前代未聞の異能力者-自ら望んだ女体化だけど、もう無理!-

砂風

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最終章

Episode200╱豊花&雪vs瑠奈

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(303.)
 寒空の下で瑠奈と雪と私は、一定の距離を空けながら三人で向かい合っていた。

「雪は異能力者だけど、まあ精霊操術師に似ている力が操れるんだから、手合わせ願おう」

 雪は真剣な顔つきに変わる。

「ちょっ、ちょっと、ねえ。本当にやりあうの? こんなことしてる状況? 味方同士刃を向けるなんておかしいよ」
「争いじゃなくて訓練だから。毎回神造人型人外兵器に苦戦してたら命がいくつあっても足りないよ。ほら、相手がギブアップするか戦闘不能になったら勝ち、三人で戦って最後まで立っているのを目標にすること」瑠奈は手を左右に広げた。「さあ、いくよ!」

 瑠奈がそう言った瞬間、まずは先手とばかりに雪が動いた。
 雪が片手を前に翳すと、瑠奈の左右前後の地面から氷の塊が沸いてでてきた。
 まえにも見たことのある幻想的な氷の檻。

 これで勝負がついたのではないかと錯覚したが……ガリガリガリガリガリ! と風刃が内部から氷を掘削していき、意図も容易く氷のドームを破壊してしまった。

「弱いなぁ。いいよ。ハンデとして雪と豊花vsわたしで戦ってあげる」

 瑠奈は体表に纏う風を周囲に広げ、瑠奈の周囲に竜巻のような風が吹き荒れる。
 雪は負けじと氷の剣を手に創造し、瑠奈に駆け寄っていく。
 無謀だーー。瑠奈に当たるまえに竜巻に弾き飛ばされてしまうだろう。
 それが容易に想像がつく。

 雪の刃が瑠奈の前に辿り着き、剣を高く掲げて思い切り降り下ろした。
 しかし、瑠奈の竜巻は狂い風に進化しており、氷の刃はパキンッと割れてしまった。
 雪は負けじと地面に手のひらを着く、再度瑠奈の周りに吹雪が吹き荒れ、辺りから氷の結晶が縦横無尽に瑠奈の周りに飛来する。

 私はフレアの力を借りるために詠唱を唱えることにした。

「我と契りを結びし火の精霊よ 私にとっての光となる炎よ 我にちからを貸してくれ フレア!」

 唱えた瞬間、隣にフレアが陽炎のごとく現れた。

「フレア、いくよ? 同一化!」

 一気に体表に火が纏う。

「風に炎の精霊操術師をつかうってさー。悪手じゃん」
「やってみないとわからないだろ?」

 フレアを操っているような錯覚に捉えながら、火の玉を無数に瑠奈に対して発射した。
 しかし瑠奈の周りにある竜巻により、火は酸素により強めり、その火付きの風弾がこちらに放出されてしまった。
 相性が悪い!
 そもそも無敵の風盾が常時体表に纏っている瑠奈に勝てるビジョンが思い浮かばない。

 ーーいや、待てよ?

 私は思い付きで竜巻に纏まれている瑠奈に向かって駆け出した。

「豊花さん!?」

 雪は無謀にも思える私の突撃に唖然とした表情を顔に浮かべていた。

ーーやるんだな?ーー

 ああ。

ーーなら、死なない程度に傷つけてやれ。ーー

 私は余裕綽々で満身している瑠奈に向かって接近した。

 ーー幽体、肉体、そしてユタカを神殺しの剣を片手に握った。

「!?」

 瑠奈はさすがに怖じ気づいたのか、半歩だけ足取りを後退させた。
 だが、恐れが消える前に、低姿勢で瑠奈に全速力で近寄る。
 瑠奈は慌てて、体表の風をすべて前面に集めた。
 しかしーーそれは無意味だ。
 私は瑠奈の盾を神殺しの剣を致命傷にならないであろう位置に突き刺した。

「なぁ!?」

 瑠奈は剣を奪おうとするが、これは私に託された剣だ。
 瑠奈の風壁を意図も容易く貫くと、肩にかするように突き刺した。

「ぐぅ!?」
「まだ、やる?」

 瑠奈が痛みから肩を掴んでいるのを自覚し、「今日はやめやめ! 調子が出ない!」

 との瑠奈の宣言により、仲間内の戦いは終演を迎えた。

「悔しいけど、今日の勝者は豊花だね……次は負けないから」
「いやいやいや、もう二度とごめんなんだけど」

 瑠奈は本気で悔しそうな表情を浮かべた。

「今回はわたしの敗けでいいよ。でも、次からは手加減は一切しない。切り札もまだつかっていないしね」

 これ以上、瑠奈にも隠し技があるというのだろうか?

 拗ねる瑠奈を宥めつつ、今回の模擬戦は幕を閉じるのであった。

 多少なりとも、精霊操術師の扱い方、相性、神造人型人外兵器への対抗策へのヒントが得られた気がした。

 不機嫌な瑠奈を筆頭に、風月荘にみなそれぞれ帰還を果たすのであった。
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