エロフに転生したので異世界を旅するVTuberとして天下を目指します

一色孝太郎

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第79話 午後のティータイム

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 約束の時間より少し早くやってきたせいか、少し待たされてしまったものの俺は中庭にあるテーブルに案内された。色とりどりの花が咲いており、丁寧にお世話されていることが見てとれる。

 そんな庭を鑑賞していると、レティシアとミレーヌがやってきた。

「わりぃわりぃ。待たせちまったか?」
「ううん。さっき来たところだよ。それに私も早くきちゃったし」
「そういやずいぶん早かったな」

 レティシアはそう言いながら、持ってきてくれたティーポットから慣れた手つきで紅茶をカップに注いでいく。

「はいよ」
「ありがとう」

 カップからは湯気と紅茶の香りが漂ってくる。

「で、なんかあったのか?」
「え? ああ、うん。そうね。実は――」

 俺は一連の出来事を説明した。

「警備隊の下っ端どもかぁ。あいつら、評判悪いからなぁ」
「え? そうなの?」
「ああ、一部だけど腐った連中がいやがるからな」
「そうなんだ。どうして警備隊の人たちがそんな……」
「さあな。だが貧民街を中心に色々と悪事を働いていやがるらしいぜ」
「貧民街?」
「貧民街は北西の街壁沿いの一部だ。あのへんは治安も悪いし、あんま近づかねぇほうがいいぜ?」
「うん。分かった。でも警備隊が悪いことをしているのに、どうしてイストール公は見て見ぬふりをするのかな? そんな人には見えないのに……」
「どうだろうなぁ。案外報告されてないのかもな。あとは知ってるんだとしたら、貧民街は町のお荷物だからって放置してるのかもしれないぜ」
「えっ?」
「ただでさえラテル帝国の戦争に男手を駆り出されてるんだぜ? そんな中で税金もほとんど払ってねぇ奴を守る余裕があると思うか?」
「うーん。でも貧民街がしっかりして手がかからなくなれば、その分町全体が良くなる気もするけど……」
「それもそうだな。まあ、あたしはそのへんのところはよく分かんねぇけど。なぁ、ミレーヌはどう思う?」
「え? うーん……」

 ミレーヌもそのあたりはさっぱりなのか、首をこてんとかしげた。まあ、そういう俺も素人なのでよく分からないのだが。

「にしても、リリスが飛べるなんて知らなかったぜ。ちょっと見せてくれよ」
「え? うん。いいよ」

 俺は席を立ち、少し離れた場所で少しだけ浮上した。

「おっ! すげぇな。マジで浮いてるじゃねぇか。一体どうなってるんだ? 光の翼もすげぇし、マジで使徒って感じだよな!」
「リリスすごい!」

 レティシアとミレーヌがかなり大げさに褒めてくれたのだが、アスタルテ様の使徒であるレティシアのその発言はいかがなものかと思う。

「そんなにすごいの?」
「ああ! すげぇなんてもんじゃねぇぜ。これだけのお力をお貸しくださるなんて、アルテナ様は相当のお力をお持ちの女神さまなんだな!」

 俺は駄女神の力じゃないと言おうとしたが、ふと変な言葉に変換されそうな予感がしたので落ち着いて考えてみる。

 あー、いや、うん。そうだな。俺をエロフに転生させたのは駄女神だしな。飛んでいるのは間違いなく自分の中にある力を使っているが、まあ、拡大解釈をすればこれも駄女神の力で間違いないだろう。

「そうね。アルテナ様のおかげ、かな」
「だよなぁ。あたしだって空を飛べるほどの力をお借りすることはできねぇしな。でも記録の女神さまなのに空を飛ぶなんて関係なさそうだけど……あ! あれか! 真実を記録するには空から見る必要がある、みたいな感じか?」

 いや、記録するのと空を飛ぶのは別だと思うのだが……。

 それはさておき、空を飛べるというのはかなり特別なことだということが分かったのは収穫だな。

 あ、そうだ。どうせなら魔法についても聞いておこう。

 俺はレティシアの質問に笑顔で答えてから話題を変える。

「ところでさ」
「ん? なんだ?」
「人間の魔法使いってどんな感じなの? 森から出てから魔法使いを見ないんだけど……」
「そうだな……。この国に魔法を使える奴はあんまりいねぇな。エルフと比べたら魔法を使える人間の割合は圧倒的に少ないんだろうけど、魔道具を動かす程度に魔力を流せるのでよければそれなりにできる奴はいるはずだぜ。それこそ、城で働いているような奴は全員できるんじゃねぇか?」

 ああ、そういえばフェリクスさんも再生の宝珠に魔力を流して普通に使っていたっけ。

「だが神や精霊から力を借りて魔道具なしで魔法を使えるとなると、その数はぐっと減るな。エルフなら精霊から力をガンガン借りられるんだろうけどな」
「そ、そうね」

 エルフがどうなのかは知らないが、イメージ的にはそんな感じなのでとりあえず笑顔で同意しておく。

「ま、それに攻撃魔法が使えるような連中は今ごろ戦場にいるんじゃねえか? あとは、冒険者で戦場に行きたくない奴はもうどっかに逃げたあとな気がするぜ」

 ああ、なるほど。たしかに。一般の冒険者なら別の町への移動は自由なんだったな。

 そんなことを考えていたのだが、レティシアは俺の表情を誤解したようで安心させるような言葉をかけてくる。

「リリス、安心しろ。いくらリリスが強力な魔法を使えたとしても、戦争に駆り出されることはないはずだぜ。何せリリスはアルテナ様の使徒だからな。使徒を戦争の道具に使うなんて愚かなこと、イストール公がするはずねぇぜ」
「あ、うん。そうだよね。ありがとう」

 するとレティシアはニカッと笑ったのだが、すぐに聖女然とした笑みを浮かべた。それとほぼときを同じくして近くの扉が勢いよく開かれたのだった。
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