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第六章/平凡な非日常
Episode144╱普通になりたい同好会②
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(205.)
12月25日(金)ーー。
クリスマスでもなにもないまま日常は残酷にやってくる。
久しぶりの一人での登校、まえまでは瑠璃含み、朝は四人で登校していたから妙に違和感を覚える。
登校途中で瑠衣たちがやってきた。きょうからはありすや瑠奈たちは来ない。
久しぶりの三人の登校だ。
「なんかあったら言ってね? 私たちは豊花の味方だから」
「うん……」
でも、瑠璃は隣のクラスなんだよな。
なにかあるのは自分での教室の話だと思うんだけど。
「じゃあ、また」
「豊花、お昼」
「あ、いや昼は……まあいいや、またあとで」
昼には行きたい場所があるんだけど、あとで瑠璃に伝えればいいか。
学校に着くと、瑠璃と瑠衣はそれぞれの教室へと向かった。
緊張しながら教室に入る。
ガヤガヤしていた喧騒が一時期止まり、周りの視線が私に集中する。
すぐに視線は分散するが、皆それぞれ私についての話題に触れているのか、こそこそ話をはじめた。
「おい豊花、大丈夫だったか?」
早速とばかりに、宮下だけは心配そうに駆け寄ってきた。
「うん、私は大丈夫だよ……」
「このまえのあれ、なんだったの? 瑠奈様は?」
遅れて碧も疑問視しながら訊いてくる。
「……瑠奈がその、問題に関与していてさ。もう来ることはないと思う。問題は解決したから」
「解決したのか?」
「うん」
宮下はホッと胸を撫で下ろす。
碧は逆に不安げな表情を顔に浮かべーー。
「瑠奈様に会いたい。会いたいから会えるように連絡先を教えてくれない?」
ーーそう頼まれてしまった。
仕方なく、一応瑠奈に電話することにする。
なにも言わずに連絡先を教えたら後々問題になるかもしれない。それに瑠奈の携帯って、あれトバシケータイなのかな?
『もしもしぃ……なに朝っぱらから……』
凄い不機嫌そうな声が聴こえてきた。
むにゃむにゃ言っておられる。
「碧からさ、瑠奈の連絡先を教えてくれって言われたんだけどーー」
『碧ちゃん!? いいよいいよ! 電話番号とラインID教えといて! そうだったそうだった。番号交換してないもんねー』
「あ、うん。じゃあ教えておくね」
通話を切って、嬉しそうな表情をしている碧に連絡先を紙に書いて渡した。
「あ、一応杉井のも」
「あ、はい」
杉井と瑠奈様……この差はいったい。
「というか……その、碧は気にならないの? その、このまえの件」
「気になるけど、私からすれば瑠奈様があれくらいには関わってそうだと思ってたから、杉井が関わっててもね」
なるほど、好きなひとと関わりがある私も、人殺しーー抗争に関わっていそうだから気にはならないと。
他のクラスメートはまえまえからあまり会話していなかったからか、特に話しかけてはこない。
これなら以前と変わらない気がしてきた。
まあ、見る目は変わっている気がする。
まえは物珍しさや可愛さから見てきたが、今は畏怖の念が込められている。
好きに言えばいいさ、もとより孤独には慣れている。
「おい、おまえら!」宮下が急に大きな声を出すと、再び喧騒が収まった。「たしかに、杉井は、豊花は変なことに巻き込まれていた。でも、ああしないと解決できなかったんだ。雪見先生も助からなかった!」
少し恥ずかしいけれど、宮下が私の代わりに説明してくれている。
「で、だ。その問題はもう解決した。みんなが巻き込まれる心配はない。決して豊花を変な目で見ないでくれ」
宮下がそこまで言うと、クラスメートの少数は頷いてくれた。
どうやら周りも表面上は納得してくれた様子だ。
「ありがとう宮下、いろいろ助かるよ」
「俺も助けてもらったしな」
あれはそもそも私がいたから巻き込まれたことなのに……宮下はいいやつだな。
「瑠奈様瑠奈様~、さっそくライン送ろう!」
……碧は我を往くなぁ……。
「はいみんな~、席について~」
雪見先生が教室へと入ってくる。
そのままみんな静まり返る。
そうして、いつもどおりの授業が始まったーー。
(206.)
