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第二章ダークネスコンスピラシー
5話:集配魔術士はこんな時に冒険に行く②
しおりを挟むゴゴゴゴゴゴォォォォ ガタンッ!
どうやらここが入り口のようだ。俺たち4人は中に入る。ダンジョン内は薄っすらと暗く、コウモリだろうか?小動物があちこちで目を光らせている。
その様子にエステラが怖じけづく。
「エステラ、そんなにくっつくな。歩きにくいだろ」
「そうは言っても怖いものは怖いんです。ちょっとは男らしいとこ見せてください」
【影移動】で偵察しに行っていたララが帰ってくる。俺たちの中で一番俊敏なのはララに他ならない。彼女ならうまくやってくれると思っていた。
「ルヴェン、へ・・・ヘビが出たの!」
「何だと?もしかしてやばいヤツか?バジリスクやらコッカトリスとか言う」
「そんなんじゃなくて・・・えっと・・その、ちっちゃいやつというか何というか、ヘビ!!」
え・・・・・
・・・・・
・・!?
まさかララにこんな弱点があったとは。驚いて損したな。むしろ驚かされたが・・・
エステラが口を開く。
「ララさん可愛いです。私なんか小さい頃からヘビで遊んでましたよ。体に巻き付けたりして」
え・・・いや、これはこれでどうかと・・・
「ええーー。す、すごいね」
ララは苦笑いを浮かべる。
「ところでララ、お前探索の方はちゃんとしてき・・」
その瞬間彼女は逃げ出した。まあすぐにヘビが出て戻ってきたのだが。
「ごめんなさい」
「まぁルヴェン。貴様がララ1人に行かせたのも悪いだろう。大目に見てやったらどうだ」
「イフリーナの言う通りだな。全員で行こう」
というわけで、低級モンスターのゴブリンやらコボルトやらを倒しながら俺たちは大きな空間に出てきた。
「どうやら、行き止まりのようだ。何処かに隠し通路でもあるのだろうか」
エステラが詠唱し魔術を行使する。
「地の流れよ。空間を把握し我を導きなさい。
【 立体絞点】
彼女の手によってこのクエストの全貌が明らかになる。こんな魔法が使えたなんて最初に言って欲しいものだ。
「このクエストは全三階層です。このフロアのの何処かに隠し階段があります」
「エステラ、すごい!こんなの使えるなんて」
「いや、みなさんと離れてる間、こっそり魔術の特訓をしてたんです」
確かエステラは祈祷術だったか。こんな応用が効くとはな。ある意味無敵の魔術かもしれない・・・
「そんな、ララさん心外です~。星詠みから私たちの位置を見出してるだけですから・・・」
しばらく離れていたしな。ここでステータスを確認しておこう。
・・・さずがアメジス家の令嬢だ。成長速度が著しく早いな。さっき見せてくれた【絞点】もそうだが新たに攻撃魔術として【流星を覚えた。それに回復魔術まで使えるという。万能タイプだな。羨ましいぜ!
ちゃんとしたアタッカーが増えたのは嬉しい。前線はいつもイフリーナにやらせてたしな。
「あのールヴェンさん。あの~そんなに私を凝視しないでください」
「あーすまんすまん。俺は・・・」
ピキッ。
あれ待って今ピキッて聞こえ!
「ルヴェン。貴様丸焼きにされたいようだな」
「せ、せめてレアにしてくれ~!」
俺は全力で疾走する。
しかし逃がさまいと火焔の刃が放たれるッッ
俺は咄嗟にかわす。壁に激突し、激しい音が響いた。
震え慄く俺の顔表情など無視するかの様に、エステラとララは呆気にとられていた。
イフリーナの一撃だけでない。何かに、だ。
「ルヴェン。そこに隠し通路が!」
「本当です~気づきませんでした」
「まぁな。先へ進もうか」
(いや、殺しに掛かってんじゃねぇよ!)
