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「ケビンネ、様……」
切れ長で格好いい翡翠色の瞳。通った鼻筋に、形のいい顎――最初に触手でぐるぐるにされた時より、ずっとドキドキしてます。
路地裏で色々された時には、ただびっくりして身体だけがドキドキしていたけれど、今は、ちがいます。きっとうっすら、ううん、少しずつ、わたしケビンネ様のこと――好きになってきてます。
口が悪くて、子どもたちと同程度レベルの悪態をつくような方ですけど、所々に優しさがあって、まだよくわからないですけど、わたしのことをずっと見ていてくれていたってわかる、暖かさが所々ににじむ。そんな彼のことを――わたしは――。
でも。
「っ、ぁっ!!」
胸を優しく揉まれて、そのままするっと服がたくし上げられて――丸見えになってしまったお腹をたどって、大きな手のひらが身体の上にするりと這います。
熱い。ケビンネ様の手首から、路地裏の時みたいにしゅるりとすべすべのリボンみたいな黒い魔触手が出てきて、わたしの首元、鎖骨、それに胸の先端――すりすりと数本、ねだるように絡まってきました。
刺激されて、膨らむ胸の先端。吐息が浅くなって、体の奥がジンジンと熱くなって、触手とケビンネ様の手のひらが触れる場所全部が、燃え上がるみたいに熱くなっていきます。
「ノノア……、ノノア」
ケビンネ様の上ずってる声も、すりついてくる触手も、嫌じゃないです。細い触手が胸の先端にキュウキュウ巻きついて絞るようにされて、お腹の奥がキュウウンと啼きました。ケビンネ様の指腹がわたしの下腹部を伝いおちて、股の間にのびてーーすりすりと花芯を捕らえて擦ります。
「あっ……あっ……」
上擦った声をあげちゃいます。触れられてる場所が、ゆらゆらと熱を持って震え始めました。身体全体が何だかおかしくて――震えて、心がドキドキ、ドクドク、変な音を立ててます。
その時、ケビンネ様の身体が上から寄せられて――わたしのお腹に何か硬いモノが、ゴリッと当たりました。
硬くて、すごく熱い、太い棒……みたいな。太くて、大きくて、たくましい……ええと、これ。これって、その……男の人のアレ、です、よね?
見上げれば翡翠色の瞳。
綺麗な美しかった色がどろどろの欲に濁って、ギラギラしていました。
「や、ぁっ……!」
思わず、身をよじってしまいます。こんな、の……ちょっと、怖い……です!
「や、やだっ、……っ、ダメ……」
「ノノア?」
「ダメ、ですっ!!」
身体が、震えていました。別に大丈夫。大丈夫なのに。そう心に言い聞かせてもビックリしちゃってました。夫婦なんですから。大丈夫なはず……ケビンネ様と一日一回って、約束したもの。それにこれは精霊様のために大事なことだから。お食事っていってましたよね? きっと、しなくちゃいけないこと、だから。
必死に頭の中でそう言葉が回るんですけど、それでも、その、ちょっと、怖くて。
視界が滲みました。情けないです。じわりと滲んだ熱い涙が頬をつたって落ちました。
「ごめん、なさい……」
小さな声でそう呟いたわたしを、覆いかぶさっているケビンネ様がじっと見つめています。
すりすりとわたしの手首を足首に巻きついていた数本の触手が、しゅるしゅると外れて消えていきました。
「……すまん」
ケビンネ様がそんな顔しなくていいのに。わたしが、約束を守れてないだけなのに。
そのお顔がなんだかとっても辛そうで、寂しそうで、苦しそうで。なんだかわたしまで悲しくなってきて、また涙がわたしの頬をつたっていきました。
怖い、というよりも、たぶん、まだよくわからないんです。
身体が上手く動かない。だってキスすら、ちゃんとしたことがないのに。ケビンネ様だって「好きだ」って「愛しの花嫁」なんていうくせに、常識はないし、めちゃくちゃするし、本当に好きかわかんないし。
「あの、ケビンネ様。わたし、ヤギさんの、そういうことしか、みたことなくて……よく、わからなくて。ヤギさんは数秒で終わるんですけど……、その、ケビンネ様は数秒じゃない、ですよね?」
「……。さすがに、そんなに早漏じゃないな」