昼休みがはじまると同時に、私は教室をあとにして隣のクラスに向かう。
「あれ、豊花?」
「ごめん、瑠璃。きょう、ちょっと昼休み行くところがあるから」
瑠璃に対し、きょうはお昼休み、一緒に瑠衣のところにはいけないと告げた。
行く場所があるのだ。
未だに行くべきか葛藤しながらも、同好会ーーそう、普通になりたい同好会の門を叩く。
と、背後から視線を感じ、いきなり危機を察知した。
振り向き様に相手の手首を掴む。
「柊!?」
「ちっ」
そこには柊ナナが、ナイフの刃の背中をぶつけようと振りかぶっていた。
その向けられたナイフを持つ手首を、私が慌てて掴んだかたちだ。
それを無理やり下ろす。
怪我したらどうするつもりだ!?
「こらっ! ったく、杉井、悪かったな」
柊の頭を背後から叩きながら空先輩が叱りつけ、私に対し謝ってきた。
「いくら刃を向けていないからって危ないじゃないですか。学校に何てものを持ってきているんだよ?」
若干怒り気味に柊に問いかける。
柊はぶうたれ、無視して室内に入ってしまう。
「はぁ……柊は幼い頃から喧嘩ばかりしててな、ナイフを振るしか脳がないんだ。未だに自分が最強だと信じ込んでいる。おまえに破られたのにな」
代わりに空先輩が説明してくれた。
「一番倒したいのは先輩、あんただけどね!」
柊は吐き捨てるように言う。
室内には、田井中夕夜ーー田井中先輩と、既に昨日会った楠瀬と伊勢原も揃っていた。
楠瀬と伊勢原は私を見るなり居心地悪そうな顔をする。
「で、何の用だ?」
「……はい。普通になりたい同好会に興味を再び抱きまして、みなさんの悩みをもうちょっと訊きたいなとーー特に」
楠瀬と伊勢原に視線を向ける。
あの二人の関係性がモヤモヤして仕方がない。
空先輩は無言で室内に入り、椅子を端から寄せて持ってきてくれた。
私は頭を下げ、それに腰かけた。
「じゃあまずは私から。言っとくけど、私は普通になりたいだなんて思ってないからね?」柊は並べた机に足をガンっと乗せた。「先輩に連れられて入ったの。私は強い相手を見ると無性に挑みたくなるのよ。格の違いを知らしめるためにね?」
「で、おまえは私と杉井に負けたんだ」
「今すぐ表でろ! もう一度やれば私が勝つから!」
「やめてくれ。私は普通になりたいんだ」
そう呟くように言う空先輩は、見てくれだけなら普通の文学少女のようだ。
まあ……以前チェーンを向けられたんだけど。この中ではわりと常識人っぽい。
「柊は昔っからケンカばかりして暮らしてきたからな、夜な夜な街に繰り出しては不良にケンカを売っているんだ。戦うことでしか自分が見いだせない能無しだよ」
「あのさぁ、私から言わせてもらいたいんだけど? 勉強、はぁ? なんのために? 世の中強いやつが上に立つんだ。脳みそ鍛えたってナイフ突き立てりゃそれでパァ、意味がない! 意味がないのよ、勉強したって! 頭鍛えたって!」
なんて横暴なんだ。
今の平和な世界が世紀末にでも見えているのだろうか?
私だって裏社会を歩いているけど、殺人は最終手段。愛のある我が家だって、沙鳥主導の場合は殺人は基本的にNGだ。
一人殺すも二人殺すも一緒ーーいや違う。どこかで沙鳥はそう言っていた。
「でも、おまえより強い奴は普通にいるとこのまえ悟ったんだろ? だったらナイフに執着するのをやめたらどうだ?」
「強い癖に強さを放棄したい奴の意見なんか聞きたくない!」
フンッと柊はそっぽを向いてしまう。
たしかに柊は以前に会った際もいろいろな人に牙を剥いたけど、負けた場面しか見ていないし聴いていない。
私には正面から負けたし、聞く話に寄ると空先輩にも負けている。少し似ているありすには歯が立たなかったらしいし、瑠奈には簡単に弾かれた。最後には叶多にまでやられる始末。
ん?
