伯爵令嬢の恋

アズやっこ

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 クロード視点





 何でとローラに聞かれたから、給与が良いとか、おっさんが辞めさせられそうだとか言ったら、案の定ローラが怒り出した。


「……お父様に文句言ってくる!」

「止めろ」


 俺は直ぐに止めさせた。


「ならお前は金持ちの家に嫁げって言われるぞ」

「それでクロが辞めなくていいなら喜んで嫁ぐわよ」

「止めてくれよ。俺はそんなの望んでいない」


 俺はお前にそうさせない為にも辞めるんだ。分かってくれよ。俺や使用人の為にお前が犠牲になる必要はないんだ。お前だけは好きな奴と結婚してくれ。


「クロは家族なのよ?幼い頃から一緒に育ったじゃない。家族を放おるの?嫌よ」

「ローラ、俺はローラの家族じゃない」


 ローラ、俺はお前を家族だとは思えない。

 ローラにどれだけ説明しても納得して貰えない。俺はお前が幸せになってくれればいいんだ。なあ頼むよ、納得してくれよ。


「もう俺を解放してくれ」


 お前への恋心から解放してくれ。


「若とフローラには感謝してる。拾って貰った恩義は返したつもりだ。もう俺を解放してくれないか」


 フレッドとローラに助けて貰えて俺は生き延びれた。二人には本当に感謝してるんだ。俺がローラを好きにならなければ良かったんだ…。


「もうフローラの側にいたくないんだ」


 側にいたい。ずっとお前の側にいたい。


「フローラの側にいるのが辛い」


 お前の側にいたい。でも駄目なんだ。お前の側にいたら触れたくなる。抱きしめたくなる。もう自分を抑えるのが限界なんだ…。お前を抱きしめたくて…限界なんだ……。


「どうして? なら悪い所は直すわ。クロが嫌がる所を直すから」


 お前に嫌な所なんかない。お転婆の所も、おっちょこちょいな所も、案外たくましい所も、頑固な所も、全て可愛いし愛しい。


「どうして離れて行くの?」


 俺だって離れたくない。でも俺にはお前に好きだと言う事もできない。心の中でどれだけ好きだ、愛してると言っても言葉にする事はできない。


「もうフローラの我儘に振り回されるのは嫌なんだ」


 ローラの我儘なんて可愛いものだ。お前が俺に我儘言うのだって俺に甘えてるからだろ?俺にとってみればお前に振り回されるのはご褒美だ。


「俺はフローラの奴隷じゃない」


 そんな事思った事もない。お前は平民でそれも親に捨てられた俺を自分と同じ様に扱ってくれた。


「俺はフローラの兄貴じゃない」


 俺は兄じゃなくて恋人になりたいんだ。


「俺はフローラの家族になりたい訳じゃない」


 俺はお前と夫婦になりたい。夫婦になって家族になりたいんだ。


「俺はフローラが昔から嫌いだった。何もかも手に出来るのにもかかわらず俺の全てを奪っていく」


 拾って貰ってからずっと好きだった。可愛い妹だと思ってられたら良かったのに。ずっと俺の好きな女の子だ。


「俺の自由を奪った」


 俺の全てはお前のものだ。時間も俺自身も全てお前のものだ。


「目の前で親に甘える姿を見せつけた」


 親に甘えるよりもフレッドや俺に甘えてた方が多かった。お前に甘えられて俺は嬉しかったんだ。


「綺麗な服を着て美味しい物食べて」


 どんな服を着ても可愛いかった。今着てるボロボロの服でさえ可愛いと思ってしまうくらいだ。


「食べないからと俺に施しをした」


 お前はいつも半分俺にくれた。分け合って食べたら倍美味しくなるからっていつも分け合って食べたよな。


「俺がどれだけ惨めになったと思う」


 俺は嬉しかったんだ。ローラの気持ちが嬉しかったんだ。


「もう俺を自由にしてくれ」


 ごめんな。俺がお前を好きにならなきゃ良かったんだ。こんなに恋い焦がれなければ、お前を抱きしめたいと思わなければ、お前に触れたいと思わなければ側にいれたんだ。

 俺が貴族なら良かった…。



「ごめんな、ローラ。俺を恨んでくれ」


 傷付ける事言ってごめん。思ってもない事言ってごめん。俺が勝手にローラを好きになって、側にいるのが限界だからってローラから離れてごめんな。

 俺を恨んでも憎んでもいい。それでお前の中に残るなら俺はそれでもいいんだ。


「フローラ愛してる」


 ようやく言葉にできるよ。


 俺は長年世話になり暮らした邸を後にした。




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