エロフに転生したので異世界を旅するVTuberとして天下を目指します

一色孝太郎

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第69話 リリスの日常

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「あぁ、ほんっとうに疲れたわ」

 俺はそうつぶやくと、そのまま体をいつものベッドに横たえた。

「これ、言葉が勝手に女言葉に変わってくれなかったら多分無理だったわね」

 思わずそんな本音がポロリと零れてしまう。

 それぐらいリオロンから帰ってきて今日まで、本当に大変だったのだ。何が大変だったかというと、それはもちろんルイ様だ。

 仕事はどうしたと心配になるほど毎日私のホテルにやってきていたのだ。しかも毎回宝石やらアクセサリーやらの贈り物を持ってくる。俺は男に抱かれる趣味はないので断り続けていたのだが、すると今度は駄女神への寄進だと言い始めた。さすがに教会を建ててもらう手前、これは断れない。

 とりあえず置く場所がないので教会の建築が終わるまではそちらで預かっておいて欲しいとお願いしてあるのでこの部屋が宝物庫になる事態は避けられたのだが……。

 ともかく、そんなストレスフルな生活の中でのストレス解消といえば……まあ、その、あれだ。最近手鏡を手に入れたおかげで色々とはかどっているのだ。

 ベッドの上からテーブルの引き出しに手を伸ばし、シンプルな手鏡を取り出した。そしていつものように自分の姿を映す。

「うん。やっぱり可愛いわね」

 鏡の中の極上の美少女が俺の思ったとおりの動きをしてくれるというのはなんとも素晴らしい。両腕で胸を寄せるとただでさえ大きい胸が強調され、なんともエロい。

 それを見ていると、ルイ様が口説こうと思うのも無理はないと思ってしまう。それに今日の招待客の男たちだってそうだ。

 今日の招待客の視線だが、最初に俺の胸に行き、その後顔を確認してから全身を舐めまわすように見て、再び胸に戻ってきた。そのまま遠慮なく胸を見る者もいれば一度視線を外し、ちらちらと胸を盗み見ている者もいた。

 ただ、まあ、なんというか、仕方ないのは分かるが男にそれをやられるとちょっと、いやかなり気持ち悪い。

 おっと、そんなことを思い出すとまたストレスが溜まってしまう。

 俺がにっこりと微笑むと、鏡の中の美少女も微笑み返してくれる。

 やっぱりエロ可愛いな。

 そして俺は左手を胸に、右手をそっと下半身に伸ばし……。

◆◇◆

 翌朝、すっきりした気分で目覚めた俺は軽く朝食を済ませる。

 さて、今日は何をしようか?

 というのも、実は今日一日予定が入っていないのだ。

 オーク討伐の報酬で懐は潤っているし、ルイ様の他にも晩餐会で寄進を申し出てくれたおっさんたちも大勢いた。

 そのおかげで贅沢をしなければもう働かなくても生活の心配はないわけだが、残念ながら朱里と剛はそうではない。

 どうしているかを知る術はあの駄女神に聞く以外にない。だが収益がもう一千万を超えたと言っていたので、もう二人を大学へ行かせてやるくらいはできるはずだ。

 そう考えると少し肩の荷が降りた気分ではある。

 とはいえ、動画の配信を辞めるというわけにはいかない。もしかしたら剛が医学部に行きたいと思うかもしれないし、朱里が留学したいと思うかもしれない。

 二人は俺の大事な妹と弟だ。親がいないというだけで選択肢を狭めるようなことになってほしくない。

 となるとやはりここは一つ、ここイストレアの町を散策しながら面白い風景を見つけるのがいいだろう。

 それに、ホテルにいるとまたルイ様がやってくるかもしれないしな。

 そんなわけで俺はいつものワンピースを身に纏い、ホテルを出るのだった。

◆◇◆

 あちこち歩き回ったが、中々これはと思える風景に出会えずに昼下がりとなってしまった。

 この町に長くいたせいか、すでに色々な場所を動画にして配信してしまっている のだ。やはりそう簡単には見つからない。

 そうしてフラフラしていると、いつの間にかラ・トリエールの前にやってきていた。どうやらラ・トリエールの人気は健在らしく、すでに完売の札が掛かっている。

 その札を見ると、なんとなく誇らしい気分になってくる。

 ジャクリーヌさんの言うようにイストレアで一番なのかは分からないが、ジャン=パンメトルさんの腕前がたしかなことは間違いない。

 ジャン=パンメトルさんはいい人だがちょっと、いや、かなりのコミュ障だ。だがそれを補ってくれるジャクリーヌさんがいるし、ジャクリーヌさんだってとてもいい人だ。

 つまりラ・トリエールは元々高いポテンシャルをもったパン屋さんだったのだ。そんな隠れた名店を俺が動画でここまでの人気店に押し上げたと思うと感慨もひとしおだ。

 完売の札の前でそんなことを考えていると、扉が開いた。

「リリスさんじゃない! いらっしゃい! 今日はどうしたの? パンを買いに来てくれたなら申し訳ないけれど……」
「あ、ジャクリーヌさん。そうじゃなくて――」

 俺はイストレアの面白い景色を探して散歩していることを伝えた。

「そう。それなら……そうね。物見の塔からの夕日はどうかしら?」
「物見の塔ですか?」
「知らない?」
「はい」
「なら今日がたしか開放日だったはずだから、夕方に行ってみたらどう? 場所は――」

 こうして俺はジャクリーヌさんに物見の塔の場所を教えてもらった。

「あ、そうだ。どうせなら夫にも挨拶していく? それにリゼットは今寝ているけれど、良かったら顔をみせてやってちょうだい」

 ちなみにリゼットというのはこの間生まれた赤ちゃんの名前だ。

「そうですね。時間もありますしぜひ」

 こうして俺は暇つぶしも兼ね、ラ・トリエールの店内へと足を踏み入れたのだった。


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※作中では描写しておりませんが、こまめに町の様子を動画にして配信していました
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