「強さを放棄したいとは?」
「いやな、私はまえにも言ったとおりスケバンーー不良だったんだ。で、コイツみたいに喧嘩に明け暮れていた。でも、そんな日々は将来無駄になると悟ったんだ」空先輩は懐かしむようにまぶたを細めた。「喧嘩はやめはしたが、過去は付きまとう。過去の知人であるメンバーのひとりがーー今はドラゴンメンバーになったあいつらのことな」
今や懐かしくもある暴走族の名前を出した。
「その知人とやらが?」
「ああ、柊に絡まれて怪我してたんで、私が助けたんだ。そしたら代わりに私が柊に絡まれたから、返り討ちにしたんだが……」
「納得いかない。腑に落ちない! 私が最強なのに!」
「とな。しつこく学内でも絡まれるようになってしまった」
空先輩は心底後悔するようにため息をつく。
「当時から私は喧嘩をやめて普通になりたかったんだ。だから柊に絡まれたことで決心した。この部活をつくろうとな。人数が足りず同好会だが、この学校は二人でもつくれた」
「先輩がつくるっていうから私は入っただけ。先輩を毎日ぼこせると思ったから入ったのに、なによ!? やることなすこと普通ばかり! ボランティアが普通? 慈善活動じゃない!」
思わず噴きそうになる。
たしかに、たしかにボランティアは普通ではない。
単なる慈善活動だ。でも普通にいいことだよね。
「ボランティアとかしてるんですか?」
「ボランティアに限らず、普通に人助けや、普通の遊び、普通に勉強とかをして、非日常に慣れてしまった身体を日常に浸して直しているんだ」
「非日常……」
この人たちの言う非日常は、表社会の、いうならば平凡な非日常だ。
だけど私の場合は違う。裏社会の平凡な日常だ。
じゃあこの部活に入る意味は?
ーーいや、ある。
今や、表側に裏側が侵食してきて、表社会での関わりがある人たちにまで裏側での問題がバレてしまった。
それを普通に正すのは意味がないとは言えない。
「まあ未だに」空先輩は鞄から鎖を取り出した。「この手の護身具がないと不安で仕方ないんだがな。以前はすまない。ついつい癖で柊を助けるようにつづけて挑んでしまった」
「いえ……」
ん?
いや、柊が勝手に襲ってきたのに、それに対して防衛しただけなのに癖で守るっていうのはおかしくないか?
……まあいいか。
「私は普通になりたい。で、柊と楠瀬を除いたら普通になりたい奴等が集まった同好会なんだ」
「え? 楠瀬も柊みたいに?」
たしかに、普通になりたいならお金を受け取らなければ済む話だ。
なのに、ここにいる意味はーー。
「私は青がいるから、ここにいるだけ」
「僕は……普通の友達をつくって普通の学校生活を送りたいんだ」
このまえのことが頭にあるのか、楠瀬はツンっとした対応をする。
それに対して伊勢原は、あまり気にしていないのか普通に答える。
「さきに言っておくけど、お金を受け取らなければ済むってのはなしね。私たちはお金で成り立っているから。でもその対価として仲良し以上に親友みたいに仲良くしてあげてるの」
「……そんなの……普通じゃない。伊勢原、お金で買えない友達だってできる日が来るよ」
「それを期待して中学時代ぼっちで過ごした。いじめすらなく孤独なんだ、僕は。だったらお金で買えるなら友情を買う。僕は顔も悪いし体型も酷い、性格だって暗い。そんな僕にお金でも唯一付き合ってくれる美里は、一番大切な存在なんだ」
大切な存在と言われて、楠瀬は満足そうにする。
なんて歪なんだろう。
関係が歪んでいるし、伊勢原もたまたま友達ができなかっただけじゃないだろうか?
お金しかなくても、金沢みたいな悪友がたくさんいるやつもいる。
だというのに、楠瀬しかいないのは不思議だ。
「でも、普通になりたいからここにいるんだよね? 伊勢原は」
「……うん」
「じゃあ私が友達になるから友達料金を払うのはーー」
「勝手に横から口出ししないで! そんなの単なる口から出任せよ」
私の台詞を楠瀬が突如怒り塞き止めた。
「……」伊勢原も機嫌を悪くしたような顔つきを見せた。「きみは美里みたいな友達にはなってくれないよ」
二人の関係に口を出したのは迂闊だったか?
でも、そんな壊れた関係を続けられるわけがない。
「そういえば楠瀬は一年、伊勢原は二年だけど、二人はどうやって知り合って友達料金を払うに至ったの?」
「それは……」
「それは美里が入学した日にたまたま会ってだよ。そういえば僕を見かけて声をかけてくれたね? どうして僕に? 友達がいなさそうだったから?」
楠瀬が別の場所をいいかけた気がした。
少なくとも、伊勢原とは回答が違うと直観が告げている。
「そうね。友達がいなさそうだしお金は持っていそうだったから、それで友達になってあげたの」
とってつけたような内容だ。
友達がいなさそうだったからーーそんなの他にも大勢いる。そもそも楠瀬が入学した日なら、私も女の子になっていなかったから、そう見える外見のはずだ。
しかし実際は違う。
私には宮下や裕璃がいた。
外見だけではひとは判断できないのだ。
「いい加減にしてくれ!」
「え?」
いきなり田井中先輩が叫びだした。
そして窓を指差す。
「そ、そこからずっと見てるんだ! おかっぱの女の子が! ばかにしてるんだろう!? 俺は負けないぞ?」
「またか……」空先輩はカーテンをしめた。「田井中にはどうやら幽霊が見えるらしくてな。その手のものが見えてしまうのに困っているんだ」
ーー幽霊ーー? 待て、幽霊が見えるのなら私まで見えているはずだぞ? 違うなにかを見ているんじゃないか?ーー
そういえばそうだ。
でも、ユタカとは融解したあとだし、姿は消えている。
だから見えないだけではないだろうか?
