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第二章/葉月瑠璃
Episode024/女になっているから……?(前)
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(46.)
真っ暗の中、僕は自宅へと帰っていた。ようやく最寄り駅だ。
夜の十時過ぎ。もう夜中。夕飯時はとっくに過ぎている。
あれから、言われたとおり様々な書類を書いたり、契約書らしき紙に名前を書いたりした。……だけで済むはずもなく、異能力犯罪者に対する基本的な心構えーー相手をよく見る・理解不能な力を使い殺しをされる危険があると考え、逃走・強制連行どちらもできるよう常に気を配る・能力も意図も不明な異能力者も異能力質問として任意で捜査の協力を願い出る・拒めば任意捜査ではなく強制捜査に変更後必要に応じて強制連行すること等ーーまで叩き込まれてしまった。
未来さん(少女バージョン)と僕のマンツーマン。まさかこの時間まで、みっちり何時間も部屋を共にすることになるとは、思いもよらなかった。
瑠璃は素直に帰っちゃうし……瑠璃となら、何時間一緒にいても苦にならないんだけどなぁ……。
おまけに、『異能力犯罪に対する基本』と書かれた教本を未来さんに渡されて、『今日読めとは言わないが、暇な時間を身繕い、少しずつ勉強していけ』と言われてしまった。
まさか自宅でも勉強することになるとは思わなかった。
異能力犯罪特殊取締官になるのは失敗だったのかな?
……いや、瑠璃との関係性を深めるためにも、総谷って人のことも気になってしょうがなく調べたかったんだし、仕方ないことだ。
「ん?」
何気なく空を見上げたら、どこか古びた建物の屋上から、こちらを見下ろす人影が見えた。
人影ーーあれって……。
「静夜!?」
静夜とかいう、あの殺し屋が、屋上から下を見ていたのだ。
まさか、まさか瑠衣のことをまだ狙って!?
「っ!」
何をしているのか確認しなきゃいけない!
もしかしたら、僕の動向を見張っているのかもしれないし。
ーーと急いで屋上に続く扉の前まで侵入してしまったら、まさかの先客がいた。
「あんた、誰よ?」
「ぼ、僕は、その……」
屋上を覗き見ようと階段を登った先には、見知らぬ歳上の女性がいたのだ。
髪はボサボサで、身嗜みもズタズタの、二十歳くらいの女の人。臭いのと、見た目から察するに、何日もお風呂に入っていないことが窺える。
「なに、あんたもアイツに恨みがあるってわけ? なら恐がらないでいいわよ」女性はニヤリと笑う。「私もアイツに恨みがある。今からそれを果たすところ」
ギョッとした。
女性の手元に剥き出しのナイフが握られていたからだ。
「アイツって、静夜って人のこと?」
まさか、このひとも命を狙われているのだろうか。
「違う。陽山月光ーーあそこで会話してる相手? 静夜って」
「え? 陽山?」
僕は気になり、そっと外を覗き見た。
そこには、たしかに静夜以外にも、三十代半ばほどの男性の姿があった。
二人で会話していただけか……なにを話しているんだろう?
耳を傾けてみる。
「……という話だ」
「それはいい。僕も清水刀子が嫌いだ。そもそも、きみにも必ず依頼を受けなければいけない義理はないだろう? どうして清水刀子の味方をするのか、僕にはわからない」
そこには静夜以外に、もうひとり誰かが煙草を吸いながら佇んでいた。
紳士を思わせる外見をした男性ーー陽山という名らしき三十歳越えていそうな男は、煙を吐き出しながら静夜を笑い見る。
「刀子さんにはいろいろお世話になっている。その刀子さんは断れない立場にいるんだ。手伝わないほうがおかしいだろ」
刀子さんーーあの、怪しげな女性のことだろう。たしか、静夜とありすの知り合いだったはず。
「いや? 僕はそう思わない。むしろ自業自得だと切り捨ててしまえばいいじゃないか。殺しの世界から、逃げたのだからね」
「そうか。だが、俺は違う」
「清水刀子は嫌いだ。きみは嫌いではないけれど、苦手ではあるんだよ? 僕の十八番が通じないじゃないか。素直に怒ってくれなければ、面白くもなんともない」
陽山が顔を上に向け煙を吐き出したーー瞬間、隣の女性は突如扉を開いて飛び出してしまった。
「ちょっ!?」
「ひぃいいやぁぁまぁああああ!」
なにか秘策でもあるのか、女性は陽山に向かって走る。
近場にいる静夜のことなど、気にも留めていない。
「やれやれ、きみはしつこいね。ーーおや?」
陽山にナイフを突き刺す前に、静夜から光が放たれる。
あのときの懐中電灯!?
