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第五章/異能力者
Episode132╱瑠衣を取り巻く関係の変化
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(188.)
保健室から教室に返ると、みんな心配性な表情をしていた。
「いや、ごめん……いきなり女の子の日がきちゃて。あ、ありがとうナプキンくれて」と、二ヘラにヘラしながら着席をする。
まだまだ体も痛いが、生理痛で休むばかりはいけないだろう。
ふらふらしながら椅子に座り込んだ。
「どうした? なんか他の悩みごとでもありそうな顔して」
「いや、だから生理……」
「それとは他にも悩み事がある目してたぞ?」
宮下には看破されてしまったか……。
まえまえから宮下にはお世話になっているけど、今回ばかりはお世話になりきりはいけないんだ。
これは生き死にをかけた戦い。
一般人を巻き込むわけにはいかないんだ……。
(189.)
いつもどおり弁当を食べるため、一年の教室に入り込んだ。
すると、またも瑠衣の周りに人だかりができている。
よく見ればありすまで集まっている。
いい加減、いじめや陰湿なことやめてほしいんだけど。
「瑠衣、遅れてごめ」
「で、ナイフ、鍛えると、なんでも、スパスパ、切れるように、なる」
「マジでー!」
「いいなぁ、俺もほしいな異能力」
あれ。なんか普段とは異なる集まりのようだった。
「これ誰かにあげる」
「はい」「ほしい!」「いや俺のだろ」「いやいや女の子同士仲良くして」
……瑠衣が異能力を使い実演販売染みたことをやっていた。
「ありす……?」
「いやー、なにが起きるのかわからないよね、人って」
ありすが言うには、瑠衣の異能力は貴重な物質に変換できるーーなまくらな挟みでさえシャバシャバ切れるようにできる。
というのを、授業中ハサミが必要になった際、いやいやながら唯一二本持っている瑠衣に借りることになった女の子が、その切れ味にびっくりし、ハサミがクラスメートの中を貸し借りで右往左往した結果、瑠衣作だと判明。
異能力である程度切れ味を調節できたのか、集まった集団全員のかなり切れるハサミに磨いだ? といえるのかはわからないが、笑えるほどサクサク切れるハサミに異能力を使い昇華させてあげたらしい。
「わるぃ。今まで瑠衣のこと勘違いしてたわ。てっきりコミュニケーション取れなくていきなり切り刻んでくるなんて噂があったからさ」
「今までごめん、怖くて関われなかったけど、これからはなにかあったらお願いしてもいい?」
人だかりの大半は瑠衣にお願いしたり、盛り上がったりしていたらっしゃる。
「はい、きょうもよろしく。瑠衣……瑠衣!?」瑠璃は慌てて瑠衣を守るように人を引き剥がした。
「いじめだからって、いつまでつづけ、ん?」瑠衣は普段より笑顔、周りのクラスメートも今までごめん、みたいに謝罪していることに気がつく。「……瑠衣になにがあったの?」
「たまたまクラスでハサミを使ったんだけど、あんたの妹すごいわね。学校の備品がみんなしゃきしゃき切れるように、新品同然の切れ味になったわ」
「え……は、ハサミに異能力つかっているの!? あのバカ!」
しかし、時すでに遅し。大半のクラスメートの挟みは高級挟み並みの切れ味に進化したあとだった。
「なんか……いじめられっ子というかボッチ気味だった瑠衣だけどさ? きょう来たらなんか妙に親しくなってるんだよ」
それでも一部の生徒からは嫌悪されている。が、それが気にくわないほど、瑠衣のクラスメートでの人気がうなぎ登りであった。
「はい、これ、最後」
「る、瑠衣ちゃん……いままでごめん、もしよかったら、仲良くしてくれるとうれしいな……」
最後のハサミを強化したあと、瑠衣は私たちを発見し手を振るう。
人垣を横切りながら瑠衣の前の席に腰掛けつつテーブルを向い合わせにした。
「ありす? どうしてきょうに限って瑠衣に人垣ができているのよ?」
瑠璃は疑問に耐えられず、ありすに直球で質問した。
「いや、わたしもびっくりだよ。授業でいきなり学校側からハサミが貸されたんだけど、切れ味悪くて酷い酷い」そしたら。「瑠衣がいきなり隣の席のクラスメートに、切れ味直すからって言って、本当にシャクシャクきれるようになっちゃってさ……」
「まあ、いいことじゃないか」
「そしたらさー、最初は瑠衣に好き嫌いの感情ないやつが瑠衣に同じお願いしてさ。人が群れて瑠衣にみんなで頼んだんだよ。で、実際に話してみると悪いやつじゃねーじゃん、ってひとが増えて、今日一日だけでいじめっ子集団もなくなったというか、みんな瑠衣の興味津々になっちゃった」
なっちゃった……で済む話しか?