ーーいいや、違う。私たちは幽体だが、こいつの見ているのは幻覚、はたまた霊体だ。ーー
え、幽体と霊体って違うの?
今まで無意識に似たようなものだと思っていた。
ーー霊体は本来姿がない思想の塊だ。怖い話とかは大半が霊体による現象だ。ーー
へー……怖い話とかって、すべてフィクションだと思っていた。
なんだかそう言われると、途端に怖くなる。
ついついカーテンの向こうに意識が行ってしまう。
「俺はもう諦めてる……でもやっぱ諦めきれない!」どっちだ。「悪霊はそのあたりをうろうろしている! 俺はそいつらと縁を切りたい! 見てしまうと見られていると奴等は反応して寄ってくるんだ!」
「まあ、話半分に聞いてやってくれ」
空先輩は心配するよりも呆れているような表情をする。
……これがユタカの言うとおり霊体とやらならば、可哀想な気がするけど、もしも幻覚だとしたらーーやっぱり可哀想じゃないか。
どちらにしても可哀想であった。
対処の仕方が違うけど。
ーー現在は異能力のおかげで幽体は異霊体として認識されている。逆に心霊の類いは心の霊と書き、心が生み出す霊体ーーいわばオカルトの域を出ない。ただ、私個人としては興味があるな。私も見えない存在がいるなら、そいつらはどのような暮らしをしているのかが。ーー
たしか異霊体は自分に合う肉体を探して浮遊するんだっけ?
そもそも発生したのはいつなの?
ーー……わからない。ーー
え?
ーー私もいつ私が生まれでたのか把握していないんだ。気がついたらそこにいた。ーー
……まあ、わからないなら無理に知る必要もないか。
「それで、おまえーー杉井は元は男だったんだったか? 男に戻りたいのか?」
「いえ……」別に男の人生に悔いはない。「自分はある陰謀に巻き込まれてしまいました。それがクラスメートにまで波紋が及び、普通といえる暮らしが送れなくなったんです。けど、どうにかまた、今までとかわりのない学校生活を送りたいーーそう、普通の暮らしに戻りたいと願ったからここに来ました」
正直に所望することを述べた。
そうーー裏社会は仕方がない。でも、表社会では普通といえる生活を送りたかった。
まえまでは送れていた。だから取り返したい。
「ここの者たちは皆、悩みを抱えている。だが、しょせんは傷の舐めあいでしかない。自分の悩みはどうにせよ自分で解決することになる。それの手助けができるかどうかだ。それでも入りたいか?」
「……はい」
言われたとおり、しょせん自分の問題は自分で解決する以外に諸方はない。
でも、今の問題を抱えている私にこそふさわしいと思えた。
それにーー。
「……なによ?」
チラッと楠瀬と伊勢原を見る。
二人の関係がどうにも気になってしょうがないのだ。
裏社会にまで一時とはいえ入り込んだ二人ーー。
過去にありすが言っていたーー刀子さんから聴いた話だというーー袖すり合うも多生の縁。多少ではなく多生なのだ。
「わかった。なら入部届けを出してくれ。活動は昼休みにみんなで集まって駄弁る、手伝ってほしいことがあれば申し出る、やってみたいことがあれば提案する、放課後も六時までは何らかの活動をするーーそれが普通じゃないことをする時間を減らすことに繋がるんだ」
「わかりました」
ーー放課後も集まるのか。
しばらく愛のある我が家も休めないかな?