「いっ?!」
「おいおい、待ちたまえ」
なぜか片手に包帯を巻いて使えなくしている静夜は、右手のみで手を動かしている。懐中電灯を照らした直後放り捨て、ポケットからすぐさまなにかを取り出す。と、いきなり刃が飛び出てナイフの形となった。
ーージャックナイフとか言うんだっけ。
「ぐっ!?」
そのナイフが当たるまえーー陽山の蹴りが女性の腹部に命中してしまう。それにより、ナイフは当たらず、女性は背後へ仰向けに倒された。
「この子は今、コーディネート中なんだ。きみとて、殺すのは許さないよ?」
「……そうか。なら、そこにいるのは誰だ」
ば、バレてる~?!
「あ、ども、すみません……通りすがーー「あんたに恨みがある人間っ! ごほっ! か、かならず、ごろず!」」
はぁ!?
なに勝手に決めてんだあの人!
「僕が? はて、きみとは初対面のはずだけど……まあいい。嘘はよくないけど、それより気になることがある。月影日氷子(つきかげひいこ)? きみはいつ、異能力者になったのかな?」
え?
異能力なんて使っていないような……。
「なっなんであんたわかるのよ!?」
「僕にはわかるんだよ。見えるからね」
見えるーーオーラや幽体が、この男にも見えるということなのだろうか?
そして、あの小汚ない女性の名前は、どうやら月影さんというらしい。
「大空静夜。きみは清水刀子の知り合いだろう。なら、異能力者として知らせてやるといい」
陽山は月影さんが咳き込んでいる隣を通り、こちらに歩いてくる。
「ひっ!」
「心配しなくていい、きみには興味がないからね。月影日氷子」陽山は振り返る。「きみはさっさと死んでくれないかな? 自殺場所を決めたら連絡したまえ。ぜひとも死に顔を拝ませてくれ」
なにか名刺のようなものを、倒れている月影さんに投げ当てる。
「楽しみにしているよ」
「ちょっと! ま、待ちなさっげほっ!」
苦しそうにする月影さんの様子を笑い見ながら、陽山は僕を無視して階段を降りていった。
「おまえーー確か、あのときありすと一緒にいただろ?」
静夜は真顔のまま僕に尋ねてきた。
「そ、そうだけど……」
「なら、おまえがありすに異能力者だと教えてやれ。俺も刀子さんも暇じゃない」
静夜はそう言い残し、屋上を後にした。
あ、相変わらず、雰囲気がなにもない。それが逆に、怖い。刀子さんを思い出す影の薄さだ。よく気がつけたな、僕。
だいたい、瑠衣に何にも関係なかったじゃないか。
完全に無駄足だ。厄介な問題に首を突っ込んだ気がしなくもない。
……まあ、今は目前の問題をどうにかしよう。さすがに無視はできないし。
僕は月影さんに駆け寄る。
「だ、大丈夫ですか?」
「大丈夫じゃないわよ……くそ! くそ、くそ、ちくしょう! ぜったい! 次こそは!」
なにかあったのだろう。月影さんは怒りで顔を染めながら、悔しそうに地面を殴る。血塗れになるのを気にも留めていない。
伝えろと言われても……いや、いやいや今の僕は、仮だとしても異能力者保護団体に勤める人間だ。せめて名前以外になにか知らなければならないだろう。
「あの、身分証とか住民票……」
「はい? そんなもの持ち歩いているわけないでしょ?」
ですよね。
ただでさえ住民票とか面倒くさいのに、期限付きのあれをわざわざ持ち歩く人間なんて、この世にいるかも怪しい。
ん……待てよ?