このまえまでは酷い陰口や軽いいじめを受けていたのに、ハサミ事件で羨ましいと思われ、逆に人だかりができたという。
「早くお弁当食べましょうよ」
「ん……」「ああ」
机に集まり、みんなで弁当を広げる。
そこに、なぜか三葉 渚ーー三葉が現れた。
で、なにをするのかと思うと、瑠衣に頭を下げた。
「よく知らない相手に、いくら流されたからといって悪口言って、本当にごめん。ちゃんと会話してみたら、普通のひとと同じだって理解できた。本当にごめんなさい」
「うん、べつにいいよ」
「ッありがとう!」
それだけ言うと三葉は走り出した。
恥ずかしかったのか、過去の自分の行いからくる羞恥からか、しばらくトイレに隠りに行ったらしい。
昼飯を食べてる近場の席に座っている男女も、こちらを向きながらなにを言ってくる。
「てっきり異能力って他人を害するものばかりってイメージがあってさ。たしかに、ね?」
「うん。瑠衣ちゃんの異能力なんてまさに戦闘用かとばかり思っていたんだけどさー、日常生活でも役に立つんだね! あのハサミがあればなんでも切れちゃいそう!」
「力は、抑えめに、したから、大丈夫だと思う、けど、手のひらとかには、当てないで」
珍しく瑠衣は目線を定めず、顔を下ろしたり、視線を右往左往したりしている。普段からなにも会話をしてこなかったからか、クラスメートに対しても挙動不審である。
「りょーかい! これヤフオクでも超切れやすいハサミとかで出したら儲かりそうなもんだよな。なぁ?」
「うん、儲かりそう!」
「こらこら、私の妹を金稼ぎの企みに巻き込まないで」
「へーい……瑠衣、お姉ちゃん厳しいね」
「「だから厳しいとか以前のは」うん、厳しい」
「瑠衣! あんたねー!」
と、普段と同じように、いや、普段よりも騒がしい食事を終え、私たちは元のクラスメートにもどることになった。
保健室から教室に返ると、みんな心配性な表情をしていた。
「いや、ごめん……いきなり女の子の日がきちゃて。あ、ありがとうナプキンくれて」と、二ヘラにヘラしながら着席をする。
まだまだ体も痛いが、生理痛で休むばかりはいけないだろう。
ふらふらしながら椅子に座り込んだ。
「どうした? なんか他の悩みごとでもありそうな顔して」
「いや、だから生理……」
「それとは他にも悩み事がある目してたぞ?」
宮下には看破されてしまったか……。
まえまえから宮下にはお世話になっているけど、今回ばかりはお世話になりきりはいけないんだ。
これは生き死にをかけた戦い。
一般人を巻き込むわけにはいかないんだ……。
(189.)
いつもどおり弁当を食べるため、一年の教室に入り込んだ。
すると、またも瑠衣の周りに人だかりができている。
よく見ればありすまで集まっている。
いい加減、いじめや陰湿なことやめてほしいんだけど。
「瑠衣、遅れてごめ」
「で、ナイフ、鍛えると、なんでも、スパスパ、切れるように、なる」
「マジでー!」
「いいなぁ、俺もほしいな異能力」
あれ。なんか普段とは異なる集まりのようだった。
「これ誰かにあげる」
「はい」「ほしい!」「いや俺のだろ」「いやいや女の子同士仲良くして」
……瑠衣が異能力を使い実演販売染みたことをやっていた。
「ありす……?」
「いやー、なにが起きるのかわからないよね、人って」
ありすが言うには、瑠衣の異能力は貴重な物質に変換できるーーなまくらな挟みでさえシャバシャバ切れるようにできる。
というのを、授業中ハサミが必要になった際、いやいやながら唯一二本持っている瑠衣に借りることになった女の子が、その切れ味にびっくりし、ハサミがクラスメートの中を貸し借りで右往左往した結果、瑠衣作だと判明。
異能力である程度切れ味を調節できたのか、集まった集団全員のかなり切れるハサミに磨いだ? といえるのかはわからないが、笑えるほどサクサク切れるハサミに異能力を使い昇華させてあげたらしい。
「わるぃ。今まで瑠衣のこと勘違いしてたわ。てっきりコミュニケーション取れなくていきなり切り刻んでくるなんて噂があったからさ」
「今までごめん、怖くて関われなかったけど、これからはなにかあったらお願いしてもいい?」