六時からだとそんなに働けないし。
そうこうしているうちに、昼休みの終わりの予鈴のチャイムが鳴った。
「放課後もう一度集まる。きょうは近くの川の掃除だ」
「掃除……ボランティアですか?」
「ああ」
それでこの面子が素直に集まるのはある意味すごいな。
伊勢原くらいだろう、言うことを聞きそうなメンバーは。
まあいい。あとで愛のある我が家に連絡して、瑠璃にも伝えておこう。
どうせなら休日も休みたいから愛のある我が家には頼み込もう。そして瑠璃をデートに誘いたいな……。異能力者の杉井豊花ではなく、普通の人として、瑠璃を誘おう。
ここ最近は異常に蝕まれて普通を忘れかけていた。
どうにか頑張って普通に戻る。心底そう願えた。
ーーこうして、普通になりたい同好会のメンバーに一時的になったのであった。
12月25日(金)ーー。
クリスマスでもなにもないまま日常は残酷にやってくる。
久しぶりの一人での登校、まえまでは瑠璃含み、朝は四人で登校していたから妙に違和感を覚える。
登校途中で瑠衣たちがやってきた。きょうからはありすや瑠奈たちは来ない。
久しぶりの三人の登校だ。
「なんかあったら言ってね? 私たちは豊花の味方だから」
「うん……」
でも、瑠璃は隣のクラスなんだよな。
なにかあるのは自分での教室の話だと思うんだけど。
「じゃあ、また」
「豊花、お昼」
「あ、いや昼は……まあいいや、またあとで」
昼には行きたい場所があるんだけど、あとで瑠璃に伝えればいいか。
学校に着くと、瑠璃と瑠衣はそれぞれの教室へと向かった。
緊張しながら教室に入る。
ガヤガヤしていた喧騒が一時期止まり、周りの視線が私に集中する。
すぐに視線は分散するが、皆それぞれ私についての話題に触れているのか、こそこそ話をはじめた。
「おい豊花、大丈夫だったか?」
早速とばかりに、宮下だけは心配そうに駆け寄ってきた。
「うん、私は大丈夫だよ……」
「このまえのあれ、なんだったの? 瑠奈様は?」
遅れて碧も疑問視しながら訊いてくる。
「……瑠奈がその、問題に関与していてさ。もう来ることはないと思う。問題は解決したから」
「解決したのか?」
「うん」
宮下はホッと胸を撫で下ろす。
碧は逆に不安げな表情を顔に浮かべーー。
「瑠奈様に会いたい。会いたいから会えるように連絡先を教えてくれない?」
ーーそう頼まれてしまった。
仕方なく、一応瑠奈に電話することにする。
なにも言わずに連絡先を教えたら後々問題になるかもしれない。それに瑠奈の携帯って、あれトバシケータイなのかな?
『もしもしぃ……なに朝っぱらから……』
凄い不機嫌そうな声が聴こえてきた。
むにゃむにゃ言っておられる。
「碧からさ、瑠奈の連絡先を教えてくれって言われたんだけどーー」
『碧ちゃん!? いいよいいよ! 電話番号とラインID教えといて! そうだったそうだった。番号交換してないもんねー』
「あ、うん。じゃあ教えておくね」
通話を切って、嬉しそうな表情をしている碧に連絡先を紙に書いて渡した。
「あ、一応杉井のも」
「あ、はい」
杉井と瑠奈様……この差はいったい。
「というか……その、碧は気にならないの? その、このまえの件」
「気になるけど、私からすれば瑠奈様があれくらいには関わってそうだと思ってたから、杉井が関わっててもね」
なるほど、好きなひとと関わりがある私も、人殺しーー抗争に関わっていそうだから気にはならないと。
他のクラスメートはまえまえからあまり会話していなかったからか、特に話しかけてはこない。
これなら以前と変わらない気がしてきた。
まあ、見る目は変わっている気がする。
まえは物珍しさや可愛さから見てきたが、今は畏怖の念が込められている。
好きに言えばいいさ、もとより孤独には慣れている。
「おい、おまえら!」宮下が急に大きな声を出すと、再び喧騒が収まった。「たしかに、杉井は、豊花は変なことに巻き込まれていた。でも、ああしないと解決できなかったんだ。雪見先生も助からなかった!」
少し恥ずかしいけれど、宮下が私の代わりに説明してくれている。
「で、だ。その問題はもう解決した。みんなが巻き込まれる心配はない。決して豊花を変な目で見ないでくれ」
宮下がそこまで言うと、クラスメートの少数は頷いてくれた。
どうやら周りも表面上は納得してくれた様子だ。
「ありがとう宮下、いろいろ助かるよ」
「俺も助けてもらったしな」
あれはそもそも私がいたから巻き込まれたことなのに……宮下はいいやつだな。
「瑠奈様瑠奈様~、さっそくライン送ろう!」
……碧は我を往くなぁ……。
「はいみんな~、席について~」
雪見先生が教室へと入ってくる。
そのままみんな静まり返る。
そうして、いつもどおりの授業が始まったーー。
(206.)
