私と貴方の宿命

アズやっこ

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俺はランフェル。
歳は7月で18になる。

バディール公爵家の嫡男だ。
2歳年下の妹はこの国の第一王子の婚約者だ。
第一王子とは幼馴染みで友だ。
所謂側近ってやつだ。

第一王子の側近には、次期宰相、次期騎士隊総括、それに次期参謀の俺。

父上も現国王の片腕の参謀として仕えてる。



この春、妹が入学するにあたって父上から面倒事が起こらないように気を張れと言われた。

第一王子と妹は相思相愛なんだし面倒事など起きるはずがない。

まあ、第一王子の婚約者の妹に妬む者はいるだろうからな。それでもあいつが全て防ぐだろ!
妹を護る時の裏の顔を皆に見せてやりたいよ。
それでも俺にとってもまあ可愛い妹だ。多少は目を向けるか。



春、

新しい学年が入学してきた。

それが俺の人生を狂わした瞬間だった…。



馬車から下りる一人の男、その男は俺の婚約者と最近、仲が良い。

俺にも親に決められた婚約者がいる。同じ歳の侯爵家の令嬢だ。
婚約者として最低限の事はしている。
婚約者が男と仲が良かろうが話しをしていようが気にならない。

婚姻する

それは決められた事だからだ。

感情は必要ない。
妹にも良く聞かれる。
好きなのか嫌いなのか、と。
答えを言うならそのどちらでもない。
酷い男、最低な男、
好きに言えば良い。

人を好きになる

その感情が俺には無い。
誰も好きになれないなら親に決められた婚約者でも変わらない。


俺は一人の男を見つめる。
手を差しだしその手を掴む。
馬車から下りてきた女、妹と同じ紫のブレザーを着ていた。
今年入学したあの男の妹か。

「お兄様、帰りね~」

「ああ。帰りな」

兄妹の会話。
妹は兄に手を小さく振りながら笑っている。


その笑顔を見た瞬間、

俺の内が騒ぎ出した。



その笑顔は俺のものだ

その笑顔を俺以外に見せるな

なぜ俺には笑ってくれない

なぜだ!

俺もお前の笑顔が見たい

俺にも笑ってほしい

一度でいい

俺にも笑いかけてくれ



俺の内で何かが騒ぐ。





俺の目線の先、友と歩くあの女を見つけた。

俺は友と一緒に前へ進む。

お前へ続く一本の線が見えた。

俺は近付き、

お前は端に寄った。

顔を俯向けたお前の顔を見たくて、

お前の腕を掴んだ。


「いたっ」


お前は怯えた目で俺を見た。

その怯えた目に、

俺は懐かしさを覚えた。


「お前は誰だ。名は?」

「スミス男爵家のアメリアです」


怯えた目をしながら答えるその姿に覚えがある。


「おい、知り合いか?」

「いや」

「なら行くぞ」

「ああ」


俺はお前の腕を離し、友とお前の前を去る。


名前を聞いても知らない女だ。

子供の頃に会ったかと思ったが、男爵家なら交流すらない。

なら何処で会った?

なぜあの女が気になる?

婚約者と仲良くしている男の妹だからか?

婚約者が今迄男と仲良くしていても気にならなかったのにか?



俺は振り返りお前を見た。

お前も振り返り俺を見ていた。



俺の一目惚れか?



人を好きになる、その感情が無い俺がか?



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