というわけで、俺たちは隠し階段とやらを一段ずつコツコツと降りていくわけだが、いよいよ本格的なダンジョンらしさが感じられるようで、エステラは特に目を輝かせ景色を眺めていた。
しばらくすると、薄っすらと明るい空間が現れた。そこら中に綺麗な鉱物が花のように咲き乱れ、淡く光っていたのだ。
「ここが第二階層のようだな」
「わぁ~綺麗ですね」
「スゴイよ!こんなにたくさんある。あれとか珍しそう」
いつになくテンションの高いララを横目に、こんな景色でも緊張を緩めないところ、流石イフリーナだ。
「あまりわーわー騒いで、油断するんじゃない。魔鉱石が多いってことはそれだけ強力なマナに溢れた空間だということだ」
なるほど・・・確かにそうだと思った。これの意味するところ、強力魔を持つ魔物も多いということだ。先程以上に慎重に探索する必要が出てきた。
「エステラ、道案内を頼む」
「はい。任せて下さい!」
エステラが魔術を行使すると、魔法陣の上に第二階層の構造が映し出される。
・・・・
・・・・・・
「なるほど、つまり俺たちがいるのはここの小さな空間で、左右に道が広がっているんだな。どちらから行ってもたどり着くことはできそうだが、右の方が広い道が多そうだ。」
「私も賛成だ。こちらのルートを選ぶべきだろう」
「ふぁ~何だか眠くなってきちゃった。どっちでもいいかな」
「だがネックなのは左右の合流地点で道が途切れていることだ。これは通れるかどうか確かめてみないと分からないことだ」
「・・・・・・ゴクリ」
俺たちは息を飲む。ここには何があるか分からないからだ。当然危険が伴ってくる。
・・・キランッ
「何だ!?」
俺は咄嗟に振り返る。
・・・しかし何も無い。
今、
何者かが、
嘲笑うような視線を、
飛ばしてきたような・・・・
「どうしたのだルヴェン!敵か?見当たらんが」
「いや、気のせいだ。先に進もうか」
妙な気配がしたのはこの時だけであった。中級モンスターのリザードマンやコボルトロードサンダースパイダーなどが出現したが、イフリーナの洗練された剣技【火焔剣】、そしてララの【迅雷練撃】を受けて倒せない訳がなかった。中々の強パーティに成長していたことを実感した。無論、俺は何もしてない。というかさせてくれない。
しばらく進むと、途切れた道の真相が明らかとなる。俺たちは絶句した。
「うそでしょ。まさか谷になっていたなんて」
「底が見えないですう。どうしましょう」
いきなり現れた底なしの渓谷のみならず俺たちはここからさらに追い込まれることになる。
・・・キランッ
この感覚、先程感じたものと同じだった。驚いて振り向きそうになったところを、イフリーナが止めた。
「絶対に振り向くでない。この感じ。奴はバジリスクだ!牙を剥けば猛毒を、目を見てしまえば石化の呪いをかけてくる。気をつけろ」
「イ、イフリーナ!?そんなこと言われてどうしろと言うんだ?」
「ゔゔゔぁぁぁあぁぁぁぁあ。蛇は、苦手なのーーー!!」
「ララさん!」
「ララ、ダメだ!崖だぞ」
彼女は暴走させた雷の力で出口と思われる扉の破壊を試みる。
「突破する!!雷強化斬撃【砲雷の惨劇】ォォォオオ
いっけぇーー!!!」
ズガンッ!!
・・・・・・・
・・・・・・・・・
え?
俺たちは戦慄する。嘘だろ。パーティー一の瞬間火力ならララが最大だ。そのララの猛攻を持ってしても扉はビクともしなかった。
ララは突破できないものの向こう岸には到着できたが、俺たちはまず、後ろの怪物をどうにかしなければならない。
だが、奴の一撃は考えるよりも早かった。
「エステラ、イフリーナ!近くに来い!!」
【自配】
尾をくねらせた強力な一撃を間一髪のところでかわす。それでも奴は怯むことなく、咆哮をあげて襲いかかってくる。
もちろん、敵の姿を直視することはできない。
咆哮によって空中でバランスを崩したのか。エステラが崖を真っ逆さまに落ちていく。
マズイ・・・
彼女の向かう先には、眼を見開き大きく口を開けたバジリスクの鋭い牙があったのだ。
ォォォォオオ!! !!?
それは一瞬の出来事で、俺には理解が追いつかないほど、意識の外に追い出された。
暗闇の中、見えたのは彼女の周りを覆う一筋の光と、目を潰されたバジリスクの姿だった。
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