最強魔力量の最弱魔術士はマトモに戦わない

༺みずな(シャキシャキ)࿐

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第一章:レジスタースロウ

5話:集配魔術士はあくまでも補助

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「遅いんだけど!?全くいつまで待たせるつもりよ!」

「・・・・・・」

「何で黙ってるのよ!」

「いや~あんな大量に買ってこいって言われて素人が一、二時間で帰ってこれるもんじゃないだろ」

「それは貴方自身の問題。私は結果を見て判断してるから!現に四時間経ってるんだけど」
 
何だこいつ!?
めちゃめちゃ陥れ方が酷いじゃないか。

・・・今ので何故ルシエラではなくマリンがリーダー的存在をやってるのかを垣間見た気がした。

「ま、まぁ待たせてしまったことは謝ろう」

「そう。私もこれ以上言わないわ。それで買ったものはどれ?」

「これだが・・・」

「は???」

ひ、ヒェェェェ・・・

!!」

俺の買ったものが安っちいだの何だのこの後また説教されてしまった。

落胆している俺に近づいてきた人がいた。
同じ補助隊員のシロフさんだ。

「あらあら、あの子に散々言われちゃって~ごめんなさいね。あの子は利己的だから」

シロフさん・・・なんて優しいんだ、、

「俺なら大丈夫だ。ああいうのは慣れ・・」

「ん?何か言ったかしら」

「いや、何でもない」

「そう、なら良いわ」

俺は今、イフリーナを思い出していた。今でこそマシになったが、出会い頭に変態呼ばわりされ、屋敷を這いずり回った記憶を忘れない。

ただ、何というかまたパーティメンバーに会いたくなった。別のパーティに入っているのに変な言い方かもしれないが。



時は午後2時ごろ。

「よし、みんな準備はいい??Aランククエスト【緑の洞窟】行くよ!」

「オオーーッ!!」

すごいな。この臨場感・・・10数人のパーティなのにとてつもない団結感というか覇気がある。

洞窟を奥に進むと、小者が何匹か出てきた。

まぁ一概に小者と言っても、愛らしい見た目で舐めてかかると超至近距離で攻撃呪文が飛んでくるカイザーラットや、一度見たらトラウマになりそうなジャイアントスパイダーなど、Aランクなだけあって侮れない魔物たちである。

しばらくして、今までの細長い道とは打って変わって、大きく開けた中広間に出てきた。

「よし、専攻隊!止まれ!!」

おそらく、この洞窟の主であろう。
深い苔色のドラゴンが、こちらをギロリと見回した。

その刹那、其れは巨体を大きく震わせ、激しい咆哮と共にエメラルド色のブレスを放つ!!

((((ウガァァァァア!!!!))))

「チーーッ!!」

「防護隊・・・前に出て、構え!!」
 
「「了解!!」」 

マリンの的確な指示により、防護隊が盾を構える!

ズギィィィィン!!!!

鉄の盾が軋しむ。もう限界かと思われた瞬間とき、その一瞬を狙って盾の間を掻い潜り、専攻隊が飛躍する!!

焼き尽くせ!【ファイヤーボール!!】

渦なりて集え!【アクアストーム!!】

岩よ砕け!【シャイニングロック!!」


などと詠唱し、放たれた魔術はいよいよ勢いを増して、標的ドラゴンを完全に包み込んだ!!

ピタリ・・・と動かなくなったのを見届けて、彼らはゆったりと頬を緩める。

「マリンちゃんのアクアストーム、やっぱり最強だね!」

「いや~るっしぇちゃんのシャイニングロックの凄まじい勢いで、敵も怯んだんだと思うよ!」

「そんな~謙遜なさらずに~」


と・・・まぁ戦闘の余韻に浸っている二人を横目に、俺は重大なことに気づく。

コイツ・・・さっきから動かないが、傷一つついていない。

まさかっ!?

ズガァァァン!!!

【自配】!!

ひゃっ!?

地面から岩が隆起し、パーティーメンバーの大半が壁に叩きつけられた。

俺はとっさの判断で、近くにいたマリンとルシエラを抱えて空中に飛躍したのだ。

「ちょっと!離して!!」

「暴れるな。下を見てみろ。」

「みん、な・・・」

下には先程の衝撃で吹き飛ばされ、奴に今にも潰されそうな仲間達が慌てふためいていた。

さらに痛恨打を与えるかのようにエメラルドの巨竜が天井にブレスを放つと、岩石が乱れ落ちて彼らの逃げ場を無くしてしまった。

そんな状況にいても立ってもられなかったのか、マリンが巨竜に水の刃を放つ。

しかし、かすり傷ひとつ付けられず反動でそのまま地面に落ちた。

彼女は恐怖に震え戦きおののき今にも潰されそうである。

(たく、仕方ないな)

「シロフさん!ナハトさん!マリンちゃんの護衛を!!」

「ええ!」
「ああ!」

「「魔法障壁」」!!

これで心配は要らない。マトモに戦えそうなのは、俺とルシエラだけみてぇだな。

ただ、俺は戦うつもりなど毛頭ない。

本来の肉体に戻りかなりの攻撃力と魔術攻撃を得たものの、実際使えそうな技や魔術など覚えておらず、物理的なパンチと物理的なキックくらいしかまだ使え?なかった。

それに、妙に強いとこ見せたりしたらパーティーから抜けにくくて少し面倒だ。

結論:ルシエラに戦ってもらおう!

【改配】!!

「ちょ、ちょっと!?何で手を握るんです?」

「ちょっと黙ってろ!こっちの方が効率がいいんだよ!!」

そう、【改配】は自身のステータスを操ることができるが、自らと対象者を繋ぐことによってその対象者のステータスも自由に操れるようになるのだ。これは、アシシスの街で女剣士(名前は聞けなかったが)を倒した際、どうしようもなくて放った一手である。
いまは剣で刺されているわけでは無いので、痛みは伴わないのだが。

《グレートセンセーション7話参照》

という訳で、俺はルシエラのステータスを魔術攻撃に極振りすると、彼女は今まで感じたことのない漲る感覚に驚きを隠せないようだ。

「よし、ルシエラ。お前の全てをヤツにぶつけてやれ!!タゲ取は任せておけ」

「うん・・・いまなら最高の一撃が打てる気がする・・・」

俺はその言葉に安堵すると、身を反転し巨竜に向き直った。

巨竜はおぞましい魔力を感じたのか、他のパーティーメンバーへの攻撃を中断しルシエラ目掛けてブレスを放つ!

【改配】

防御力と素早さに極振りし、彼女への攻撃を一身に受け止めた。
そのタイミングで、ルシエラの詠唱が完成する!!

「悠久の時を経て集結せし岩塊よ!今ここに憤懣せよ!【神羅の一撃ウラフ・グラスプ】」

大地の力が魔術となって収束し、地面を揺るがすほどの威力となって、巨竜に放たれる。それは恐ろしいほどに膨れ上がって巨竜を飲み込んだが、何処か優しさのある神秘的な魔術だった。

ーーーッオァァァーーーッッ

エメラルドの巨体は、最後に糸のような呻き声を上げて、跡形もなく消滅した。



ーーーギルドの休憩所にてーーー


これで一件落着だ。と思いきや、やはりルシエラがあんな魔術使えるなんておかしいという話になったらしく、後日マリンに彼女に怪しい術を使うなと説教された。

いや、俺のおかげで勝てたのにちょっと失礼じゃないか??おまけにルシエラはなんかにやにやしてるだけでなんも反論してくれないし・・・

まぁ、このパーティーのこの雰囲気もも中々悪くないなと思う初冒険であった。















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