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休み明け学園に行くと、
「アメリア、貴方のお兄様は大丈夫なの?」
「デイジーおはよう」
「おはよう。じゃなくて、」
「お兄様よね?お兄様は今日体調が悪いって休んだんだけど、デイジー良く知ってたわね?」
「お兄様が体調悪いなんて知らないわよ。そうじゃなくて、」
「何よ」
「ランフェル様と婚約者、婚約白紙に戻したって」
「え?」
「もう学園中その話題でもちきりよ?」
「…どう、して?」
「婚約者の侯爵令嬢、今度は私達と同じ学年の伯爵令息を狙ったらしいの。口付けしようと迫ったら令息は逃げ出したらしいんだけど、令息が親に言って、侯爵家へ抗議の手紙を送ったらしいわ。それからあれよあれよと今迄の事が知られて、ランフェル様とは婚約白紙に戻し、侯爵令嬢は修道院へ送られたって」
「そう…」
「でも婚約白紙よりこの場合婚約破棄じゃない?」
「え?」
「まあ、公爵家は侯爵家と婚約していた記録を残したくないから白紙にしたらしいんだけどね」
「そうなの?」
「そうみたい。それよりお兄様は大丈夫なの?」
「体調悪いって言っていたけど…」
「お兄様は何も被害はなかったの?」
「お兄様、侯爵令嬢ともうすぐ婚約できるって喜んでいたのに」
「もしかして…」
「男女のあれこれは無かったみたい。手が触れただけでも真っ赤になって噂通りの女性じゃないって言っていたのよ?」
「お兄様、まんまと騙されたわけね」
「そうなるわね」
その日、ランフェル様の婚約白紙、侯爵令嬢の噂が絶える事はなかった。
家に帰り私はお兄様の部屋へ行った。
「お兄様」
「アメリアか…」
「大丈夫?」
「ああ」
少しやつれた顔をしたお兄様がベッドで座っていた。
「お兄様…」
「大丈夫だ」
「うん。でも…」
「アメリア」
「なに?」
お兄様はベッドをポンポンと叩き、私はベッドに腰掛けた。
お兄様は私の頭を撫で、
「アメリアにも心配かけたな」
「ううん」
「俺さ、アメリアが産まれた時、兄としてアメリアを護らないと、アメリアには悲しい顔、辛い顔をさせないって思ったんだ。アメリアにはいつも笑っていてほしい、俺はアメリアの笑顔を護る、幼心にそう思った」
「うん」
「アメリアにこんな顔をさせてごめんな」
「こんな顔?」
「泣きそうな顔」
「だってお兄様の気持ちを思ったら、」
「そうだよな」
「うん」
「もう大丈夫だ」
「お兄様」
「明日からはアメリアに心配かけない。だから今日だけは」
「うん、分かってる。お兄様の気が済むまで悲しんで。悲しんだらまた上を向けるわ」
「ああ、そうだな」
お兄様は私の頭をくしゃくしゃと撫でた。
私はお兄様に頭を撫でられるのが幼い頃から大好きだったの。私に向ける優しい顔も、その温かい手も、成長し大きくなった手も、私に向ける温かい気持ちがとても安心するの。
だからお兄様のこんな顔は見たくない。お兄様は笑顔が似合う人だから。
私はお兄様の部屋を出て自分の部屋へ戻った。
お兄様にも幸せになってほしい。お兄様が心を許せて、お兄様の笑顔を失くさない人。
どうかお兄様の心の傷が早く癒えますように…
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