「身分証もないんですか?」
「ないわよ。あっ、そうだ! 今夜だけでいいから、あんたんち泊めなさいよ」
はあ!?
いや、いやいや、いやいやいやいやいやいや無理でしょ!
「無理だって! 親が納得しないよ! 自分の家帰ればいいじゃないですか」
「無理よ。無一文でアイツを追いかけてきたんだから。アイツを殺せば、私は死んだってかまわないから。でも」月影さんはナイフを強く握りながら立ち上がる。「アイツを殺るまでは、ぜったいに死なない! だいたいあんたなんなの? アイツに恨みがあるんじゃなかったの?」
「僕、一言もそんなこと話してないってば……陽山? 誰かすらわからないってば」
静夜ならともかく、陽山なんて聞いたこともない。
だいたい無一文で、あの殺し屋の知り合いを追ってきたという時点で、どうにかしている。いや、それくらい憎むなにかがあったのかもしれないけどさ。
異能力特殊捜査官になったからといって、異能力者らしいこの人を、僕ひとりでーー取締捜査だったかな?ーーをするのは、やっぱり不可能だ。
この場で僕が異能力者保護団体の関係者だとばれたら、ぜったい、異能力を使うなり何なりして逃げてしまう。そうに決まっている。
「で、泊めてくれるの?」
「だから無理……いや、ちょっと待ってくれない?」
待てよ?
考えろ、思考するんだ。
いきなり見知らぬ女性(しかも小汚ない)を連れて帰ったら、家族になんて言われるかわかったものじゃない。第一、さっき親に『異能力特殊捜査官になるから遅くなる』と連絡したときだって、説得するのに時間がかかったんだ。
あえて危ないとか、そういう不都合な事は省いて説明して、アルバイトみたいなものだと言って、ようやく納得してくれたくらいなんだから。
いきなり異能力者発見したから連行してきました。
ーーなんて通用しないだろう。
……むしろ、危ない仕事じゃないのが本当だとアピールするために、月影さんに条件を出して話を合わせてもらえばいいんじゃない?
「……あのさ、これから親に、僕が異能力捜査官になったって嘘の連絡をするから、家に帰ったら話を合わせてくれない?」ここから異能力者保護団体に帰るのは、流石に疑われかねない。逃げられてしまう。「そうすれば、異能力捜査官になったのなら仕方ない、ってことで泊められるかもしれない」
「本当!? 実はここ半月くらいお風呂も満足に入れていないのよ」
「は、半月? に、二週間……?」
どおりで臭いはずだ。そもそも食事とかどうしているんだろう?
「なら、早速今から連絡入れるから、話を遮らないでね?」僕は携帯を取り出し自宅に電話した。「あ、母さん?」
『あ、母さんーーじゃないわよ豊花! 今何時だと思っているの!? 約束した時間と全然違うじゃない!』
うへぁ、お怒りだ。
「僕、異能力特殊捜査官になったんだ」
『それはさっき聞いたでしょう!? それよりいい加減帰ってきなさい!』
奥から裕希姉(ゆきねぇ)の『ゆったー彼氏つくったんじゃね?』という噴きそうになる台詞が聞こえてくる。
やめてくれ、どうしてそこで彼氏!?
裕希姉、なんだか最近本気で僕のことを妹だと思いはじめてない!?
「で、でさ? 実は帰り道に異能力者を見つけたんだけど、そのせいで半月ほどホームレス生活を送ってて……異能力者保護団体に申請するにも、申請できないんだ。もう家の近所だから、泊めてあげられないかな?」
『はあ! ちょっと、我が家に余っている部屋なんてないわよ? もしかして、あんたロリコンに騙されているだけかもしれないわよ! 気をつけなさい』
女性のロリコンなんているんだろうか?
