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第38話 キャンプしてみた
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「異世界からこんにちは。リリス・サキュアです♪」
画面の中ではいつもどおり、明るくリリスがオープニングの挨拶をした。どうやら車内のようで、窓に移る景色がゆっくりと流れている。
「私は今、紫水晶の聖女レティシア様の馬車に乗せてもらっています。馬車の中にはレティシア様と、それから護衛のミレーヌさんもいます」
すると画面がくるりと回り、仲良く並んで座るレティシアとミレーヌの姿が移った。二人はニッコリと笑って手を振る。
「実は私、ミニョレ村を出て、イストール公国の公都、ええと、首都みたいな感じですかね? イストレアに向かっています。今は見てのとおり、森の中を移動しているんですけど、今日はなんと! キャンプをするそうなんです」
リリスはワクワクしているようで、声のトーンが少し高い。
「私、こうやって大勢の人と一緒にキャンプするのは初めてなので、今からとっても楽しみです。皆さんはキャンプとか、したことありますか? 今日はこれから冒険者のキャンプの様子を紹介しますので、良かったらそちらとの違いを教えてくださいね」
そして画面が切り替わり、川沿いの少し開けた場所が映し出された。
「はい。どうやら今日は、ここでキャンプをするみたいです。テントは使わずに、皆さん寝袋で地べたで寝るんだそうです。それと、これから火をおこすみたいなので見に行ってみようと思います」
リリスはそう言うと、屈んで何かを準備している男性冒険者のところへと向かう。
「すみませーん。今から火をつけるんですよね?」
「ん? あ、ああ。そうだが……」
「ちょっと見学させてもらってもいいですか?」
「お、おう」
彼は顔を少し赤くしながらそう答えた。
「ありがとうございます。それじゃ、ちょっと見学させてもらいますね」
リリスは笑顔で礼を言った。すると彼はどこかそわそわした様子になり、ちらちらとリリスのほうへと視線を送る。しかしリリスは興味津々な様子で無造作に積まれた薪のほうを見ており、やがて彼も何かを決心したのか火おこしの作業を開始する。
打ち金と火打石を取り出し、慣れた手つきでカチカチと打ち金を何度か火打石に叩きつける。
不意にぱっと火花が飛び、男はすぐに打ち金を地面に置いた。火打石を上から支えていた親指を離すとそこには小さな黒い布きれのようなものがあり、なんと赤熱している。
赤熱した布をほぐした麻縄の中に入れてそっと息を吹きかけると、ボッという音と共に一気に燃え上がった。彼はその上に細い枝を乗せ、それに火がつくと今度は積み上げてあった薪を乗せる。
「ま、まあ、こんなもんだ」
「ありがとうございます! すごいですね! 火おこしなんて初めて見ました! どうやったんですか?」
「え? お、おう。それはだな。打ち金で火打石をこするように叩くと火花が飛ぶんだ。こんなふうにな」
彼はだらしない表情を浮かべながらも打ち金で火打石を何度か叩いた。するとぱっと火花が飛び散る。
「この火花でチャークロスに火をつけて、そっから麻縄で火にするんだ」
「そうなんですね! すごい!」
彼の視線がリリスの胸に突き刺さっているが、興奮しているリリスはそのことにまったく気付いていない。
「そ、そうか? ま、まあな。嬢ちゃんは火おこし、したことないのか?」
「え? あ、はい。そうですね。こういうのは初めて見ました」
「そ、そうか」
彼はそう言うとどこか微妙な表情を浮かべる。
「面白いものを見せてくれてありがとうございました」
「ああ。こんなんで良ければいつでも見せてやるぜ」
「ありがとうございます!」
そんな会話をしていると、他の男性冒険者が串に刺した肉を持ってやってきた。
「あっ! それが今日の夕食ですか?」
「ああ、そうだ。ただの豚肉と塩だけだぞ?」
「へぇ。すごいですね。楽しみです」
「お、おう。そうか」
肉を持ってきた男性冒険者は怪訝そうな表情を浮かべつつもたき火の近くに串を突き刺し、遠火でじっくりと炙り始めた。
その様子をリリスは興味津々といった様子で見守っている。
やがて画面はゆっくりとフェードアウトし、場面が切り替わる。
リリスはレティシアたちと共にたき火を囲んでいるが、調理をしている間にすっかり日が暮れたようで周囲は薄暗くなっていた。
