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第五章/異能力者
Episode131╱久しぶりの邂逅
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(187.)
保健室のベッドで横たわっていると、意外と先生も出入りしており、常にここにいるわけではないことがわかってくる。
理科室ほどではないが、やはり清潔な空気と混ざりあうよう薬品の匂いも感じ取れた。
痛みを誤魔化そうと、腹部を擦りながら仰向けに寝転がる。
そしてまばたきをしたーー瞬間。
まぶたを閉じてから開いた一秒もない時間のあいだで、視界には異物が入り込んできていた。
「久しぶりだね。調子はどうかな?」
そこには……容姿や格好、声質まで私と瓜二つの存在が、ベッドを覗き込むような姿勢で唐突に現れたのだ。
「神様ーーいや、神。なにをするつもり?」
私の姿に瓜二つの存在。過去に一度だけ目の前に現れたことのある人物ーー自称、神。その神が突如として目の前に再び現れたのだ。
もう澄関係の問題は解決しただろうに。いったいなんの用なんだ。サッパリやりたいことが理解できない。
「なにもしないさ。ただ、少し相手に依怙贔屓しちゃったものでね。バランスを取るためにも、きみにもなにかしらの情報を渡そうと思ったんだ」
「依怙贔屓?」
「そう。依怙贔屓さ。君たちの中で一番厄介な異能力者を彼らーー異能力の世界に教えてあげたのさ」
「……それはつまり、奴等が私にやけに拘る理由ってわけ?」
「そう。理解が早くて助かるね」
「助かるね、じゃない! 第一、精神的には沙鳥のほうが遥かに厄介だし、能力的には舞香や瑠奈のほうが抜きん出て厄介だ。さらにいえば、暴力だけなら澄以上に厄介な人物なんて、この世界には存在しない。だのに、なのになんで私の名前を出したんんだ!」
ついつい口調が乱暴にもなってしまう。
「相手は豊花が一番厄介だと定義したし、私も愛のある我が家内の異能力者のなかでは、豊花が一番厄介な異能力者だと思っているよ」いるよと神はつづけた。「あいつは私自身で作り上げた神破壊兵器だ。だから凶悪なのも無理はない。でも、澄は異能力者ではないから私は省いて伝えた」
「……省いて……」
「嘘は言っていない。君はそもそも、未だに自分の真の力を自覚していないではないか」
「ちょっと待ってよ!」
いきなり現れたかとおもえば、相手は私が一番危険だと認識していて、実際に愛のある我が家の異能力者のなかでは一番強力な異能力者ーーとまで言い切っているのだ。この子に唆されて……!
だから最近やたらと私ばかりが狙われるのか。
「世界を変えるには未来を変えられる豊花の力は最重要なんだ。とかくそんなヒントを神である私からあの男に伝えたからね」
「おまえのせいで、私や私の身の回りばかりに厄介事が!」
うっ、腹部の痛みで耐えられず横になる。
「この戦いを一方的に終わらせるなら、彼女を頼ればいい。地球破壊装置を」
「……たしかに澄に頼めば終わらせられる気がする」
「彼女の力と、香織の情報収集能力、沙鳥の嘘発見器、瑠奈の暴力、きみの異能力を試せば、すぐにでも討伐できるだろう。真に倒すべき相手なら容赦してはいけないよ」
神は背をこちらに向けた。
「私としてはスマートに、人類と異能力者が手を取り合い、ひとつにまとまるのを期待していたんだけど、これじゃ無理そうだ。新たな手だてを考えないと。まだ人間は異能力を力としてしか認めていない輩が多すぎる。失敗しちゃったよ。いっそ異能力者を一旦削除するか?」
「待ってくれ……異能力者になって足すかったことなんて腐るほどある」
「きみみたいに異能力霊体と付き合いが皆にもあればいいんだけどね」
すると、スーっと神は姿を消した。
神に言われたことを反芻する。
……ひとまず澄や香織、沙鳥や瑠奈の力を借りて異能力の世界を壊滅させる。