あっ、女の人だと言い忘れていた……。
「いや、女の人だから、それは大丈夫」
「あんた、よく私がホームレス生活だってわかったわね」
そりゃあ、だって普通の人は半月も風呂に入らないなんてありえないじゃないか。その髪や服の汚れ、体臭、なんとなくわかるから。第一、さっきホームレスと同義の内容を自己申告していなかったっけ?
『……ちょっとあなたー、豊花がこんなこと言っているんだけど、ちょっとー聞いてー……』
声が遠くなっていく。父さんに聞きに行ったのだろう。
『ゆった?』
「あれ、裕希姉?」
裕希姉が受話器を預かったのか。
『なになに? 彼氏でもつくった? 私いまフリーだから誰か紹介してくんない?』
「違うから!」
やっぱり突っ込んでしまった。
『お、いつもの突っ込みじゃん飽きないそれー? つか突っ込まれないよう気をつけろよー? だってゆたー、まだ12歳じゃん』
「14さーー16歳だから!」
まさかの下ネタだった。
というか、あれ?
自己年齢認識が、いつしか14歳とすり替えられているぞ?
ーー間をとって15歳でどうだ?ーー
『援交しちゃダメだかんなーママ泣いちゃうぞー?』
ユタカ……それ、ほとんど変わらないじゃないか。いや、瑠衣と同年代になるのか。同級生の友達に?
ーー悪い気もしないのではないか?ーー
『あれ、図星? え、マジかよゆったー』
いやいやいや、瑠璃の年下じゃん。そもそも実年齢は変わらない。というか、起きていたの?
ーーまだ帰っていないんだもん起きてびっくりしたよ。ーー
口調、そっちに統一してくれない?
ーーいや、断ることにしよう。こちらの口調は豊花専用だ。ーー
嬉しくないんだけど……。
『ちょっとゆった、ぼーっとしてんの?』
だいたいーー『無視すんなこらー!』
「わわわっ!」
ついつい脳内会話が捗ってしまった。
どうやら裕希姉の声が頭に届いていなかったらしい。
『まったくさー、おっと? あ、うんわかった』
「なにが?」
『パパが連れてきていいってさー。女性なら突っ込まれる心配はないから、ってちょっとパパエッチー不潔だぞ! ママもいいって。早く帰ってこい我が妹!』
そう言いきると、プツッと通話が切れた。
……いや、多分、父さんは裕希姉に合わせてくれただけだよ。どうして自分が言うのは良くて、父さんが言うのはダメなんだろ?
裕希姉、相変わらず暴君だ。というか、やっぱり妹って認識じゃないか。
「どうなの、泊めてくれるの?」
「う、うん。どうにか誤魔化せたみたい」
誤魔化してないけど。事実を告げただけだ。ただ、こうして自宅へ泊めておいて、あとで瑠璃ーーの電話番号は知らないんじゃん、僕……。
異能力者保護団体関係者の番号がないか探してみる。異能力者保護団体のは登録していないけど、さっき未来さんの番号は教えてもらった。だから登録したはずだけど……あれ?
「……なぜなにどうして?」
瑠衣の番号が登録されているの?
いつの間にか僕の携帯に瑠衣の番号が登録されていた。登録した覚えなんか欠片もないのに。電話番号、メアド、なにかのIDから誕生日まで、みっちりフルに記載されている。
これは……あれかな?
瑠璃は先に寝ただろうし。起きる前に瑠衣が勝手に登録した?
え、いやでも、パスワードあるんだけど……。
ちょっと怖い。いつ見られていたんだろ?