ケビンネ様は、おどけたようにそう言って静かに笑いました。
空気を和ませるみたいに。
「……わかった。もう、しない」
ふわりと温かい気配がしてハッとしました。ケビンネ様が優しい手つきでさっきの柔らかな浄化魔法をかけてくれたあと、わたしの髪を撫でてくれています。
変な顔したり、睨まれたり、怒られるかと思いましたけど、違いました。すごく、優しい瞳です。
「……そちらのほうが、お前にとって、いいだろうしな」
「? どういう、意味、ですか?」
きょとんとしているわたしの身づくろいをさっさと整えて横にばふっと寝転ぶと、ケビンネ様はニヤリと笑いました。
「からかうのはここまでにするから、お前も早く帰って寝ろってことだ。それともなんだ、迫ってフられた可哀想な旦那様と添い寝くらいはしてくれるのか?」
「でも精霊様にとっては"お食事"で、大事なこと、なんじゃ……」
わたしのその言葉に、ケビンネ様はハッと鼻で笑いました。
口の端をゆがめる、ちょっと悪い笑い方です。さっきまでの真剣な傷ついたような悲しい笑顔とは、全然違う雰囲気でした。
「やっぱりニンゲンはおめでたいな、いや、ノノアの頭がめでたいのか」
「!! も、もしかして……ケビンネ様……! わたしのこと騙したんですかっ!?」
隣に寝転んだまま肩をすくめて何も言わないケビンネ様。
もしかして、ただエッチなことがしたいだけ……だったんですか??
ひどい、ひどすぎます! へ、変態な上に嘘つきだなんて……ひどい人、じゃなくてひどい精霊様!
真っ赤な顔をしているわたしに、ケビンネ様は薄く笑いました。
「俺はノノアを愛しているからな、無理強いはしない。まぁ……俺がここにいる限りは力になってやるさ」
さらりとそう言って、しっし、とほとんど納屋を追い出されるようにして――扉が閉まりました。
ホッとしてる自分は確かにいますけど……本当に、これでよかったんでしょうか?
「おやすみなさい……ケビンネ様」
納屋の前でぽつりとそうつぶやいて、わたしは孤児院の建物に戻りました。
――この時の、いいえ、出会った時からの、ケビンネ様の優しさも知らないままで。
切れ長で格好いい翡翠色の瞳。通った鼻筋に、形のいい顎――最初に触手でぐるぐるにされた時より、ずっとドキドキしてます。
路地裏で色々された時には、ただびっくりして身体だけがドキドキしていたけれど、今は、ちがいます。きっとうっすら、ううん、少しずつ、わたしケビンネ様のこと――好きになってきてます。
口が悪くて、子どもたちと同程度レベルの悪態をつくような方ですけど、所々に優しさがあって、まだよくわからないですけど、わたしのことをずっと見ていてくれていたってわかる、暖かさが所々ににじむ。そんな彼のことを――わたしは――。
でも。
「っ、ぁっ!!」
胸を優しく揉まれて、そのままするっと服がたくし上げられて――丸見えになってしまったお腹をたどって、大きな手のひらが身体の上にするりと這います。
熱い。ケビンネ様の手首から、路地裏の時みたいにしゅるりとすべすべのリボンみたいな黒い魔触手が出てきて、わたしの首元、鎖骨、それに胸の先端――すりすりと数本、ねだるように絡まってきました。
刺激されて、膨らむ胸の先端。吐息が浅くなって、体の奥がジンジンと熱くなって、触手とケビンネ様の手のひらが触れる場所全部が、燃え上がるみたいに熱くなっていきます。
「ノノア……、ノノア」
ケビンネ様の上ずってる声も、すりついてくる触手も、嫌じゃないです。細い触手が胸の先端にキュウキュウ巻きついて絞るようにされて、お腹の奥がキュウウンと啼きました。ケビンネ様の指腹がわたしの下腹部を伝いおちて、股の間にのびてーーすりすりと花芯を捕らえて擦ります。
「あっ……あっ……」
上擦った声をあげちゃいます。触れられてる場所が、ゆらゆらと熱を持って震え始めました。身体全体が何だかおかしくて――震えて、心がドキドキ、ドクドク、変な音を立ててます。
その時、ケビンネ様の身体が上から寄せられて――わたしのお腹に何か硬いモノが、ゴリッと当たりました。
硬くて、すごく熱い、太い棒……みたいな。太くて、大きくて、たくましい……ええと、これ。これって、その……男の人のアレ、です、よね?
