が温かいもので包まれる。
    
「や、だめ」

  顔を埋めている千景を引き剥がしたいのにあまりの快感に力が入らない。

「あっ、あ…待って、それダメ」

  グチュグチュと音を立てて吸われて、その刺激に思わず腰が逃げる。

  一気にきた快感をどうにか逃したいのに、許されなくて、腰を引き戻された上深く咥え込まれる。

「あっ、あっ、もう無理だから、お願い…ちかげっ」

  絶頂が近付いている。
  泣きながら懇願しても、千景は止まる事はなかった。  

「あっ…!やぁっ!」

  絶頂にビクリと白濁を吐きながら、頭の中は真っ白になる。
  荒い息遣いが部屋に充満している。

「咲耶、少しがまんしてね」

  ぼーっとしていると、大好きな顔が近付く。
  またキスされると、自然に閉じた瞼に千景がキスをくれる。

  同時に足の間にぬるりとしたものが塗り込まれた。

「っ!」

  ビクっと反応した僕に千景が再びキスをして、深く舌を差し入れてくる。

「ん…っ!まっ…」

  後孔に躊躇うことなく何かを塗り込む感覚に再び身動ぐけども、グイっと深く差し入れられた指に身体は反応してきつく締めてしまう。

「んっ…ちかげ、痛い」 
「咲耶、大丈夫だから」

  宥めるようにキスを繰り返し、僕の下半身を再びゆるゆると扱きながら、グチュグチュと指の抜き差しをされた。

「っん…あ、」

  だんだんと痛いのが薄れてくる。
  怖いわけじゃないのに、身体の中を触られてると思うとブルリと震えがでた。

「ちかげぇ……」

  混乱してぐちゃぐちゃに泣きながら、その全ての元凶である千景にすがり付いた。

「咲耶かわいい」

  何度も意識を離しそうになりながら引き戻されるのを繰り返す。
  どれほどの時間そうしていたのか。
  だんだんと痛みは薄くなり、ムズムズとした感覚が這い上がってくる。

「咲耶、大丈夫?」
「んっ、わかんな、」
   
  そんな中千景がある一点を押すと、途端に射精感が込み上げた。

「あ!やだ、そこ、だめっ」
「ん。大丈夫」

  何が大丈夫なのか分からない。
  一気に来た快感に頭が追い付かない。
  気持ちいい。次第に気持ち良すぎて何も考えれなくなってくる。
  グチュグチュと身体のなかを掻き回されながら、浅い息でただ喘いでいた。