「どうかしたの? 泊めてくれるなら早く行くわよ。あんたんちどこら辺?」
このひと、泊めてもらう立場なのに、ちょっと横暴な気が……。
「ここから10分くらい歩けば着くよ。それより、月影さん」
「どうして私の名前を知ってるの!? 言ってないわよ、あんた、もしかしてエスパー? 異能力者!?」
いや、たしかに異能力者だけど、どうしてって、さっきおもっくそ呼ばれていたじゃん。
月影さんーー横暴とか以前に、その、口には出せないけど……すごいバカなのかもしれない。
真っ暗の中、僕は自宅へと帰っていた。ようやく最寄り駅だ。
夜の十時過ぎ。もう夜中。夕飯時はとっくに過ぎている。
あれから、言われたとおり様々な書類を書いたり、契約書らしき紙に名前を書いたりした。……だけで済むはずもなく、異能力犯罪者に対する基本的な心構えーー相手をよく見る・理解不能な力を使い殺しをされる危険があると考え、逃走・強制連行どちらもできるよう常に気を配る・能力も意図も不明な異能力者も異能力質問として任意で捜査の協力を願い出る・拒めば任意捜査ではなく強制捜査に変更後必要に応じて強制連行すること等ーーまで叩き込まれてしまった。
未来さん(少女バージョン)と僕のマンツーマン。まさかこの時間まで、みっちり何時間も部屋を共にすることになるとは、思いもよらなかった。
瑠璃は素直に帰っちゃうし……瑠璃となら、何時間一緒にいても苦にならないんだけどなぁ……。
おまけに、『異能力犯罪に対する基本』と書かれた教本を未来さんに渡されて、『今日読めとは言わないが、暇な時間を身繕い、少しずつ勉強していけ』と言われてしまった。
まさか自宅でも勉強することになるとは思わなかった。
異能力犯罪特殊取締官になるのは失敗だったのかな?
……いや、瑠璃との関係性を深めるためにも、総谷って人のことも気になってしょうがなく調べたかったんだし、仕方ないことだ。
「ん?」
何気なく空を見上げたら、どこか古びた建物の屋上から、こちらを見下ろす人影が見えた。
人影ーーあれって……。
「静夜!?」
静夜とかいう、あの殺し屋が、屋上から下を見ていたのだ。
まさか、まさか瑠衣のことをまだ狙って!?
「っ!」
何をしているのか確認しなきゃいけない!
もしかしたら、僕の動向を見張っているのかもしれないし。
ーーと急いで屋上に続く扉の前まで侵入してしまったら、まさかの先客がいた。
「あんた、誰よ?」
「ぼ、僕は、その……」
屋上を覗き見ようと階段を登った先には、見知らぬ歳上の女性がいたのだ。
髪はボサボサで、身嗜みもズタズタの、二十歳くらいの女の人。臭いのと、見た目から察するに、何日もお風呂に入っていないことが窺える。
「なに、あんたもアイツに恨みがあるってわけ? なら恐がらないでいいわよ」女性はニヤリと笑う。「私もアイツに恨みがある。今からそれを果たすところ」
ギョッとした。
女性の手元に剥き出しのナイフが握られていたからだ。
「アイツって、静夜って人のこと?」
まさか、このひとも命を狙われているのだろうか。
「違う。陽山月光ーーあそこで会話してる相手? 静夜って」
「え? 陽山?」
僕は気になり、そっと外を覗き見た。
そこには、たしかに静夜以外にも、三十代半ばほどの男性の姿があった。
二人で会話していただけか……なにを話しているんだろう?
耳を傾けてみる。
「……という話だ」
「それはいい。僕も清水刀子が嫌いだ。そもそも、きみにも必ず依頼を受けなければいけない義理はないだろう? どうして清水刀子の味方をするのか、僕にはわからない」
そこには静夜以外に、もうひとり誰かが煙草を吸いながら佇んでいた。
紳士を思わせる外見をした男性ーー陽山という名らしき三十歳越えていそうな男は、煙を吐き出しながら静夜を笑い見る。
「刀子さんにはいろいろお世話になっている。その刀子さんは断れない立場にいるんだ。手伝わないほうがおかしいだろ」
刀子さんーーあの、怪しげな女性のことだろう。たしか、静夜とありすの知り合いだったはず。
「いや? 僕はそう思わない。むしろ自業自得だと切り捨ててしまえばいいじゃないか。殺しの世界から、逃げたのだからね」
「そうか。だが、俺は違う」
「清水刀子は嫌いだ。きみは嫌いではないけれど、苦手ではあるんだよ? 僕の十八番が通じないじゃないか。素直に怒ってくれなければ、面白くもなんともない」
陽山が顔を上に向け煙を吐き出したーー瞬間、隣の女性は突如扉を開いて飛び出してしまった。
「ちょっ!?」
「ひぃいいやぁぁまぁああああ!」
なにか秘策でもあるのか、女性は陽山に向かって走る。
近場にいる静夜のことなど、気にも留めていない。
「やれやれ、きみはしつこいね。ーーおや?」
陽山にナイフを突き刺す前に、静夜から光が放たれる。
あのときの懐中電灯!?
