最強魔力量の最弱魔術士はマトモに戦わない

༺みずな(シャキシャキ)࿐

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第一章 グレート・センセーション

1話:ニュー・ライフ

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 王都は石造りの建物が多く立ち並び、扇状に広がる街並みは、何処からでも王城が視界に入るよう設計されている。それは、王に逆らうことはできないことを暗示し、人々はそれを正当化しているように思われる・・・・・・

 一見華やかな街並みは朱い夕日に照らされて暗く影を伸ばし始めていた・・・・



13ジェラと40コルク……。俺は残金を数えていた。

「ルヴェンさん。本当に行ってしまうんですね…」

「お前、体調に気をつけるんだぞ」

エステラとイフリーナが名残惜しそうにこちらを見る。二人とも、俺に少しの思い入れがあるらしい。
嬉しいことだが、いずれこの時が訪れることも覚悟
していた。

「ああそうだ。お前らには世話になったな。楽しい日々を送らせてもらったよ」

そう、俺はこの生活に区切りをつけると決めた。奴らへの復讐を確実に行うためにも、世話になったアメジス家の為にも俺は旅立たなくてはならない。





 三日前、俺がアルフォード家の後継者だと知った。そして同時に、ザラード家が父の死に関わっていることを知った。詳しくは分からないが、そのザラード家は主であるアルフォード家を裏切り、御三家の座を奪い取った。さらにそれだけでは飽きたらず、アルフォード家とその一派を殺害し追放し、地位と権力を我が物にした。

 しかし、そんな彼らにとってが現れた。
 アルフォード家を殺害し蹂躙した嵐の夜、ルーク・アルフォードが託した希望の子………。

ルークと同じ紅い目を持つ小さき息子、『ルヴェン・アルフォード』、俺だった。

 マルドゥックの占いを元に、奴らザラードは俺が生きている可能性を探り続けた。そして俺を見つけた以上、脅威の子として俺の暗殺を何としてでも成功させたがるだろう。

 よく考えたら俺は不幸に好かれている。両親の顔も知らず、集配魔術という最弱魔術しか使えず、何もしていないのに暗殺の対象ターゲットにされ、世界で最も可哀想だ。



・・・・
・・・
人間は平等である・・・・・・

 この国では人権が保障され、誰にでも幸福になる権利がある。それなのに俺だけが不幸に身を預けて死ぬなんてことは絶対に許さない。全ての真相を知り、復讐を果たすまでは地獄のそのそこからでも這い上がってやる。


 俺はこの三日間、その事を真剣に考えていた。
そして出した結論がコレだ。

『二人と別れ、俺のやり方で奴らに報復をする』


 亜人であり雷猫族のララは屋敷には居づらい上、亜人達の恨みを晴らし王都に復讐をするという目的を果たすため俺に付いてくるそうだ。少しでも戦力は多い方がいいし、何よりもララは影移動という潜伏スキルを身につけているので使い勝手がいい。俺はそれを承諾した。

 そしていよいよ旅立ちの時・・・・・庭園には夜行性の鳥、ミオヤドリの妖しい鳴き声が響き渡る。
月が輝き始め、雲一つ無い夜空を淡く照らす。
 邸宅の門まで来ると、そこにはエステラとイフリーナ、そしてバルカスのおっさんが出迎えてくれた。
「ルヴェンさん、手を貸してください」

エステラが俺に話しかける。何故そんな事を言うのか見当もつかない。


「ああ、こうか?」

俺が手を差し出すと、エステラがゆったりと近寄ってくる。

「チュッ」

・・・・・

手にほんわりとした感覚が残る。・・・キスされたのか?でも何故?頭を真っ白にされた俺は脳をレジュームし高速で回転させ一つの論を立てる。
ああ、貴族は別れ際にそういうことをするものなのかも知れない。

「エステラ様ぁぁこんな男に、、、。ていうかルヴェン!!お前は何故こうも無反応なのだ、、、」

「こ、これは違うんですルヴェンさん。敬意を示しただけです」

やっぱりそうだったか。社交辞令というやつだな。だが何故か、エステラが少し照れているように見えるのは気のせいか。

「ホッホッホ、短い間だったがワシも楽しかったわい。いつでも遊びに来るんじゃぞ」

「バルカスのおっさんもありがとな!またすぐに会えるさ」

 

 俺は、薄暗がりの夜道を歩いて行く。やがて邸宅の姿もかすれ、三人が小さな点のように見える。角を曲がると、冷やかな石造りの平屋が遠くまで続いていた。俺は、改めて拳を握りしめた。





















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