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帰りの馬車の中、
「アメリア」
「はい、お兄様」
「アメリアはランフェル殿が好きか?」
「……はい」
「そうか」
「……はい」
沈黙が流れ、
「あの朝、」
と、お兄様は話し始めた。
「リアム殿少し良いか」
人気のない所へ移動し、
「ランフェル殿、妹が手を煩わせ申し訳ありません」
「リアム殿」
「はい」
「今更隠すつもりはない」
「はい。ランフェル殿の元婚約者の事ですね。私は何を言われても何をされても覚悟が出来ています。ですが、妹は関係ありません。どうか妹だけは」
「違う。元婚約者との事は気にしていないし咎めるつもりもない」
「では」
「アメリア嬢の事だ」
「アメリアですか?」
「ああ。俺はアメリアが好きだ」
「はい?」
「だから俺と友になってほしい」
「はい?」
「友の妹なら話していても不自然ではない」
「まあそうですが。ですが、私は男爵家です。ランフェル殿は公爵家、友になるには身分不相応です」
「それも良く分かっている。だがこれしか方法がない。アメリアと学園でも話がしたい。側にいたい。アメリアを見ていたいんだ、頼む」
ランフェル殿は頭を下げた。
「止めて下さい」
「頼む」
「分かりました。ですがアメリアを絶対に護って下さい」
ランフェル殿は真っ直ぐ俺を見て、
「当たり前だ」
「アメリアを傷つけないと約束して下さい」
「約束する」
「学園の中だけですが友になりましょう」
「すまない。それでだ、あまりアメリアの頭を撫でないでもらいたい」
「それは無理です。妹を可愛がる、それは兄の特権です。頭を撫でるのは可愛がる範囲です」
「だが、少しだな、」
「もしかして俺に嫉妬するとか」
「ああ」
気まずそうな顔が何故か笑えて、
「ハハハッ、ランフェル殿でも嫉妬するんですね」
「俺も初めてだ」
「そうでしょうね。貴方は自分にも自分以外にも興味がない」
「まあな」
「唯一興味を持ったのがアメリアですか。何もアメリアに興味を持たなくても良かったのに」
「心から惹かれた。初めてアメリアを見た時、アメリアに笑いかけられてるお前に嫉妬した」
「そうですか」
「リアム、アメリアは必ず護る」
「お願いします」
「ランフェル殿はお前を離すことはしないと思う」
「はい」
「アメリアもランフェル殿の隣に立てるように、恥ずかしくないように、今迄以上に努力しないとな」
「はい」
「俺達が卒業してからの方が大変だぞ」
「はい」
「俺はアメリアには幸せになってほしい」
「私もお兄様には幸せになってほしいわ」
「そうだな」
「デイジーとお兄様、お似合いよ?」
「お、おい、デイジーに失礼だろ」
「どうして?」
「俺には勿体ないだろ?」
「そうかしら。お兄様はデイジーが嫌いなの?」
「まさか!だけどデイジーにも選ぶ権利はある」
「お兄様、もう傷は癒えた?」
「ああ、デイジーのおかげでな」
「そうなの?」
「落ち込んでるつもりはないんだけどな、ふっとした時にいつも話しかけてくれてな、そうしたらいつの間にかデイジーに好意を抱くようになった」
「良かった。デイジーならお兄様を傷つける事はしないわ」
「ああ、彼女は人を傷つけるような人じゃない」
「そうね。なら早くデイジーに気持ちを伝えないと。誰かに取られても知らないわよ?」
「それもそうだな。誰かに取られるのは嫌だ」
「ふふっ」
お兄様とデイジーが婚約するのも時間の問題ね。デイジーがお姉様か…、それも良いわね。
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