エロフに転生したので異世界を旅するVTuberとして天下を目指します

一色孝太郎

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第50話 口説かれた件について

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 無事に撮影と編集を終え、ニュース動画を設定した再生の宝珠をフェリクスさんに預けると俺はお城を後にした。その足で契約の詳細を記した紙をギルドに提出してからホテルへと戻った。

 そして翌朝、少し早めにホテルを出発して中央の大広場でフェリクスさんと合流した。すでに夜の間に作業が行われていたようで、動画を投影する場所の近くには規制線が張られており、衛兵たちが警備体制を敷いている。

「フェリクスさん、おはようございます」
「おはようございます、リリスさん。では早速始めましょう」
「はい」

 フェリクスさんはそう言うと、広場の端に設置された台の上に置かれた再生の宝珠に魔力を流した。すると巨大なスクリーンが空間上に現れる。

「親愛なるイストール公国の国民たちよ。私はルイ・ド・イストールだ。今回は記録の女神アルテナ様のお力をお借りし、我が国で先月発生した犯罪とその処罰結果を伝える機会を得た」

 ニュースにしてはずいぶんと偉そうな口調ではあるが、偉い人が一般人に語りかける場合はこういった口調になるのが一般的らしい。

 そしてルイ様の口から領内で起きた事件とその処罰結果が伝えられる。

 金銭目的で家に侵入し、殺人が行われた強盗殺人事件、酒場で酔っ払い同士が殺し合いをした殺人事件、道行く若い女性を誘拐して監禁し、強姦した事件、豊穣の女神アスタルテ様を冒涜した事件、さらに夜の人気のない場所で七十歳のおばあさんが襲われた強姦事件が容疑者の名前と年齢などともに報告された。いずれも死刑で、冒涜事件は釜茹での刑、それ以外はすべて斬首刑だ。

 続いて窃盗罪などの死刑ではない犯罪が伝えられるが、刑罰は労働刑というものなのだそうだ。

 労働刑という聞いたことのない刑だが、名前から察するにきっと働いて罰金を払ったり弁償をしたりといった話なのだと思う。よもや、奴隷として鉱山送りなんて話ではあるまい。

 続いて魔物の被害に関する内容が伝えられた。この国ではあちこちで魔物が出現しているそうで、イストール公の兵と冒険者が手分けをしてその討伐を行っているということが伝えられる。

 ここにはミニョレ村での凄惨な事件が含まれており、イストール公の命令に背いて逃げようとした冒険者が労働刑になったということも伝えられた。

 殺人は未遂に終わったので多少刑罰が軽くなるというのは分からないでもないが、レティシアさんまで危険にさらしたのだから、強姦で死刑にするならトマの件も死刑でいいと思うのは俺だけだろうか?

 それとも俺の労働刑に対する認識が間違っているのかな?

 そうこうしている間に十分ほどかけて説明を終えたルイ様が今後も犯罪の摘発に力を入れていくので、犯罪の兆候を見かけたら近くの衛兵に通報するように、と呼びかけて動画が終了した。

 そしてラ・トリエールのときと同じように画面が暗転し、白い文字で『この動画は女神アルテナの奇跡によって表示されています』と表示され、動画が最初から再生される。

「バッチリですね」
「はい。では三日後の夕方に城までお越しください」
「はい」

 動画が上手く上映できることを確認した俺は急いでラ・トリエールへ向かうのだった。

◆◇◆

 それから三日後の夕方、俺は再生の宝珠を返してもらうために城へと出向いた。すると出迎えてくれたのはやたらと上機嫌な様子のルイ様だった。

「やあ、よく来てくれました」

 ルイ様はそう言うと両腕を広げてくる。

 ええと? この人は何をしてるんだ?

「ルイ様、こんにちは」

 よく分からないので俺はとりあえず適当に挨拶を返した。するとルイ様はピクリと眉を動かしたが、紳士的な笑顔のまま俺に着席を促してくる。

「え、ええ。どうぞお掛けください」
「はい」

 促されたのでソファーに座るが、やはりこのソファーはふかふかで座り心地が抜群だ。

「あの、フェリクスさんはどちらでしょう? 今日は依頼完了のサインとお貸ししていた再生の宝珠を返してもらいに来たのですが……」
「フェリクスは今こちらに向かっているところですから、しばらくお待ちください」
「え? あ、ちょっと早く来すぎちゃいましたか? すみません」
「いえ、問題ありませんよ。その分、こうしてお美しいリリス嬢とお話できますから」

 ルイ様はキラキラとした貴公子スマイルでそんなことを言ってきた。

「はぁ」
「リリス嬢の美しさの前には咲き誇る薔薇さえも恥じ入ってしまうことでしょう」

 うっ。なんだか背筋に悪寒が……。

「どうでしょう。ぜひ今晩は私とディナーでもいかがですか?」
「え? ええと、今日は予定が……」
「では明日はどうでしょう?」
「ええと……」

 どう断ればいいのだろうか?

 ルイ様は権力者の息子なのであまり角が立つような断り方をするのも良くないしなぁ。

「リリス嬢の美しさに魅了されたこの哀れな男にどうか夕食を共にする機会をいただけませんか?」

 なんというか、よくもまあこんな台詞がポンポンと出てくるものだ。随分慣れているようだし、もしかすると出会った女性に片っ端からこういうことを言っているのかもしれない。

 そういえば女性はとにかく褒めるなんて文化の国がヨーロッパのどこかにあると聞いたことがあるような気がするし、そんなものなのかもしれない。

 まあ、この国の王子様的な人なのだから慣れているだけかもしれないが……。

「その……ほら。私は冒険者ですから、ルイ様と同じ食卓を囲むなんて恐れ多いですから……」
「いえいえ、そのようなことはありません。多大な成果を上げた冒険者と父が会食をすることはよくありますし、何よりリリス嬢は記録の女神アルテナ様の使徒でいらっしゃる。アスタルテ教で考えれば、使徒は少なくとも聖女と同じ扱いを受けるでしょう。聖女であれば宮中晩餐会に主賓として招かれることだって珍しくありません」
「え? ええと……あ! そうだ! 晩餐会に着ていく服がないですから!」
「ドレスをお贈りしましょう。リリス嬢の美しさを最大限に引き出せる最高のものを仕立てましょう」
「いや、それは……」

 ぐぬぬ。これは、一体どう切り抜ければいいんだ?
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