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私はシャーロット。バディール公爵家に産まれ2歳年上のお兄様がいるわ。お兄様の名前はランフェル。
幼い頃はお兄様にくっついていつも一緒にいたの。お兄様は私の頭を撫でたり、手を繋いだり、私が抱きつけばお兄様も抱きしめ返してくれた。私はお兄様が大好きだったの。
私はエディ、この国の第一王子のエドワード王子と会った時、一目でエディを好きになったわ。
お兄様は成長するにつれて私と距離をとったけど、私は今でも「大好きなお兄様」なのは変わらないわ。
お兄様にはお父様が決めた婚約者がいるの。婚約者と仲良くなってほしいと妹心にも思ってたの。それでもお兄様と婚約者はお互い割り切ってる?そんな感じに見えたの。
お兄様は婚約者の事を「婚姻に感情は必要ない」と言ったわ。
それでも妹として兄の幸せを願い、兄にも幸せになってほしい、そう思うの。
それにお兄様の婚約者はお兄様以外の男性と、それも自分より爵位の下の男性と遊ぶのがお好きみたいで…。遊ぶっていっても仲良くおてて繋いで、じゃないわよ?そう、あっちの方。
めぼしい人を見つけ、自分に虜にし、最後は捨てる。虜にする仕方は人によって違うみたい。初めから体を使う時もあるみたい。それでも最後は体を使うんだから一緒よね。
お兄様もその事は知ってる。
それでも何も言わず、違うわね、興味もないみたい。
幼い頃からお兄様を見てきた私だから分かる事だけど、お兄様は女性に興味がないの。綺麗な女性がいても、可愛らしい女性がいても見向きもしないわ。
お兄様も公爵令息だもの、近づいてくる女性は多いわ。それでも誰一人見ようとしないの。
きっと私も妹じゃなければ優しくなんてされない。
女性に興味もないからもしかして…って思っていたけど、それも違ったわ。
だって、
お兄様は一人の女性にだけ興味を持ったから。
食堂でいつもの様に昼食をとっていたらお兄様が急に立ち上がり、デザートを買う列に並んだの。
お兄様は甘い物は食べないわ。それなのに並ぶ?
そしたら前に並んでいた、あれは確か、男爵令嬢のアメリア様ね。アメリア様と話していたの。
その顔は私が初めて見るお兄様の顔だった。
お兄様が席に戻って来て、私はお兄様を見たの。そしたらお兄様の目線の先にいたのはアメリア様だったの。
まるで、
愛しい人を見つめる目
お兄様はずっと見つめていたわ。
「フッ」
お兄様の声に私は驚いたの。
お兄様の笑った声を聞いたのは幼い時だけよ?
それに、
お兄様、笑ってる
お兄様が自然に笑ってる顔を見たのも幼い時以来なの。
お兄様は自分の気持ちに、アメリア様を見つめる目にまだ気づいていないみたい…。
いつもの様に授業が終わり、私はお兄様と帰る馬車に乗り込み、お兄様が乗り込むのを待っていたの。
そしたらお兄様の動きが突然止まったわ。お兄様は振り返りどこかを見つめていた。
馬車の中にいた私からは誰を見ているか分からなかったけど、お兄様が見つめる相手は一人しかいない。きっとお兄様の目線の先にいるのはアメリア様ね。
お兄様の目がだんだん怒り、力強く握りしめてる拳。今にも殴りに行きそうな、今にも殺しに行きそうな、
お兄様がこんなに感情を露わにした姿は今迄見たこともないわ。
馬車に乗り込んできたお兄様は殺気立った怒気を纏っていた。力強く握りしめた拳は膝の上で震えている。
狭い馬車の中で私に対して放ってる訳じゃないのは分かってる。それでも、
「しまって下さらない」
思わず言ったわ。
「何をだ」
お兄様、気づいてないの?
今自分が纏ってる空気も?
射殺さんとするその顔も?
お兄様、気づいてないの?
お兄様の手が私の頭に触れる。
私はビクッとなった。
お兄様は私の頭を撫でだした。
私は驚きお兄様の顔を見る。
思わず、
「お、お兄様?突然何をなさるの?」
そう言ったのは仕方がないと思うの。
お兄様はばつの悪そうな顔をしていたわ。それでも今迄殺気立った怒気を纏っていた人が急に頭を撫でたら、驚くし、急におかしくなったかと思うでしょ?
お兄様にも一応婚約者がいるわ。あんな婚約者でも婚約者には変わりないし。
それでもね?
お兄様が人間らしい感情を持っている事を私は嬉しいと思ったの。
こんな事願っては駄目なのは分かっているわ。
それでも、
それでも、
大好きなお兄様にも、
幸せになってほしい
私は心からそう思うの。
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