昼休みがはじまると同時に、私は教室をあとにして隣のクラスに向かう。
「あれ、豊花?」
「ごめん、瑠璃。きょう、ちょっと昼休み行くところがあるから」
瑠璃に対し、きょうはお昼休み、一緒に瑠衣のところにはいけないと告げた。
行く場所があるのだ。
未だに行くべきか葛藤しながらも、同好会ーーそう、普通になりたい同好会の門を叩く。
と、背後から視線を感じ、いきなり危機を察知した。
振り向き様に相手の手首を掴む。
「柊!?」
「ちっ」
そこには柊ナナが、ナイフの刃の背中をぶつけようと振りかぶっていた。
その向けられたナイフを持つ手首を、私が慌てて掴んだかたちだ。
それを無理やり下ろす。
怪我したらどうするつもりだ!?
「こらっ! ったく、杉井、悪かったな」
柊の頭を背後から叩きながら空先輩が叱りつけ、私に対し謝ってきた。
「いくら刃を向けていないからって危ないじゃないですか。学校に何てものを持ってきているんだよ?」
若干怒り気味に柊に問いかける。
柊はぶうたれ、無視して室内に入ってしまう。
「はぁ……柊は幼い頃から喧嘩ばかりしててな、ナイフを振るしか脳がないんだ。未だに自分が最強だと信じ込んでいる。おまえに破られたのにな」
代わりに空先輩が説明してくれた。
「一番倒したいのは先輩、あんただけどね!」
柊は吐き捨てるように言う。
室内には、田井中夕夜ーー田井中先輩と、既に昨日会った楠瀬と伊勢原も揃っていた。
楠瀬と伊勢原は私を見るなり居心地悪そうな顔をする。
「で、何の用だ?」
「……はい。普通になりたい同好会に興味を再び抱きまして、みなさんの悩みをもうちょっと訊きたいなとーー特に」
楠瀬と伊勢原に視線を向ける。
あの二人の関係性がモヤモヤして仕方がない。
空先輩は無言で室内に入り、椅子を端から寄せて持ってきてくれた。
私は頭を下げ、それに腰かけた。
「じゃあまずは私から。言っとくけど、私は普通になりたいだなんて思ってないからね?」柊は並べた机に足をガンっと乗せた。「先輩に連れられて入ったの。私は強い相手を見ると無性に挑みたくなるのよ。格の違いを知らしめるためにね?」
「で、おまえは私と杉井に負けたんだ」
「今すぐ表でろ! もう一度やれば私が勝つから!」
「やめてくれ。私は普通になりたいんだ」
そう呟くように言う空先輩は、見てくれだけなら普通の文学少女のようだ。
まあ……以前チェーンを向けられたんだけど。この中ではわりと常識人っぽい。
「柊は昔っからケンカばかりして暮らしてきたからな、夜な夜な街に繰り出しては不良にケンカを売っているんだ。戦うことでしか自分が見いだせない能無しだよ」
「あのさぁ、私から言わせてもらいたいんだけど? 勉強、はぁ? なんのために? 世の中強いやつが上に立つんだ。脳みそ鍛えたってナイフ突き立てりゃそれでパァ、意味がない! 意味がないのよ、勉強したって! 頭鍛えたって!」
なんて横暴なんだ。
今の平和な世界が世紀末にでも見えているのだろうか?
私だって裏社会を歩いているけど、殺人は最終手段。愛のある我が家だって、沙鳥主導の場合は殺人は基本的にNGだ。
一人殺すも二人殺すも一緒ーーいや違う。どこかで沙鳥はそう言っていた。
「でも、おまえより強い奴は普通にいるとこのまえ悟ったんだろ? だったらナイフに執着するのをやめたらどうだ?」
「強い癖に強さを放棄したい奴の意見なんか聞きたくない!」
フンッと柊はそっぽを向いてしまう。
たしかに柊は以前に会った際もいろいろな人に牙を剥いたけど、負けた場面しか見ていないし聴いていない。
私には正面から負けたし、聞く話に寄ると空先輩にも負けている。少し似ているありすには歯が立たなかったらしいし、瑠奈には簡単に弾かれた。最後には叶多にまでやられる始末。
ん?
