27 / 63
26
俺は2週間ぶりに学園に行った。
馬車から下りるリアを見つけ、
「リア」
「ランフェル様?おはようございます」
リアの手を引き、物陰に隠れる。
「リア、俺の話を聞いてくれ」
「はい」
「教室ではデイジー嬢の側から離れるな」
「いつも一緒にいますよ?」
「それでも常に一緒にいてくれ」
「分かりました」
「それから昼食は毎日俺ととる」
「ですが」
「父上にも俺の気持ちは言った。もう堂々とする」
「分かりました」
「迎えに行くまでデイジー嬢といてくれ」
「はい」
「指輪、はめてくれるか?」
「分かりました」
リアの首からチェーンを取り指輪を小指にはめる。
「何があっても外すな、良いな?」
「分かりました」
「神のご加護を」
俺はリアの指輪に口付けした。
神のご加護がついた指輪、神はリアを見守り回避してくれるはずだ。
昨日、デイジー嬢の家に行き、
「突然すまない」
「どうされました?」
「デイジー嬢にしか頼めないんだ」
「何をです?」
「学園では常にリアと共に行動してほしい。それこそトイレに行くまで」
「それはいいですけど」
「昼食は明日から俺と取らせる」
「分かりました」
「迎えに行くまで一緒に待ってほしい。リアを一人にしないでくれ」
「それは分かりました。それで、そこまでする理由は?」
「胸騒ぎがする。何か分からないが、何か悪い事が起こる」
「アメリアにですか?」
「ああ」
「ランフェル様の気のせいと言うことは?」
「気のせいであってほしいが」
「分かりました」
「すまない、デイジー嬢にしか頼めないんだ。リアを一緒に護ってくれ」
「分かりました」
教室ではデイジー嬢が常に一緒にいてくれるだろう。
後は、
「リア、今は何も聞かず俺を信じてほしい」
「分かりました」
リアを教室まで送り、デイジー嬢に目線を送る。頷いたデイジー嬢にリアを託し、俺は自分の教室に戻った。
今日は剣の実技の時間がある。
俺は木刀を手に背後から振り下ろす。
カン
やっぱりな。
潜在意識というやつか分からないが体が覚えている、と言った所か。
「リアム」
「ランフェルか」
「どうして後ろにいる俺に気づいた」
「何となくだ」
「そうか」
あれから度々夢を見る。断片的だが。
「リアム、手合わせをしないか?」
「いいぞ」
俺はリアムと打ち合う。初めは指導通りに打ち合う。
俺は夢で見たように剣を構える。
夢の中の男は無駄な振りはしない。出来るだけ交わし隙が出来るまで待つ。それか迷いない一突きだ。
リアムの剣の腕を確信する為にも交わす、今はこっちだ。
剣を交えながら交わし、間合いを詰めて剣を突く。
リアムは交わした。
夢の中の時と同じだ。
そうか…
そうか…
お前は兄だからな…
打ち合いを終え、
「ランフェル、強いな」
「リアムこそ」
「俺の場合は交わすのがいっぱいいっぱいだったよ」
「息もあがってない」
「何でだろうな、体が動く、野生本能かもな?」
「リアム、俺がリアを護れない時はお前が代わりに護ってくれ、頼む」
「おいおい、アメリアは俺の妹だ。妹を護るのが兄の役目だ」
「そうだな。お前が兄で心強いよ」
「急にどうした?」
「いや、何でもない」
そうだ、お前は最期まで妹を護っていた。身を立てにして。さっきの俺から仕掛けた突き、あれは…本来なら交わせた。お前の腕なら。今のように……
あなたにおすすめの小説
壊れていく音を聞きながら
夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。
妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪
何気ない日常のひと幕が、
思いもよらない“ひび”を生んでいく。