見上げれば翡翠色の瞳。
綺麗な美しかった色がどろどろの欲に濁って、ギラギラしていました。
「や、ぁっ……!」
思わず、身をよじってしまいます。こんな、の……ちょっと、怖い……です!
「や、やだっ、……っ、ダメ……」
「ノノア?」
「ダメ、ですっ!!」
身体が、震えていました。別に大丈夫。大丈夫なのに。そう心に言い聞かせてもビックリしちゃってました。夫婦なんですから。大丈夫なはず……ケビンネ様と一日一回って、約束したもの。それにこれは精霊様のために大事なことだから。お食事っていってましたよね? きっと、しなくちゃいけないこと、だから。
必死に頭の中でそう言葉が回るんですけど、それでも、その、ちょっと、怖くて。
視界が滲みました。情けないです。じわりと滲んだ熱い涙が頬をつたって落ちました。
「ごめん、なさい……」
小さな声でそう呟いたわたしを、覆いかぶさっているケビンネ様がじっと見つめています。
すりすりとわたしの手首を足首に巻きついていた数本の触手が、しゅるしゅると外れて消えていきました。
「……すまん」
ケビンネ様がそんな顔しなくていいのに。わたしが、約束を守れてないだけなのに。
そのお顔がなんだかとっても辛そうで、寂しそうで、苦しそうで。なんだかわたしまで悲しくなってきて、また涙がわたしの頬をつたっていきました。
怖い、というよりも、たぶん、まだよくわからないんです。
身体が上手く動かない。だってキスすら、ちゃんとしたことがないのに。ケビンネ様だって「好きだ」って「愛しの花嫁」なんていうくせに、常識はないし、めちゃくちゃするし、本当に好きかわかんないし。
「あの、ケビンネ様。わたし、ヤギさんの、そういうことしか、みたことなくて……よく、わからなくて。ヤギさんは数秒で終わるんですけど……、その、ケビンネ様は数秒じゃない、ですよね?」
「……。さすがに、そんなに早漏じゃないな」
ケビンネ様は、おどけたようにそう言って静かに笑いました。
空気を和ませるみたいに。
「……わかった。もう、しない」
ふわりと温かい気配がしてハッとしました。ケビンネ様が優しい手つきでさっきの柔らかな浄化魔法をかけてくれたあと、わたしの髪を撫でてくれています。
変な顔したり、睨まれたり、怒られるかと思いましたけど、違いました。すごく、優しい瞳です。
「……そちらのほうが、お前にとって、いいだろうしな」
「? どういう、意味、ですか?」
きょとんとしているわたしの身づくろいをさっさと整えて横にばふっと寝転ぶと、ケビンネ様はニヤリと笑いました。
「からかうのはここまでにするから、お前も早く帰って寝ろってことだ。それともなんだ、迫ってフられた可哀想な旦那様と添い寝くらいはしてくれるのか?」
「でも精霊様にとっては"お食事"で、大事なこと、なんじゃ……」
わたしのその言葉に、ケビンネ様はハッと鼻で笑いました。
口の端をゆがめる、ちょっと悪い笑い方です。さっきまでの真剣な傷ついたような悲しい笑顔とは、全然違う雰囲気でした。
「やっぱりニンゲンはおめでたいな、いや、ノノアの頭がめでたいのか」
「!! も、もしかして……ケビンネ様……! わたしのこと騙したんですかっ!?」
隣に寝転んだまま肩をすくめて何も言わないケビンネ様。
もしかして、ただエッチなことがしたいだけ……だったんですか??
ひどい、ひどすぎます! へ、変態な上に嘘つきだなんて……ひどい人、じゃなくてひどい精霊様!
真っ赤な顔をしているわたしに、ケビンネ様は薄く笑いました。
「俺はノノアを愛しているからな、無理強いはしない。まぁ……俺がここにいる限りは力になってやるさ」
さらりとそう言って、しっし、とほとんど納屋を追い出されるようにして――扉が閉まりました。
ホッとしてる自分は確かにいますけど……本当に、これでよかったんでしょうか?
「おやすみなさい……ケビンネ様」
納屋の前でぽつりとそうつぶやいて、わたしは孤児院の建物に戻りました。
――この時の、いいえ、出会った時からの、ケビンネ様の優しさも知らないままで。
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