「強さを放棄したいとは?」
「いやな、私はまえにも言ったとおりスケバンーー不良だったんだ。で、コイツみたいに喧嘩に明け暮れていた。でも、そんな日々は将来無駄になると悟ったんだ」空先輩は懐かしむようにまぶたを細めた。「喧嘩はやめはしたが、過去は付きまとう。過去の知人であるメンバーのひとりがーー今はドラゴンメンバーになったあいつらのことな」
今や懐かしくもある暴走族の名前を出した。
「その知人とやらが?」
「ああ、柊に絡まれて怪我してたんで、私が助けたんだ。そしたら代わりに私が柊に絡まれたから、返り討ちにしたんだが……」
「納得いかない。腑に落ちない! 私が最強なのに!」
「とな。しつこく学内でも絡まれるようになってしまった」
空先輩は心底後悔するようにため息をつく。
「当時から私は喧嘩をやめて普通になりたかったんだ。だから柊に絡まれたことで決心した。この部活をつくろうとな。人数が足りず同好会だが、この学校は二人でもつくれた」
「先輩がつくるっていうから私は入っただけ。先輩を毎日ぼこせると思ったから入ったのに、なによ!? やることなすこと普通ばかり! ボランティアが普通? 慈善活動じゃない!」
思わず噴きそうになる。
たしかに、たしかにボランティアは普通ではない。
単なる慈善活動だ。でも普通にいいことだよね。
「ボランティアとかしてるんですか?」
「ボランティアに限らず、普通に人助けや、普通の遊び、普通に勉強とかをして、非日常に慣れてしまった身体を日常に浸して直しているんだ」
「非日常……」
この人たちの言う非日常は、表社会の、いうならば平凡な非日常だ。
だけど私の場合は違う。裏社会の平凡な日常だ。
じゃあこの部活に入る意味は?
ーーいや、ある。
今や、表側に裏側が侵食してきて、表社会での関わりがある人たちにまで裏側での問題がバレてしまった。
それを普通に正すのは意味がないとは言えない。
「まあ未だに」空先輩は鞄から鎖を取り出した。「この手の護身具がないと不安で仕方ないんだがな。以前はすまない。ついつい癖で柊を助けるようにつづけて挑んでしまった」
「いえ……」
ん?
いや、柊が勝手に襲ってきたのに、それに対して防衛しただけなのに癖で守るっていうのはおかしくないか?
……まあいいか。
「私は普通になりたい。で、柊と楠瀬を除いたら普通になりたい奴等が集まった同好会なんだ」
「え? 楠瀬も柊みたいに?」
たしかに、普通になりたいならお金を受け取らなければ済む話だ。
なのに、ここにいる意味はーー。
「私は青がいるから、ここにいるだけ」
「僕は……普通の友達をつくって普通の学校生活を送りたいんだ」
このまえのことが頭にあるのか、楠瀬はツンっとした対応をする。
それに対して伊勢原は、あまり気にしていないのか普通に答える。
「さきに言っておくけど、お金を受け取らなければ済むってのはなしね。私たちはお金で成り立っているから。でもその対価として仲良し以上に親友みたいに仲良くしてあげてるの」
「……そんなの……普通じゃない。伊勢原、お金で買えない友達だってできる日が来るよ」
「それを期待して中学時代ぼっちで過ごした。いじめすらなく孤独なんだ、僕は。だったらお金で買えるなら友情を買う。僕は顔も悪いし体型も酷い、性格だって暗い。そんな僕にお金でも唯一付き合ってくれる美里は、一番大切な存在なんだ」
大切な存在と言われて、楠瀬は満足そうにする。
なんて歪なんだろう。
関係が歪んでいるし、伊勢原もたまたま友達ができなかっただけじゃないだろうか?
お金しかなくても、金沢みたいな悪友がたくさんいるやつもいる。
だというのに、楠瀬しかいないのは不思議だ。
「でも、普通になりたいからここにいるんだよね? 伊勢原は」
「……うん」
「じゃあ私が友達になるから友達料金を払うのはーー」
「勝手に横から口出ししないで! そんなの単なる口から出任せよ」
私の台詞を楠瀬が突如怒り塞き止めた。
「……」伊勢原も機嫌を悪くしたような顔つきを見せた。「きみは美里みたいな友達にはなってくれないよ」
二人の関係に口を出したのは迂闊だったか?
でも、そんな壊れた関係を続けられるわけがない。
「そういえば楠瀬は一年、伊勢原は二年だけど、二人はどうやって知り合って友達料金を払うに至ったの?」
「それは……」
「それは美里が入学した日にたまたま会ってだよ。そういえば僕を見かけて声をかけてくれたね? どうして僕に? 友達がいなさそうだったから?」
楠瀬が別の場所をいいかけた気がした。
少なくとも、伊勢原とは回答が違うと直観が告げている。
「そうね。友達がいなさそうだしお金は持っていそうだったから、それで友達になってあげたの」
とってつけたような内容だ。
友達がいなさそうだったからーーそんなの他にも大勢いる。そもそも楠瀬が入学した日なら、私も女の子になっていなかったから、そう見える外見のはずだ。
しかし実際は違う。
私には宮下や裕璃がいた。
外見だけではひとは判断できないのだ。
「いい加減にしてくれ!」
「え?」
いきなり田井中先輩が叫びだした。
そして窓を指差す。
「そ、そこからずっと見てるんだ! おかっぱの女の子が! ばかにしてるんだろう!? 俺は負けないぞ?」
「またか……」空先輩はカーテンをしめた。「田井中にはどうやら幽霊が見えるらしくてな。その手のものが見えてしまうのに困っているんだ」
ーー幽霊ーー? 待て、幽霊が見えるのなら私まで見えているはずだぞ? 違うなにかを見ているんじゃないか?ーー
そういえばそうだ。
でも、ユタカとは融解したあとだし、姿は消えている。
だから見えないだけではないだろうか?