母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。
誰も気づきがないまま、
家族のかたちが静かに崩れていく――。
壊れていく音を聞きながら、
それでも誰かを思うことはできるのか。
彼の過ちと彼女の選択
浅海 景
恋愛
伯爵令嬢として育てられていたアンナだが、両親の死によって伯爵家を継いだ伯父家族に虐げられる日々を送っていた。義兄となったクロードはかつて優しい従兄だったが、アンナに対して冷淡な態度を取るようになる。
そんな中16歳の誕生日を迎えたアンナには縁談の話が持ち上がると、クロードは突然アンナとの婚約を宣言する。何を考えているか分からないクロードの言動に不安を募らせるアンナは、クロードのある一言をきっかけにパニックに陥りベランダから転落。
一方、トラックに衝突したはずの杏奈が目を覚ますと見知らぬ男性が傍にいた。同じ名前の少女と中身が入れ替わってしまったと悟る。正直に話せば追い出されるか病院行きだと考えた杏奈は記憶喪失の振りをするが……。
地獄の業火に焚べるのは……
緑谷めい
恋愛
伯爵家令嬢アネットは、17歳の時に2つ年上のボルテール侯爵家の長男ジェルマンに嫁いだ。親の決めた政略結婚ではあったが、小さい頃から婚約者だった二人は仲の良い幼馴染だった。表面上は何の問題もなく穏やかな結婚生活が始まる――けれど、ジェルマンには秘密の愛人がいた。学生時代からの平民の恋人サラとの関係が続いていたのである。
やがてアネットは男女の双子を出産した。「ディオン」と名付けられた男児はジェルマンそっくりで、「マドレーヌ」と名付けられた女児はアネットによく似ていた。
※ 全5話完結予定
報われなかった姫君に、弔いの白い薔薇の花束を
さくたろう
恋愛
その国の王妃を決める舞踏会に招かれたロザリー・ベルトレードは、自分が当時の王子、そうして現王アルフォンスの婚約者であり、不遇の死を遂げた姫オフィーリアであったという前世を思い出す。
少しずつ蘇るオフィーリアの記憶に翻弄されながらも、17年前から今世まで続く因縁に、ロザリーは絡め取られていく。一方でアルフォンスもロザリーの存在から目が離せなくなり、やがて二人は再び惹かれ合うようになるが――。
20話です。小説家になろう様でも公開中です。
4人の女
猫枕
恋愛
カトリーヌ・スタール侯爵令嬢、セリーヌ・ラルミナ伯爵令嬢、イネス・フーリエ伯爵令嬢、ミレーユ・リオンヌ子爵令息夫人。
うららかな春の日の午後、4人の見目麗しき女性達の優雅なティータイム。
このご婦人方には共通点がある。
かつて4人共が、ある一人の男性の妻であった。
『氷の貴公子』の異名を持つ男。
ジルベール・タレーラン公爵令息。
絶対的権力と富を有するタレーラン公爵家の唯一の後継者で絶世の美貌を持つ男。
しかしてその本性は冷酷無慈悲の女嫌い。
この国きっての選りすぐりの4人のご令嬢達は揃いも揃ってタレーラン家を叩き出された仲間なのだ。
こうやって集まるのはこれで2回目なのだが、やはり、話は自然と共通の話題、あの男のことになるわけで・・・。
幼馴染以上、婚約者未満の王子と侯爵令嬢の関係
紫月 由良
恋愛
第二王子エインの婚約者は、貴族には珍しい赤茶色の髪を持つ侯爵令嬢のディアドラ。だが彼女の冷たい瞳と無口な性格が気に入らず、エインは婚約者の義兄フィオンとともに彼女を疎んじていた。そんな中、ディアドラが学院内で留学してきた男子学生たちと親しくしているという噂が広まる。注意しに行ったエインは彼女の見知らぬ一面に心を乱された。しかし婚約者の異母兄妹たちの思惑が問題を引き起こして……。
顔と頭が良く性格が悪い男の失恋ストーリー。
※流血シーンがあります。(各話の前書きに注意書き+次話前書きにあらすじがあるので、飛ばし読み可能です)