前代未聞の異能力者-自ら望んだ女体化だけど、もう無理!-

砂風

文字の大きさ
145 / 233
第五章/異能力者

Episode139╱一時の休息

しおりを挟む
(196.)
「豊花さん、瑠璃さん、瑠衣さん、ありすさんはきょう休んでいて大丈夫です」

 と、会議が終わり次第沙鳥にそう命じられた。

「え?」

 意外すぎる提案に、思わず立ち止まってしまう。

「瑠璃さんや瑠衣さんは事故に巻き込まれそうになって疲弊しているでしょうし、豊花さんは事件のど真ん中に立たされ精神が不安定です。ありすさんも水無月の討伐に失敗して疲労している様子ですから」
「私はまだ戦えるよ。こんなことで休んでちゃ殺し屋の名が廃るって」

「念のためです。きょうはB班ーー私と舞香さん、瑠奈さん、ゆきさんに任せて養生なさってください。念のため自室で横になっていてはいかがでしょうか?」

 瑠衣と瑠璃は素直に頷き、文句はありそうにない。
 私自身、生理のピークは迎えたものの、まだまだ痛みと股の水気は残っていて、アグレッシブに動くのは控えておきたい。だから素直にありがたく受け取っておく。

ーー本当にそれだけか?ーー

 ……違うよ、違うんだよ。わかっている。わかっているよ!

 あんな空気が漂う教室に、どんな顔で登校すればいいっていうんだよ!
 養生……したところで、明後日にはそのときがやってくる。

 この世に生理以上に悩む事柄なんてない。そう思っていたのに……どうすれば……。

「私は煌季に治してもらえればすぐ戦力になるけど?」

 ありすは沙鳥に提案する。
 しかし……。

「勿論、身体面はみな治療します。が、精神面です。河川百合に対しての感情が渦巻いています。それを抑制してきてください」
「お見通しってわけね。まったく、侮れないなぁ」

 ありすは煌季に歩み寄る。そのまま至るところに出来たかすり傷を煌季に差し出した。煌季はそれに手を翳して治療回帰を開始する。

「豊花さん」
「え、あ、はい……」

 沙鳥に急に名を呼ばれた。
 なんだろう?

「豊花さんは学校でいろいろ言われるかもしれませんが、それの対策を練っていてください」
「は、はい……」

 対策を練る?
 どうやって皆に説明すればいいと言うんだ?
 なにひとつ思い浮かばない……。

「おそらく相手方も二度目は学校は襲わないでしょう」沙鳥は瑠奈をチラリと見やる。「B班からも監視をつけます。瑠奈さんのB班の役割は、学校がある時間帯は学校周辺を見守ることです」ああ、と沙鳥は付け足した。「瑠奈さんは休憩時間は中に入ってもいいらしいですね。そこはご自由にどうぞ」
「マジで?マ・ジ・で!? 碧ちゃん会いたいな~薬やめててくれてるかな~わたしの愛で!」

 瑠奈ははしゃいで喜んでいるが、うん、残念ながら蒼井 碧は薬物にベタぼれのまんまだよ……。
 暗雲垂れ込める私の心情とは裏腹に、瑠奈はルンルン気分で施設の奥へと入っていった。

 どうやら瑠奈はアリーシャに会いにいくみたいだ。

 沙鳥たちはさっそく、鏡子と香織の情報集めを協力をする。地図を用意してまるやばつをつけていっている。

「豊花さんは休んで心情整理してくださっていてよろしいですよ」

 と言われてもなぁ……。
 三日月と煌季は優雅にコーヒーを飲みながら、ありすたちの怪我を治していっている。

 と、煌季がこちらを向いた。

 ああ、このかすり傷か……。

 私は私の腕についたかすり傷を差し出した。
 煌季がそれを治そうとしたさい訊いてみる。

「あの……男体化は直せないんでしょうか?」
「男体化に戻れたら治せるだろうけど、戻せる?」

 しかし、男体化と唱えても元に戻る気配はまるでない。
 やはりガッカリしてしまう。

 これで完全に女の子になってしまったんだと……理不尽さにイライラしてくる。
 ……絶対に奴等を許せない。

 あいつらがやらかしたことは殺人だ。罪もない一般人を巻き込んだテロ行為だ。
 普通なら死んだら復讐できない。


 ーーでも私にはこのからだがある。


 ぜったい、いつか、いくら男性のからだに未練がなくたって、復讐してやる!
 私は胸に強くそう刻んだ。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

WIN5で六億円馬券当てちゃった俺がいろいろ巻き込まれた結果現代社会で無双する!

TB
ファンタジー
小栗東〈おぐりあずま〉 二十九歳 趣味競馬 派遣社員。 その日、負け組な感じの人生を歩んできた俺に神が舞い降りた。 競馬のWIN5を的中させその配当は的中者一名だけの六億円だったのだ。 俺は仕事を辞め、豪華客船での世界一周旅行に旅立った。 その航海中に太平洋上で嵐に巻き込まれ豪華客船は沈没してしまう。 意識を失った俺がつぎに気付いたのは穏やかな海上。 相変わらずの豪華客船の中だった。 しかし、そこは地球では無かった。 魔法の存在する世界、そしてギャンブルが支配をする世界だった。 船の乗客二千名、クルー二百名とともにこの異世界の大陸国家カージノで様々な出来事はあったが、無事に地球に戻る事が出来た。 ただし……人口一億人を超えるカージノ大陸と地球には生存しない魔獣たちも一緒に太平洋のど真ん中へ…… 果たして、地球と東の運命はどうなるの?

オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】

山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。 失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。 そんな彼が交通事故にあった。 ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。 「どうしたものかな」 入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。 今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。 たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。 そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。 『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』 である。 50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。 ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。 俺もそちら側の人間だった。 年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。 「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」 これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。 注意事項 50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。 あらかじめご了承の上読み進めてください。 注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。 注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。

性転のへきれき

廣瀬純七
ファンタジー
高校生の男女の入れ替わり

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

処理中です...