それ以外の髪の戯れ言はいったんスルーしよう。
いったいなにが言いたいのかいまいち理解できなかった。
保健室のベッドで横たわっていると、意外と先生も出入りしており、常にここにいるわけではないことがわかってくる。
理科室ほどではないが、やはり清潔な空気と混ざりあうよう薬品の匂いも感じ取れた。
痛みを誤魔化そうと、腹部を擦りながら仰向けに寝転がる。
そしてまばたきをしたーー瞬間。
まぶたを閉じてから開いた一秒もない時間のあいだで、視界には異物が入り込んできていた。
「久しぶりだね。調子はどうかな?」
そこには……容姿や格好、声質まで私と瓜二つの存在が、ベッドを覗き込むような姿勢で唐突に現れたのだ。
「神様ーーいや、神。なにをするつもり?」
私の姿に瓜二つの存在。過去に一度だけ目の前に現れたことのある人物ーー自称、神。その神が突如として目の前に再び現れたのだ。
もう澄関係の問題は解決しただろうに。いったいなんの用なんだ。サッパリやりたいことが理解できない。
「なにもしないさ。ただ、少し相手に依怙贔屓しちゃったものでね。バランスを取るためにも、きみにもなにかしらの情報を渡そうと思ったんだ」
「依怙贔屓?」
「そう。依怙贔屓さ。君たちの中で一番厄介な異能力者を彼らーー異能力の世界に教えてあげたのさ」
「……それはつまり、奴等が私にやけに拘る理由ってわけ?」
「そう。理解が早くて助かるね」
「助かるね、じゃない! 第一、精神的には沙鳥のほうが遥かに厄介だし、能力的には舞香や瑠奈のほうが抜きん出て厄介だ。さらにいえば、暴力だけなら澄以上に厄介な人物なんて、この世界には存在しない。だのに、なのになんで私の名前を出したんんだ!」
ついつい口調が乱暴にもなってしまう。
「相手は豊花が一番厄介だと定義したし、私も愛のある我が家内の異能力者のなかでは、豊花が一番厄介な異能力者だと思っているよ」いるよと神はつづけた。「あいつは私自身で作り上げた神破壊兵器だ。だから凶悪なのも無理はない。でも、澄は異能力者ではないから私は省いて伝えた」
「……省いて……」
「嘘は言っていない。君はそもそも、未だに自分の真の力を自覚していないではないか」
「ちょっと待ってよ!」
いきなり現れたかとおもえば、相手は私が一番危険だと認識していて、実際に愛のある我が家の異能力者のなかでは一番強力な異能力者ーーとまで言い切っているのだ。この子に唆されて……!
だから最近やたらと私ばかりが狙われるのか。
「世界を変えるには未来を変えられる豊花の力は最重要なんだ。とかくそんなヒントを神である私からあの男に伝えたからね」
「おまえのせいで、私や私の身の回りばかりに厄介事が!」
うっ、腹部の痛みで耐えられず横になる。
「この戦いを一方的に終わらせるなら、彼女を頼ればいい。地球破壊装置を」
「……たしかに澄に頼めば終わらせられる気がする」
「彼女の力と、香織の情報収集能力、沙鳥の嘘発見器、瑠奈の暴力、きみの異能力を試せば、すぐにでも討伐できるだろう。真に倒すべき相手なら容赦してはいけないよ」
神は背をこちらに向けた。
「私としてはスマートに、人類と異能力者が手を取り合い、ひとつにまとまるのを期待していたんだけど、これじゃ無理そうだ。新たな手だてを考えないと。まだ人間は異能力を力としてしか認めていない輩が多すぎる。失敗しちゃったよ。いっそ異能力者を一旦削除するか?」
「待ってくれ……異能力者になって足すかったことなんて腐るほどある」
「きみみたいに異能力霊体と付き合いが皆にもあればいいんだけどね」
すると、スーっと神は姿を消した。
神に言われたことを反芻する。
……ひとまず澄や香織、沙鳥や瑠奈の力を借りて異能力の世界を壊滅させる。
それ以外の髪の戯れ言はいったんスルーしよう。
いったいなにが言いたいのかいまいち理解できなかった。
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