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第二章 それでも、わたしは返さない
近づいているのに、届かない
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彼女の手を、そっと包んだまま、
しばらく動けずにいた。
からだの熱が指先に集まっていく感じがして、
それを逃がしたくなかった。
彼女はそのままだった。
嫌がる気配も、応えてくるようすもない。
でも、それはたぶん、まだ眠たいからとか、
静かにしていたいからとか、
そういう理由だと思っていた。
わたしは、もう一歩だけ、距離を詰めた。
彼女の肩に触れる。
服のうえからでも、
皮膚のあたたかさが伝わってくる。
まるで水面に手を入れたときみたいに、
輪郭がゆるんで、
感覚がじんわりにじむ。
彼女の顔を見た。
まぶたは伏せられている。
眠っているふうではない。
それでも、まばたきもせず、
静かすぎるほど静かにしていた。
なにも言われないままだと、
どうしても“応えてくれている”ように感じてしまう。
拒まれていないから、きっと、だいじょうぶ。
そう思いたくなる。
けれど、どこかでずっと、引っかかっている。
彼女の静けさが、わたしのためにあるのか、
それとも“言えなさ”なのかが分からない。
そのどちらでもあるような気がして、
だからわたしは、まだ声をかけないまま、
そっと彼女の肩をなでる。
しばらく動けずにいた。
からだの熱が指先に集まっていく感じがして、
それを逃がしたくなかった。
彼女はそのままだった。
嫌がる気配も、応えてくるようすもない。
でも、それはたぶん、まだ眠たいからとか、
静かにしていたいからとか、
そういう理由だと思っていた。
わたしは、もう一歩だけ、距離を詰めた。
彼女の肩に触れる。
服のうえからでも、
皮膚のあたたかさが伝わってくる。
まるで水面に手を入れたときみたいに、
輪郭がゆるんで、
感覚がじんわりにじむ。
彼女の顔を見た。
まぶたは伏せられている。
眠っているふうではない。
それでも、まばたきもせず、
静かすぎるほど静かにしていた。
なにも言われないままだと、
どうしても“応えてくれている”ように感じてしまう。
拒まれていないから、きっと、だいじょうぶ。
そう思いたくなる。
けれど、どこかでずっと、引っかかっている。
彼女の静けさが、わたしのためにあるのか、
それとも“言えなさ”なのかが分からない。
そのどちらでもあるような気がして、
だからわたしは、まだ声をかけないまま、
そっと彼女の肩をなでる。
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