ーーいいや、違う。私たちは幽体だが、こいつの見ているのは幻覚、はたまた霊体だ。ーー
え、幽体と霊体って違うの?
今まで無意識に似たようなものだと思っていた。
ーー霊体は本来姿がない思想の塊だ。怖い話とかは大半が霊体による現象だ。ーー
へー……怖い話とかって、すべてフィクションだと思っていた。
なんだかそう言われると、途端に怖くなる。
ついついカーテンの向こうに意識が行ってしまう。
「俺はもう諦めてる……でもやっぱ諦めきれない!」どっちだ。「悪霊はそのあたりをうろうろしている! 俺はそいつらと縁を切りたい! 見てしまうと見られていると奴等は反応して寄ってくるんだ!」
「まあ、話半分に聞いてやってくれ」
空先輩は心配するよりも呆れているような表情をする。
……これがユタカの言うとおり霊体とやらならば、可哀想な気がするけど、もしも幻覚だとしたらーーやっぱり可哀想じゃないか。
どちらにしても可哀想であった。
対処の仕方が違うけど。
ーー現在は異能力のおかげで幽体は異霊体として認識されている。逆に心霊の類いは心の霊と書き、心が生み出す霊体ーーいわばオカルトの域を出ない。ただ、私個人としては興味があるな。私も見えない存在がいるなら、そいつらはどのような暮らしをしているのかが。ーー
たしか異霊体は自分に合う肉体を探して浮遊するんだっけ?
そもそも発生したのはいつなの?
ーー……わからない。ーー
え?
ーー私もいつ私が生まれでたのか把握していないんだ。気がついたらそこにいた。ーー
……まあ、わからないなら無理に知る必要もないか。
「それで、おまえーー杉井は元は男だったんだったか? 男に戻りたいのか?」
「いえ……」別に男の人生に悔いはない。「自分はある陰謀に巻き込まれてしまいました。それがクラスメートにまで波紋が及び、普通といえる暮らしが送れなくなったんです。けど、どうにかまた、今までとかわりのない学校生活を送りたいーーそう、普通の暮らしに戻りたいと願ったからここに来ました」
正直に所望することを述べた。
そうーー裏社会は仕方がない。でも、表社会では普通といえる生活を送りたかった。
まえまでは送れていた。だから取り返したい。
「ここの者たちは皆、悩みを抱えている。だが、しょせんは傷の舐めあいでしかない。自分の悩みはどうにせよ自分で解決することになる。それの手助けができるかどうかだ。それでも入りたいか?」
「……はい」
言われたとおり、しょせん自分の問題は自分で解決する以外に諸方はない。
でも、今の問題を抱えている私にこそふさわしいと思えた。
それにーー。
「……なによ?」
チラッと楠瀬と伊勢原を見る。
二人の関係がどうにも気になってしょうがないのだ。
裏社会にまで一時とはいえ入り込んだ二人ーー。
過去にありすが言っていたーー刀子さんから聴いた話だというーー袖すり合うも多生の縁。多少ではなく多生なのだ。
「わかった。なら入部届けを出してくれ。活動は昼休みにみんなで集まって駄弁る、手伝ってほしいことがあれば申し出る、やってみたいことがあれば提案する、放課後も六時までは何らかの活動をするーーそれが普通じゃないことをする時間を減らすことに繋がるんだ」
「わかりました」
ーー放課後も集まるのか。
しばらく愛のある我が家も休めないかな?
六時からだとそんなに働けないし。
そうこうしているうちに、昼休みの終わりの予鈴のチャイムが鳴った。
「放課後もう一度集まる。きょうは近くの川の掃除だ」
「掃除……ボランティアですか?」
「ああ」
それでこの面子が素直に集まるのはある意味すごいな。
伊勢原くらいだろう、言うことを聞きそうなメンバーは。
まあいい。あとで愛のある我が家に連絡して、瑠璃にも伝えておこう。
どうせなら休日も休みたいから愛のある我が家には頼み込もう。そして瑠璃をデートに誘いたいな……。異能力者の杉井豊花ではなく、普通の人として、瑠璃を誘おう。
ここ最近は異常に蝕まれて普通を忘れかけていた。
どうにか頑張って普通に戻る。心底そう願えた。
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