「いっ?!」
「おいおい、待ちたまえ」
なぜか片手に包帯を巻いて使えなくしている静夜は、右手のみで手を動かしている。懐中電灯を照らした直後放り捨て、ポケットからすぐさまなにかを取り出す。と、いきなり刃が飛び出てナイフの形となった。
ーージャックナイフとか言うんだっけ。
「ぐっ!?」
そのナイフが当たるまえーー陽山の蹴りが女性の腹部に命中してしまう。それにより、ナイフは当たらず、女性は背後へ仰向けに倒された。
「この子は今、コーディネート中なんだ。きみとて、殺すのは許さないよ?」
「……そうか。なら、そこにいるのは誰だ」
ば、バレてる~?!
「あ、ども、すみません……通りすがーー「あんたに恨みがある人間っ! ごほっ! か、かならず、ごろず!」」
はぁ!?
なに勝手に決めてんだあの人!
「僕が? はて、きみとは初対面のはずだけど……まあいい。嘘はよくないけど、それより気になることがある。月影日氷子(つきかげひいこ)? きみはいつ、異能力者になったのかな?」
え?
異能力なんて使っていないような……。
「なっなんであんたわかるのよ!?」
「僕にはわかるんだよ。見えるからね」
見えるーーオーラや幽体が、この男にも見えるということなのだろうか?
そして、あの小汚ない女性の名前は、どうやら月影さんというらしい。
「大空静夜。きみは清水刀子の知り合いだろう。なら、異能力者として知らせてやるといい」
陽山は月影さんが咳き込んでいる隣を通り、こちらに歩いてくる。
「ひっ!」
「心配しなくていい、きみには興味がないからね。月影日氷子」陽山は振り返る。「きみはさっさと死んでくれないかな? 自殺場所を決めたら連絡したまえ。ぜひとも死に顔を拝ませてくれ」
なにか名刺のようなものを、倒れている月影さんに投げ当てる。
「楽しみにしているよ」
「ちょっと! ま、待ちなさっげほっ!」
苦しそうにする月影さんの様子を笑い見ながら、陽山は僕を無視して階段を降りていった。
「おまえーー確か、あのときありすと一緒にいただろ?」
静夜は真顔のまま僕に尋ねてきた。
「そ、そうだけど……」
「なら、おまえがありすに異能力者だと教えてやれ。俺も刀子さんも暇じゃない」
静夜はそう言い残し、屋上を後にした。
あ、相変わらず、雰囲気がなにもない。それが逆に、怖い。刀子さんを思い出す影の薄さだ。よく気がつけたな、僕。
だいたい、瑠衣に何にも関係なかったじゃないか。
完全に無駄足だ。厄介な問題に首を突っ込んだ気がしなくもない。
……まあ、今は目前の問題をどうにかしよう。さすがに無視はできないし。
僕は月影さんに駆け寄る。
「だ、大丈夫ですか?」
「大丈夫じゃないわよ……くそ! くそ、くそ、ちくしょう! ぜったい! 次こそは!」
なにかあったのだろう。月影さんは怒りで顔を染めながら、悔しそうに地面を殴る。血塗れになるのを気にも留めていない。
伝えろと言われても……いや、いやいや今の僕は、仮だとしても異能力者保護団体に勤める人間だ。せめて名前以外になにか知らなければならないだろう。
「あの、身分証とか住民票……」
「はい? そんなもの持ち歩いているわけないでしょ?」
ですよね。
ただでさえ住民票とか面倒くさいのに、期限付きのあれをわざわざ持ち歩く人間なんて、この世にいるかも怪しい。
ん……待てよ?
