前代未聞の異能力者-自ら望んだ女体化だけど、もう無理!-

砂風

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第五章/異能力者

Episode102╱襲撃は軽やかに

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(146.)
 結局、深夜から早朝にかけての襲撃はなかった。
 早朝、普段なら寝ている姿を見られない沙鳥たちの寝顔を見られた。

 ……すごい。

 寝癖がはしゃいで天然と養殖の養殖の比率がすごいことになっている!

「沙鳥、鏡子……みんな、朝だよ」

 ゆきもみんなを揺さぶっている。
 昨日聞いた暗い現実とは打ってかわって。

「まぶたを開くとあなたがいる?」ハッとなり沙鳥から離れ背後を振り向く。「豊花さん、彼は今ここに来ましたか?」

 沙鳥の視線のさきには、栗落花とオールバックで眼鏡の男性がいた。

「ご挨拶に窺いにでも……と来たのだが、早すぎたようだ」

 私は急いで素手で男性に触れようとする。

「それはいけないことだ」
「なっ!?」

 意図も容易く避けられてしまった。二度、三度当てようとするが、軽やかに舞うように全てが避けられてしまう。

「きみの弱点のひとつ、危害を加えようとしなければ無力だ」

 寝ていたフリをしていたのか、舞香が男性の背後に現れ、肩に触れようとする。

「それも危ないね」

 栗落花の異能力で座標をずらされ舞香のタッチが当たらない。しかし、舞香は着地するなり蹴り攻撃を男に向けて放つ。蹴りあげ、かかと落とし、回転蹴り、回転後ろ蹴り、それらすべてを寸でのところで避けていく。

「用件はなんでしょうか? あなたのも異能力も教えていただきたい」
「用件は先日の無礼を詫びようと思ってね。私の異能力なぞきみの異能力さえもってすればわかるだろう」

 沙鳥は質問に質問で返されたことにカチンと来たのか、ため息を溢す。

「ザ・オールとでも語ろうか。概念系異能力ではあるが、能力の凶悪さといえばそこにいる杉井豊花と同程度だ」

 やれやれと言った口調で男は語る。

「無礼を詫びるため? ならわざわざアジトに不法侵入してきた貴殿方はさらに無礼です」
「君らのアジトなどとっくにバレている、と私たちの掴んでいる情報(カード)を見せてあげたというのに、まだ足りないのかな?」
「……なるほど、情報戦で既にそちらのほうが上手というわけですか。あなたの名は暗闇(くらやみ) 黒(くろ)? ……夜々に親族がいるとは思いませんでした」

 場は凍っている。誰もがどう動いていいのかわからないのだ。

「私たちの目的は異能力者……新人類が人間の上に立つ事だ。下らない愚妹と比較しないでほしい。なあーー」男はあえて繰り返す。「ーー手を組もうではないか」
「愚弄しないでほしいですね……私たちには私たちの正義があります」
「そうか、なら……ここで死にたまえ」

 扉の脇から見知らぬ髭面の男性が現れた。髪もぐちゃぐちゃで整っていない。

「!? 皆さん舞香さんに!」

 瞬間、重力が途端に重くなった。
 全員が立っていられないほど、ネジ曲がった重力ーー。
 舞香さんに誰一人タッチしていない!
 黒は鎌を取り出す。

「ああぁあああああああッ!」

 舞香さんが突如叫ぶと、男たち二名と栗落花は室内から外に下がる。
 次の瞬間、いつの間にか私たちは、愛のある我が家から離れた公園にいた。ゆき、鏡子、瑠奈、沙鳥、そして私は無事だ。

 舞香さんもいるが、気絶しているかのようにグッタリとしている。
 鏡子が異能力を使い過ぎたときと同じような状態だ。

 結愛と結弦と朱音がいない。朱音は早朝に帰還するように命令していたはずだ。三人があぶない!

「今の私たちが行ってどうなりますか……先ほどの舞香さんの力を加味しても、相手の仲間の男……名前までは読めませんでしたが、概念干渉系の重力を操る異能力者です。対峙したら最後でしょう」

 くっ!

「ルーナエアウラさんに救護を呼びます。瑠奈さんも行けますね?」
「……へへ、やってやろうじゃん」

 寝起きで状況がいまいち理解できていない瑠奈も立ち上がった。

「舞香さんは、いったい……なにを……」
「おそらく異能力が成長したのでしょう。どのような裏技的異能力かはわかりませんが……」

 沙鳥はルーナエアウラに連絡を入れる。
 瑠奈は公園の土をスカートから払って、飛ぶ準備をする。

「いいですか? 先手必勝です。栗落花と黒、男を見かけたら直ぐ様殺害。結弦を除いた男は皆殺しの覚悟でいいです」

 沙鳥はルーナエアウラに繋げながら、二名に説明する。

「わたしを誰だと思ってんの、さとりん。最強の精霊操術師、瑠奈・微風・シルフィードだよ!」

 瑠奈はルーナエアウラより早く愛のある我が家へと飛び立った。

「それにしても、この状況……完全にこちら側が後手になりましたね」

 それはそうだろう。

 居場所が割れてて、そこに侵入を許した上、謎の強力な異能力で危うく全滅。舞香さんがいなかったら敗北だっただろう。

 舞香さんに目を向ける。

 冷や汗を額から流し、苦しそうに地面に倒れ伏していた。 
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