伯爵令嬢の恋

アズやっこ

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 クロード視点




 休みの日、俺はあの女に邸に押しかけて来るなと言う為に娼館に来た。昼間からこんな所に来たくないが…。

 話だけして帰ろうとしたが、女が俺の上に跨がろうとした。顔を見ながらなんて到底出来ない。顔はローラじゃない。

 俺は女をどかし、女の香水が纏わりついてる体を洗い流し匂いを取る。何もせず帰る俺を文句言ってるがお金は払ったんだ、文句言われる筋合いはない。


 邸に戻って来たら、ローラとアニーが窓掃除をしていた。いつも俺が居る時にしかやらないのに。

 急いでローラを探し見つけた時、ローラは手の届かない窓の上の方を一生懸命背伸びしながら拭いていた。


「あいつ危ない事しやがって」


 俺は急いで駆け寄った。その間もローラは椅子の上で飛んで拭いてる。


「あいつ」


 駆け寄った時、ローラがグラっと落ちそうになった。俺は慌ててローラを抱き、


「何やってんだ!危ないだろ!」


 思わず叫んだ。少し落ち込むローラを前に俺は呆れていた。令嬢と言っても使用人がいないんじゃ掃除をやるのも仕方ない、それは分かる。だけどどこに椅子の上で背伸びしたり飛んだりする令嬢がいるよ。お前は子供か!少し頭で考えれば危ないって分かるだろ!

 本当にお前は俺を心配させる天才だよ!



 夕方、マルセのおっさんに呼び止められ、


「クロード、遂に俺もお役御免みたいだ」

「何言ってんだよ」

「旦那様に遠回しに辞めてくれと言われたよ」

「遠回しって事はまだはっきり言われた訳じゃないんだろ?」

「はっきりではないがな、護衛は一人で十分らしい」

「は?」

「護衛が二人もいるのか?って聞かれたよ」

「二人でも少ないのに」

「まあ、今の伯爵家では出掛ける事もないしな」

「それでも」

「今は護衛を置く意味もない程だ。ここ最近馬車も動かしてない、邸に来る来客もない、勿論盗みに入る輩もいない。一応何かある時の為に護衛は必要だけどな、確かに二人もいらないだろ? お前はまだ若い。若やお嬢様をこれから先も護る事が出来るが、俺は老いぼれだ」

「おっさんが辞める必要なんてないだろ。それに老いぼれってまだ四十じゃないか」

「クロード、四十じゃ騎士にとったら老いぼれだ」

「ここ辞めて行く宛あるのかよ」

「騎士は引退だな。こんな老いぼれを騎士団が雇ってくれる訳でもないしな。息子は騎士団で働いてるし、娘も嫁に行った。母ちゃんと田舎に帰るかな。田舎で畑仕事でもするさ」

「おっさんが辞める必要なんてない。俺が辞める」

「ばか野郎!お前が辞めたら若やお嬢様が悲しむくらい分かってるだろ!」

「俺なら騎士団で働く事が出来るだろ」

「お前は若やお嬢様を悲しませたいのか!それに今は若がいないんだぞ!お嬢様しかいないだぞ!分かってるのか!」

「分かってるよ。若とも約束した。お嬢様を護るって」

「それなら尚更だ」

「それでも、おっさんが辞める必要はない。俺が辞める。護衛一人でいいならおっさんが残ってくれ」

「クロード」

「俺はまだ若い。騎士団じゃなくても他の家でも雇って貰える」

「だがな」

「それに俺は養う家族もいない。でもおっさんには養う家族がいるだろ。おっさんはここに残ってくれ」

「クロード……すまん……」


 おっさんと別れ直ぐに旦那様の所に行き、辞める事を伝えた。

 フレッドは怒るだろうな。だけどもう限界なんだ。ローラと一緒にいる事がもう、限界なんだ…。

 ローラには何て言うかだな…。今はそれが憂鬱だ。ローラは怒って旦那様に文句を言いに行くだろう。そしたら旦那様の事だ、ローラをどこかの金持ちに嫁がせようとするだろう。それだけはさせない。そうさせない為にも俺が辞めるんだ。


 次の日、騎士団に勤めてる友人に頼み、雇って貰えるか聞いて貰った。騎士学校に通っていた事や貴族の邸で働いていた事が功を奏し二つ返事で雇って貰えた。

 後はローラの説得だけだな。

 俺はこの邸を辞める日にローラに伝える事にした。ローラに泣かれたら決心が鈍る。泣かしてまで辞める事が出来ないと思ったからだ。

 ローラは昼過ぎから始めた草むしりを夕方近くになってもしていたから声をかけた。

 声をかけてもこっちを見ない。こっちを向けって言っても向かない。
 
 はぁぁ、仕方ないか…。このまま伝えるか。


「俺さ、この邸辞めて街の騎士団に入ろうと思ってる」


 ローラは驚いた顔をしてこっちを向いた。


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