15 / 45
第一章 グレート・センセーション
1話:ニュー・ライフ
しおりを挟む王都は石造りの建物が多く立ち並び、扇状に広がる街並みは、何処からでも王城が視界に入るよう設計されている。それは、王に逆らうことはできないことを暗示し、人々はそれを正当化しているように思われる・・・・・・
一見華やかな街並みは朱い夕日に照らされて暗く影を伸ばし始めていた・・・・
13ジェラと40コルク……。俺は残金を数えていた。
「ルヴェンさん。本当に行ってしまうんですね…」
「お前、体調に気をつけるんだぞ」
エステラとイフリーナが名残惜しそうにこちらを見る。二人とも、俺に少しの思い入れがあるらしい。
嬉しいことだが、いずれこの時が訪れることも覚悟
していた。
「ああそうだ。お前らには世話になったな。楽しい日々を送らせてもらったよ」
そう、俺はこの生活に区切りをつけると決めた。奴らへの復讐を確実に行うためにも、世話になったアメジス家の為にも俺は旅立たなくてはならない。
三日前、俺がアルフォード家の後継者だと知った。そして同時に、ザラード家が父の死に関わっていることを知った。詳しくは分からないが、そのザラード家は主であるアルフォード家を裏切り、御三家の座を奪い取った。さらにそれだけでは飽きたらず、アルフォード家とその一派を殺害し追放し、地位と権力を我が物にした。
しかし、そんな彼らにとって脅威となる存在が現れた。
アルフォード家を殺害し蹂躙した嵐の夜、ルーク・アルフォードが託した希望の子………。
ルークと同じ紅い目を持つ小さき息子、『ルヴェン・アルフォード』、俺だった。
マルドゥックの占いを元に、奴らは俺が生きている可能性を探り続けた。そして俺を見つけた以上、脅威の子として俺の暗殺を何としてでも成功させたがるだろう。
よく考えたら俺は不幸に好かれている。両親の顔も知らず、集配魔術という最弱魔術しか使えず、何もしていないのに暗殺の対象にされ、世界で最も可哀想だ。
だが、俺はまだ死ぬわけにはいかない
・・・・
・・・
人間は平等である・・・・・・
この国では人権が保障され、誰にでも幸福になる権利がある。それなのに俺だけが不幸に身を預けて死ぬなんてことは絶対に許さない。全ての真相を知り、復讐を果たすまでは地獄のそのそこからでも這い上がってやる。
俺はこの三日間、その事を真剣に考えていた。
そして出した結論がコレだ。
『二人と別れ、俺のやり方で奴らに報復をする』
亜人であり雷猫族のララは屋敷には居づらい上、亜人達の恨みを晴らし王都に復讐をするという目的を果たすため俺に付いてくるそうだ。少しでも戦力は多い方がいいし、何よりもララは影移動という潜伏スキルを身につけているので使い勝手がいい。俺はそれを承諾した。
そしていよいよ旅立ちの時・・・・・庭園には夜行性の鳥、ミオヤドリの妖しい鳴き声が響き渡る。
月が輝き始め、雲一つ無い夜空を淡く照らす。
邸宅の門まで来ると、そこにはエステラとイフリーナ、そしてバルカスのおっさんが出迎えてくれた。
「ルヴェンさん、手を貸してください」
エステラが俺に話しかける。何故そんな事を言うのか見当もつかない。
「ああ、こうか?」
俺が手を差し出すと、エステラがゆったりと近寄ってくる。
「チュッ」
・・・・・
手にほんわりとした感覚が残る。・・・キスされたのか?でも何故?頭を真っ白にされた俺は脳をレジュームし高速で回転させ一つの論を立てる。
ああ、貴族は別れ際にそういうことをするものなのかも知れない。
「エステラ様ぁぁこんな男に、、、。ていうかルヴェン!!お前は何故こうも無反応なのだ、、、」
「こ、これは違うんですルヴェンさん。敬意を示しただけです」
やっぱりそうだったか。社交辞令というやつだな。だが何故か、エステラが少し照れているように見えるのは気のせいか。
「ホッホッホ、短い間だったがワシも楽しかったわい。いつでも遊びに来るんじゃぞ」
「バルカスのおっさんもありがとな!またすぐに会えるさ」
俺は、薄暗がりの夜道を歩いて行く。やがて邸宅の姿もかすれ、三人が小さな点のように見える。角を曲がると、冷やかな石造りの平屋が遠くまで続いていた。俺は、改めて拳を握りしめた。
0
あなたにおすすめの小説
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
遺産は一円も渡さない 〜強欲な夫と義実家に捨てられた私、真の相続人と手を組み全てを奪い返す~ (全10話)
スカッと文庫
恋愛
「お前の価値なんて、その遺産くらいしかないんだよ」
唯一の肉親だった祖父を亡くした夜、夫の健一と義母から放たれたのは、あまりにも無慈悲な言葉だった。
四十九日も待たず、祖父が遺した1億2000万円の遺産をアテに贅沢三昧を目論む夫。だが、彼には隠し通している「裏切り」があった――。
絶望の淵に立たされた由美の前に現れたのは、亡き祖父が差し向けた若き凄腕弁護士・蓮。
「おじい様は、すべてお見通しでしたよ」
明かされる衝撃の遺言内容。そして、強欲な夫たちを地獄へ叩き落とすための「相続条件」とは?
虐げられてきた妻による、一発逆転の遺産争奪&復讐劇がいま幕を開ける!
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
悪役令嬢は手加減無しに復讐する
田舎の沼
恋愛
公爵令嬢イザベラ・フォックストーンは、王太子アレクサンドルの婚約者として完璧な人生を送っていたはずだった。しかし、華やかな誕生日パーティーで突然の婚約破棄を宣告される。
理由は、聖女の力を持つ男爵令嬢エマ・リンドンへの愛。イザベラは「嫉妬深く陰険な悪役令嬢」として糾弾され、名誉を失う。
婚約破棄をされたことで彼女の心の中で何かが弾けた。彼女の心に燃え上がるのは、容赦のない復讐の炎。フォックストーン家の膨大なネットワークと経済力を武器に、裏切り者たちを次々と追い詰めていく。アレクサンドルとエマの秘密を暴き、貴族社会を揺るがす陰謀を巡らせ、手加減なしの報復を繰り広げる。
公爵令嬢は結婚式当日に死んだ
白雲八鈴
恋愛
今日はとある公爵令嬢の結婚式だ。幸せいっぱいの公爵令嬢の前に婚約者のレイモンドが現れる。
「今日の結婚式は俺と番であるナタリーの結婚式に変更だ!そのドレスをナタリーに渡せ!」
突然のことに公爵令嬢は何を言われたのか理解できなかった。いや、したくなかった。
婚約者のレイモンドは番という運命に出逢ってしまったという。
そして、真っ白な花嫁衣装を脱がされ、そのドレスは番だという女性に着させられる。周りの者達はめでたいと大喜びだ。
その場所に居ることが出来ず公爵令嬢は外に飛び出し……
生まれ変わった令嬢は復讐を誓ったのだった。
婚約者とその番という女性に
『一発ぐらい思いっきり殴ってもいいですわね?』
そして、つがいという者に囚われた者の存在が現れる。
*タグ注意
*不快であれば閉じてください。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる