ゲームの世界に行く話ってあるじゃないですか!

魔法仕掛けのにゃんこ

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乙女ゲーの恐怖

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折角これから先日買ったゲームをやろうと思っていたのに玄関先から妹の声が聞こえてきた、

「おにーちゃーん!ちょっと出かけるから居間のパソコンのゲーム、セーブして落としといてー!」
「あー、わかったー」

俺、平野 凡太(あだ名はヘイボン)と妹の妹子(マイコ)の関係は良好であると言える、
なので兄としても快く返事をしてあげる、寛大で素晴らしいよな。
こういうところもきっとモテる為には必要な要素だと思うんだよね、モテモテへの一歩というやつだ。
別に妹にモテても意味はないんだが、嫌われてしまうと周囲に酷い兄だと吹聴されても困るので気をつけているのだ。

そんなMy人生訓を考えながら居間へと移動する、その足取りは優雅で気品に満ちていると言えよう。まるで貴族のようではないか!
女の子達は貴族のようなこの俺にきっとメロメロになってしまうだろう…うん、いいな。

さてセーブセーブっと…おっと妹のやつめ、乙女ゲーなんぞをしているとは色気づきおって。
画面には無駄にさわやかなイケメン風の男(どうやらどこぞの貴族と言う設定らしい)が此方に目線を送っている、ホワイトニングしたかの様な白い歯がキラキラとしたエフェクトで眩しい。
腰にはサッシュと言う一見腹巻にしか見えない装飾をつけ短剣をぶら下げている。
妹はこういうやつがタイプなのかな?

「さてイケメン君さよなら~」
終了ボタンをクリックしようとした刹那、例の酩酊感が襲ってきた。
えっ、このゲームにトリップするの?イヤダァー!
耐える事もできず俺の意識は恐ろしい闇の底へと落ちて行った…





「急に倒れてどうしたんだい?マイコくん!」
目を開けるとそこには先程の青年貴族が俺を抱えて覗き込んでいるところだった。
妹よ…自分の名前つけてるのか…なんだか兄は悲しくなってきたぞ。

「なんでもないです、ありがとうございます。」
ついロールプレイしてしまい、妹の真似してしまう俺。
冷静な俺の部分がキモイキモイと訴えている。

「今日はこれで失礼します!では!」
ダッシュでこの場を去る俺、どこに行けばいいのかわからないがとにかくここはマズイと心が警告している。
ゲームクリアのためには恐らく誰かしらの男と恋人同士にならないといけないのだろうが正直無理だ。
それは生理的に無理と言うものだろう断固として!
そうなるともう一つだけ道があるはずだ…誰とも結ばれないボッチエンディング。

そう、これを狙うしかない。

このゲームはやったことないから何とも言えないが、何かアクションを起こすとイベントが起きて自動的に恋人ごっこをしないといけない可能性がある。あの青年貴族とかと。

何が貴族だ!馬鹿馬鹿しい!

回避するためには家から一歩も出ない事、確実ではないがこれしかない!
俺のゲーム内引きこもりライフはこうして幕を開けたのであった。
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