「身分証もないんですか?」
「ないわよ。あっ、そうだ! 今夜だけでいいから、あんたんち泊めなさいよ」
はあ!?
いや、いやいや、いやいやいやいやいやいや無理でしょ!
「無理だって! 親が納得しないよ! 自分の家帰ればいいじゃないですか」
「無理よ。無一文でアイツを追いかけてきたんだから。アイツを殺せば、私は死んだってかまわないから。でも」月影さんはナイフを強く握りながら立ち上がる。「アイツを殺るまでは、ぜったいに死なない! だいたいあんたなんなの? アイツに恨みがあるんじゃなかったの?」
「僕、一言もそんなこと話してないってば……陽山? 誰かすらわからないってば」
静夜ならともかく、陽山なんて聞いたこともない。
だいたい無一文で、あの殺し屋の知り合いを追ってきたという時点で、どうにかしている。いや、それくらい憎むなにかがあったのかもしれないけどさ。
異能力特殊捜査官になったからといって、異能力者らしいこの人を、僕ひとりでーー取締捜査だったかな?ーーをするのは、やっぱり不可能だ。
この場で僕が異能力者保護団体の関係者だとばれたら、ぜったい、異能力を使うなり何なりして逃げてしまう。そうに決まっている。
「で、泊めてくれるの?」
「だから無理……いや、ちょっと待ってくれない?」
待てよ?
考えろ、思考するんだ。
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あえて危ないとか、そういう不都合な事は省いて説明して、アルバイトみたいなものだと言って、ようやく納得してくれたくらいなんだから。
いきなり異能力者発見したから連行してきました。
ーーなんて通用しないだろう。
……むしろ、危ない仕事じゃないのが本当だとアピールするために、月影さんに条件を出して話を合わせてもらえばいいんじゃない?
「……あのさ、これから親に、僕が異能力捜査官になったって嘘の連絡をするから、家に帰ったら話を合わせてくれない?」ここから異能力者保護団体に帰るのは、流石に疑われかねない。逃げられてしまう。「そうすれば、異能力捜査官になったのなら仕方ない、ってことで泊められるかもしれない」
「本当!? 実はここ半月くらいお風呂も満足に入れていないのよ」
「は、半月? に、二週間……?」
どおりで臭いはずだ。そもそも食事とかどうしているんだろう?
「なら、早速今から連絡入れるから、話を遮らないでね?」僕は携帯を取り出し自宅に電話した。「あ、母さん?」
『あ、母さんーーじゃないわよ豊花! 今何時だと思っているの!? 約束した時間と全然違うじゃない!』
うへぁ、お怒りだ。
「僕、異能力特殊捜査官になったんだ」
『それはさっき聞いたでしょう!? それよりいい加減帰ってきなさい!』
奥から裕希姉(ゆきねぇ)の『ゆったー彼氏つくったんじゃね?』という噴きそうになる台詞が聞こえてくる。
やめてくれ、どうしてそこで彼氏!?
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「で、でさ? 実は帰り道に異能力者を見つけたんだけど、そのせいで半月ほどホームレス生活を送ってて……異能力者保護団体に申請するにも、申請できないんだ。もう家の近所だから、泊めてあげられないかな?」
『はあ! ちょっと、我が家に余っている部屋なんてないわよ? もしかして、あんたロリコンに騙されているだけかもしれないわよ! 気をつけなさい』
女性のロリコンなんているんだろうか?
あっ、女の人だと言い忘れていた……。
「いや、女の人だから、それは大丈夫」
「あんた、よく私がホームレス生活だってわかったわね」
そりゃあ、だって普通の人は半月も風呂に入らないなんてありえないじゃないか。その髪や服の汚れ、体臭、なんとなくわかるから。第一、さっきホームレスと同義の内容を自己申告していなかったっけ?
