エロフに転生したので異世界を旅するVTuberとして天下を目指します

一色孝太郎

文字の大きさ
38 / 122

第38話 キャンプしてみた

しおりを挟む
「異世界からこんにちは。リリス・サキュアです♪」

 画面の中ではいつもどおり、明るくリリスがオープニングの挨拶をした。どうやら車内のようで、窓に移る景色がゆっくりと流れている。

「私は今、紫水晶アメジストの聖女レティシア様の馬車に乗せてもらっています。馬車の中にはレティシア様と、それから護衛のミレーヌさんもいます」

 すると画面がくるりと回り、仲良く並んで座るレティシアとミレーヌの姿が移った。二人はニッコリと笑って手を振る。

「実は私、ミニョレ村を出て、イストール公国の公都、ええと、首都みたいな感じですかね? イストレアに向かっています。今は見てのとおり、森の中を移動しているんですけど、今日はなんと! キャンプをするそうなんです」

 リリスはワクワクしているようで、声のトーンが少し高い。

「私、こうやって大勢の人と一緒にキャンプするのは初めてなので、今からとっても楽しみです。皆さんはキャンプとか、したことありますか? 今日はこれから冒険者のキャンプの様子を紹介しますので、良かったらそちらとの違いを教えてくださいね」

 そして画面が切り替わり、川沿いの少し開けた場所が映し出された。

「はい。どうやら今日は、ここでキャンプをするみたいです。テントは使わずに、皆さん寝袋で地べたで寝るんだそうです。それと、これから火をおこすみたいなので見に行ってみようと思います」

 リリスはそう言うと、屈んで何かを準備している男性冒険者のところへと向かう。

「すみませーん。今から火をつけるんですよね?」
「ん? あ、ああ。そうだが……」
「ちょっと見学させてもらってもいいですか?」
「お、おう」

 彼は顔を少し赤くしながらそう答えた。

「ありがとうございます。それじゃ、ちょっと見学させてもらいますね」

 リリスは笑顔で礼を言った。すると彼はどこかそわそわした様子になり、ちらちらとリリスのほうへと視線を送る。しかしリリスは興味津々な様子で無造作に積まれた薪のほうを見ており、やがて彼も何かを決心したのか火おこしの作業を開始する。

 打ち金と火打石を取り出し、慣れた手つきでカチカチと打ち金を何度か火打石に叩きつける。

 不意にぱっと火花が飛び、男はすぐに打ち金を地面に置いた。火打石を上から支えていた親指を離すとそこには小さな黒い布きれのようなものがあり、なんと赤熱している。

 赤熱した布をほぐした麻縄の中に入れてそっと息を吹きかけると、ボッという音と共に一気に燃え上がった。彼はその上に細い枝を乗せ、それに火がつくと今度は積み上げてあった薪を乗せる。

「ま、まあ、こんなもんだ」
「ありがとうございます! すごいですね! 火おこしなんて初めて見ました! どうやったんですか?」
「え? お、おう。それはだな。打ち金で火打石をこするように叩くと火花が飛ぶんだ。こんなふうにな」

 彼はだらしない表情を浮かべながらも打ち金で火打石を何度か叩いた。するとぱっと火花が飛び散る。

「この火花でチャークロスに火をつけて、そっから麻縄で火にするんだ」
「そうなんですね! すごい!」

 彼の視線がリリスの胸に突き刺さっているが、興奮しているリリスはそのことにまったく気付いていない。

「そ、そうか? ま、まあな。嬢ちゃんは火おこし、したことないのか?」
「え? あ、はい。そうですね。こういうのは初めて見ました」
「そ、そうか」

 彼はそう言うとどこか微妙な表情を浮かべる。

「面白いものを見せてくれてありがとうございました」
「ああ。こんなんで良ければいつでも見せてやるぜ」
「ありがとうございます!」

 そんな会話をしていると、他の男性冒険者が串に刺した肉を持ってやってきた。

「あっ! それが今日の夕食ですか?」
「ああ、そうだ。ただの豚肉と塩だけだぞ?」
「へぇ。すごいですね。楽しみです」
「お、おう。そうか」

 肉を持ってきた男性冒険者は怪訝そうな表情を浮かべつつもたき火の近くに串を突き刺し、遠火でじっくりとあぶり始めた。

 その様子をリリスは興味津々といった様子で見守っている。

 やがて画面はゆっくりとフェードアウトし、場面が切り替わる。

 リリスはレティシアたちと共にたき火を囲んでいるが、調理をしている間にすっかり日が暮れたようで周囲は薄暗くなっていた。

「見てください。今日の夕飯は豚の串焼きと黒パンです。それじゃあ、いただきます」

 リリスはそういうと、豚の串焼きにかぶりついた。

「あっ! あっつい! でも美味しいです!」

 リリスはくにゃりと表情を緩めた。

「とってもジューシーで、熱々で、塩加減もちょうどいいです」

 リリスはそう言ってはふはふしながら串焼きを飲み込むと、黒パンを口に入れる。

「んん! たき火であぶった黒パンですけど、これ、いいですね。バターが溶けてて、これも美味しいです」

 そうして黒パンを飲み込んだリリスは再び串焼きにかぶりつくと、はふはふと美味しそうに食べていく。

 そしてやがて串焼きと黒パンはリリスのお腹の中に収まるのだった。

「ふふ。ごちそうさまでした」

 リリスがそう言って手を合わせると画面はゆっくりと暗転し、場面が切り替わる。

 リリスはどうやら寝袋に包まって横になっているようだ。オレンジ色のたき火の光に照らされたリリスの顔が、妙な色気を醸しだしている。

 リリスは寝転びながら、ひそひそ声で画面に向かって語り掛けてくる。

「夕飯を食べたらすぐに眠るみたいです。見張りは冒険者の皆さんが交代でやってくれるそうです。もう寝ている人もいるので、私も寝ようと思います。それじゃあ、おやすみなさい」

 リリスはそう言うと静かに目を閉じ、やがてすぐに小さな寝息を立て始める。

 すると再び画面が切り替わった。画面の中はすっかり明るくなっている。

「おはようございます。ちょっと地面が硬かったですけど、よく眠れました。一晩寝て、なんだかすごくスッキリして体が軽いです」

 リリスはそう言って力こぶを作るようなポーズをする。

「それとですね。朝ごはんは黒パンと干し肉を移動しながら食べるそうです。だからこのままたき火の始末をして寝袋を回収したらすぐに出発します。暖かい朝ごはんを食べたかったんですけど、こればっかりは仕方ないですね」

 リリスは残念そうな表情を浮かべたが、すぐに笑顔を浮かべる。

「というわけで、冒険者の皆さんと一緒にキャンプをしてみました。良かったらコメント欄で感想とか、教えてもらえると嬉しいです」

 リリスはそう言って両手を胸の高さまで上げ、人差し指を下に向けて上下させる。

「いいねボタン、チャンネル登録もよろしくお願いします。それじゃあ、また会いにきてくださいね。バイバーイ」

 リリスは笑顔で右手を振り、動画はそこで終了するのだった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。

克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

処理中です...