最強魔力量の最弱魔術士はマトモに戦わない

༺みずな(シャキシャキ)࿐

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第二章ダークネスコンスピラシー

8話集配魔術士の悩脳

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多くの人が賑わい、その時を待っている。

万国旗が飾り付けられ、国民は王都の繁栄を讃え城下町に集まるのだ。王国祭初日ともあれば、店は盛況し物は行き交い、金管楽器の荘厳な音楽が一層華やかに町を彩る。

屋敷を出てすぐある広場で、彼女を待っていた。


「遅くなって、ごめんなさい」

「あぁエステラ・・・大丈夫だ」

エステラの容姿に思わず言葉を失う。今日は白いドレスにウェディングハットのような帽子を浅く被った晴れ着だった。

俺たちは二人で町に出る。今日は護衛のイフリーナが授与式のため王都のバルガスおじさんの所へ付き添うことになっているおり、ここにはいない。

ララも今日のの為にザラード家の屋敷の様子、メイベルの動向を探ってもらっている為ここにはいない。

つまり今は俺とエステラだけってわけだ。

「ルヴェンさん。これって、デート。ですよね?」

!!?

確かにこの状況、イフリーナとララに任務があるとは言え、はなから見たらデ、デートになるよな。とは言え、デートってどうすればいいんだ!?こんな事に悩んでてどうするんだよ、俺!

「そ、そうだな。では参ろう」

「どうかしました?その喋り方やめて下さい。なんか変ですよ~」

そう言って彼女は天使のような笑顔を見せてくれる。無邪気で可愛い彼女には、出来るだけ楽しませてあげたくなるものだ・・・


(授与式は15時からか・・・任務まで時間があるしなぁ。せっかくの祭りだ。午前中くらい彼女と楽しもうか)

ちなみに、任務のことは彼女には伝えていない。隠密集団ドレイクシャドウの規則で関係者以外には口外してはならないからだ。それに、彼女に余計な心配をかけるのも気が乗らない。

「何処か行きたいところはあるか?」

「そうですね・・・せっかくの王国祭ですし、市場行きませんか?」

「そうだな。じゃあ行こうか」

俺は彼女をエスコートできるだろうか?まぁ、いつも通りにすればいいんだよな。俺はスタスタと歩き始める。

「あの~ルヴェンさん、市場はあっちですよ」

・・・・
・・・・・・・あ、すまん。間違えた。

エステラはくすりと笑う。俺にはエスコートするなんてまだ早いみたいだ。

そして市場についた俺たちは、北の珍しい野菜やら見たこともない魚を見て回った。これがデートと言えるのかわからないが、エステラは凄く楽しそうで何よりだ。

しばらくして脇道に入ると、一人の子供が泣いている。それを見たエステラがすかさず声をかけた。

「どうしたの?ぼうや」

「うぇーん・・・・うぇーん・・・」

「泣かないで。お姉ちゃんに話を聞かせて」

「くす・・・くす・・、ぼくの・・お母さんが・・・」

「どうしたの?」

「悪いやつにつかまっちゃったよぉぉぉ」

「よく耐えましたね。もう大丈夫ですよ。私達がきみのお母さんを助けますから。ここでいい子にしてて下さいね?」

「ほんと?うん。いい子にしてる!」


エステラはいい奴だ。とっととその悪党どもに土下座させてやろう。

「よし、まだ遠くへ行ってないはずだ」

【周配】

すぅーーっと息を整え、感覚を周囲に広げていく。

「見つけたぞ!」

俺たちは走って後を追う。そこには体中にチェーンを巻き付け鉄球を持った大男と、二つのダガーを携えた小柄な男が、一人の女性を恐怖に陥れていた。

「や、めて。本当にお金は無いわ。私を捕らえたとこで何にもならないわ」

小柄な男が口を出す。

「コイツ。本当に持ってないみたいだぜ」

大男が、

「まぁいい。コイツは上物だ。闇市でそれなりの価格で買い取ってもらえるさ。さっさと連れていくぞ!」

こういう正義っぽいのは好きじゃ無いが、見過ごせないな。

「おい、お前ら。その女を

「なんだテメェ」

(チッそう簡単にはいかないか。そうだなぁ魔力でオーラでも出して早々に諦めてもらおう)

((オァァァァア))

魔力を可視化して、圧倒的な差を見せつける。

「・・・!?コイツ、なんちゅう魔力してやがる。やばいぞマルクス」

「おいタージ。俺はこんなもんでひるまねぇぞ!」

あきらめねぇのかよ。めんどくせえ。

「へぇ?タージとマルクスって言うのか。俺の手を煩わせやがって!覚えたからな」

「「上等だ!!」」

大男が鉄球を振り回して襲ってくる。

ブーーンッ!

【集配】

鉄球の行き先を小柄男に向ける。

「うわっ!危ねぇなおい!!」

「なんだそりゃ。ワープか何かかよ!まぁいい、数打ちゃ当たるっ!!・・・」

【集配】【集配】【集配】【集配】【集配】

うぉっ!

がはっ!

やめっ!

いってぇな!!

いい加減に・・

しろやーー!!

「数打って俺に当ててどうすんだよ??」

俺が全て小柄男に跳ね返してやると大男と小柄男が喧嘩を始めた。まぁそろそろ遊びも終わりだ。

【自配】距離を詰める。

【改配】無力化してやる。

「「ううっ体が!?」」

「残念だがお前らはその場から動けない」

「くそっ!そんなバカな!!悪かったから許してくれ!この通りだ」

男たちは観念したのか額を地につけて子供とその母に謝罪する。

「魔術はじき解ける。まぁ、二、三時間てところか?そこで這いつくばってろ」

「二、三時間だと!?そんな待ってられっ・・・」

「反省してないみたいだな。どうせなら一生治らない深手を負わせてやってもいいんだぞ」

「ひぃぃっコイツ、非道だ」

「もういいですよルヴェンさん。この人たち反省してると思います」

「そうか?全然見えないが。まぁ次は無いと思え!」


母と子は無事に再会し、礼を言って俺たちと別れた。エステラも嬉しそうだ。

だが、そうこうしているうちに時刻は14時を回り、任務の時間が迫ってきていた。

と、思っていると・・・!!?

はぁ、はぁ。

突如地面から猫耳の少女が現れた??


「もう、変な路地裏に潜らないでよ~探すの苦労したんだからね」

その少女とはララだった。急用でもできたのだろうか?

「ララか。屋敷の様子を後で報告しろと言ったが、なぜ今ここに来たんだ??」

「その、ね。の事だけど・・・信じられないかもしれないけど、メイベルが居ないの!!」

「はぁ!?やばっ大声出しちまった。どういうことだ?ララ!」

「さっきから何の話をしてるのですか?メイベルがどうとか・・・」

あっ・・・機密事項をうっかり・・・

ララもやってしまったというような顔をしている。

「まぁ、後で話すね。今はその・・・お取り込み中だったね」

「おい、いや別にそんなんじゃ!!」

ララはそのまま行ってしまった。話の続きがきになるところだが、エステラを一人には出来ない。家まで送ってから聞くことにしようか。

そうして、俺とエステラは"デート"を楽しみ、彼女を家まで送ってあげた。


さっきのララの話は俺を悩ませた。一体何があったのだろう・・・

俺は足早に駆け出した。











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