『……ちょっとあなたー、豊花がこんなこと言っているんだけど、ちょっとー聞いてー……』
声が遠くなっていく。父さんに聞きに行ったのだろう。
『ゆった?』
「あれ、裕希姉?」
裕希姉が受話器を預かったのか。
『なになに? 彼氏でもつくった? 私いまフリーだから誰か紹介してくんない?』
「違うから!」
やっぱり突っ込んでしまった。
『お、いつもの突っ込みじゃん飽きないそれー? つか突っ込まれないよう気をつけろよー? だってゆたー、まだ12歳じゃん』
「14さーー16歳だから!」
まさかの下ネタだった。
というか、あれ?
自己年齢認識が、いつしか14歳とすり替えられているぞ?
ーー間をとって15歳でどうだ?ーー
『援交しちゃダメだかんなーママ泣いちゃうぞー?』
ユタカ……それ、ほとんど変わらないじゃないか。いや、瑠衣と同年代になるのか。同級生の友達に?
ーー悪い気もしないのではないか?ーー
『あれ、図星? え、マジかよゆったー』
いやいやいや、瑠璃の年下じゃん。そもそも実年齢は変わらない。というか、起きていたの?
ーーまだ帰っていないんだもん起きてびっくりしたよ。ーー
口調、そっちに統一してくれない?
ーーいや、断ることにしよう。こちらの口調は豊花専用だ。ーー
嬉しくないんだけど……。
『ちょっとゆった、ぼーっとしてんの?』
だいたいーー『無視すんなこらー!』
「わわわっ!」
ついつい脳内会話が捗ってしまった。
どうやら裕希姉の声が頭に届いていなかったらしい。
『まったくさー、おっと? あ、うんわかった』
「なにが?」
『パパが連れてきていいってさー。女性なら突っ込まれる心配はないから、ってちょっとパパエッチー不潔だぞ! ママもいいって。早く帰ってこい我が妹!』
そう言いきると、プツッと通話が切れた。
……いや、多分、父さんは裕希姉に合わせてくれただけだよ。どうして自分が言うのは良くて、父さんが言うのはダメなんだろ?
裕希姉、相変わらず暴君だ。というか、やっぱり妹って認識じゃないか。
「どうなの、泊めてくれるの?」
「う、うん。どうにか誤魔化せたみたい」
誤魔化してないけど。事実を告げただけだ。ただ、こうして自宅へ泊めておいて、あとで瑠璃ーーの電話番号は知らないんじゃん、僕……。
異能力者保護団体関係者の番号がないか探してみる。異能力者保護団体のは登録していないけど、さっき未来さんの番号は教えてもらった。だから登録したはずだけど……あれ?
「……なぜなにどうして?」
瑠衣の番号が登録されているの?
いつの間にか僕の携帯に瑠衣の番号が登録されていた。登録した覚えなんか欠片もないのに。電話番号、メアド、なにかのIDから誕生日まで、みっちりフルに記載されている。
これは……あれかな?
瑠璃は先に寝ただろうし。起きる前に瑠衣が勝手に登録した?
え、いやでも、パスワードあるんだけど……。
ちょっと怖い。いつ見られていたんだろ?
「どうかしたの? 泊めてくれるなら早く行くわよ。あんたんちどこら辺?」
このひと、泊めてもらう立場なのに、ちょっと横暴な気が……。
「ここから10分くらい歩けば着くよ。それより、月影さん」
「どうして私の名前を知ってるの!? 言ってないわよ、あんた、もしかしてエスパー? 異能力者!?」
いや、たしかに異能力者だけど、どうしてって、さっきおもっくそ呼ばれていたじゃん。
月影さんーー横暴とか以前に、その、口には出せないけど……すごいバカなのかもしれない。
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今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
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注意事項
50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。
あらかじめご了承の上読み進めてください。
注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。
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