「見てください。今日の夕飯は豚の串焼きと黒パンです。それじゃあ、いただきます」
リリスはそういうと、豚の串焼きにかぶりついた。
「あっ! あっつい! でも美味しいです!」
リリスはくにゃりと表情を緩めた。
「とってもジューシーで、熱々で、塩加減もちょうどいいです」
リリスはそう言ってはふはふしながら串焼きを飲み込むと、黒パンを口に入れる。
「んん! たき火であぶった黒パンですけど、これ、いいですね。バターが溶けてて、これも美味しいです」
そうして黒パンを飲み込んだリリスは再び串焼きにかぶりつくと、はふはふと美味しそうに食べていく。
そしてやがて串焼きと黒パンはリリスのお腹の中に収まるのだった。
「ふふ。ごちそうさまでした」
リリスがそう言って手を合わせると画面はゆっくりと暗転し、場面が切り替わる。
リリスはどうやら寝袋に包まって横になっているようだ。オレンジ色のたき火の光に照らされたリリスの顔が、妙な色気を醸しだしている。
リリスは寝転びながら、ひそひそ声で画面に向かって語り掛けてくる。
「夕飯を食べたらすぐに眠るみたいです。見張りは冒険者の皆さんが交代でやってくれるそうです。もう寝ている人もいるので、私も寝ようと思います。それじゃあ、おやすみなさい」
リリスはそう言うと静かに目を閉じ、やがてすぐに小さな寝息を立て始める。
すると再び画面が切り替わった。画面の中はすっかり明るくなっている。
「おはようございます。ちょっと地面が硬かったですけど、よく眠れました。一晩寝て、なんだかすごくスッキリして体が軽いです」
リリスはそう言って力こぶを作るようなポーズをする。
「それとですね。朝ごはんは黒パンと干し肉を移動しながら食べるそうです。だからこのままたき火の始末をして寝袋を回収したらすぐに出発します。暖かい朝ごはんを食べたかったんですけど、こればっかりは仕方ないですね」
リリスは残念そうな表情を浮かべたが、すぐに笑顔を浮かべる。
「というわけで、冒険者の皆さんと一緒にキャンプをしてみました。良かったらコメント欄で感想とか、教えてもらえると嬉しいです」
リリスはそう言って両手を胸の高さまで上げ、人差し指を下に向けて上下させる。
「いいねボタン、チャンネル登録もよろしくお願いします。それじゃあ、また会いにきてくださいね。バイバーイ」
リリスは笑顔で右手を振り、動画はそこで終了するのだった。
画面の中ではいつもどおり、明るくリリスがオープニングの挨拶をした。どうやら車内のようで、窓に移る景色がゆっくりと流れている。
「私は今、紫水晶の聖女レティシア様の馬車に乗せてもらっています。馬車の中にはレティシア様と、それから護衛のミレーヌさんもいます」
すると画面がくるりと回り、仲良く並んで座るレティシアとミレーヌの姿が移った。二人はニッコリと笑って手を振る。
「実は私、ミニョレ村を出て、イストール公国の公都、ええと、首都みたいな感じですかね? イストレアに向かっています。今は見てのとおり、森の中を移動しているんですけど、今日はなんと! キャンプをするそうなんです」
リリスはワクワクしているようで、声のトーンが少し高い。
「私、こうやって大勢の人と一緒にキャンプするのは初めてなので、今からとっても楽しみです。皆さんはキャンプとか、したことありますか? 今日はこれから冒険者のキャンプの様子を紹介しますので、良かったらそちらとの違いを教えてくださいね」
そして画面が切り替わり、川沿いの少し開けた場所が映し出された。
「はい。どうやら今日は、ここでキャンプをするみたいです。テントは使わずに、皆さん寝袋で地べたで寝るんだそうです。それと、これから火をおこすみたいなので見に行ってみようと思います」
リリスはそう言うと、屈んで何かを準備している男性冒険者のところへと向かう。
「すみませーん。今から火をつけるんですよね?」
「ん? あ、ああ。そうだが……」
「ちょっと見学させてもらってもいいですか?」
「お、おう」
彼は顔を少し赤くしながらそう答えた。
「ありがとうございます。それじゃ、ちょっと見学させてもらいますね」
リリスは笑顔で礼を言った。すると彼はどこかそわそわした様子になり、ちらちらとリリスのほうへと視線を送る。しかしリリスは興味津々な様子で無造作に積まれた薪のほうを見ており、やがて彼も何かを決心したのか火おこしの作業を開始する。
打ち金と火打石を取り出し、慣れた手つきでカチカチと打ち金を何度か火打石に叩きつける。
