最強魔力量の最弱魔術士はマトモに戦わない

༺みずな(シャキシャキ)࿐

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第一章:レジスタースロウ

4話:集配魔術士は量より質よりコスト

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そろそろ戻らねばならない・・・

昼の騒がしさは跡形もなく消えて、閑寂の王都を夕焼けの陽光が焦がしていた。時計台と家屋が混ざり合ったような、異様な雰囲気の店に、その人はいた。

誰もが知っている有名店主、マッチおばさんだ。


「いらっしゃい。はい、クッキー」

「あ、あり・・・」

って、どう考えてもおかしいだろ。なんで、このおばさんは有名人で、この人と言ったらクッキーみたいなのが定着してるんだよ!?
あと、接客の流れおかしくないか??

「どうしたのかしら?はい、クッキー」

「まだ買うとは・・・」

「買わないのかい?マリンって言う少女に頼まれたんでしょ」

その言葉を聞くや否や、俺は咄嗟に身構えた。誰に頼まれたかなんて分かるわけがない。それよりも感覚的にこのおばさんは只者では無い気がしたのだ。

おばさんはしばらく驚愕と恐怖におののき、仕舞いには硬直してしまった。

何だか、見当違いの事をしていて悪い気がして構えを解くとおばさんが安心したように話し始めた。

「身構えるのも仕方ないわね。実は私地獄耳って言われてて1ファー先の会話なら聞き取れてしまうのよ。だからあなたがその範囲に来た時、私のことを話しているのが聞こえたわけ」

地味に怖いおばさんだ。もし、【ルヴェン】と言う単語を出していたら速攻でバレてしまうじゃないか。

「そうか。それはすまなかった。でも先言ってくれれば良かったんじゃないか?」

「あなたって負けず嫌いなのね。いきなり鞘に手をかけたのはあなたよね」

負けず嫌いなおばさんに負けず嫌いと言われたので、どんぐりの背比べの法則??でこの会話に意味がないような気がしてきた。

「は?クッキーひとつ」

「何か!?はい、クッキー3コルク」 


そうしてスタスタとこの店を出ると、武器屋に向かった。残るは弓矢と包帯だけ。弓巻き用に包帯はあるだろうから武器屋に行けば確実に二つ手に入るはずだ。

「「ガチャンッ」」

と、いい音がして年季の入った扉がギィーっと開いた。

「はいらっしゃい!」

そこにはいかにも『武器屋やってます!』感をたっぷりと醸し出した、若年の屈強な男がいた。

「弓矢と包帯が欲しいのだが用意はあるか?」

「弓矢は勿論あるが、包帯ってのは弓巻きのでいいかい?」

「ああ、それでいい。いくらで出せばいい」

「包帯は質の良いのが3レスで5コルク。普通のは3レス1コルクだ。あと、弓矢はちゃんとした鉄製のが10本50コルク。練習用なら、10本5コルクだ」  

買うのは、勿論決まっている。


「じゃあ質の悪い包帯と、ポキッと折れそうな弓矢をくれ」

「あ、ああ。安い方でいいんだな」

「そうだ。もっと安くならないのか??」

ただの交渉なのに、店主は驚きの目でこちらを見ている。

「ヒェ~それは勘弁だ。これ以上安くとなるとタダでもいい失敗して焦げた木材の弓くらいしか無いのだが・・・」

「何だ。そんなんあるなら早く言ってくれよ」

「じゃ、じゃあ会計は1コルクで」

硬貨を一枚取り出して渡し、さっさと家を出た。正直、安物で何も問題なかったのだ。【集配】による【成分の抽出と合成】スキルを保有する俺にとっては、木材の使える部分だけを抽出し、再合成すれば問題ない。その時に、さっきの廃品の鉄剣も抽出してくるりと混ぜればそれなりの強度の弓矢ができるのだった。

(よし、結局費用は全部でたった7コルク。そのうち約半分の3こルクがクッキーってのは納得いかないが、薬草50本、聖水30本に、包帯、煙玉、魔除け線香、鉄の塊にマッチおばさんのクッキーを全て揃えることができた。さらに1ジェラと33コルク『1万3300円』の小遣いも稼げた。これは大きい)




ま、この後戻ったら罵倒を浴びるなんて、そんな訳ないと信じたい自分がいる。















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