「やぁっ、きもちいっ……」

  慣れない感覚なのに、千景の指が中を動くたび快感が走る。
  気持ちよすぎてつらい。

「もういいかな」

  口にだしてつらいと訴えていたら、千景が指を引き抜いた。

「あっ…」

  いきなりの喪失感に思わず縋るように手を伸ばす。

 伸ばした手を繋がれて、宥めるようにキスをされた。

「咲耶」

  濡れた声にぞくぞくする。

「んあ、ちかげ……」

  焦点が合わないまま、千景にさらにキスをねだるようにすがり付く。
  次の瞬間、指の代わりに確かな熱量でもって、堅く大きなものが埋め込まれてた。

「!!」

  熱い。
  同時に衝撃で達してしまう。
  シーツを強く握りしめながら、言葉にならない叫びが出ていた。

「っ、う…ぁ」
「ちょ、咲耶キッツ」

   顔をしかめて苦しそうな千景を見て、何がなんだか分からなかったけど、やっぱりかっこいいとだけぼんやり思っていた。

「ちかげぇ」

  ゆるく挿入されるそれに再び快感の波が来る。

  千景に縋りつきながら、何度もその名前を呼ぶ。

「咲耶」

  千景の声も好き。
  いつもとは違うその声で、名前を呼ばれるとそれだけで身体に快感が走る。

「もう少し、いい?」

  何のことか分からなかったけど、千景が望むなら何でもかなえたい。
  頷く僕に千景がおでこにキスをくれる。

  次の瞬間、衝撃が襲って、思わず喉を反らした。

「っつ!あ…あ。やぁ…深い」

  奥まで差し込まれてきついのに、痛みと同じくらいの快感に頭がおかしくなりそうだった。

「ごめん、咲耶」
「ひっ!やああ…!お…あ…やあっ!」

  もう何を言ってるのかも分からない。
  目の前がチカチカして、上手く息も出来なくて、ただただ快感に喘ぐ。

「また、いっちゃう!っあぁ」

  激しくなる抽入に身体を揺さぶられ、何度も絶頂に追いやられる。
  そして一際感じる質量が大きくなったと感じた次の瞬間、身体の奥に熱が放たれた。

  熱い。
  その熱を感じた瞬間、感じたのは確かな安堵感だった。
   あぁ、いる。
   ここに、ちゃんと。
   涙を流しながら身体の中の熱に堪らない愛しさを感じていた。

   荒く息をついたまま覆い被さっていた千景がまたゆるゆると動く。
   千景の放った物でぐじゅぐじゅと音がする。
   少し居たたまれなくなりながらも、すぐに再び快感の波がやってくる。

「ごめん、止まらない」
「ああ……っ!また、んっ、もう無理」
  
   これが自分の声なんだろうかと思う程の矯声を遠くで聞きながら、喘ぐしか快感を逃せない。

「んあぁぁ。あっ!奥やだぁ」

再び奥まで射し込まれると、目の前に星が飛んだ。

「だめぇ。やぁ、いく!もうだめぇ」

   苦しいと訴えても千景は止まらなくて、頭が真っ白に塗りかわっていく。

「あーーーっ!」

   揺さぶられて、熱を感じて何度もイカされて、何度目かのもうムリって言葉を放って僕は気を失っていた。

   目が覚めたら千景がじっと見ていた。

「おはよう。無理させた。ごめん」

    途端に昨夜の醜態が一気に蘇って、顔が熱い。

「身体、辛くない?」

    心配そうに髪を手で鋤いてくる手にまでドキドキしてしまう。
    身体の中がズキズキと熱を持ったように疼いている。
    昨日の快感が蘇りそうで、慌てて記憶を追い出す。

「大丈夫、平気」

   身体のベタつきもなく、乾いたシーツに千景がキレイにしてくれたのだと知れた。

「あ。千景の家の人……」

   朝になって冷静になったとこで、血の気がひいた。
   聞かれてたらどうしよう。

「あぁ、大丈夫。うち夫婦で会社やってるんだ。いつも飛び回ってて、今海外」

   ほーーっと安堵する。
   よかった。
   あれを聞かれてたら確実にしぬ。

「あれ?でも何時もお弁当」
「自分で作ってる」
「え。本当?」
「今度咲耶にも作ろうか?」

  くすりと笑われる。
  その笑い顔に見とれていると、そっとキスをされた。

「ごめんね。一生離してやれない」
「それ、プロポーズみたい」

  照れ隠しに茶化して言ったら、そうだよと頷かれて余計に恥ずかしくなった。

「ずっと一緒にいて」
「うん。ずっと一緒にいる」

  真面目な顔をするから、真面目に答えるしかなくなる。
    
「高校卒業したら一緒に暮らそう。猫飼ってさ」
「え。猫!?うん!」
「咲耶、食い付きすぎ。猫目的?」
「え。ち……違うよ」
「そんな目をキラキラさせて……」

  いや、猫は嬉しいけど。
  千景の方が大事だから。

「ふぅん?」
「あ。ちょっと、千景。本当だって……あっ」

  ちょっと拗ねた千景にそのまま朝から容赦なく喘がされた。
  それさえも嬉しいと思ってしまうのもどうかと思いながら、千景に手を伸ばす。

  この温もりさえあれば、もう夢も見ない気がする。
  確信のように思った。
   
  闇はもう、感じない。
   



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