不意にぱっと火花が飛び、男はすぐに打ち金を地面に置いた。火打石を上から支えていた親指を離すとそこには小さな黒い布きれのようなものがあり、なんと赤熱している。
赤熱した布をほぐした麻縄の中に入れてそっと息を吹きかけると、ボッという音と共に一気に燃え上がった。彼はその上に細い枝を乗せ、それに火がつくと今度は積み上げてあった薪を乗せる。
「ま、まあ、こんなもんだ」
「ありがとうございます! すごいですね! 火おこしなんて初めて見ました! どうやったんですか?」
「え? お、おう。それはだな。打ち金で火打石をこするように叩くと火花が飛ぶんだ。こんなふうにな」
彼はだらしない表情を浮かべながらも打ち金で火打石を何度か叩いた。するとぱっと火花が飛び散る。
「この火花でチャークロスに火をつけて、そっから麻縄で火にするんだ」
「そうなんですね! すごい!」
彼の視線がリリスの胸に突き刺さっているが、興奮しているリリスはそのことにまったく気付いていない。
「そ、そうか? ま、まあな。嬢ちゃんは火おこし、したことないのか?」
「え? あ、はい。そうですね。こういうのは初めて見ました」
「そ、そうか」
彼はそう言うとどこか微妙な表情を浮かべる。
「面白いものを見せてくれてありがとうございました」
「ああ。こんなんで良ければいつでも見せてやるぜ」
「ありがとうございます!」
そんな会話をしていると、他の男性冒険者が串に刺した肉を持ってやってきた。
「あっ! それが今日の夕食ですか?」
「ああ、そうだ。ただの豚肉と塩だけだぞ?」
「へぇ。すごいですね。楽しみです」
「お、おう。そうか」
肉を持ってきた男性冒険者は怪訝そうな表情を浮かべつつもたき火の近くに串を突き刺し、遠火でじっくりと炙り始めた。
その様子をリリスは興味津々といった様子で見守っている。
やがて画面はゆっくりとフェードアウトし、場面が切り替わる。
リリスはレティシアたちと共にたき火を囲んでいるが、調理をしている間にすっかり日が暮れたようで周囲は薄暗くなっていた。
「見てください。今日の夕飯は豚の串焼きと黒パンです。それじゃあ、いただきます」
リリスはそういうと、豚の串焼きにかぶりついた。
「あっ! あっつい! でも美味しいです!」
リリスはくにゃりと表情を緩めた。
「とってもジューシーで、熱々で、塩加減もちょうどいいです」
リリスはそう言ってはふはふしながら串焼きを飲み込むと、黒パンを口に入れる。
「んん! たき火であぶった黒パンですけど、これ、いいですね。バターが溶けてて、これも美味しいです」
そうして黒パンを飲み込んだリリスは再び串焼きにかぶりつくと、はふはふと美味しそうに食べていく。
そしてやがて串焼きと黒パンはリリスのお腹の中に収まるのだった。
「ふふ。ごちそうさまでした」
リリスがそう言って手を合わせると画面はゆっくりと暗転し、場面が切り替わる。
リリスはどうやら寝袋に包まって横になっているようだ。オレンジ色のたき火の光に照らされたリリスの顔が、妙な色気を醸しだしている。
リリスは寝転びながら、ひそひそ声で画面に向かって語り掛けてくる。
「夕飯を食べたらすぐに眠るみたいです。見張りは冒険者の皆さんが交代でやってくれるそうです。もう寝ている人もいるので、私も寝ようと思います。それじゃあ、おやすみなさい」
リリスはそう言うと静かに目を閉じ、やがてすぐに小さな寝息を立て始める。
すると再び画面が切り替わった。画面の中はすっかり明るくなっている。
「おはようございます。ちょっと地面が硬かったですけど、よく眠れました。一晩寝て、なんだかすごくスッキリして体が軽いです」
リリスはそう言って力こぶを作るようなポーズをする。
「それとですね。朝ごはんは黒パンと干し肉を移動しながら食べるそうです。だからこのままたき火の始末をして寝袋を回収したらすぐに出発します。暖かい朝ごはんを食べたかったんですけど、こればっかりは仕方ないですね」
リリスは残念そうな表情を浮かべたが、すぐに笑顔を浮かべる。
「というわけで、冒険者の皆さんと一緒にキャンプをしてみました。良かったらコメント欄で感想とか、教えてもらえると嬉しいです」
リリスはそう言って両手を胸の高さまで上げ、人差し指を下に向けて上下させる。
「いいねボタン、チャンネル登録もよろしくお願いします。それじゃあ、また会いにきてくださいね。バイバーイ」
リリスは笑顔で右手を振り、動画はそこで終了するのだった。
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