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81.イワン商会
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6人と1匹で昼食を『シンちゃん食堂』で取ったあと、俺たちは商業ギルドへと戻ってきた。
「『ふじの湯商会』さん!」
ギルド1階のロビーから、2階の会議室へ向かおうとしていたら、横から声をかけられた。
「あっ、イワンさん?!」
振り向くと、先日会った『イワン商会』のイワンさんがいた。
「先日はどうも」
「銭湯、入らせていただきました!あれは素晴らしいですね!」
俺が挨拶すると、すごい勢いで寄ってきて、両手を握られ上下にブンブンと振られる。
「は、はあ。それは良かったです。気に入っていただけて・・」
振られる手に合わせて、俺の首もガクガクと上下する。
「それに。なんですか、あの水とお湯が出てくる仕組みは?!」
顔が近いっす・・。
「ああ、アレは貯水槽と水道管、それに蛇口を組み合わせた仕組で、ドンク工房さんと共同開発したものです」
「そうなんですか!?是非、あの仕組みを領都でも普及したいのですけど、業務提携をしていただけませんか?」
「いや・・あの、急に言われましても、ちょっとすぐには・・ドンクさんにも相談しませんと・・」
俺は、そっと握られた手を離しながら言った。
「そうですよね・・では、後日お時間を取らせていただいてもよろしいでしょうか?」
「分かりました。この仕組み全体や蛇口自体も、ドンク工房さんと共同で登録してありますので、ギルドを通して商談の場を設けてもらってもいいですか?」
俺はこの世界の商習慣なんて、まだ良く分かっていないからな・・相手が商人のプロだし、なるだけ慎重にいかないと・・。
「もちろんです!あっ、そういえば『おやすみ処』も、もうすぐ改装が終わるんでしたよね?」
イワンさんは破顔し、続けてそう言って来た。
「ええ、あと2日か3日ほどで完成すると思います。丁度、新装開店に向けて、新しい従業員の面接をしていたところでして・・」
「ほう!着々と、事業を広げられているということですね。ますます、業務提携に向けて意欲が沸いてまいりました!」
んー・・これが根っからの商人ってやつか・・すごいな。
「そういうことで、これから午後の面接ですので、失礼させていただきます」
「おお!そうですか。足をお止めして申し訳ありませんでした」
「いえ、大丈夫です」
「では、わたしも商談がありますので、ここで失礼いたします。今日は本当にどうもありがとうございました!」
「はい、では失礼します」
お互いに一礼すると、イワンさんは個室(商談室)へ、俺たちは2階の会議室へと向かった。
「マモルさん!すごいですね」
ポールがメガネをクイクイ上げながら、興奮したように言ってくる。
「何がだ?」
「領都の大商会である『イワン商会』の会頭さんと知り合いなんて、凄くなくてなんだって言うんですか?!」
「領都の商会というのは知っていたけど、そんなに大きな商会なのかい?」
俺がそう聞き返すと、ポールが目を丸くして言ってきた。
「当たり前じゃないですか!『イワン商会』といえばこの国でも5本の指に入る大商会ですよ!この国の主な領都に支店があって、その上この大陸にある4つの国の王都にも支店がある凄い商会じゃないですか!」
そんなに凄い人だったのか・・。
「そうか・・じゃあ、この提携話はそれこそ慎重に対応しないといけなさそうだな・・」
「もちろん!」
いまだに興奮しているポールを横目で見ながら、階段を昇って行った。
「『ふじの湯商会』さん!」
ギルド1階のロビーから、2階の会議室へ向かおうとしていたら、横から声をかけられた。
「あっ、イワンさん?!」
振り向くと、先日会った『イワン商会』のイワンさんがいた。
「先日はどうも」
「銭湯、入らせていただきました!あれは素晴らしいですね!」
俺が挨拶すると、すごい勢いで寄ってきて、両手を握られ上下にブンブンと振られる。
「は、はあ。それは良かったです。気に入っていただけて・・」
振られる手に合わせて、俺の首もガクガクと上下する。
「それに。なんですか、あの水とお湯が出てくる仕組みは?!」
顔が近いっす・・。
「ああ、アレは貯水槽と水道管、それに蛇口を組み合わせた仕組で、ドンク工房さんと共同開発したものです」
「そうなんですか!?是非、あの仕組みを領都でも普及したいのですけど、業務提携をしていただけませんか?」
「いや・・あの、急に言われましても、ちょっとすぐには・・ドンクさんにも相談しませんと・・」
俺は、そっと握られた手を離しながら言った。
「そうですよね・・では、後日お時間を取らせていただいてもよろしいでしょうか?」
「分かりました。この仕組み全体や蛇口自体も、ドンク工房さんと共同で登録してありますので、ギルドを通して商談の場を設けてもらってもいいですか?」
俺はこの世界の商習慣なんて、まだ良く分かっていないからな・・相手が商人のプロだし、なるだけ慎重にいかないと・・。
「もちろんです!あっ、そういえば『おやすみ処』も、もうすぐ改装が終わるんでしたよね?」
イワンさんは破顔し、続けてそう言って来た。
「ええ、あと2日か3日ほどで完成すると思います。丁度、新装開店に向けて、新しい従業員の面接をしていたところでして・・」
「ほう!着々と、事業を広げられているということですね。ますます、業務提携に向けて意欲が沸いてまいりました!」
んー・・これが根っからの商人ってやつか・・すごいな。
「そういうことで、これから午後の面接ですので、失礼させていただきます」
「おお!そうですか。足をお止めして申し訳ありませんでした」
「いえ、大丈夫です」
「では、わたしも商談がありますので、ここで失礼いたします。今日は本当にどうもありがとうございました!」
「はい、では失礼します」
お互いに一礼すると、イワンさんは個室(商談室)へ、俺たちは2階の会議室へと向かった。
「マモルさん!すごいですね」
ポールがメガネをクイクイ上げながら、興奮したように言ってくる。
「何がだ?」
「領都の大商会である『イワン商会』の会頭さんと知り合いなんて、凄くなくてなんだって言うんですか?!」
「領都の商会というのは知っていたけど、そんなに大きな商会なのかい?」
俺がそう聞き返すと、ポールが目を丸くして言ってきた。
「当たり前じゃないですか!『イワン商会』といえばこの国でも5本の指に入る大商会ですよ!この国の主な領都に支店があって、その上この大陸にある4つの国の王都にも支店がある凄い商会じゃないですか!」
そんなに凄い人だったのか・・。
「そうか・・じゃあ、この提携話はそれこそ慎重に対応しないといけなさそうだな・・」
「もちろん!」
いまだに興奮しているポールを横目で見ながら、階段を昇って行った。
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