人だかりの大半は瑠衣にお願いしたり、盛り上がったりしていたらっしゃる。
「はい、きょうもよろしく。瑠衣……瑠衣!?」瑠璃は慌てて瑠衣を守るように人を引き剥がした。
「いじめだからって、いつまでつづけ、ん?」瑠衣は普段より笑顔、周りのクラスメートも今までごめん、みたいに謝罪していることに気がつく。「……瑠衣になにがあったの?」
「たまたまクラスでハサミを使ったんだけど、あんたの妹すごいわね。学校の備品がみんなしゃきしゃき切れるように、新品同然の切れ味になったわ」
「え……は、ハサミに異能力つかっているの!? あのバカ!」
しかし、時すでに遅し。大半のクラスメートの挟みは高級挟み並みの切れ味に進化したあとだった。
「なんか……いじめられっ子というかボッチ気味だった瑠衣だけどさ? きょう来たらなんか妙に親しくなってるんだよ」
それでも一部の生徒からは嫌悪されている。が、それが気にくわないほど、瑠衣のクラスメートでの人気がうなぎ登りであった。
「はい、これ、最後」
「る、瑠衣ちゃん……いままでごめん、もしよかったら、仲良くしてくれるとうれしいな……」
最後のハサミを強化したあと、瑠衣は私たちを発見し手を振るう。
人垣を横切りながら瑠衣の前の席に腰掛けつつテーブルを向い合わせにした。
「ありす? どうしてきょうに限って瑠衣に人垣ができているのよ?」
瑠璃は疑問に耐えられず、ありすに直球で質問した。
「いや、わたしもびっくりだよ。授業でいきなり学校側からハサミが貸されたんだけど、切れ味悪くて酷い酷い」そしたら。「瑠衣がいきなり隣の席のクラスメートに、切れ味直すからって言って、本当にシャクシャクきれるようになっちゃってさ……」
「まあ、いいことじゃないか」
「そしたらさー、最初は瑠衣に好き嫌いの感情ないやつが瑠衣に同じお願いしてさ。人が群れて瑠衣にみんなで頼んだんだよ。で、実際に話してみると悪いやつじゃねーじゃん、ってひとが増えて、今日一日だけでいじめっ子集団もなくなったというか、みんな瑠衣の興味津々になっちゃった」
なっちゃった……で済む話しか?
このまえまでは酷い陰口や軽いいじめを受けていたのに、ハサミ事件で羨ましいと思われ、逆に人だかりができたという。
「早くお弁当食べましょうよ」
「ん……」「ああ」
机に集まり、みんなで弁当を広げる。
そこに、なぜか三葉 渚ーー三葉が現れた。
で、なにをするのかと思うと、瑠衣に頭を下げた。
「よく知らない相手に、いくら流されたからといって悪口言って、本当にごめん。ちゃんと会話してみたら、普通のひとと同じだって理解できた。本当にごめんなさい」
「うん、べつにいいよ」
「ッありがとう!」
それだけ言うと三葉は走り出した。
恥ずかしかったのか、過去の自分の行いからくる羞恥からか、しばらくトイレに隠りに行ったらしい。
昼飯を食べてる近場の席に座っている男女も、こちらを向きながらなにを言ってくる。
「てっきり異能力って他人を害するものばかりってイメージがあってさ。たしかに、ね?」
「うん。瑠衣ちゃんの異能力なんてまさに戦闘用かとばかり思っていたんだけどさー、日常生活でも役に立つんだね! あのハサミがあればなんでも切れちゃいそう!」
「力は、抑えめに、したから、大丈夫だと思う、けど、手のひらとかには、当てないで」
珍しく瑠衣は目線を定めず、顔を下ろしたり、視線を右往左往したりしている。普段からなにも会話をしてこなかったからか、クラスメートに対しても挙動不審である。
「りょーかい! これヤフオクでも超切れやすいハサミとかで出したら儲かりそうなもんだよな。なぁ?」
「うん、儲かりそう!」
「こらこら、私の妹を金稼ぎの企みに巻き込まないで」
「へーい……瑠衣、お姉ちゃん厳しいね」
「「だから厳しいとか以前のは」うん、厳しい」
「瑠衣! あんたねー!」
と、普段と同じように、いや、普段よりも騒がしい食事を終え、私たちは元のクラスメートにもどることになった。
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